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話せるように なるまでの 遠い道のり

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話せるように
なるまでの
遠い道のり
後編
中島正博
試行錯誤
実際に毎日書くようになってみて、アウトプットで使える語彙の少なさに唖
然としました。
「なんとなくこんな感じでは」レベルの単語でもインプットではどうにか役
に立つが、アウトプットではまったく使いものになりません。
特に会話で使うためには、使い方がしっかりわかっている上に発音も重要に
なります。自信がないものは避けるでしょうし、時間的な制約がある場面で
はそもそも出てきません。そうなると使えるものは限られてしまいますし、
増えてもいきません。
でも「書く」なら話は別です。そういうあやふやなものでも、辞書の力を借
りて使うことができます。そして自分が表現したいことのためにわざわざ調
べて、実際に文の中で採用した単語は当然頭にも入りやすいですしね。
こうしてアウトプットレベルで使えるものを少しずつ増やしていくというわ
けです。
ここでアルクのオンライン辞書には大いにお世話になりました。
また、単語だけじゃなく構文についても、どうしてもなじみのあるもの、自
信のあるものを使いがちなので、少しでも背伸びして新しい形を取り入れる
よう意識もしました。そこで役に立ったのが例の「700 選」です。
頭からただ覚えていこうとするのはかなり苦痛でしたし、そうやって苦労し
て暗記しても実際には使えなかったあの本を、今度は辞書代わりに利用した
のでした。
「あそこにああいう英文あったよな、あれ使えないかな」と、英文を作る際
の参考に。こうして自分の英文に取り入れてみることで、自信を持って使え
る構文も少しずつ増えていきました。
基本例文にしても、700 選にしても、言ってみれば英文の「標本」が並んで
いるみたいなものです。あれを頭からただ覚えるというのも、味気ない「作
業」です。
でも自分が伝えたいことがあって、それを表現するためにあの標本の中から
必要なものを選び出して、実際に自分の文に取り入れてみる。すると無機質
に並んだものの中に血の通ったものが生まれる。
そうやって使える形を増やしていくというわけです。
考えてみれば、並んでいるものをただ覚えるというのは「受け身」な行為で
す。話すという自発的なスキルにつなげるためには、つまり本当に使える知
識にするためには、やはり自発的に「使う」経験が必要だということです。
こうして「英語をひねり出す」力をつけるために日々奮闘していましたが、
思ったのは、どれほど組み立てる力を鍛えようとも、これはやっぱりとても
負荷の高い作業なので、会話の中でずっとそれをやっていたら脳が疲弊して
しまうだろうということです。
そんなときにいちいち頭を使わずとも言えることのストックがあれば、頭を
休ませつつ会話を進められるようになるんじゃないだろうか。
前にも少し書きましたが、日本語でも全部のセリフをその場でいちいち組み
立てるなんてことは少ないはず。それまでに考えたことがある、どこかで話
したことがあることを口から出すということと、その場でのアドリブとを組
み合わせつつ会話を進めているはずです。
当然ながら不慣れな英語では、「文を組み立てる」という作業にかかる負荷
は日本語で話す時とは比べ物にならないほど大きいでしょうし、その分、頭
を休められる機会はもっと必要になるでしょう。だから頭を使わずとも言え
るセリフをできるだけ増やそうと思いました。
元々こうして英作文しているのは、「組み立てる」力を鍛えるのと、英語で
話せるネタを作ることが目的だったわけですし。でも一回作ったことがある
ぐらいでは、とても「頭を使わずに出せる」ものにはなりません。
というわけで、そうやって頭を使わずとも言えるフレーズを増やすべく、
作った英文を何度も音読することで覚えてしまうことにしました。
なにしろ全て自分自身で作った、自分に関する英文なので、参考書に載って
いる誰かが作った自分とはまったく関係ない例文をただ順に覚えていくのと
比べると遥かに頭に入りやすいのです。しかもいつか実際に使える可能性も
高いですし。
もちろんなるべく感情をこめて、いかにもその場で考えて話してますみたい
な雰囲気を醸し出しながら口にしました。
これ以外にも、日々の生活の中で「これ英語でなんて言うんだろう」という
ことがある度に、必要ならその場で辞書を引きつつ英文を作る、そしてそれ
をさも今思いついたような風で実際に口にしてみる、何度か口ずさんで自分
のものにする、この一連の作業をもう習慣にしてしまいました。
こうすれば英語を「ひねり出す」訓練と、「頭を使わずとも言えることのス
トック」を増やすことが同時にできるというわけです。
これこそが何か言いたくてもまったく口から何も出てこない状態から抜け出
すための第一歩だと思います。
文法学習がもたらしてくれたもの
英文を組み立てるに当たって、オーストラリアに行った当時にはなかった新
たな武器が自分には備わっていました。それは文法の知識です。
特に文型の知識。文型はテンプレートみたいなもので、あとはそこに単語を
あてはめれば一応は文は作れます。そういう意味ではゼロから組み立てるわ
けじゃないですよね。
ただしこれで作れる文は、言ってみれば単純な骨組みのようなものなので、
もっと詳しい情報を付け加えたいときには、そこに肉付けをしていきます。
もちろんその肉付けをするためにも、文法の知識は大いに役立りました。
形容詞や副詞、前置詞句をどこに入れるかと言った「語順」についてのルー
ル。さらに関係詞や分詞など、これまではテストの問題を解くための知識で
しかなかったものを、自分を表現する文の中に取り入れ、一つずつ使えるよ
うにしていきました。
学校では新しい文法知識を習う度に「あぁ、俺を引っ掛けるための仕掛けが
また一つ増えた」と憂鬱でしかありませんでしたが、実際に使ってみるとそ
の便利さがよくわかりました。
文法は英文の意味をとったり、自分で組み立てるための、つまり「英語を使
うためのルールブック」なんだということをここで再認識することができま
した。
以前、「文法を学び直したことは直接には話せることにはつながらなかっ
た」と書きましたが、この「自分英作文」をやるようになってからその恩恵
に預かることになりました。
これに関連して、TOEIC では、主語と述語のつながりが見えにくい文が問題
に使われることがありますよね。例えば
The cost of repairing the water damage to the museum after the
storm ------ to be more than one million dollars.
