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先端科学技術にふれる理科授業 ~研究者の高い志を通して~

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第 26 回秋田県教育研究発表会資料【能代市立能代南中学校】
先端科学技術にふれる理科授業
~研究者の高い志を通して~
1
実践のねらい
総合的な学習の一部として,平成22年度より「先端科学技術にふれる理科授業業」を推進してきた。これは,
“特色ある教育活動支援事業(旧称:チェンジ秋田)”の趣旨に基づき,秋田の将来を担う傑出した人物を育て
るために,早い段階での個性や創造性を育むことを主眼としている。
本事業2年目(最終年)の今年度は,これまでの関係機関との連携の他に,学区に隣接する能代ロケット実験
場との協力を加えた。そして,昨年度までの夢や希望をつなげる理科教育というねらいの他に, 各機関との連
携により最先端技術に携わる研究者の授業や講演にふれることで,生徒一人一人のキャリア教育的視点の幅を広
げることもねらいの一つとした。
2
期待される教育的効果
(1) 自然科学への興味・関心の向上
個々の気づきを生かしながら,最新の科学技術を体験する教育活動を展開することで,自然科学への興
味・関心の向上が育まれる。
(2) キャリア教育的視点の拡充
自然科学及び先端技術の研究者の「志」に,実験授業や講義及び講演会をとおしてふれることで,将来の
夢や希望と進路選択を少しでも近づけようとする態度が生まれる。
(3) 学ぶ力の向上
多様な体験や活動及び各分野の専門家の指導による製作活動などにより,座学から離れた「学び」により,
本来の学ぶ力そのものが向上する。
「小惑星探査機“はやぶさ”展示 取材&ボランティア計画から」
「はやぶさ展示」取材・ボランティア計画
元気発信!
「科学と志が未来をてらす」
◇研究者の「志に学ぶ」
◇
3
具体的な取組(平成23年度分)
(1) JAXA宇宙航空研究開発機構との連携
「宇宙を知ろうⅠ」
(5/25) 講師 小口美津夫氏,アシスタント 立元 恵氏
・主な内容:宇宙空間についての講義,真空実験,極低温実験,他。
(2) 小惑星探査機“はやぶさ”展示についての取材及びボランティア計画についての事前学習
「宇宙を知ろうⅡ」
(6/27) 講師 秋元 卓也氏(本校校長)
・主な内容:小惑星探査機“はやぶさ”についての講義と関連DVD上映,取材及びボランティア活動のた
めの事前学習会(2・3年生:紙製ブーメラン及び缶ロケット作成)
。
(3) 「はやぶさ展示」取材・ボランティア体験活動
「研究者の志に学ぶ」
(7/2) 1年生:取材活動,2・3年生:ボランティア活動
・主な内容:全学年とも各展示会場で取材活動を実施,その後,2・3年生は展示会場のボランティアとし
て,来場者に会場案内や展示物の説明及び体験活動(紙製ブーメランや缶ロケット体験)を実
施。
第 26 回秋田県教育研究発表会資料【能代市立能代南中学校】
(4) 県立大学との連携
「風力発電入門~これからのエネルギー源としての可能性~」(7/14)講師 須知 成光氏
・主な内容:風力発電の歴史,種類,原理,他の発電方式との比較と将来性,他。
(5) JAXA宇宙航空研究開発機構との連携
「宇宙を知ろうⅢ(能代ロケット実験場見学事前学習会)」(8/25) 講師 羽生 宏人氏
・主な内容:小惑星探査について,ロケットの歴史,固体推進ロケットの実験,将来のロケット技術につい
て,他。
(6) 県立大学との連携
「太陽光発電について」(9/28) 講師 須知 成光氏
・主な内容:太陽光発電の原理と歴史,太陽光発電の現状及び風力発電との比較,太陽光及び風力発電キッ
トの組み立て。
(7) 能代ロケット実験場との連携
「イプシロンロケット燃焼実験見学」(9/30) 対象:全校生徒
・主な内容:固体燃料ロケット燃焼実験(実物の1/4スケールモデル)
(8) 日本モデルロケット協会との連携
「ロケット推進原理及びモデルロケットの組立と打上(定点着地競技)
」(10/5)
講師 山田
誠氏 他3名
・主な内容:ロケット推進の原理及び飛行特性,モデルロケット組立に関する講義と製作,
モデルロケット打上(定点着地競技)
。
・備
考:当日の定点着地競技にて2年生男子が記録0m00を達成(世界的にも稀少)。
(9) 学習のまとめの活動
・活動レポートとして,これまでの取組を新聞形式でまとめ学習の振り返りを実施(11月初旬)。
(10) 学習発表会及びJAXA講演会
「人と国を支える研究者の『志』~未来をてらす科学の進歩にふれて~」(11/21)
講師 羽生 宏人氏,阪本 成一氏
・主な内容:これまでの本事業の学習についての発表,本校学区の6年生(能代市浅内小学校及び第四小学
校)を招いてのおもしろ科学実験,JAXA講師陣による宇宙&ロケット技術に関する講演と
児童・生徒とのパネルディスカッション,他。
4
実践の成果
(1) 自然科学への興味・関心の向上
昨年度との結果と比較から,継続した活動すべてにおいて肯定的回答が前年度を上回る結果となった。ま
た,今年度新たに加わった活動についても,肯定的回答が全校生徒の9割を超えた。このことは,本校生徒
