2010 年度 卒業式メッセージ

2010 年度
卒業式メッセージ
大学付属かえで幼稚園園長
森高ホサナ
そら組、はやし組のみなさん、ご卒業おめでとうございます。かえで幼稚園で 1 年、2 年、
3 年間を過ごした方たちは、毎日自分の好きな遊びをして、今日を迎えました。その生活の
中にこれから生きていく上で大切なことがたくさんありました。その中から今日は三つの
ことを話します。一つ目は「自由」についてです。かえで幼稚園では毎日好きなことをし
て遊ぶ自由がありました。それは、神さまが下さった十の約束(父母を敬うこと、うそをつ
かないこと、人のものを欲しがらないこと、そして、人を殺さないことなど)を守る中での
自由でありました。二つ目は「ごめんなさい」と謝ることと「いいよ」と赦すことです。
けんかをした時も、まちがっていたと気づいた時「ごめんなさい」と謝って「いいよ」と
赦されることを何度も繰り返してきましたね。三つ目は、すぐに出来ないことがあっても、
人と比べないで、自分の時がくることを信じて待ったことです。これらのことを、これか
らも大事にして下さい。
この間、私は年長組のたのしみ会に招待されました。コマ回しや縄跳びがありました。
私は、しばらく前から色々なところで、一人で黙々としている姿を見ていました。それが
たのしみ会ではなかまと一緒にこまの回し方を見せてくれ、大縄跳びでは 5 人が息を合わ
せて一緒に跳んでいました。また、人形劇の「あなのはなし」では、友だちが穴に落ちた
のを、力を合わせて助ける話をしていましたね。それぞれの姿になかまとつながっている
喜びがあることを私は感じていました。
そら組やはやし組の人たちの中には、小さい組の時に大勢の子どもの中にいるとドキド
キしたり、怖いと感じる子どもがいました。そのような時、先生と5,6人の小さなグル
ープをつくって過ごしました。
「みんなと一緒でなくて大丈夫ですか」と心配されたお父様
やお母様もありましたが、その都度「どの子どもも安心して過ごせることが一番大切です」
と理解して頂きました。そのようなときを経て、安心をためた方たちが、今日こうして、
大勢の方と一緒に卒業式を迎えられたことを、私は特別嬉しく思っています。
東洋英和女学院、そしてかえで幼稚園が大切にしている聖書のことばを言いましょう。
「心を尽くし、精神を尽くし、思いを尽くし、力を尽くして、あなたの神である主を愛し
なさい」
「隣人を自分のように愛しなさい」
一週間前に、日本は地震と津波の大きな災害に見舞われました。私たちは災害に合われた
方たちのことを思いながら、今日卒業式を迎えました。皆が大きくなっていく先には思い
もよらないことがあるかも知れません。その時に、幼い日にお父様、お母様に愛され、先
生たちに「あなたはあなたでよい」と肯定されてきた皆さんなら、どんな状況にあっても、
希望を見出し、やがて人のために自分を用いていける人になれると信じます。
卒業は新しい出発です。一人ひとりに神さまが用意して下さった希望の道があります。
お一人、おひとりの上にそしてご家庭の上に神さまの祝福がありますようにと祈ります。
保護者の皆さま、これまで、お子さまを中心にして幼稚園とご家庭が両輪となって、共
に歩んで下さいましたことを心から感謝申し上げます。