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平成 年度版
﹁書 ﹂編集の趣旨と特色
26
II
高等学校芸術科︵書道︶
文 部 科 学省 検 定済 教科 書
光村 図書
光村 書Ⅱ
38
304
大きく、
美しく、
わかりやすい
三、
仮名の書の美に親しもう
書の美と、
それを支える歴史や文化について
具体的なイメージをもてるよう、
イラストや補助線を添えて、わかりやすく示しました。
みなもとの
とし より
国宝 東京国立博物館蔵(部分・各 × ㎝ )
者
流
(の)尓
志
尓
介
支
はるのゝにしげき/
(ろ)東 所
飛 多
草葉の妻恋に/
保
東
能
とびたつきじの/
なく
ほろゝとぞ/
鳴
可
大頼/
おおより
かへし/
三
きみをのみ/
於
者
八
尓
おもひこ(し)ぢの/
可
しら山は/
いつかは雪の/
利 介
きゆる時/
ある/
こしなりける人に
一、漢字の書の美に親しもう
しょ
一、漢字の書の美に親しもう
く
おう
つギ
ゆうシ
う
げつ
てい
おう
かくのごとク
ぶんノ
し
いわク
ゆうセル
あリテ そう
おこセル くにヲ
ほうヲ
半紙臨書例
︵天有大令︶
た
うヨ
こうおう
ひらキ
だセリ
しゅうニ
ひ
そノ
そノ
めいズ
けんナル ぶん
あリテハ
かくレタルヲ
たみヲ
ぞう
右曲がり・左曲がり
縦画・横画・点
篆書の基本点画
肥筆
領有し、末永くその民を治められた。⋮⋮﹂
かなえ
の興した国を継ぎ、潜んでいた者を従わせ、四方を
おこ
偉大なる文王は天の大命を受けられた。武王は文王
書︶を与えた。王は次のようにおっしゃった。﹁盂よ、
九月、王は宗周︵周代の王都︶にて盂に策命︵命令
●大意
葡 有
四 方 、一 畯 正
厥 民 。一
二
二
ほ
王 嗣
文
作 邦 、一 闢 厥
匿 、/
二
一
二
一
おうニ
盂。王 若 曰
、盂、丕 顕 文/
おう
うケ てんノ
だい
めいヲ
ぶ
王、受 天
有 大 令
︵命︶、在
武
/
二
一
二
うニ
惟 九 月、王 在 宗
周 令
︵命︶/
二
一
レ
こレ
●書風 均整の取れた字形。太くたくましい
線質には堂々とした造形美が宿る。
に現存する。
煮炊きするための器。原器は中国国家博物館
祖先を祀る儀式に用いられた。鼎とは食物を
まつ
内側に文字が鋳込まれている。青銅器は神や
●概要 盂が、王︵康王︶から職務の命令書
を受けたことを記念して作った青銅製の鼎。
う
古代人の
思いが込められた
神秘的な金文
●西周・紀元前十世紀頃
せい しゅう
だい
大盂鼎 ︵金文︶
拓本の拡大反転や
基本点画の
連続写真で、
文字の特徴や運筆を
わかりやすく
示しました。
てん
ひつ
すいように書いてよい。
識しながらも、書きや
から右という原則を意
筆順は、上から下、左
漢字の中で、最も古くから受け継がれてきた書体が篆書です。
字形と運筆の特徴を捉え、いにしえに思いをはせながら、
篆書の古典を臨書しましょう。
ひ
肥筆
太い点画のこと。少し
ずらして重ね書きした
り、線を補ったりする。
︵有︶
︵部分・原寸︶
篆書の用筆、
文字の形を見てみよう
❶字形はおおむね左右相称
篆書の特徴
ぞうほう
❷転折は丸く滑らか
❸起筆は蔵鋒
❹収筆は払わずに止める
蔵鋒
穂先を内側に包み込む
ようにする書き方。
一、漢字の書の美に親しもう
し
へい
しゅ ぎ しょう
楷書の多彩な表情を捉えよう
一、
漢字の書の美に親しもう
こう
へい
しょう
くにノ
こう
ぞう
ほく ぎ
ぞう
こ ようどう
ぞう
こ ようどう
もっテ
き
じょう
りゅうもん
つクシ
石窟の古陽洞に現存する。
せっくつ
せい
した文章。河南省にある龍門
か なん
を造った。その経緯などを記
え
き
じょう
しんヲ
ためニ
りゅう
どっしりと据わりがよい。
●概要 僧の慧成が、亡き父・
し へいこう く よう
始平公を供養するために仏像
え
さ
れ
て
肉太
の楷
書いる。線質は肉太で
威風堂々とした
●朱義章(生没年不詳)北魏・四九八年
しゅ ぎ
始
公左
造像
画平や
右記の払いの鋭さが強
し
●書風 文字が浮き出るよ
に周囲を彫る陽刻のため、
石窟の古陽洞に現存する。
せっくつ
した文章。河南省にある龍
か なん
を造った。その経緯などを
●概要 僧の慧成が、亡き父
し へいこう く よう
始平公を供養するために仏
威風堂々とした
肉太の楷書
●朱義章
(生没年不詳)北魏・四九八年
ほく ぎ
始平公造像記
作品の魅力を伝え、
生徒の学習意欲を
喚起するために、
臨書に最も適した
拓本を選び、
鮮明な印刷で
再現しました。
楷書にも、
さまざまな書風があります。
臨書を通して点画の書き方や線質の違いを体感し、創作に生かしましょう。
楷書の多彩な表情を捉えよう
Point
Point
自然の景観を意識した構成の美を楽しもう
がん こう
しゅう
仮名の書には、雁行や藤棚など、自然や四季の移ろいを感じさせる紙面構成があります。
さまざまな紙面構成を知り、創作に生かしましょう。
げんえいぼん こ きん わ か
p52-53
10
しょ だんいん
わずかニ
●書風 文字が浮き出るよう
に周囲を彫る陽刻のため、点
画や左右の払いの鋭さが強調
もっテ
つクシ
せい
しんヲ
ためニ
どっしりと据わりがよい。
されている。線質は肉太で、
つ
くル
わずかニ
こたエ
つくル
おんニ
あランコトヲ しスル
ぎょうニ
こいねがワクハ
ぎょ
こいねがワクハ
そこで真心を尽くして国のため
●字形と筆順
役立つことを願う。
恩 に お 応 え し て︵ 来 世 の 善 業 に ︶
石窟寺を造営し、僅かでも王のご
そこで真心を尽くして国のために
くにノ
運。率 渇
心
二
レ
誠
。一 為 /
せっ
くつ
じヲ
鷓)/
国 造
窟
二
一 唁
石
(寺)。(
こた
エこう恩 、有 資(来らいお
んニ
糸
答
二
皇
一 レ 二 業
)。一
●大意
あランコトヲ しスル
運。率 渇
心
二
レ
誠
。一 為 /
せっ
くつ
じヲ
鷓
国 造
窟
(
)
/
二
一 唁
石
(寺)。
こう
らい
糸 答
恩
資(二来 業
二
一
レ