(1) expects (2) is expecting (3) expected (4) is expected
のように。
この場合は、主語の thecost のあとに長い句が続くため、主語と-----に入れ
るべき述語との関係が見えにくくなっています。そこがきちんとわかれば
「thecost(費用)が予想する」じゃ関係としておかしいので、受け身で
isexpected じゃないだろうかと答えを導くことができるわけです。
これなども、そういう形(主語の後に延々とその説明をくっつける形)を自
分で作ってみるという経験を持つと、その関係性がしっかり見えるようにな
ります。「あぁ、主語のあとにその説明をつなげているのね、述語はいつ出
てくるのかしらん」と待ち構えつつ。
もちろん問題を解く時だけでなく、リーディングやリスニングの場面でも同
様のことができるようになります。
関係詞や他の文法事項についても、自分で実際に使ってみる経験を持つこと
で、その仕組みがすっきりとわかるようになるのです(わかっていないとそ
もそも使えません)。そして英語を読んだり聞いたりしているときにそれが
使われた文に出合うことで、その知識はさらに深められていきます。
このように、今まで苦労して試行錯誤してきたことが、色んな形で結びつい
て自分の力になるのを感じました。
そうして考えると、本当に完全にムダなことというのはなかったんじゃない
かと思います。その時その時で一番いいと思って、それなりのエネルギーを
注いできたことというのは、なんらかの形で身になるということです。
自問自答トレーニング
とにかく毎日書けと言われたところで、そんなにたくさん書くことないよと
材料に困る人もいるでしょう。一通り自分のことを表面的に表したところで、
書くことがなくなってしまうという人も。
そんな時に話相手がいて、その人が自分が考えてもみなかったような新たな
視点から質問をしてくれるなら、それに対する答えを考えればいいのである
意味楽ですが、そうじゃない場合は結構大変です。
こういう時にお勧めなのが、仮想の話し相手を設定することです(寂しくな
んてない)。
そしてその人に何か質問されたと仮定して、それに対する答えを書くという
練習。自分で質問を作って自分で答えるというわけです。自作自演というか
自問自答ですね。
まぁその質問を考えるのがそもそも難しいんですが、どうしても思いつかな
い場合は「どうして?」と聞くといいと思います。これは結構便利。
例えば「今英語学習をしている」と言ったら、その仮想話相手は「どうして
英語やってるの?」と聞くと。そうすると今度はその理由を掘り下げて文を
作るわけです。例えば「外国人と話せるようになりたいから」など。
すると相手はまた「どうして?」と聞くので、そのまたさらなる理由を。し
つこい「なぜなぜ坊や」につきまとわれているというイメージで。
この「どうして?」はあくまでも自分が言うことの引き出しを増やすための
触媒なので、例えば「どうして中国語じゃなく英語なの?」などと場面に応
じて臨機応変に変えていいですし、もちろん別の質問が思いついたらそれで
もいいです。
これならいくらでも質問は増やせます。そして質問を増やすことができれば、
話すこと(書くこと)も増えるでしょう。しかも自分で書く内容も、表面的
なことではなく、どんどん深く掘り下げられたものに。
さらにこういうトレーニングをすることにはもう一つ意味があって、それは
論理的にものを考える練習にもなるということ。
アメリカでは自分の意見を言ったら、「なぜなら~」とその意見をサポート
する根拠を示す、こういう練習を子供の頃からしているから論理的に自分の
意見を述べることが得意なんだということをどこかで耳にしたことがあると
思います。
こうして常に「なんで?」の質問を想定して、それに答えるという練習をす
ることは、書くこと・話すことの引き出しを増やすとともに、筋道立てて考
えることの訓練にもなって一石二鳥です。
実際に後に英検のエッセイを書くとき、そして二次の面接の時も、この「自
問自答トレーニング」は役に立ったと思います。
お伝えしたように大きな遠回りをしつつ色々ともがいてきたわけですが、振
り返ってみてやっぱりこの「書く」という作業が一番身になったと思います。
ですからあの頃の自分と同じように、「英語を話したくても口から何も出て
こない」とお悩みの方は、アウトプットの力をつけるために、まず書くこと
をお勧めします。
書くことが苦手という人は多いでしょうし、僕も長い間ずっとそうでしたが、
だからと言って敬遠していると、いつまで経っても自分が伝えたいことを英
語で表現する力はついていきません。
決まり文句だけ覚えたって、型通りの浅いやり取りしかできません。それで
はつまらないでしょう。心と心を通わせるようなコミュニケーションをとり
たいと考えるなら、自分が伝えたいことを英語で表現する力の養成は必須で
す。人が作ったものじゃない、自分のセリフで話せるようになるために。
そしてなんでもそうですが、スキルの向上というのは、どれぐらいの時間を
そのためのトレーニングに捧げたか、その時間の総量で決まります。だから
一日のうちで、英語をひねり出す時間をできるだけ増やすことが大切です。
