HITOSHI N OM U R A PERCEPTIONS-CHANGES IN TIME AND FIELD 野 村 仁 変化する相 時 場 身 体 Cosmo-Arbor '06 1999-2006 野 村 仁 変 化 す る 相 − 時・場・身 体 2 0 0 9 年 5 月 2 7 日│水│− 7 月 2 7 日│月│ 1 0 : 0 0 − 1 8 : 0 0( 金 曜 日 は 2 0 : 0 0 ま で / 入 館 は 閉 館 の 3 0 分 前 ま で ) 毎 週 火 曜 日 休 館 国立新美術館 企画展示室 2E │主催:国立新美術館│ 開催趣 旨 野村仁 ( の む ら ・ ひ と し ) は 、 1 9 4 5 ( 昭 和 2 0 ) 年、兵庫県に生まれた現代美術家です。 野 村 は、 1 9 6 0 年 代 末 か ら 、 い ち 早 く 写 真 を 使 っ た 美 術 表 現 に 取 り 組 み、巨 大 な ダ ン ボ ー ル 箱 や ド ラ イ ア イ ス な ど の 固 体 物 が ゆ っ く り と 形 を 変 え 、 そ の 様 相 を 変 化 さ せ て い く さ ま を 写 真 で 記 録 し、「重 力」や「時 間」を 眼 に 見 え る か た ち で 示 す作品で 注 目 を 集 め ま し た 。 野村は 、そ う し た 物 の 変 化 を 観 察 す る な か で 、 「 物が今ここに在るとはいかなることか」や、 「物や時間によって成り立っ ているこ の 世 界 と は 何 な の か 」 に 関 心 を 持 ち 、や が て、その眼差しの対象を、地上の現象から、空や宇宙、DNA へと広げ、 深めてい き ま し た 。 太 陽 や 月 の 運 行 の 軌 跡 が 美 し い 形 を 創 り 出 す こ と を 発 見 し、い ま 地 球 に 届 い て い る 銀 河 の 光 が 実 は 化 石 に な っ た 植 物 が 生 き て い た 時 代 に 生 ま れ た も の で あ る こ と の 不 思 議 さ な ど に 魅 了 さ れ た 野 村 は、そ れ を 写 真 だ け で な く、映 像 や 音、さ ま ざまな媒 体 を 使 っ て 表 現 し て き ま し た 。 そ の 意 味 で、野村はマルチメディア・アーティストの先駆けでもあります。 今回の展 覧 会 は 、 そ う し た 野 村 仁 の 4 0 年 近 く に お よぶ活動を振り返る、東京では初めての大規模な回顧展です。 出品内 容 写真、 立 体 、 平 面 、 イ ン ス タ レ ー シ ョ ン 、 映 像 、その他(本・譜面・CD など)計 127 点(予定) 見どこ ろ 私 た ち の 日 常 的 な も の の 見 か た や 捉 え 方 を 覆 し 、 新 し い 世 界 観 を 提起 す る、それ が 野 村 仁 の 作 品 の 大 き な 特 徴 で す 。 Tardiology Ⅰ 1968-1969 そう 万物は 流 転 す る ― 変 化 す る 相 へ の 眼 差 し 「物が在 る 」と 聞 く と 、私 た ち は あ る 物 体 が 姿 や 形 を変えることなく一ヶ 所 に 静 止 し て い る 状 態 を イ メ ー ジ し が ち で す 。 し か し、本 当 に そ う で し ょ う か。野 村 仁 は 、 ド ラ イ ア イ ス が ゆ っ く り と 昇 華 し、様 相 を 変 化 さ せ な が ら つ い に は 消 え て い く 様 子 を 写 真 で 記 録 し て い き ま す。「物 が 在 る」状 態 と は 決 し て 不 変 で は あ り ま せ ん 。 そ し て 自 分 の 身 体 の 外 側 の 世 界 が、「物 が 在 る」 こ と に よ っ て 成 り 立 っ て い る と 考 え る な ら ば、世 界 は 時 間 と 相 の 連 続 と 重 な り に よ っ て 出 来 上 が っ て い る と も い え そ う で す。野 村 仁 の 作 品 は、私 た ち が 当 た り 前 だ と 思 っ て い る 「 自 分 が 見 て 感 じ る も の が『世 界』 である」 と い う 考 え 方 に 風 穴 を 開 け ま す 。 moon score 1975-1980 東京国立近代美術館蔵 Ⅱ 自然 に 寄 り 添 い 、 宇 宙 の リ ズ ム に 従 う 野 村 仁 は 、 太 陽 や 月 を 観 測 す る う ち 、 そ の 運 行 の 軌 跡 が 美 し い 形 を 創 り 出 す こ と を 知 り ま す 。 し か も そ れ は 、 生 物 の 細 胞 の 根 源 を 成 す DNA の 形 とも似ています。また、月の運行、空を群れ飛ぶ鳥たちの位置を音符に置 き 換 え る と 、 何 と そ こ か ら は メ ロ デ ィ が 生 ま れ ま し た。こ れ ら は ど う い う ことでしょうか。野村仁の作品は、私たちが地球の摂理だけに従って生き ているのではなく、万物を統合する大きな力のもとで生かされていること に気づか せ て く れ ま す 。 Ⅲ 未来 へ ― 自 然 と 科 学 技 術 と の 共 生 正午のアナレンマ '90 1990 和歌山県立近代美術館蔵 な ら ば 、 そ の 大 き な 力 に 直 接 触 れ 、 交 信 す る こ と は 出 来 な い か。野 村 仁 の 果 て し な い 関 心 は 、 い く つ か の 大 規 模 な プ ロ ジ ェ ク ト に 結 実 し ま す。