皇
、有
●大意
(財)書壇院蔵(部分・原寸)
2
●字形と筆順
役立つことを願う。
恩 に お 応 え し て︵ 来 世 の 善 業 に
石窟寺を造営し、僅かでも王の
1
ともに)
元永本古今和歌集●伝 源 俊頼(一〇五五~一一二九)一一二〇年
15.5
p10-11
1
・
21.1
見てみよう
楷書にも、
さまざまな書風があります。
臨書を通して点画の書き方や線質の違いを体感し、
創作に生かしましょう。
しょ だんいん
(財)書壇院蔵(部分・原寸)
4
3
三、
仮名の書の美に親しもう
臨書教材
高野切第一種・本阿弥切本古今和歌集・
関戸本古今和歌集・高野切第二種・針切・
香紙切・元永本古今和歌集・継色紙
その他古典
本願寺本三十六人家集・
古筆手鑑
(見努世友)
仮名 52
53
Point
53
臨書教材
【篆書】大盂鼎・石鼓文・
篆書崔子玉座右銘四屛
【隷書】 乙瑛碑・居延漢簡・
隷書崔子玉座右銘
【草書】十七帖・真草千字文・
草書諸上座帖巻
【行書】集王聖教序・松風閣詩巻
【楷書】始平公造像記・美人董氏墓誌銘
その他古典
小克鼎・甲骨文・簡冊
(労辺使者過界中費冊)
・
熹平石経残石・自叙帖・泰山刻石・
馬王堆帛書・萊子侯刻石・礼器碑・書譜・
李柏尺牘稿・蘭亭序・薦季直表・
九成宮醴泉銘・牛橛造像記・賀蘭汗造像記・
多宝塔碑
現行版(始平公造像記)
新版
4
3
52
漢字 11
26
2
(P
掲載古典一覧
や
ぎれ
だい
に
しゅ
そく
ひつ
き のつらゆき
万
毛
(て)支
所 支
衣 希 無
盤
奈
巻二、三、五、八。
ぺ きん こ
きゅう
しん
ち えい
そう
せん
じ
ずい
もん
●智永
(生没年不詳)隋 ・七世紀
おう
ぎ
し
●概要 重複のない千字を四
字一句、二百五十句に配した
韻文を、
楷書︵真︶と草書︵草︶
で書写したもの。智永は、王
羲之七代目の子孫に当たる。
●書風 ふっくらと柔らかな
草書は、王羲之の書風をよく
伝えており、穂先の効いた細
やかな楷書が、草書の柔軟性
おリ
かん
たずネ
あつマリテ わずらイ
て来る︶。
じょう
しょヲ
ろんヲ
ざ
おもイヲ
しょう
せき
ようス
りょうタリ
まねク
もくシテ
よろこビ
さんジテ
しゃシテ
ちん
うれイ
じょう
かん
去 り、 憂 い が 去 れ ば︵ 喜 び が や っ
ら す。 喜 び が 集 ま れ ば 煩 わ し さ は
わだかまりを払って伸び伸びと暮
を 求 め、 賢 人 の 議 論 を 探 し 求 め、
し て 静 か に 暮 ら す。 い に し え の 道
閑 静 な 所 を︵ 求 め て 住 み ︶、 沈 黙
よろこビ
もとメテ いにしえヲ
もとメテ
をより引き立たせている。
(索 二居- )閑 処
、一 沈 黙
寂
寥
。
求 古
尋
、/ 散 慮
逍
レ
レ
レ
論
遥
。
さリ
欣 奏
。
累
遣 、慼 謝
(歓 招
)
●大意
しょ
まタ
ためナリ
はかル
たダ
おそラクハ
きょうそう
もとムルガ ろうスルヲ
しゅう
く
とう
ちヲ
ちゃく スルナラン
ためカ
もう り
能
国宝 毛利博物館蔵(部分・原寸)
多
可
者
しゅう
なか
つかさ
情熱を求めて
そう しょ しょ じょう ざ じょう かん
参考古典
↓
﹁草書諸上座帖巻﹂の、
ほとばしるような
激しい筆の動きを生かして、
情熱の感じられる作品を
創作しましょう。
草書諸上座帖巻
素朴さを求めて
発展
きょ えん かん かん
は
たく
↓
﹁居延漢簡﹂の、線の抑揚や
ゆったりと広がる
波磔のリズムを生かして、
素朴で味わいのある作品を
創作しましょう。
参考古典
居延漢簡
こう
や
ぎれ だい
↓
に
こうぼう
必ずか/
だ ざい
おさむ
り
りょう
半紙例
半紙例
に生かして調和させる。
動きのある線質や文字の大小を仮名
●漢字と仮名の調和
︻創作のポイント︼
●紙面構成
文字の大小、線の太さ、字間・行間
に大胆な変化をつけた。
かん す
ちゅう
ほう
けんもうひつ
●作品形式と用具
巻子、中鋒の兼毛筆
生かして調和させる。
線の抑揚や緩急のある運筆を仮名に
●漢字と仮名の調和
︻創作のポイント︼
●紙面構成
流れが単調にならないよう、波磔の
しゅん
た ろう
め
さだめ
運命
ある漢字をバランスよく配置し、仮
名を小さくした。
●作品形式と用具
掛け軸、中鋒の兼毛筆
たにかわ
谷川俊太郎﹁朝のリレー﹂
より
四、
漢字仮名交じりの書を書こう 仮名編
ざまし
半紙例
じょう
折帖、面相筆
めんそうひつ
●作品形式と用具
空間を意識した。
そくひつ
作った。折帖に紙を配置する際には、
おり
る線を表現し、直線的な行の流れを
筆の芯の弾力を利用して、張りのあ
●紙面構成
調和させる。
鋭く直線的な線質を漢字に生かして
●漢字と仮名の調和
︻創作のポイント︼
半紙例
掛け軸、柳葉筆
りゅう
ようひつ
●作品形式と用具
さを考慮して配置した。
の五行は、言葉の区切れや読みやす
して見出しのように独立させ、残り
﹁さくら﹂の二行は行頭をやや低く
●紙面構成
和させる。
した力強い線質を漢字に生かして調
ゆったりとした運筆と、側筆を多用
●漢字と仮名の調和
︻創作のポイント︼
p38-39
目覚
森山直太朗﹁さくら
︵独唱︶
﹂
より
もりやまなお た ろう
四、
漢字仮名交じりの書を書こう 仮名編
より
中島敦﹁李陵﹂
なかじま あつし
ひ
より
太宰治﹁走れメロス﹂
した
と決意/
ばならぬ/
かなけれ/
の王を除/
知暴虐/
の邪/
た
激怒し/
メロスは/
二、
漢字仮名交じりの書を書こう 漢字編
ろうせい
狼星が青白い光芒を/斜めに曳いて輝いていた
二、
漢字仮名交じりの書を書こう 漢字編
しゅ
↓
きゅう
﹁高野切第二種﹂の、沈着な運筆や、
構築性の高い字形を生かして、作品を創作しましょう。
揺るぎなさを求めて
参考古筆
高野切第二種
はり ぎれ
鋭さを求めて
参考古筆
﹁針切﹂の、
針のように細く鋭い線質や、
直線的な構成を生かして、
作品を創作しましょう。
針切
はん
︵財︶
阪急文化財団蔵
p64-65
38
39
王羲之の伝統を継ぐ、
古風な草書
こうていけん
ほくそう
