脂肪肝のお話 - 森塚クリニック

03/01/25
TOSHIHIKO MORITSUKA, M.D. & Ph.D.
しぼうかん
脂肪肝のお話
脂肪肝とは、中性脂肪が肝細胞に過剰に蓄積した状態で、肝小葉に 30%以上の脂肪滴が見られ
る状態を言います。原因としてはアルコール多飲、肥満、糖尿病によるものがほとんどです。
軽度の脂肪肝
脂肪滴がかなり増加した肝臓。空洞状に抜けて見え
る部分が、すべて脂肪滴。
フランス料理の珍味に「フォアグラ(foie gras:ガチョウの肝臓という意味)」があります。普
通のレバーはこげ茶色をしていますが、フォアグラは黄色です。この黄色の正体が「脂肪」です。
フォアグラを作るには、ガチョウに食物を与え続け、運動不足にさせるそうです。すると肝臓に脂
肪が蓄積されるのです。つまり、脂肪肝とは、自分の肝臓が「ガチョウの脂肪肝=フォアグラ」と
いう珍味になってしまったと言うことになるのです。
① どうして脂肪が貯まるといけない?
灯油が手に付いた時を思い出してください。ちょっと水で手を洗ったくらいでは、なかなかヌル
ヌルした感じや臭いが取れません。油というのは、表面にへばりつくと、なかなか取り除くのが難
しいのです。肝臓の細胞の表面にへばりついた油は、肝臓の機能を障害します。肝臓の細胞は呼吸
ができなくなり、最終的には細胞が壊れ始めます。上の写真でも、脂肪滴のある場所は、本来は肝
03/01/25
TOSHIHIKO MORITSUKA, M.D. & Ph.D.
臓の細胞があった場所なのです。
② 沈黙の臓器―肝臓
肝臓は、身体に必要な物質を作る「生産工場」であり、老廃物を解毒する「処理工場」でもあり、
さらに栄養を蓄える「備蓄工場」でもあります。つまり、肝臓はヒトの生命にとって極めて重要な
「化学工場」ということです。
肝臓は、かなりの予備能力を持っています。毎日毎日泥酔するまで飲み歩いても、簡単には肝硬
変にはなりません。これは、とてもありがたいことです。しかし逆にこの利点は、「かなり悪くな
るまで症状が出ない」ということに注意しなくてはなりません。
肝臓は「沈黙の臓器」と呼ばれます。よほどの事態にならない限り、ただ黙々と作業を続けてい
ます。つまり、自覚症状はないということです。症状が出現した時−「沈黙の臓器」が主張を始め
た時−それは「かなり危険な信号」と受け止めなくてはなりません。
③ 脂肪肝の治療
沈着してしまった脂肪の除去に有効な薬剤は、残念ながら現時点ではありません。従って、脂肪
沈着を来した原因を除去することが一番大切になります。
食事療法・禁酒が基本です。肥満の改善・低脂肪・低コレステロール食を心がけましょう。そし
て、運動療法を併用します。蓄積された過剰な栄養を、適切に消費しなくてはなりません。簡単な
目安は「体重」です。短期間で急激に減らそうとするのではなく、毎月すこしずつ減量できるよう
にしましょう。
すでに肝機能障害が出始めた場合には、肝庇護のための薬物治療が必要になります。この場合は、
3∼数ヶ月に一度の血液検査と腹部超音波検査をお勧めします。
④ 脂肪肝を放置すると…
脂肪肝と診断されても、
「癌」などのように短期間で生命が脅かされるようなことはありません。
そして、痛みも何もありませんから、ズルズルとただ放置することになってしまう場合が多いのが
実態です。
脂肪肝を放置すれば、肝硬変と同じように、肝細胞が破壊されて、最終的には肝不全へと進みま
す。この段階で後悔しても間に合いません。さらに、脂肪肝を来すような場合には、肝臓だけでな
く全身に脂肪が沈着しています。動脈硬化から心筋梗塞・脳卒中などで生命を失うことが多くなっ
ています。
脂肪肝は、健康の危険信号です。診断されたその時から、食事療法・運動療法を始めて下さい。
日々の努力こそが大切な病気−それが「脂肪肝」です。
森塚クリニック
胃腸科・消化器科・外科・肛門科
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森塚 俊彦 Toshihiko MORITSUKA, M.D. & Ph.D.