銀 河 や 太 陽 か ら の 電 磁 波 を 受 信 し 、 そ の 波 を 音 に 変 換 す る《COWARA》 (1987 年 )や 、 太 陽 の エ ネ ル ギ ー を ソ ー ラ ー カ ー で 受 け と め、ア メ リ カ 大 陸 を 横 断 す る《HAAS Project》 (1999 年)は、ア ー テ ィ ス ト の 思 考 と 科 学技術と が 結 び 合 っ た 新 し い 美 術 の あ り 方 を 示 し ています。 曲った大気中の自転 1 9 8 0 (参考作品) Ⅳ 知覚 の 刷 新 ― 新 し い コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン の 提 案 野 村 仁 は 、 天 空 の 世 界 に の み 、 万 物 を 統 合 す る 大 き な 力 を 見 出 し た の で は あ り ま せ ん 。 地 球 上 に 生 き る 様 々 な 生 命 体 も ま た、そ こ に 内 包 さ れ る 小 宇 宙 と も 言 え る 摂 理 に よ っ て 、 野 村 の 関 心 を 強 く 引 き 付 け て い ま す。そ の 生 命 体 と は た と え ば 植 物 で あ り 、 タ コ で す 。 野 村 仁 は、彼 ら が 誰 に 教 え ら れ る で も な く 備 え て い る 色 彩 の 識 別 能 力 に 着 目 し ま す。人 間 も 彼 ら の よ う に 色 彩 で コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン が 出 来 な い だ ろ う か 。そ の よ う な 考 え か ら、 大 理 石 の 上 に さ ま ざ ま な 色 彩 を 配 列 し た 野 村 仁 の 作 品 は、ま る で 石 に刻 ま 北緯35度の太陽 1982-1987 京都市美術館蔵 れた太古の絵文字のようにも見えます。ここにも、人間の知覚を離れて世 界 を 見 直 せ ば 、 大 き な 力 に 触 れ る こ と が で き る と い う 一 貫 し た テ ー マが 見 て取れま す 。 野村仁 略 歴 1 9 4 5( 昭 和 20)年 兵庫県に生まれる 1 9 6 9( 昭 和 44)年 京都市立美術大学(現・京都市立芸術大学)専攻科彫刻専攻 修 了 1 9 7 0( 昭 和 45)年 第10 回日本国際美術展「人間と物質」 ( 東京都美術館) 1 9 7 5( 昭 和 50)年 第9回パリ青年ビエンナーレ(国立近代美術館 ・パリ、パリ 市 立 近 代 美 術 館 ) 1 9 8 2( 昭 和 57)年 第5回インドトリエンナーレ(ニューデリー) 1 9 8 7( 昭 和 62)年 近作展2 野村 仁−Spin & Gravity(国立国際美術館・大阪 ) 1 9 8 8( 昭 和 63)年 京都市立芸術大学助教授 1 9 9 4( 平 成 6)年 作品集『Time-Space』 ( 光琳社) 1 9 9 6( 平 成 8)年 京都市立芸術大学教授 2 0 0 0( 平 成 12)年 京都市立芸術大学大学院教授(主任指導教員) 野村仁−生命の起源:宇宙・太陽・DNA(水戸芸術館現代美 術 セ ン タ ー ) 2 0 0 1( 平 成 13)年 野村仁−移行/反照(豊田市美術館) 2 0 0 6( 平 成 18)年 作品集『見る 野村仁:偶然と必然のフェノメナ』 ( 赤々舎) 軟着陸する隕石 '96 1991-1996 サンストラクチャー '99 1 9 9 8 ‒1 9 9 9 観覧料 金 当日券: 一 般 1 , 0 0 0 円 / 大 学 生 5 0 0 円 前売券: 一 般 900 円/大学生 400 円 団体展: 一 般 800 円/大学生 400 円 ※ 団 体 券 は 会 場 で の み 販 売( 団体料金は 20 名以上から適用) ※ 高 校 生 、1 8 歳 未 満 の 方 、お よび障害者手帳をご持参の方(付添の方1名を含む)は無料 ・ 前 売 券 、お よ び 当 日 券 は 、チケットぴあ(P コード:688-569)、 ロ ー ソ ン チ ケ ッ ト( L コ ー ド:34041)で取り扱っています。 ・ 会期中に当館で開催中の企画展、および公募展のチケット、またはサントリー美術館、森美術館 ( 六 本 木 ア ー ト ・ ト ラ イ ア ン グ ル )で 開 催 中 の 企 画 展 チ ケ ッ ト( 半 券 可 )を 提 示 さ れ た 方 は 、 団体料金が適用されます。 同時開 催 「ルーヴル 美 術 館 展 美 の 宮 殿 の 子 ど も た ち 」 2009年 3 月 2 5 日│水│− 6 月 1 日│月│ 「生誕 15 0 年 ル ネ ・ ラ リ ッ ク 華 や ぎ の ジ ュ エ リ ーから煌きのガラスへ」 2009年 6 月 2 4 日│水│− 9 月 7 日│月│ 広報に関するお問い合わせ 〒106-8558 東京都港区六本木 7-22-2 T E L : 0 3 - 5 7 7 7 - 8 6 0 0( ハ ロ ー ダ イ ヤ ル ) URL:http://www.nact.jp アクセス 国立新美 術 館 広 報 担 当 : 小 島 ・ 滝 沢 ・ 野 々 下 東京メトロ千代田線 乃木坂駅 6 出口(美 術 館 直 結 ) TEL: 03-6812-9925 都営地下鉄大江戸線 六本木駅7出口 徒 歩 4 分 FAX: 03-3405-2532 e-mail: [email protected] 東京メトロ日比谷線 六本木駅4a 出口 徒 歩 5 分
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