北宋・十一世紀〜十二世紀
●黄庭 堅
(一〇四五〜一一〇五)
ためカ
あルガ ところ
ざ
无
MOA美術館蔵(部分・原寸)
ぎれ
れい か
(ず)志
p23
真草千字文
しょ
国宝(部分・原寸)
そう
草書諸上座帖巻
り じん どう
ほとばしる情熱を
映し出す筆の動き
ぞうけい
●概要 親友の李任道のために、唐の禅僧・
もんえき
文益禅師の語録から、説法の一節を書いたも
も精進し続けた。
ちゃくトハ
べつニ
じょう
●大意
しゅう
しょ
諸 上 座
只
唇
嘴- 、一 為 /
二
レ
二
二
、為 復
/要 一弄
まタ
たダ
かツ
復 別 有
図
。
/恐 伊
。且/
レ
レ
一所
執 著
(着)
な
んゾ
執 著 甚
麼- 。為……、
介
し
弖
左
漢字仮名交じりの書
漢字編
p16
の。黄庭堅は禅学に造詣が深く、書において
●書風 草書の中でも、狂草といわれる書体。
筆の動きが激しく、線の太さも変化に富んで
いる。最晩年にふさわしい、円熟の域に達し
た書風。
い何であろうか。
可
こう
香紙切
うに、あなたのもとへ行き見る手立てもありません。
のでしょうか。遠くから白山の雪を見るのと同じよ
使いに持たせた歌 これからは、よそながらあなたを恋しく思い続ける
●大意
ゆきみるべくもあらぬわがみは
支
よそにのみこひやわたらむしらやまの/
つかはしける/
執 着 し て い る の で あ ろ う。 そ れ で は 執 着 と は い っ た
あ る い は 別 に 考 え る こ と が あ る の か。 お そ ら く た だ
諸 上 座 の 方 々 よ、 た だ 口 先 を 弄 し て い る だ け な の か、
●字形と筆順
北京故宮博物院蔵(部分・縮小)
しゅう
●書風 側筆を多用した、力強く構築性のあ
る文字が特徴。運筆は緩やかで沈着である。
行の中心が通るよう、文字そのものは傾けず、
可
連綿線を長く左下に伸ばしている。
婦
おおい
ぎみ
見
可
漢字仮名交じりの書
仮名編
一、
漢字の書の美に親しもう
三、仮名の書の美に親しもう
奈 可 (なか)
● 概 要 ﹁ 高 野 切 ﹂ に つ い て は、P 参 照。
こ きん わ か
第 二 種 は、
﹃ 古 今 和 歌 集 ﹄ 全 二 十 巻 の う ち、
●伝 紀 貫之(?~九四五)十一世紀半ば
さまざまな古筆の鑑賞や臨書を通して、表現の多様性を学びましょう。
こう
多
衣
重厚な側筆と気骨あふれる文字
高野切第二種
ぎれ
ふじ わら のゆきなり
みなもとのしげ
乎
せきのとにあらましものをなか〳〵になにあふさか/
世 支
さらばものへだてゝきこえむとはべれば/
●伝 藤原 行成
(九七二~一〇二七)十一世紀末~十二世紀初め
はり
針切
しゅう
しゅう
● 概 要 ﹃ 相 模 集 ﹄ と﹃ 源 重
ゆき
こ
そう
之の子の僧の集﹄の二家集の
さがみ
針のように
鋭く細い線質
写本。元は冊子本として装丁
されていたが、現在では断簡
として諸家に分蔵されている。
針のように細く、鋭い筆致か
ら﹁針切﹂と名づけられた。
●書風 細く鋭い線の中に、
たおやかな用筆が見られる。
こ
●伝 小大君(生没年不詳)十一世紀末
三
はこ だて
六、
漢字仮名交じりの書を追究しよう
日々の生活の中で心に残った言葉や風景を、書で表現してみましょう。
心の響きを表現する
かね こ おうてい
金 子 鷗亭
(一九〇六~二〇〇一)一九六四年 函館市蔵(北海道立函館美術館寄託・ × ㎝ )
六、
漢字仮名交じりの書を追究しよう
78.5
使いやすく、
学びやすい
1
多字数にわたる長い連綿も特
み す
● 概 要 散 逸 歌 集、
﹃ 麗 花 集 ﹄ の 写 本。
芳香と防虫効果のある染料が使われた
ことから﹁香紙切﹂と名づけられた。
三
●書風 連綿が他の古筆よりも大胆で、
太さの変化が激しく、抑揚が見られる。
遣 礼
数
目の前の泉を見て、秋が近いので 中
務
流れる水に秋の訪れを感じます。手を差し
伸べると、泉の水が冷たいのです。
p50-51
p23 草書諸上座帖巻
p50 高野切第二種
﹁書 道 ﹂
では、﹁漢字の書﹂
か
﹁仮名の書﹂
のいずれか一領域を選択することもできます。
生徒が、
自分の学習した古典や古筆を生かして﹁漢字仮名交じりの書﹂を創作できるよう、教材の配列を工夫し ま した。
1
徴の一つである。
●大意
奔放な書きぶりと
軽やかな用筆
万
まへのいづみをみて秋のち/
かければ 中つかさ/
四
尓
己 曽
羅 四
したく クる水にあきこそかよふらし/
古典を創作に生かす
字形や線の強弱、連綿のしかたによって、草書はがらりと印象を変えます。
それぞれの書風を捉えて臨書しましょう。
3
をいそぎこえけむ
坂の関の外にいればよかっ
おうさか
p22-23
むすぶいづみのてさへすゞしき
●大意
古筆を創作に生かす
草書の多彩な表情を捉えよう
3
2
22
23
2
3
●字形と筆順
3
古筆の多彩な表現を楽しもう
1
︵それならいっそ、
︶遠い
4
4
2
2
1
﹁では、御簾越しに会いましょう。
﹂とありましたので
はっ とり
漢字仮名交じりの書を追究する
自己表現を追究する
54.0
ポンペイを/
埋めつくし/
て/
今になほ/
ヴェスヴャス/
そび
の山ひとり/
聳/
ゆる
ポンペイ遺跡
(イタリア)
76
77
p50
64
65
漢字の書
仮名の書
1
45
サンリツ服部美術館蔵(部分・原寸)
p50
2
3
たものを、どうして私は急いで来たりしたのでしょう。
三、仮名の書の美に親しもう
p76-77
50
51
古典から基礎を学ぶ
古筆から基礎を学ぶ
II
「漢字の書」
を選択
「仮名の書」
を選択
平成
高等学校用「書 I 」
「書 II」
「書 III」
26
年度版
高等学校用
検討の観点と内容の特色
書Ⅱ
高等学校用
書I
書III
科目名
教科書名
番号・略称
記号・番号
出版社名
科目名
教科書名
番号・略称
記号・番号
出版社名
科目名
教科書名
番号・略称
記号・番号
出版社名
書道Ⅱ
書Ⅱ
38 光村
書Ⅱ 304
光村図書
出版
書道 I
書I
38 光村
書 I 304
