2014 年 6月号 アニサキス食中毒について アニサキス食中毒は、魚介類に寄生する「アニサキス」の幼虫を原因とする食中毒です。刺身や寿司などの「なまもの」を好んで 食べる習慣が定着している日本では、年間に 2,000 人以上のアニサキス食中毒患者が発生していると推定され、平成 25 年の厚生 労働省の病因物質別食中毒事件数でも3位にランクインしました。 今回はアニサキス食中毒の事例や特徴、その予防策についてご紹介します。 ① アニサキス食中毒の事例・特徴 事例A 事例B 魚介類の販売店で購入した「しめサバ」を食べた 30 歳代の男 アジやサバのにぎり寿司を寿司店で食べた 40 歳代の男性に、 性に、食後 2 時間程度で腹痛や嘔吐の症状が出た。医療機関で 腹痛や嘔吐などの症状が出た。事例Aと同様、医療機関でアニ 受診後、アニサキス食中毒と診断された。アニサキスは、同じ サキス食中毒と診断された。 店が加工した別のしめサバからも検出された。 アニサキスの 幼虫 事例のように、酢じめを含めた刺身あるいは寿司など魚介類の生食が原因で激しい腹痛や嘔吐の症状が出るのが、アニサキス食中 毒の特徴です。これらの症状は、体内に入ったアニサキスの幼虫が胃壁に穴をあけようとすることが原因で起こり、この病気を「ア ニサキス症」とも呼んでいます。 ② アニサキス食中毒の予防策 予防に有効? わが国に定着する「なまもの嗜好」という食習慣が続く限り、アニサキス食中毒の 発生は今後も増加していくことが懸念されます。アニサキス食中毒の発生をなくす わさびやしょうゆ、酢による調理はアニ サキス食中毒に有効と認識されている方 もいるようです。しかし、料理で使う程 ために、次のような予防策が推奨されます。 度の量や濃度では、アニサキスの幼虫は 冷凍・加熱 内臓除去・目視確認 死滅しません。特に酢でしめる「しめサ バ」は、アニサキスの感染源となる場合 魚やイカは冷凍してから生食するの アニサキスの幼虫は魚の内臓まわり が有効です。魚介類に寄生したアニサ の筋肉部に寄生しているので、調理 キスの幼虫は、摂氏マイナス 20℃以 時は速やかに内臓と内臓まわりの筋 下で 24 時間以上の冷凍や摂氏 60℃で 肉部を除去することが有効です。ま 1 分以上の加熱で死滅させることが出 た、アニサキスは目視で確認出来る 来ます。 ので、調理時に注意深く確認するこ が多く、注意が必要です。 とも有効です。 アニサキスに関する記述で、正しいものはどれ? ① アニサキスの幼虫は主に淡水産魚類に寄生している ② 冷凍はアニサキス食中毒の予防に有効である ③ 幼虫の大きさは非常に小さく、肉眼では見ることができない 答え:② クイズ! アニサキス 参考・出典:公益社団法人日本食品衛生協会;「食と健康 2013.7」
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