それでは書く力をつけるためのヒントをいくつか。
1、自問自答つづき
「なぜ」と自分に対して聞くことで内容を深めていけるというお話をしまし
たが、基本はおなじみの5 W 1 H です。Who(誰が)What(何
を)When(いつ)Where(どこで)Why(なぜ)How(どのように)した
のか。
これらの6つの要素を意識しながら(自分に対して問いながら)、それらを
網羅しようとすると詳しく書けるようになるでしょう。
2、同じテーマで書く
すでに書いたことのあるテーマで何度か書くというのも、いいトレーニング
になります。
例えば趣味について、書くトレーニングを始めた当初のものよりも、慣れて
からのもののほうが、当然深い内容が伝えられるようになっているはず。
そうやって「英語で話せるネタ」をアップデートしていくわけです。同じ
テーマで何度か書くことで頭にもこびりつきやすくなりますしね。これに
よって「頭を使わずに言える表現」のストックが増えていくことでしょう。
3、背伸びする
例えば「基本英文 700 選」などの例文集や、あるいは日々出合う沢山の英語
表現の中から、「これは使ってみたい」というものをどんどん自分の文の中
に取り入れる。
この作業はけっこう大切だと思います。なぜならそうやって背伸びする努力
をしないと、どうしても自分が慣れた形に偏りがちになるからです。書くと
きはものを調べたりする余裕があるのですから、そのアドバンテージを最大
限に利用しましょう。必勝パターンを作るのも大事ですが、バリエーション
を増やすのもまた大事です。
4、一つのことを色んな表現で書いてみる
自分が伝えたいことを、色んな言い方で表現する練習も有効です。
例えば「彼の助言のおかげでその問題を解決できた」と言いたいとき
思い浮かびやすいのは「私」を主語にした
→I could solve the problem thanks to his advice.
でしょうが、「彼の助言」を主語にした文も作れますよね。
→His advice helped me solve the problem.
このように、「主語を何にするか」、あるいは「動詞はどっちでいくか(be
動詞か一般動詞か)」と考えることで、一つのことでも色んな言い方ができ
るはずです。
会話をしているときに、「これで行こう」と決めて話し出したものの、途中
でうまくいかないことに気づき、着地点が見えなくなってぐちゃぐちゃにな
りましたという経験はないでしょうか(まだ話せないという人も、話せるよ
うになりましたときにきっとあるはずです)。頭が真っ白になってしまって。
でも普段から色んな言い方で表現する練習をしておくと、こういうこときに
言葉につまってしまうことがなくなります。だから一つ書けたからと安心す
るのではなく、他の言い方はできないか考えてみてください。
「ひねり出す」スピードの育成
とにかく毎日書くことによって、自分で英語を組み立てる力はついていき、
時間さえかければある程度のことは伝えられるというところまでは持ってい
くことができました。
そして通勤時間など歩いているときに、すでに作ったことをぶつぶつとつぶ
やくようにもしました。もちろん実際に外国人に対して話しているところを
想像しながら、感情をこめて言うようにします。
傍から見たらさぞ気持ち悪いでしょうが、これは記憶の定着に大いに役立ち
ます(ただし高度な妄想力が必要となりますが)。これによって頭を使わず
とも言えることもかなり増えていきました。
ここで会話で対応できるようになるために何が必要か考えることに。
書くことと話すことは重なっている部分も多いですが、やはり違うところも
あります。話すほうはより「運動」に近いということ。このまま書いている
だけでは足りないものがあるでしょう。
一番必要なのはスピードだと思いました。書くときは自分のペースでゆっく
り書いても誰にも文句は言われませんが、話すスピードが極端に遅くて、一
語一語つまりながら話していては、会話の流れを止めてしまうことになるか
もしれません。
会話のペースについていくことを考えたら、英語を「ひねり出すスピード」
そのものを上げなければならないだろうと。だってスムーズに話せるように
なりたいのですから。
ではどうしたら今よりもスムーズに英語をひねり出せるようになるのか。そ
れまではスピードのことなんて一切気にせず、とにかく英文さえ組み立てら
れればいいというスタンスでやっていました。ここを改める必要があるん
じゃないだろうか。
そこで、それまではノートに自分の手で書いていたのを、パソコンでタイプ
することに。手で書くよりもタイプするほうが速いので、スムーズにタイプ
しながら英語をひねり出そうとすれば、これだけでスピードは上がります。
もし普通に話すぐらいのスピードでタイプできるようになれば、会話でも楽
についていけるでしょう。
かなり負荷が高い作業なので、まずはすでに何度か書いたことがあるテーマ
で。
ただ、どれぐらいでタイプできれば話すのと同じスピードになるかわからな
かったので、タイプしつつ、その内容を同時に口に出すことにしました。シ
ンクロ読みならぬ、「シンクロ書き」ですね。
実際に口にしてみることによって、自分が英語をひねり出すスピードがよく