光村図書
出版
書道Ⅲ
書Ⅲ
38 光村
書Ⅲ 007
光村図書
出版
観点 1
学習指導要領,教科の目標を
達成するために必要な教材が
適切に用意されているか。
● 基礎的・基本的事項の理解や,
その習得のため,適切な配慮が
なされているか。
●
観点 2
●
内容の組織,配列,分量は,
学習指導を有効に進められる
ように考慮されているか。
内容の選択・程度
書道の創造的な諸活動を通して,生涯にわたり書を愛好する心情を育てるとともに,個性豊かな表現と鑑賞の能力を
伸ばすことができるよう,表現と鑑賞の教材が相互に関連を図りながらバランスよく配置されている。
● 各分野において,
「何を」
「なぜ」
「どのように」学び,どのような力を身に付けるのかという学習の目的と意義が明確
に示され,生徒が主体的に学習に取り組めるよう配慮されている。
●「漢字の書」では,
「大盂鼎(篆書)
」
「乙瑛碑(隷書)
」
「十七帖(草書)
」などの代表的古典を中心としつつ,時代,書風,
新出土資料など多様な観点から精選された古典が偏りなく教材化されている。初めて重点的に学習する篆書・隷書・草書
については,拓本の拡大反転や運筆の連続写真を用いて,書体の特徴と用筆・技法の基礎がわかりやすく解説されている。
●「仮名の書」では,書道Ⅰで学習した古筆との系統を踏まえつつ,鑑賞の目と生徒の感性を養うのにふさわしい,多彩
な特質をもつ古筆が適切に選定されている。また書の美を構成する諸要素について,図解や作品の比較などを通して
理解を深められるよう,紙面構成も工夫されている。
●「漢字仮名交じりの書」は,
「漢字の書」
「仮名の書」で学習した古典・古筆を参考にして創作できるよう配慮されており,
実態に応じて両者を関連させて扱うこともできる。字形や線質,用筆にとどまらず,用具・用材や紙面構成上の工夫
も取り上げ,効果的な創作につながるように配慮されている。
●「書の歴史と文化を知る」では,書の伝統と文化について理解を深められるよう,日中の書道史が視覚的に示されている。
●
巻頭「鑑賞のポイント」では,鑑賞の観点や手法について解説しており,表現と鑑賞を相互に関連させながら能力を
伸ばし,書への総合的な理解や感性を高められるよう配慮されている。
●「
漢字の書」では,導入として書体の変遷を扱い,各時代の代表的古典を通覧できるようになっている。全体像を把
握した上で各書体の習得に向かう配列は,生徒の理解を深め,学習意欲を促進する。また,各書体における学習は,
臨書→鑑賞の流れで組織され,創作は五書体の学習で身につけた知識・技能を生かして行えるよう段階的に配列され
ている。作品は,学習の目的に応じ適切に選定されている。
●「
仮名の書」では,表現技法(連綿,墨継ぎ,線質,造形,平仮名・変体仮名)
,紙面構成(散らし書きの「見立て」
,
「間」
)
,
用具・用材の3つのテーマを設定し,それぞれ段階的に学習できるよう,精選された古筆でわかりやすく教材化されている。
●「漢字仮名交じりの書」は,
「漢字の書」の次に「漢字編」を,
「仮名の書」の次に「仮名編」を,その上で自己表現
を模索する「漢字仮名交じりの書を追究しよう」を学ぶ構成となっており,漢字や仮名と相互に関連を図りながら効
果的に学習を深め,個性豊かに表現できるよう工夫されている。
●「篆刻」には,
印の歴史と多様性を視覚的に解説した教材が設置され,生徒の興味・関心を高めている。
「篆刻」
「刻字」
ともに制作過程を写真入りのフローチャートで示すなど,要点が丁寧に示されている。
●「
書の歴史と文化を知る」は,歴史上の主な出来事を参照しつつ,日中の書の歴史と各時代の特質を確認できるよう
工夫されている。周辺文化を含めた展開が豊富な図版とともにわかりやすく解説されており,
「漢字の書」
「仮名の書」
「漢字仮名交じりの書」の内容の確認や生徒の自学自習にも適している。
●
表記・表現および使用上の便宜
学習意欲を高めるための配慮
がなされているか。
● 用語・記号の取り上げ方や記
述のしかたは適切か。
●印刷の鮮明さ,活字の大きさ,
行間,製本などは適切か。
写真や古典の図版はフルカラー・高精細で迫真性があり,印刷も鮮明である。生徒たちが書の美を体感し,書の伝統
や文化を尊重する態度を養えるよう配慮されている。
● 随所にコラムが掲載されており,書の文化的価値や伝統,それを次代へつなぐ大切さを認識するとともに,身の回り
の文字への関心を高め,生涯にわたって書に親しんでいけるよう配慮されている。
● 活字の書体や大きさ,行間は適切に設定されており,読みやすい。また各単元に中扉やインデックスを付して検
索性を高め,生徒が教科書を主体的に活用できるよう配慮されている。
● 用語や表記は統一されており,説明のしかたも適切である。
● 課題発見・解決への示唆にキャラクターを用い,学習が円滑に進められるよう配慮されている。
● ユニバーサルデザインの専門家が校閲し,全ての生徒にとってわかりやすい紙面が実現されている。
● 表紙はポリプロピレンラミネート加工により,墨による汚れに対応できるようになっている。
● 造本においては,環境に配慮した紙と植物油インキを使用しており,環境への配慮がうかがえる。
観点 4
総合所見
●
上記観点から見た,全体的・
総合的な当教科書の特徴。
書道の幅広い活動を通して,生涯にわたり書を愛好する心情を育て
るとともに,書道の基礎的な能力を伸ばすため,表現と鑑賞の教材
が相互に関連を図りながらバランスよく配置されている。
●「
漢字の書」では,唐の楷書,王羲之の行書を基本としつつ北魏の楷
書や宋の行書など時代を代表する古典を紹介している。篆・隷・草は,
書体の特徴を捉えやすい古典が精選され,
初学者への配慮が見られる。
●「
仮名の書」では,平安時代を代表する古筆が精選され,それぞれの
特徴を捉えながら,連綿の美や散らしによる構成の美を実践的に学
習できるよう配慮されている。
●「
漢字仮名交じりの書」では,名筆を鑑賞しながら書風や構成を構想
し,主体的に表現できるよう配慮されている。
● 各領域の「創作」では,活動場面の写真を使いながら,丁寧に制作