は「宇宙」や「ロケット」及び「エネルギー」に関する知識や技術について興味・関心が昨年度以上に高ま
ったことを示しており,今年度の活動内容が効果的として受け取れる。
特に,個々の生徒が参加できる実習的内容や製作等伴う内容,及び,他者との関わりやコミニュケーショ
ンが求められる内容を主とする活動が好評であった。来年度以降,本校生徒が継続を希望する活動内容も,
発電キット工作の製作,燃焼実験見学,モデルロケットの製作と打上が上位を占めていることからも,その
傾向が伺える。
【生徒アンケートの調査結果 各活動の興味・関心について】
テーマ等
1
2
3
4
5
6
7
8
宇宙を知ろうⅠ(宇宙空間・極低温)
宇宙を知ろうⅡ(小惑星探査機“はやぶさ”)
風力発電及び太陽光発電を知ろう
「はやぶさ展示」取材・ボランティア活動
地域の先端技術関連施設を知ろう
モデルロケットの製作と打上
風力発電及び太陽光発電機製作
学習発表会及びJAXA講演会
学習の内容
肯定的回答(%)
昨年度 今年度
理科授業,演示実験
理科授業,演示実験
理科授業
取材,ボランティア活動
87.9
88.7
76.8
風力発電施設・能代ロケット実験場見学
80.8
98.5
91.5
理科授業,製作,実習
製作,実習
学習のまとめ
94.6
92.4
83.4
93.8
96.4
98.2
93.8
91.1
第 26 回秋田県教育研究発表会資料【能代市立能代南中学校】
(2) キャリア教育的視点の充実
今年度能代市で実施された小惑星探査機“はやぶさ”展示における取材及びボランティア活動は,本校生
徒にとって大変有意義な体験となった。最先端の科学技術を結集した探査機や関連技術を直接取材できたこ
とは,座学では味わうことのできない壮烈な体験として本校生徒の心に残ったことが感想からも伺える。ま
た,展示場での来場者に対するボランティア活動(おもしろ科学実験:紙ブーメラン,缶ロケット)でも,
地域へ貢献できる喜びや地域の一員としての誇りなど,日頃教室では体験できない充実感や喜びを体験する
ことができたという感想が,多くの生徒から寄せられた。
また,今年度は科学技術に携わる科学者や技術者の方々から,「国を支える志」という観点で,キャリア
教育的な内容の講話をいただいた。各講師の先生方の幼少期や学生時代の逸話,そして,そこから科学者あ
るいは技術者としての「志」を抱くまでの過程は,本校生徒にとっても大変共感できる部分が多かった様で,
全校の 56.4%の生徒が将来の職業の選択肢の1つとして,宇宙やロケット関連技術及び再生可能エネルギー
(風力・太陽光)関連の職業に興味がわいたという回答を得ることができた。
(3) 学ぶ力の向上
2年目の今年度は,取材活動やボランティア
総合的な学習 研究レポート(新聞形式)
活動の導入により,前年度よりも事前学習の時
学年
H21 H22 H23
間をその都度2時間程度確保した。また,各活
1年生優秀レポート(%)
30.2 38.0
動の事後のまとめ学習を,新聞づくりで行った。
2年生優秀レポート(%)
22.2 40.2
これについては,全学年とも7月2日の取材と
3年生優秀レポート(%)
22.4 34.4
ボランティア活動と,最終の学習のまとめ(11
全校計(%)
7.5 26.0 37.9
月中旬)の2つが主なものである。その他にも,
振り返りアンケートなども活用し,生徒自身に自身の自己評価を促してきた。
本事業の最後にこれまでの学習のまとめとして,学区内の小学校6年生(来年度の新入生)及び地域住民
を対象とした学習発表会を実施した。招いた方々に,今まで自分たちが学習したことを如何に分かりやすく
伝えたり,活動に参加してもらうかということに重点を置いた。受け身的な教えられる立場から,伝えるた
めのコミニュケーション能力と表現力が求められる活動を本事業の集大成の一つとした。
こうした活動も含め,この2年間の取組で,自然科学及び科学技術に関する学ぶ力を向上させることがで
きた。
5
今後の課題
総合的な学習の時間の一部として取り組んできた“特色ある教育活動支援事業”は,今年度で終了となる。
実践の成果からも分かるとおり,多くの生徒が今回の学習内容の継続を希望している。来年度からは,中学校
校もいよいよ新教育課程が完全実施となり,通常教科の授業時数が増加するため,授業時数の確保と行事等の
精選が求められる。そうした中で,この2年間の取組のどの部分を継続し,本校の“特色ある教育活動”とす
るのかが求められる。加えて,これまでの事業を継続するにあたり大きな問題となるのが,本事業の終了に伴
い予算の確保をどうするかということである(JAXA等の関係機関からの講師派遣や製作キット等の費用な
ど)。
こうしたことを踏まえ,来年度は2年生の能代ロケット実験場見学と3年生でのモデルロケットの打ち上げ
の2つを継続事業としたい。そして,これらの取組が本校の教育活動の1つの柱となり,生徒の理数教育をは
じめとした「学ぶ力」及びキャリア教育的視点の拡充,さらには「生きる力」の土台の一部となることを期待
したい。
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