わかりますし、余計な負荷が加わることにもなるのでいいトレーニングにな
るはず。
この際、いちいち先頭を大文字にしたりしませんし、タイプミスもそのまま
にしました(後で直せばいいですからね)。とにかくスムーズに打ち進める
ことを優先しました。
やってみるとこれがまぁ大変。「口から出す」というプロセスを加えること
で、これまでいかにスピードの意識が欠けていたかがよくわかりました。さ
らに元々タイプもうまくなかったので、出来上がったものは誤字だらけにな
りました。
その誤字だらけのものを先頭から見直していきます。タイプミスを直しつつ、
「あぁ、ここ動詞に s つけなくちゃな」などと考えながら。
会話では話したことというのはそのまま消えてしまいますが、こうして後に
残せるので、それをじっくり振り返ることで、時間的な余裕がないときには
思いつかなかったことに気がつきます。
これは結構いいトレーニングになるんじゃないかと思います。
と言いつつ、実はこのトレーニングは長続きしませんでした(一週間ぐらい
はやりましたが)。
なんたって「頭の中で英語をひねり出す」「タイプする」「口からも出す」
なんていう、どれも物凄く負荷が高いタスクを同時にしなくてはならないの
です。
中でもスピードを上げる上で一番足を引っ張ったのが、元々得意じゃなかっ
た「タイプ」でした。スピードを意識することで「ひねり出す」のは早く
なっていきましたが、タイプがそれに追いつかないのです。
結局「タイプ待ち」状態となってしまい、それがとてももどかしい。かと
言ってここでタイプを一から鍛え直すのも違うと思いました。
英語を話せるようになりたいわけですから当然ながら「ひねり出す」と「口
から出す」は外せません。そこで、「タイプする」という負荷を切り離すこ
とに。
つまりここまでノートに書いたりタイプするなどして、出来た英文をいちい
ち「文字」にしていたのですが、それをやめ、英語を組み立てる作業を頭の
中だけでやって、出来たものをそのまま口にするということ。
すでにお気づきだと思いますが、「英語をひねり出しながらそれをタイプし、
さらに口でも言う」ということからタイプを抜いたのですから、これは実は
話していることになります。余計な、しかもとても大きな負荷が減ってむし
ろ楽に感じるぐらいでした。
今から考えると、いきなりこれに移行してもよかったかなとも思いますが。
ただし、「タイプ読み」を経たおかげで、実際にどれぐらいのスピードで英
語をひねり出す必要があるのかということが体感できました。これは大き
かったと思います。
タイプを経ずに、「頭の中だけで英語を組み立てて口から出す」というト
レーニングをしばらく積むことで、一応「話せる」ようにはなりましたので、
ここらで力試しをしてみようと思いました。自分の力が一体どれぐらい通じ
るのか。
そこで利用したのがオンライン英会話でした。
そのオンラインスクールでは、月額 5000 円ぐらいで毎日参加できるという
形。授業には世界各国からの生徒が常時7~8人ぐらい参加していて、さな
がら「ミニ世界会議」の様相を呈していました。
授業中は教師役のネイティブが色んなテーマに沿った質問を出し、それに対
して参加者は「挙手」のボタンを押し、押すのが早かった順に自分の答えを
言っていくというスタイルがとられていました。
一応レベル分けの試験を受けて、それを目安に参加するクラスを選びますが、
所詮文法だけのテストなので当てになりません。参加者のレベルはバラバラ。
積極的なのは南米人(ブラジル・コロンビアなど)、それと中国人。そして
彼らはボタンを押すのが早いだけでなく、よくしゃべるんです。
「夏休みの予定は?」と聞かれても、家族の事情や、去年の失敗談など聞か
れてもいないことまで、どんどん放り込んでくるのですから。
たまに日本人もいますが、他の参加者の話す時間を考えてか、あるいは話す
スキルがないためか、慎ましく必要なことを一文で答えるだけです。
ほとんど話さない日本人と、それとは対照的にペラペラと話し続ける南米人
+中国人という構図。
以前オーストラリアに行ったときに、語学学校に体験入学したことがありま
した。その際に出会ったブラジル人はやっぱりそうでした。
いきなりペラペラと英語を話し出して、僕を含む日本人はただただ圧倒され
て何も口にすることができずにいました。後で文法のテストを受けてみると、
今度は日本人が圧勝で、その彼は簡単な文法もわかっていなくて、またまた
衝撃を受けたのですが。
正確さにこだわり過ぎて頭でっかちの日本人 VS 細かいことは気にせずに、
できることをしようとするブラジル人 という図式が明らかになったわけです。
その時のことを思い出しました。
ただし、一つだけ違っていたことがありました。それは僕自身があの頃とは
比較になりませんぐらいアウトプットの訓練を積んでいたということ。
なにせここまでずっと一人でトレーニングを積んできていたので、「英語で
人と話す」、しかも「知らない外国人たちの中で」というシチュエーション
に正直びびっていたのですが、いざ始まってみるとしばらく忘れていた「あ
の時の悔しさ」がよみがえり、緊張はどこかにふっとびました。
それであの時のリベンジとばかり、一切空気を読まずに彼らを上回るくどさ