の手順が示されている。導入では,中学校書写との円滑な接続が図ら
れており,一貫性をもって学習に取り組めるよう配慮されている。
●
書道の創造的な諸活動を通して,感性を磨き個性豊かな書の能力を高
めるため,表現と鑑賞の教材が相互に関連を図りながらバランスよく
配置されている。
●「
漢字の書」では,五書体全てにおいて基本的な作品を押さえつつ,
近年出土した文字資料や発展的な教材まで幅広く網羅されている。ま
た,骨書きや筆順例が示され,生徒が負担なく取り組めるようになっ
ている。
●「仮名の書」には,平安から江戸までの古筆が掲載され,伝統文化と
して理解を深め,多様な美を感じられるよう,また時代による変遷も
見渡せるよう構成されている。
●「
漢字仮名交じりの書」では,漢字仮名交じり文の成り立ちを理解し
たうえで,漢字や仮名の古典を参考にしたり,用具・用材で変化をつ
けたりして,幅広い創作が行えるようになっている。
●
組織・配列・分量
観点 3
●
高等学校用
●
個性豊かな表現と鑑賞の能力を伸ばす,書道Ⅱの学習にふさわしい古典が豊富に掲載されている。生徒の興味・関心
を喚起する魅力的な教材,大判を生かした迫力のある紙面,鮮明な写真により,生涯にわたって生徒たちが書に親しみ,
主体的に学習できるよう工夫されている。
●「漢字の書」
「仮名の書」のいずれかを選択した場合にも,効果的でスムーズに学習計画を進められるよう単元構成が
工夫されており,個や学校の実態に応じた授業が組み立てられる。
●
導入には,中学校国語科書写の内容を振り返り,高等学校芸術科書道
での学習を概観する教材が配置されており,生徒が系統性を踏まえな
がら見通しをもって学習に取り組めるよう配慮されている。
●「
漢字の書」
「仮名の書」は,
書体の歴史的変遷や用筆・字形などの基礎・
基本を押さえたうえで臨書・鑑賞を行い,身に付けた知識・技能を生
かして創作できるよう,効果的に配列されている。
●「
漢字の書」では,幅広い時代や書風の古典が,表現と鑑賞の関連を
図りつつ系統的に構成され,効率的に学習できるよう配慮されている。
●「
仮名の書」では,平仮名,変体仮名,連綿,構成を段階的に学習でき
るよう適切な古筆が精選され,テーマごとにわかりやすく教材化されている。
●「
漢字仮名交じりの書」では,名筆を鑑賞し自分の言葉で表すことの
大切さを学んだうえで,漢字と仮名の調和や構成について学習し,創
作に生かすという学習順序に配慮した構成になっている。
●「篆刻・刻字」では,制作の手順が写真とともに丁寧に解説されている。
●「
暮らしのなかの書」では,書道Ⅰでの学習を日常生活に生かすため
の配慮がなされている。
●
拓本や作品はフルカラー・高精細で迫真性があり,印刷も鮮明である。
臨場感あふれる図版と大胆な紙面構成により,書の美を伝えている。
● 書文化への理解を深めるコラムが随所に掲載されている。
● 生徒が教科書を主体的に活用できるよう,中扉等で検索性を高め,課
題発見・解決への示唆としてキャラクターを効果的に用いている。
● 解説文は平明で,用語や表記も統一されている。
● ユニバーサルデザインの専門家が校閲し,全ての生徒にとってわかり
やすい紙面が実現されている。
● 表紙はポリプロピレンラミネート加工により,墨による汚れに対応でき
るようになっている。
● 造本においては,環境に配慮した紙と植物油インキを使用しており,
環境への配慮がうかがえる。
●
書道Ⅰの学習に必要な教材が,内容的にも分量的にもバランスよく配
分されている。
● 生徒の興味・関心を喚起する魅力的な教材,大判を生かした迫力のあ
る紙面,鮮明な写真により,生徒が書に親しみ,主体的に学習できる
よう工夫されている。
●
導入では,書道Ⅲの学習内容とその意義が明確に示され,生徒が主体
的に学習を進められるよう配慮されている。
●「
漢字の書」
「仮名の書」では,学習した古典を基に創作活動ができる
よう組織されている。
●「
漢字の書」では書の表現の着想となるヒント,
「仮名の書」では書作
品の空間に着目させる記述があり,ともに効果的な創作活動が展開で
きるよう配慮されている。
●「
漢字仮名交じりの書」では,古典を生かした創作活動ができるよう
配慮されている。また,さまざまな漢字に調和する平仮名が掲載され,
個性豊かな創作につなげる配慮がなされている。
●「
篆刻」では制作における古典資料の取り入れ方と多様な表現,
「刻字」
では陰刻や陽刻,作品形態,色彩の異なる作例から刻字の魅力が示さ
れるなど,工夫している。
●「
書論」については,古今の文章を古典と関連させながら随所で取り
上げ,書の歴史と伝統を尊重し,書についての総合的な理解を高めら
れるように配慮されている。
●
拓本や作品はフルカラーで迫真性があり,生徒の学習意欲を喚起する。
写真を交えたコラムが随所に掲載され,書を身近に感じられる助けと
なっている。
● 所蔵地や発掘現場,作者の写真といった関連図版が多く掲載され,生
徒の理解が深まるよう配慮されている。
● 効果的に色文字や記号が使用されている。
● 解説文は平明で,用語や表記も統一されている。
● 表紙はポリプロピレンラミネート加工により,墨による汚れに対応でき
るようになっている。
● 造本においては,環境に配慮した紙と植物油インキを使用しており,
環境への配慮がうかがえる。
●
●
書道Ⅲの学習にふさわしい教材(古典)が多数掲載され,
「漢字の書」
「仮名の書」
「漢字仮名交じりの書」または「鑑賞」のうち一つ以上を
選択して学習したり,
「漢字の書」
「仮名の書」では臨書または創作の
いずれかを目的に応じて重点的に学習したりすることが可能になって
いる。
●
黒田賢一 四国大学客員教授・書家
永守蒼穹 大東文化大学講師・書家
横田恭三 跡見学園女子大学教授
薄田東仙 延命寺住職・書家
金子大蔵 駒澤大学講師・書家
小池青皚 和洋女子大学講師・書家
坂井孝次 福岡教育大学准教授・書家
富田 淳 東京国立博物館列品管理課長
鍋島稲子 台東区立書道博物館主任研究員
真鍋昌生 大阪府立三国丘高等学校講師
