猫の痤瘡(毛嚢炎)について 下顎や口唇に限局した分泌過剰や面皰、炎症を主徴とする多因性の皮膚疾患です。 1、原因 1)特発性 2)毛包の角化異常 3)皮脂腺の過形成 4)感染:ウイルス、皮膚糸状菌、毛包虫 5)アトピー 6)刺激性接触皮膚炎 7)ストレス 2、機序 皮脂やケラチン性残屑で毛包が膨張し、面皰を生じます。これにより、毛包狭部の閉塞が起こ り、さらに皮脂分泌物の貯留を促します。この毛包が破裂すると、異物反応が起こり炎症が 惹起されます。毛嚢内には、細菌感染が多く起こり、さらに炎症を助長します。 3、症状 1)症状を伴わない分泌物(黒色微小ブツや茶色液状)や小さい面皰 2)紅斑性痂皮性丘疹や毛嚢炎、フルンケルを発症し、痛みや痒み、瘢痕を生じます。 3)脱毛や発赤、浮腫、重度の腫脹、擦過傷を呈します。 4)下顎や下口唇に多く発症しますが、上口唇や顔面に及ぶ場合もあります。 4、診断 1)病歴や病変、症状で診断は可能である。 2)皮膚掻把検査や分泌物の検査 3)細菌・真菌培養検査、感受性試験 4)生検による病理組織検査 5、治療 完治は不可能ですが、治療と日常のケアによって維持することが可能です。 1)積極的な治療 a、 基礎疾患の治療:皮膚糸状菌や毛包虫に対する治療 b、 抗菌・毛包の洗浄:剃毛 消毒・清拭 過酸化ベンゾイルシャンプー 1日おきに薬浴・洗浄、その後週2回 (本来は、外用薬の効果が高いが、使用が難しい) 効果は劣るが、クロルヘキシジン、サルファ・サリチル酸の使用も可能 c、 抗菌:ムピロシンの外用 1日3~4回 症状が軽快するまで クラブラン酸アモキシシリン、セファレキシンの内服 1日2回 2~6週間 d、 重度の炎症:副腎皮質ホルモン プレドニゾロンの内服 1日1回 10~14 日間 e、 面皰溶解:ビタミン A の外用 1日おき、その後週2回 f、 皮脂活性の低下と毛包内角化異常の制御:合成ビタミン A イソトレチノインの内服 1日1回 2)維持治療 a、 抗菌・毛包の洗浄:消毒用アルコール(70%エタノール) 1日3~4回 徐々に減 週2回 過酸化ベンゾイルシャンプー 週2回
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