で一人しゃべりまくったのです。どうだ見たか、あの頃の俺とは違うんだ、
日本人は決して無口じゃないんだぞと(今は反省しています、完全に調子に
乗っていました)。
しかしなぜここまでほとんど書く練習しかしていなかった自分が、「しゃべ
りまくる」ことができたのでしょうか。
実は理由は簡単で、参加者の数が多いため、自分の番が来るまでに言うこと
を考える時間が十分にあったのでした。辞書だって引けますしね。そうして
予め作っておいたものを、さもアドリブみたいにスラスラ読んでいたという
わけです。
だから純粋な意味で言えば、話していたわけではないんです。英作+音読の
場。でもそうすることで外国人を圧倒することができ、それに歪んだ喜びを
感じていたためにやめられませんでした。
スピードを上げるためには、時間をはっきりと意識する必要があります。
そこで時計を見つつ、質問を思いついたら、設定した制限時間内に話し始め
るという練習をすることに。最初は5秒、これで慣れたら3秒という具合に。
とにかく時間に追われながらという環境を作ることで、自分を追い込む工夫
をするわけです。
話し始めるまでの制限時間を厳守しようとすると、どうしたって時間がたっ
ぷりありましたときとは状況が変わります。色んな面で、これまでとはスタ
イルを一変させなくてはならなくなりました。
最初にこれを言いたいと浮かんだことでも、それに必要な単語がぱっと出て
こなければ、そこにこだわらずに自分が言える(もっと簡単な)言い方を探
すのです。
つまり本当に言いたいことよりも、パっと出るものを優先するということ。
昔どこかで、「英語がペラペラな人というのは、自分が言える言い方をすぐ
に探せる人だ」と聞いたことがありました。これはその通りだと思います。
初級者は本当に言いたいことと実際に言えることの間に大きな差ができます
が、上級者はその妥協が少なく、本当に自分が言いたいをきちんと言えると
いうだけなのです。
時間に追われる焦りもあって、できる英文の質は、時間があったときとは比
べようもありませんでした。
ただ、これはリーディングのトレーニングでもぶつかった、「正確さとス
ピード」の問題だと思いました。もちろんどちらもが理想ですが、力が足り
ていないうちはそうはいきません。
正確さを重んじると、言葉はすっと出なくなりますし、逆にスピードを重視
すると、今度は正確さが落ちます。
正確さにこだわることは、「書く」ところで散々やってきたので、ここでは
そこに目をつぶって、スムーズさを優先しようと思いました。いつかこのス
タイルにもっと慣れたら、正確さに気を配る余裕も生まれ、作れる英文の質
も上がっていくはず。
ただし、「正確さにこだわる」とは言いましたが、ここで言う「正確」とは、
あくまでも自分なりに英語のルールを踏まえて、辞書を引きつつ精一杯のも
のをという程度の意味です。
文法的には言えるけれど、ネイティブスピーカーはそんな言い方しないとい
う不自然な英文も沢山作ってきました。まぁでもこれは仕方ないと思います。
不自然であっても、できうる限りルールに沿って作っているので、なんとか
伝わるはずだと思っていました。もし伝わらなければ他の言い方で言い直せ
ばいいとも。そう思えたのも「言いたいことを何通りかで書いてみる」など
のトレーニングを積んだおかげなのですが。
そうやって不自然な英文を作ってしまうのが嫌だという人は、早い段階から
自分が作ったものをネイティブに添削してもらったほうがいいと思います。
「正しさよりもスムーズさを」と思ったのは、オンライン英会話に参加して
みて、南米人のおおらかさ(間違えを恐れずにどんどん話す姿勢)に久々に
触れて、自分の中で「間違えたくない」という気持ちが強過ぎるということ
に気づいたためです。
これについてはオーストラリアに行ったときに散々反省したはずなのに、そ
の後の長い独学でまた「正確さにこだわり過ぎる」傾向が強まってしまって
いました。
だからオンライン授業でも、質問に対する答えを頭の中で全部完成させてか
ら、これならいけるとなって初めて口に出すというスタイルをとっていたの
でした。
でも時間が限られた本当の会話ではこのやり方は通用しないでしょう。それ
では黙って考える時間が長くなり過ぎて、会話の流れは止まってしまうで
しょうから。
これはもっと後の話ですが、後にカナダに行ったときに、多くの日本人を
ホームステイで受け入れてきたカナダ人と話す機会がありました。その人は
「日本人は食事の感想を聞かれただけで難しそうな顔をして黙ってしまう」
と言っていました。
正しいことを言おうと頭の中で必死に考える、そうすることで長い沈黙が生
まれる。これは会話に慣れていない日本人が英語を話すときの典型的なパ
ターンと言ってもいいのではないでしょうか。
もちろんこの時点でそういうことを知っていたわけではありませんでしたが、
自分の殻を破るために、あえて自分を南米人化させようと思いました。いい
加減とは言わないけれど、間違いを恐れずとにかく口から出すように。
そのためにとりあえず主語と動詞を決めてしまって、見切り発車で話し始め
てしまうように(というより「3秒」などの制限を作るとそうせざるを得ま
せんでした)。