山根亙清 元神戸女学院中学部・高等学部教諭・書家
46
校閲
市原恭代(カラーユニバーサルデザイン)工学院大学准教授
澤田真弓(特別支援教育)国立特別支援教育総合研究所総括研究員
光村図書出版株式会社編集部
─────
執筆協力者
イラスト
川 洋子 木村デザイン事務所、木藤美和子、松尾たいこ
撮影
岩出 巧、中川敦玲
写真・協力
年 組
アマナイメージズ、イスラエル大使館、出光美術館、永青文庫、永平寺、MOA 美術館、
河北省文物研究所、甘粛省文物考古研究所、教育出版、京都国立博物館、京都府、玉川堂、
玉蘭堂、宮内庁、宮内庁三の丸尚蔵館、宮内庁正倉院、謙慎書道会、神戸町日比野五鳳記念美術館、
五島美術館、湖南省博物館、湖北省博物館、佐賀県立美術館、サンリツ服部美術館、
C.P.C.photo、JTB フォト、ジェイ・マップ、(財
(財)
書壇院、隅田八幡神社、正筆会、雪心会、
SETSUNA INTERNATIONAL、創玄書道会、台東区立書道博物館、台北国立故宮博物院、
台北中央研究院歴史語言研究所、匠出版、中国国家図書館、中国国家博物館、中国文物出版社、
中国まるごと百科事典、長沙市文物考古研究所、DNPアートコミュニケーションズ、滴翠美術館、
篆刻美術館、東寺、東京国立博物館、遠山記念館、(財)土佐山内家宝物資料館、徳川美術館、
奈良県立橿原考古学研究所附属博物館、奈良国立博物館、成田山書道美術館、二玄社、西本願寺、
函館市、畠山記念館、(財)阪急文化財団、比叡山延暦寺、久松真一記念館、福岡市博物館、
フランス国立図書館、文化庁、北京故宮博物院、北海道、北海道立函館美術館、三井記念美術館、
妙心寺、毛利博物館、木雞室、陽明文庫、龍谷大学大宮図書館、遼寧省博物館
The Arthur M. Sackler Foundation
Image:TNM Image Archives Source:http://Tnm Archives.jp/
The Tokugawa Art Museum ⓒThe Tokugawa Art Museum Image Archives/DNPartcom
─────
光 村 図書
デザイン
高等学校芸術科︵書道︶
文部科学省検定済教科書
304
●この教科書は環境に配慮した紙、植物油インキを使用しています。
9
5
11
8
10
7
6
けい
し
おく
だいヲ
ついニ
えいシ
ほうヲ
ちょうヲ
もっテ ぶん
はじメ もっテ
およビテ
ぶ
りつ
ねんニ
りんス
きゅう
せい
きゅう
れい
せん
───
──
───
───
──
著作者
髙木聖雨 大東文化大学教授・書家
宮澤正明 山梨大学教授
黒田賢一 四国大学客員教授・書家
永守蒼穹 大東文化大学講師・書家
横田恭三 跡見学園女子大学教授
薄田東仙 延命寺住職・書家
金子大蔵 駒澤大学講師・書家
小池青皚 和洋女子大学講師・書家
坂井孝次 福岡教育大学准教授・書家
富田 淳 東京国立博物館列品管理課長
鍋島稲子 台東区立書道博物館主任研究員
真鍋井蛙 大阪府立三国丘高等学校教諭・書家
山根亙清 神戸山手短期大学講師・書家
執筆協力者
北野攝山、小林覚、樋口咲子
イラスト
川口澄子 水登社、川崎洋子 木村デザイン事務所
撮影
岩出巧、遠藤純、長岡博史
写真・協力
アマナイメージズ、アルファミュージック、逸翁美術館、伊奈学園総合高等学校、
MOA 美術館、可成屋、玉川堂、宮内庁三の丸尚蔵館、芸術新聞社、
公益財団法人大田区産業振興協会、高福院、C.P.C.photo、ジェイ・マップ、
台東区立書道博物館、台北国立故宮博物院、高村規、天来書院、東京国立博物館、
東寺、土佐山内家宝物資料館、二玄社、日本写真印刷、美術出版社、美術年鑑社、
HIBINO SPECIAL、福岡市博物館、藤田美術館、北京故宮博物院、毎日書道会、
松本市美術館、三井記念美術館、木雞室、ヤマタネ、
Image:TNM Image Archives Source:http://TnmArchives.jp/、
SENHA & SONS/T's MUSIC PUBLISHING CO., LTD./TOY'S FACTORY MUSIC
I
───
──
───
───
──
デザイン
木村デザイン事務所
木村裕治、金田一亜弥、佐藤 幹
───
──
───
───
──
著作者 髙木聖雨、宮澤正明、ほか別記 14 名
光村図書出版株式会社
代表者 常田 寛 東京都品川区上大崎 2-19-9
印刷者 協和オフセット印刷株式会社
代表者 赤川三男 東京都港区浜松町 1-5-8
光村図書出版株式会社〒141-8675 東京都品川区上大崎 2-19-9
───
──
───
───
──
発行者
発行所
●定価
電話 03−3493−2111(代表)
文部科学大臣が認可し官報で告示した定価(上記の定価は、各教科書取次供給所に表示します。
)
●この教科書にもとづくワークブック・解説書、ならびにこれに類するものの無断発行を禁じます。
光村 書I
38
●この教科書は環境に配慮した紙、植物油インキを使用しています。
000
光村図書
Try! 篆刻を楽しむ
す
草稿をもとに、小筆で線
❹印稿 を作る。︵白文印の場合︶
れい しょ
60
III
校閲
市原恭代(カラーユニバーサルデザイン)工学院大学准教授
澤田真弓(特別支援教育)国立特別支援教育総合研究所総括研究員
光村図書出版株式会社編集部
───
──
───
───
──
I
高等学校芸術科
︵書道︶ 文部科学省検定済教科書
始めてみよう
描 く よ うに印 材を 擦 り 、
印面を平らにする。
水ペー パーの 上 で、円 を
ガラス板などを 敷いた耐
草稿例1
❸草稿 を作る。
白文の場合、
印稿例
荒 さ︶、線の 間 隔 な ど を
の太さや質︵滑らかさや
少し太めの線で
書いておくとよい。
修正液などで調整する。
意識して丁寧に書く。完
成 形をイメージしながら
ひ
澤田真弓(国立特別支援教育総合研究所総括研究員)
文部科学省検定済教科書
平成 00 年 0 月 00 日 検定済
平成 00 年 0 月 00 日 印刷
平成 00 年 0 月 00 日 発行
