港湾におけるプレジャーボートの 利用振興に係る新たな取り組みについて ∼沿岸域における適正な水域活用の促進∼ 国土交通省港湾局 環境整備計画室 (「マリーナ&ビーチ」Vol.80 専門館 酒井敦史 (社)日本マリーナビーチ協会より) 国士交通省においては、平成 16 年 11 月 1 日から小型船舶操縦士免許(ボート免許)制 度をよりシンフルなものに見直すとともに、従来より簡素な構造設備で長距離の氾岸周遊 クルージンク等ができるように小型船舶の技術基準関係を見直すなどフレジャーポート の利用環境の整備に取り組んできております。 今回は特に、港湾局が主体となり取組んでいる港を活用したフレジャーポートの利用振 興に向けた新たな取組みについて御紹介致します。 1. 沿岸域における適正な水域活用の促進(平成17年度新規取り組み) 近年、港湾等の沿岸域においては、産業構造の転換により、沿岸域の一部の公共水域や 港湾施設またその背後地等が十分に利用されず、地域活力の向上に十分寄与していない事 例が見受けられます。一方、ヨット、プレジャーボート、PWC 等の小型船舶が普及する につれ、地方公共団体、市民、更には民間事業者から、マリンスポーツやマリンレジャー、 自然体験等の活動で、運河等の静穏水域や斜路、岸壁等港湾施設を利用したいという要望 やニーズが全国各地で見受けられます。 これまで市民や民間事業者が、公共水域や港湾施設をマリンスポーツやマリンレジャー 等で利治用する場合には、その利用にかかるルールづくりや基準が明確でない等の理由か ら、水域管理者である行政機関との調整に時間がかかる、また水域管理者が利用許可を民 間に与えることについて消極的である等の理由により、物流以外の港湾の利活用が十分に なされていない状況が発生しておりました。 これらを踏まえ、公共水域や既存ストックの利活用の促進に資する地域の取り組みを促 進することにより、地域と一体となった海辺の創造を支援するため、平成 17 年度から当 省海事局と連携し、「沿岸域における適正な水域活用等の促進調査」を実施することとし ました。 本調査は、地域の取組みを支援し、先進事例として全国に普及するための「地 域モデル調査」と全国的な水域活用等に係るルールづくりや合意形成手法を検討するため の「適正かつ安全な水域活用等促進方策検討委員会(仮称) 」の設置の 2 つのアプローチ により、沿岸域における適正な水域活用等の促進を図ることとしております。 ①モデル調査 地域において①港湾管理者や地方公共団体等の行政機関、②マリーナ事業者や舟艇関係 事業者等の民間事業者、④市民や NPO(非常利団体)等の多様な主体が一体となって港 湾施設や公共水域等を利治用した新たな試みを行う場合、その取組みを「沿岸域における 適正な水域活用等の促進」に係るモデル調査として位置づけ、その事業計画の策定や関係 者の合意形成、更には水域の利用に係る規制との調整等について、国土交通省地方整備局 及び地方運輸局が連携し支援するものです。 平成 17 年 2∼3 月頃に全国から地方整備局及び地方運輸局等を窓口として地方公共団体 (都道府県、市町村及び港湾管理者)に募集し、 「官民連携した先進的な取組みである」 「全 国普及が可能」等の観点から本省港湾局と海事局で審査し、数件程度をモデル事業として 選定する予定です。 ②「適正かつ安全な水域活用等促進方策検討委員会(仮称) 」 による検討 モデル調査に併せて、有識者及び行政関係者からなる「適正かつ安全な水域活用等促進 方策検討委員会(仮称)」を本省に設置し、マリンスポーツやマリンレジャー等による港 湾等の新たな利治用のあり方や水域利用に係るルール作り等について検討を行います。水 域の適正かつ安全な利用を促進するとともに、マリンスポーツやマリンレジャー等を活用 した地域の活性化を図っていくことを目的としております。 2. 文科省と連携し「海で遊び・学び・育てる」連携方策について検討開始 青少年の健全な育成には、自然環境でのさまざまな体験や環境学習などが重要な役割を 果たします。これまで港湾局においては、総合学習の准進や環境教育推進法の施行などを 踏まえ、全国各地の国の港湾事務所が中心となり、港湾やマリーナ等を活用した自然体験 の取組み( 「海辺の自然学校」)や、そのためのリーグ}の養成(「海辺の達人養成講座」) に取り組んでいます。 また、港の役割や歴史を紹介したり、情報発信や交流の場として期待されるみなとの博 物館の利用向上を目指して「みなとの博物館ネットワーク・フォーラム」が平成 16 年度 に設立されました。さらに、ビーチ(海辺)においても、ビーナスポーツを通じた体験・ 学習活動や地域振興の准進が進められています。 これらの施策をより効果的に准進し、魅力ある地域づくりに貢献するためには、それぞ れが個別で取り組むだけではなく、みなと(特にマリーナ)、博物館、ビーチ、港湾事務 所等と小中学校等の教育機関が一体となって有機的に連携し実施することが効果的と考 えております。 そこで、それぞれの機関の活動実態や有するポテンシャルを整理し、互いの長所を活か し、短所を補い合いながら海辺における総合学習を一一層活性化するための方策を検討す る『「海で遊び・学び・育てる」連携方策検討委員会』を文部科学省と連携し設置しまし た。本委員会では、各主体が有機的に連携し、海辺の総合学習の取組みを促進するための 連携方策を検討するとともに、メニュー集としてとりまとめを行い、関係機関、関係者に 広く配布する予定です。
© Copyright 2024 Paperzz