これを瞬間的に決めるのは本当に難しいのです。なにしろできる英文の全体
像はここで決まるのですから。
でも一文でうまく言えなかったら、余った情報は後から他の文で付け加えれ
ばいいですし、それでもだめでしたら堂々と最初からやり直せばいい。そう
いう割り切りも大切です。
言おうとすることを考えるために黙ってしまうのが一番まずいと思いました。
だからむしろ頭の中の様子を見せてしまおうと考えたのです。完成形だけで
なく、その組み立てていく様子を。そうすれば黙ってしまうことはありませ
ん。
スムーズな会話を助けるもの
もう一つ意識したのは、話す時に単語ごとに発話するのではなく、なるべく
「いくつかの単語のかたまり」ごとに組み立てていくということ。
これはオンライン英会話に参加してみて、他の参加者の話を聞くうちに、会
話のスキルの低い人ほど単語ごとに話す傾向が強く、それはいかにも初心者
丸出しで、聞きとるのがかえって大変でしたという経験を持ったからです。
自分の場合も、答えがちゃんと浮かんでいないときはそうなりがちでした。
だから意識して単語単位でなく、かたまり単位で発話するようにしました。
頭の中でかたまりが出来たら、それを小出しにしていきつつ、かたまりを並
べることで文を組み立てていくと。
ただしやはりすべてのセリフをその場で組み立てていくというのは相当負荷
が高かったです。ここで役に立ったのは、それまでに大量に作ってきた「頭
を使わずとも言えること」のストックでした。
前にも少し触れましたが、一度自分で作ったことがあるものは、その一部を
状況に応じて変化させて(単語を変えて)使うということもできました。
例の「英借文」というやつですね。その前に大量に覚えた「人が作った例
文」はそのように使うことはできなかったのに。
自分で英文を作るためには、作ろうとする文に必要な文法知識をいったん消
化しなくてはなりません。文法の問題を解くよりも、さらに一段深い理解が
必要になるということ。丸暗記ではなく、そうして理解のプロセスを経たも
のは応用も楽になるということなんじゃないかと思います。
このように手を替え品を替え「素早く話す」ための工夫をしつつも、やはり
会話では言いたいことをひねり出すための時間が足りなくなることもあるだ
ろうと思いました。
考えてみると自分の場合、日本語でもそんなにスラスラ話すタイプではあり
ません。立て板に水というところからはほど遠く、じっくり考えながら話す
ほうで、なかなか言葉が出てこないことも多い。特に考えたことのないこと
を聞かれた時などはその傾向が強まります。
「ペラペラ」という音の響きに惑わされて、母国語ですらできないことをや
ろうとしていたわけです。
そしてそのように会話の中で、聞かれたことに対する答えがすっと浮かばな
い時によくやるのが、「え~と、それはですねぇ」など意味のないことを口
にしつつ、言葉が出てくるまでの間をつなぐということ。
英語でも同じだと思いました。つまり沈黙を埋めるための「つなぎことば」
を使うことで、言いたいことをひねり出すための時間稼ぎをすることが必要
になるだろうと。
ここで役に立ったのが、昔映画のセリフを書き取ったノートたちでした。そ
れを見直して、言葉を言い出すまでの間を埋めるものとして使えそうなもの
を、セリフの中から抜き出して覚えていきました。
Well, Actually, Let me see, How should I put it, To tell the truth,
Honestly speaking などなど(最後の二つは使える場面が限定されるので注
意が必要です)
例えばどうしても言葉が出てこないときは、これらを組み合わせて
Well....let me see.....um......how should I put this in English....
これをさも今アドリブで言っているような顔をしながら、独り言風に口にす
るわけです。
これで 10 秒は稼げますから。まだ足りなければ
Wow, that's a good question. を加えれば 15 秒。さらに
I'll have to think about that.で 20 秒。
これに um や well を散りばめれば 25 秒は確保できます。
こういうのは頭に入れておいて、口から自動的に出るようにしておきます。
そうすれば黙ってしまうことなく、この間を全部考えることに充てられます。
とにかくできうる限りの手段を使って、「黙らない」ようにするわけです。
そしてもう一つ忘れてはならないのが、「会話は一人でするものではない」
ということです。
一方的に話す力だけを鍛えたってしょうがないですよね(もちろんそれは最
低限必要ですが)、いかに相手を巻き込むか、会話とはそうして二人(ある
いはそれ以上)で作り上げていくものだということ。
そこで有効になるのが、「あいづち」。日本語での会話だってそうですよね。
相手が話している間中ずっとだまっていたら、本当に興味があるのか心配に
なるでしょう。相手の話を上手に引き出すためには、いいタイミングであい
づちを打つことで、聞いていますよ、と示すことが必要。
もちろん英語だって同じです。だから yeah, oh yeah?, right, really?