光村図書
❶印材 を
準備 する。
こ じ
古
草稿例3
草稿例2
ぜん
校閲
書I
【漢字の書】
孔子廟堂碑・九成宮醴泉銘・雁塔聖教序・
顔氏家廟碑・牛橛造像記・鄭羲下碑・蘭亭序・
風信帖・祭姪文稿・蜀素帖・赤壁賦・書譜・
曹全碑・泰山刻石・楽毅論・賢愚経残巻・
法隆寺献物帳・隅寺心経・争坐位文稿・
祭伯文稿・灌頂歴名・伊都内親王願文・
光定戒牒・智証大師諡号勅書・詩懐紙・
白氏詩巻
【仮名の書】
蓬萊切・粘葉本和漢朗詠集・高野切第三種・
関戸本古今和歌集・元永本古今和歌集・
寸松庵色紙・継色紙・升色紙・
隅田八幡人物画象鏡銘・正倉院仮名文書・
綾地切・自家集切・高野切第一種・
明恵上人歌集・本願寺本三十六人家集・
源氏物語絵巻
そう
︵隷書︶
しょ
せん せい
市原恭代(工学院大学准教授)
特別支援教育の視点から,専門家の入念な校閲を受けました。
I
│ 38 │ 光村 │ 書Ⅰ│ 000
【仮名の書】
元永本古今和歌集・秋萩帖・高野切第二種・
関戸本古今和歌集・十五番歌合・針切・
香紙切・金沢本万葉集・和泉式部続集切・
石山切伊勢集・一条摂政集・熊野懐紙・
三十六歌仙帖・寸松庵色紙・小色紙・豆色紙・
和歌色紙
カラーユニバーサルデザインに関して,細心の注意を払いました。
校閲
ISBN978-4-89528-604-6
C4371 ¥00000E
【漢字の書】
呉江舟中詩巻・甲骨文・散氏盤・ 季子白盤・
中山王 方壺・包山楚簡・楚王
鼎・
天発神讖碑・篆書崔子玉座右銘四屛・
馬王堆帛書・敦煌漢簡・宋山画像石題記・
史晨前碑・西狭頌・鮮于璜碑・張遷碑・
居延新簡・楼蘭残紙・喪乱帖・
鴨頭丸帖・臨河序・秋月帖・真草千字文・
草書千字文・双寿詩・伊都内親王願文・
薦季直表・司馬昞妻孟敬訓墓誌銘・成実論・
爨龍顔碑・金剛般若経
曹全碑
れい
教科書の作成に当たっては,
環境・健康・生徒の特性に配慮しました。
原料や製法など,環境に配慮した紙を使用しました。
環境と健康にやさしい,エコマーク認定の
植物油インキで印刷しました。
ご かん
http://www.mitsumura-tosho.co.jp
刷 協和オフセット印刷株式会社
●後漢・一八五年
たく
こう ようけんれい
せいあん ひ りん はくぶつかん
印
﹁知りたい﹂を引き出す、
充実の教材内容。
印を
刻して
みよう
きん ぶん
金文
りん かく
写し取り、調べた文 字で
草稿を練る。
鉛筆などで印材の輪郭を
︻直接布字する方法︼
見てみよう
あらかじめ印材の表面に
墨を塗っておき、鏡に映
たん こうほう
した印稿を見ながら、朱
墨で逆文字を書く方法も
ある。
単鉤法
は
伸びやかな
波磔が
魅力的な隷書
●概要 陽県令として功績を上げた
みん
曹全の徳をたたえた碑である。明代に
出土したため破損が少なく、建碑当時
せいあん
の美しさを保っている。原石は陝西省
へんぺい
西安市の西安碑林博物館に現存する。
●書風 字形は扁平で、中心部分の密
発 行 者 光村図書出版株式会社
代 表 者 常田 寛
〒141-8675 東京都品川区上大崎2-19-9
電話 03-3493-2111(代表)
ウェブサイト「光村チャンネル」
1924371000003
組
めい
・刻す文字と配字を決める。
・字典などで書体を調べる︵検字︶。
いん てん
印篆
書体 を決める。
❷文字 を選び、
しょうてん
小篆
※篆書は時代によって字形が
異なるので、同時代のものを
組み合わせる。
検字例
︵美子︶
美
子
久美
子印
ふ じ
そう こうほう
双鉤法
︻印刀の持ち方︼
片 側の輪 郭を刻したら、石を一八〇度 回 転さ
せて持ち替え、反対側の輪郭を刻す。
︻印の刻し方︼
114
115
9784895286046
年
九成宮醴泉銘
しょ
おう ようじゅん
かい
とう
●欧陽詢︵五五七∼六四一︶
唐・六三二年
はい せい
たいそう
りん ゆう
せん ぶん
端正で
引き締まった
楷書の典型
せん せい
ぎ ちょう
る。魏徴が撰文し、欧陽詢が書写した。
●名が一文字の場合
配字例
之印
美子 美子
之印
久美 久
子 美子
●名が二文字の場合
●名が三文字の場合
正
石碑は陝西省麟游に現存する。
止める
︻黄色のフェルトペンを使用した方法︼
正
印正
20
は
映して文字を確認する。
ける。
紙を剥がし、印面を鏡に
とう
少し弾力のある台や本の
ほ
上に印面を力強く押しつ
いん
を塗る。
おう
フェルトペンで 印 面 全 体
❼押印・補刀・完成。
印 面を水 平に下ろし、真 上から 押さえ、ゆっ
文 字の面を 印 面にしっか
軽 く たた く よ うにして、
り 重ね 合わせ、動かない
ように固定する。
ブラシで石の粉を取る。
いん く
くりと引き上げる。このとき、印矩を使うと
よい。彫り残しや印稿と異なる部分は補刀し
て修整する。
Try! 篆刻を楽しむ
印泥をむらなくつける。
❺印面に文字 を書 き入れる。︵布字︶
複 写した 印 稿 の 一 ∼二㎝
外側を切り取る。
❻文字 を
刻 す 。︵運刀︶
刻しやすいところから 刻
印
●概 要 唐 の 太 宗 が 離 宮 の 九 成 宮 で、
かん せん
偶然に甘泉を発見した。これにちなん
空ける
力強く短めに
空ける
そく
おん ごく
先を当て、深く埋め込む
ようにして、大胆に刻す。
していく。線の輪 郭に刃
紙の繊維まで見える
美しさです。
子美久
子美
で太宗の治世をたたえた内容の碑であ
強く
さい
ぶん とく
き ねん び じゅつかん
●書風 字形は背勢で縦長に構えてい
る。転折をしっかりと折り曲げ、全体
みつ い
三井記念美術館蔵︵部分・原寸︶
的に引き締まった結構である。
強く
空ける
短く
空ける 長く
おく ちょう
たい そうこう てい
い
こ
せい きゅう
位し、億兆もの人民を安んじ治められた。始め
たんきょう
は武力で天下を統一し、後に文徳によって遠国
●大意
みつぎもの
︵太宗皇帝は︶天下を︵治め︶、三十歳になって即
こ
れい しょ
の 人 々 を も 手 な ず け て、東 は 青 丘︵東 方 の 地︶
ひ
しょ
を越え、南は丹徼︵辺境の地︶を踰える国々まで、
︵皆、貢物を持って来朝した。⋮︶
和泉︵集字・拡大︶
ぶ
じんヲ
、
一
きょうヲ
こうヲ いつニシ かい
こエテ たん
とくヲ なつク えん
みなみハ
│
四 方、
逮 乎
立 年、
撫 臨
一
二
一
二
きゅうヲ
億 兆。
始 以 武
功 一壱 海
一
二
二
せい
けんジ ちんヲ
こエ
│ ︶
︵経 営
二
みな
ひがしハ
ぜん
れい
︵隷書︶
21
内、
終 以 文
徳 懐
遠
人。
一
二
一
二
一
東 越 青
丘、
南 踰 丹
二
一
二
そう
ご かん
●後漢・一八五年
こう ようけんれい
たく
曹全碑
は
伸びやかな
波磔が
魅力的な隷書
せん せい
の美しさを保っている。原石は陝西省
ゆったりと伸びやかに
出土したため破損が少なく、建碑当時
は たく
へんぺい
●概要 陽県令として功績を上げた
みん
曹全の徳をたたえた碑である。明代に
しゅうひつ
せいあん ひ りん はくぶつかん
上がりすぎない
きわ だ
ゆったりと伸びやかに
せいあん
西安市の西安碑林博物館に現存する。
●書風 字形は扁平で、中心部分の密
度が高い。横画や右払いに見られる隷
細い
書特有の収筆を波磔といい、装飾的な
空ける
力強く押し出す
短く
押し出す
払い出す。
筆 を し だいに 開 き、
す よ うに。右 払いは
ひと 呼 吸おいてから
効果を際立たせている。
細い
空ける
左 払いは筆を 押し 出
左払い・右払い
有史
︵集字・拡大︶
転折は横画と縦画を
転折
書く。
切 り 離して、二筆で
みつ い き ねん び じゅつかん
三井記念美術館蔵
︵部分・原寸︶
60
●高校書道Ⅰ表紙 左右200ミリ×天地297ミリ 背幅7ミリ
書 のご案内
2
1
3 4
︵皆 献 琛
⋮。︶
レ
波磔は筆の開閉を生
横画の波磔
出す。
かし、伸びやかに払い
二、
楷書を学ぼう﹁九成宮醴泉銘﹂
起筆は蔵鋒。
横画・縦画
横画は水平。
縦画は垂直に。
︻隷書の基本点画︼
2
3
II
書
●字形と筆順
3
4 5
6
7
1
●定価 文部科学大臣が認可し官報で告示した定価(上記の価格は、各教科書取次供給所に表示します。
)
ポイントがひと目でつかめる、
わかりやすい紙面。
背勢にすることで、字形を引き締
めている。
ぞう ほう
隷書の
主な特徴
2
1
発行所 光村図書出版株式会社 〒141-8675 東京都品川区上大崎 2-19-9 電話 03-3493-2111(代表)
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●この教科書にもとづくワークブック・解説書、ならびにこれに類するものの無断発行を禁じます。
❶背勢で引き締まった結構
縦 画を 大 胆に上 部に突 き 出すこ
とで、空間にゆとりを見せている。
❷上部に突き出る縦画
感性を揺さぶる、
﹁本物﹂
の迫力。
見てみよう
き ひつ
❶字形は扁平
❷横画は水平
❸起筆は蔵鋒
❹波磔がある
で等間隔
3
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印刷者 協和オフセット印刷株式会社
代表者 赤川三男 東京都港区浜松町 1-5-8
光村図書
光村 書Ⅱ
38
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木村デザイン事務所
木村裕治、金田一亜弥、佐藤 幹
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著作者 髙木聖雨、宮澤正明、ほか別記 14 名
発行者 光村図書出版株式会社
代表者 常田 寛 東京都品川区上大崎 2-19-9
2012.07.03 / 100826 高書Ⅱ 表紙 / 0100826_高書Ⅱ 表紙.ai / IllustratorCS3 / 小池(辰)
2013.01.24 / 1030123 26高書Ⅱ 見本本_組版修正 / 1030123_26高書Ⅱ 見本本表紙_再校.ai / IllustratorCS3 / 野口
2013.02.01 / 1030123 高書Ⅱ 表紙 / 26高書 Ⅱ_表紙.ai / IllustratorCS3 / 小池(辰)
新井光風、池田桂鳳、井茂圭洞、江口大象、杭迫柏樹、
小山やす子、清水透石、高木聖鶴、辻元大雲、中野北溟、
日賀野 、船本芳雲、星 弘道、村上翠亭、山本悠雲、綿引滔天
書
髙木聖雨 大東文化大学教授・書家
宮澤正明 山梨大学教授
著作者
著作者
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髙木聖雨 大東文化大学教授・書家
宮澤正明 山梨大学教授
黒田賢一 四国大学客員教授・書家
永守蒼穹 大東文化大学講師・書家
文部科学省検定済教科書
平成 25 年 1 月 15 日 検定済
平成
年 月 日 印刷
平成
年 月 日 発行
横田恭三 跡見学園女子大学教授
薄田東仙 延命寺住職・書家
書Ⅱ
│ 38 │ 光村 │ 書Ⅱ │ 304
表4
金子大蔵 駒澤大学講師・書家
小池青皚 和洋女子大学講師・書家
ISBN978-4-89528-671-8
C4731 ¥00000E
坂井孝次 福岡教育大学准教授・書家
富田 淳 東京国立博物館列品管理課長
鍋島稲子 台東区立書道博物館主任研究員
真鍋昌生 大阪府立三国丘高等学校講師
山根亙清 元神戸女学院中学部・高等学部教諭・
書家
文字は、「書Ⅰ」と同様、「風信帖」の「忽披帖」
より採録しました。背景の料紙は、
「 本阿 弥
切本古今和歌集」に使われているものです。
雲 鶴 や 唐 花 唐 草 な どの 文 様 が 雲 母 で 刷 り 出
されている五島美術館所蔵の断簡部分です。
平 安 時 代 後 期 を 代 表 す る 古 筆の 名 品で ある
「本阿弥切本古今和歌集」は、雅やかな料紙
と 流 麗 な 書 風 が 織 り な す 美 が 高 く 評 価 され
ています。
「書Ⅱ」 ページには、京都国立
博物館所蔵の断簡が掲載されています。
●高校書道 II 表紙 左右200ミリ×天地297ミリ 背幅5ミリ
表1