uh-huh, など、これらも自動的に出てくるようにしておくわけです。
タイミングの取り方はやはり映画を参考にします。使う頻度は日本語よりも
少なめ、目は相手の目をきちんと見る、ワンパターンにならないようにロー
テーションで使うなど。
あいづちのネタに尽きたら相手の話に出てきた単語をそのまま口にするのも、
「聞いてますよ」というサインになります。
もう一つ有効なのは相手に「質問」すること。
例えばネイティブスピーカーと話すとき、彼らは言ってみれば英語の語彙や
表現に関する知識の「生き字引き」みたいなものなのですから、単語が出て
こない時など遠慮なく聞けばいいのです。
そうして質問して助けてもらうことが、相手を会話に巻き込むことにもつな
がりますしね。
そしてそれは、当然「自分が言いたいこと」を考える時間を稼ぐことにも役
立って一石二鳥となります。
それと相手の英語がきちんと聞き取れなかったときに、ちゃんとそれを口に
してもう一度言ってもらうのも大切です。
Sorry, what was that again?など。
Sorry?だけでもいいです。十分に材料がないまま考えようとしたって黙りこ
んでしまうだけとなってしまいますから。
オンライン英会話に参加するまでは自分の発話のことにしか関心が向いてい
ませんでしたが(というかそれが精一杯でした)、あれ以来、あの乏しい体
験を元に「実際の会話」の場面を想定し、そこから逆算して自分に足りない
ものを埋めようと試行錯誤したのでした。
ちなみにこれらのトレーニング、実は全部一人でやっています。話し相手を
想像しながら。僕の妄想力がどれほどのものかわかっていただけるかと思い
ます。
長い旅路の果てに
ここまでが、話せるようになるために自分がやったことです。
細かい順番など実際とは異なっているところもあるかも知れませんし、言及
し忘れたこともあるかも知れませんが、ほぼこういうプロセスだったと思い
ます。
・まずは自分に関することを辞書を調べながら時間をかけて書く
・出来上がった英文を音読することで覚えてしまい、使える表現を増やす
・書くことに慣れてきたら、紙を使わずに頭の中で英文を作って発話する
・時間制限をすることでスピードを上げる努力をする
・発話力を高めた上で会話への対応を考える
という順番。
まずは時間をかけてもしっかりと自分の言いたいことを伝えられるだけのア
ウトプットの基礎力を養う。その上でスピードを向上させつつ会話への対応
を図るという流れですね。
途中でも書きましたが、「時間制限」をするところで大きな転換を強いられ
ると思います。「全部を1から組み立てよう」から、「頭の中にあるものを
活用しよう」へ。
すでに作ったことがある文の一部を使ったり、イディオムを散りばめるなど、
知っているものを組み合わせるように。だからそこまでに、どれだけ多くの
表現を頭に入れているかが勝負になります。
でもそうであってもやはり、自分で1から組み立てる練習は大切です。そう
して実際に英文を作ってみる、さらにそれを暗唱することで、アウトプット
で使える単語や表現が増えていきますから。
話せないとお悩みの方、ぜひ参考になさってください。
大切なのは自分の英語を客観的に見て、何が足りないのかを考えること。
「組み立てるスピード」が足りないのか、「頭を使わずとも言えることのス
トック」が足りないのか、はたまた「時間稼ぎをするためのつなぎ言葉」を
知らないのか、弱点を探してその課題をどう克服しようかとテーマを持って
取り組む。
この力をつけるにはこうしたらいいんじゃないかと考え、思いついたことを
実際に試してみる(もちろん十分な時間とエネルギーを注ぐ)。だめでした
ら原因を考えて改善策を探し、また実行する。
Plan(計画)→Do(実行)→Check(評価)→Act(改善)。いわゆる
PDCA サイクルというやつです。試行錯誤とは全部このプロセスの繰り返し
です。
自分のことに話を戻すと、こうしてアウトプットの力を養った上で、勉強を
開始してからの念願でした英検一級への対策を積み、幸運にも一発で合格を
果たしました。
(英検一級対策については長くなるのでいちいち書きません。英検一級を受
けようとする人なら各スキルの基礎力はすでに十分にあるはずですから、自
分でどんどん試行錯誤すればいいし、そうすべきだとも思います。)
4月の時点で英語が話せなかった男が、その年の冬に英検一級に受かったの
です。ここまで全て日本にいながら、独学でです。
33 で英語を始め、そこに至るまで3年かかりました。あの「ただ映画を見
ていた」時期など、大きく遠回りをした時間を省いてもっと早くからアウト
プットの練習を始めていれば、一級合格までの道のりはもっと縮められてい
ただろうとは思います。
でも TOEIC もそうでしたが、最初から記録を狙っていたわけではなく、目
的は「どうやったら使えるようになるかということを明らかにすること」で
した。大人になってやり直し、何から始めてどう進めれば本当に使えるとこ
ろにたどりつけるのか。なんとなくじゃなくて、着実に上達出来る方法を。
そう考えると、あの遠回りにも意味がありましたと思います。実際の経験が
あるからこそ、確信を持ってお話しすることができるということもあります
し。
ただ振り返ってみての一番の反省は、あまりにも一人でやろうとし過ぎたこ
とです。
自分には「なるべく外国人の手を借りずに英語を身につけよう」という、今
から考えるとしょうもないこだわりがありました(詳しくは割愛しますが、
「外国人講師」に対する昔からの疑問や不信感など色々ありましたため)。
そのため、なんとも恐ろしいことに、英検の二次の面接までほとんど英語で
人と会話をしたという経験がなかったのです。オーストラリアで外国人と話
した以外は、あのオンライン英会話だけです。まぁあんなのは話したうちに
入りませんが。(ただし英検のライティングの対策に、エッセイの添削は何
度か受けました)
だから面接ではメチャクチャ緊張しました。それはもうマンガみたいに。右
手と右足が一緒に出てましたから。だって本当に数年ぶりと言っていいぐら
いに久々に英語で人と話す場が、いきなり一級の面接ですからね。でもそん
なガッチガチの状況でも合格できたのだから、ここまで自分で試行錯誤して
きたことは間違っていなかったということだと思います。
ですからやり過ぎはいけませんが、一人でできる部分はかなりあるというこ
ともまた事実だということです。
これは今更検証しようもありませんが、例えば最初から独学ではなく、英会
話学校に通うことを選んでいたら、3ヶ月で TOEIC900 超えや、3年で一級
というところまでは行けなかったんじゃないかと思います。
僕がとったやり方が全て正しいとは思いませんが、一つ言えるのは、いきな
り応用をやらずに基礎を固めるというのは、効率的に上達するための方策と
しては正しいんじゃないかということ。
例えば会話をするためには、相手の話が聞き取れないといけないし、自分の
言いたいことを英語で表現できないといけない。聞き取りと発話ですよね。
このうち聞き取りは、音をキャッチして、その意味をとるという作業に、発
話だって、言いたいことを伝えるのに必要な単語をルールに沿って並べる、
それを英語の発音で口から出す、のように分けられます。さらにこれらの作
業だってそれぞれもっと細かく分けられます。
つまり会話とは、そういう沢山の細かいスキルがからみあった、究極の応用
の場だということ。
いきなりゴールの「会話」をすることで、それらの細かいスキルが勝手に上
達するのを期待するというやり方もあるのでしょうけど、上のようにいった
んバラバラにして、それぞれに直接働きかけるようなトレーニングを集中的
に積んだほうが上達は早いと。
そしてそのトレーニングの多くは一人でできます。というより一人のほうが
効率的です。例えば聞き取りにしたって、ネイティブスピーカーに頼んで同
じことを何度も言ってもらうよりも、MP3 プレイヤーなどを使って何百回も
聞くほうが、気も遣わないし、量も比較になりませんぐらい積めますよね。
英語を身につけるにはネイティブスピーカーに習わないとだめだとか、英会
話学校に通わなくちゃだめだろうと思い込んでいる方は多いでしょうが、そ
うじゃないということ。一人でできることはかなりありますし、逆にそこを
やらないとなかなか使えるようにはなりません。
ただ、そうは言ってもやはり自分のケースは極端すぎました。変な意地を張
らずにもっと早くから要所要所でネイティブスピーカーの力を借りていたら、
もっと効率的に上達できたと思います。何より英語で外国人と心を通わせる
ことができると嬉しいし、楽しいですからね。
英検が終わって会話の機会を沢山持つようになってから、そういうことによ
うやく気づきました。もともと言葉とはそうして人とコミュニケーションを
とるための道具ですし。
ここまでのお話の中には、「ここまで積み重ねてきたことがここで結びつい
て」という話が何度か出てきたと思います。
これは本当にそうで、全てのスキルというのはそれぞれに関わり合っていて、
リーディングのためにやったはずのことが後にスピーキングで役に立つとい
うように、全く期待していなかったところで効果が現れるということがよく
あります。
でもそれはやめなかったからこそわかったことです。
「これだけやってもだめなのか」と思いますことは、途中本当に数えきれな
いぐらいありました。でもそこで諦めなかったから、そこではムダだと思っ
ていたことが、後々になって思いもかけない形でつながって力となるという
ご褒美にありつくことができたわけです。
そして何より大切なのは、その場その場で自分で色々考えて、これは必要だ
と思って十分なエネルギーを注いだことというのはムダになりませんという
こと。
だから今行き詰まっている、なかなか結果が出なくて焦っているという方も
決して諦めないでください。今やっていることというのは今のためじゃなく、
半年後や一年後の、未来の自分にきっと役立ってくれるはずですから。実り
ある未来のために「今」十分に積み重ねてください。
それでは自分の歩みについては、これでおしまいにしたいと思います。
ここまでお読みいただきまして、本当にありがとうございました。
中島正博
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