2004 年 4 月 27 日 消火器点検商法が増えています 消費生活センターに寄せられた事業者の方からの事例をご紹介します。 一般企業や学校、幼稚園、工場、寺社、ファーストフード店などを狙い、消火器の点検と言って巧 妙に訪問をし消火器の薬剤を詰め替え、高額な料金を請求するという事例が増加しています。 解約を申し出ると脅迫的な態度をとり、料金を支払わざるを得ない状況に追い込まれるなどのトラ ブルが頻発しています。 総務省消防庁の調査でも、この点検商法の被害が昨年 1 年間に東海三県では約 150 件が報告 され、名古屋商工会議所の企業相談にも約 100 件の相談が寄せられています。 事例 1 会社に女性の声で「消火器の期限が切れているので、点検に伺いたいが、いつがよろ しいですか」と電話があった。出入りの点検業者と思い、来訪してもらう日時を指定し た。 業者が来訪した際、消火器を見て「ウチの会社のステッカーが貼ってありますね。詰め 替えをしてきます」と言って消火器 1 本を運び出し、書面にサインを求めてられたので、 契約書の内容をよく読まずサインをした。 後で高額な請求に驚き、業者に電話でクーリングオフを申し出たが怒鳴られ「会社はク ーリングオフできない。金を用意しておけ」と罵声をあびせられた。 本社に相談したが「契約する際に出入り業者であるかを本社に確認を怠った私に責任 がある」と取り合ってもらえず、自腹を切り代金 3 万円を支払うことになってしまった。 事例 2 非営利法人の福祉作業所に電話があり「消火器の交換に行きます」と言われた。業者 が来訪して「点検・交換します」と言って消火器 1 本を持 ち帰り、代替に古い消火器を 置いていった。よく事情がわからない事務員が契約書にサインしてしまったので、すぐに やめたいと業者に電話をしたが「支払わな ければ裁判にする」とすごまれた。 この商法の問題点 1. 消防法では消火器の点検は、人の出入りのある場所については 1 年に 1 回、その他の場 所については 3 年に 1 回の点検が義務付けられている。一般家庭に消火器の設置義務 はなく、消火器を点 検する義務もないのに、あたかも点検が必要であると誤認させるトー クがある。 2. 事業者の契約には訪問販売であっても特定商取引法のクーリングオフ制度の適用がな い。 3. 現場でのトラブルで刑事上・民事上の詐欺・脅迫を証明することは難しい。 被害にあわないために 1. 出入り業者を装い電話をしてくる場合があるので、会社の責任者に必ず確認をとる。 2. 業者が来訪した際には、身分証明の提示を求め正規の出入り業者であるかどうか必ず確 認する。 3. 契約書に安易に署名、捺印をしない。 4. 作業前に金額を確認する。 被害にあったときの対処法 ・事業者の場合 1. 請求されてもとりあえず代金を支払わないで対応をする。 2. 事業者への消火器の訪問販売でクーリングオフを認めた判例(大阪高等裁判所平成 15 年 7 月 30 日判決)があるので弁護士からクーリングオフ通知をだしてもらうのが望ましい。 相談窓口 名古屋商工会議所 愛知県弁護士会 中小企業・会員支援部 名古屋法律相談センター 創業支援・専門相談センター 電話 052-223-5751 電話 052-565-6110 ・消費者の場合 1. 内容証明郵便でクーリングオフ通知を業者あてに出す。 相談窓口 名古屋市消費生活センター(名古屋市在住の方) 電話 052-222-9671 参考ウェブサイト 総務省消防庁「消火器の訪問点検にご注意」 http://www.fdma.go.jp/html/life/caution.html 判例の解説 消火器の点検や薬剤詰め替えは個人宅への訪問販売の場合、特定商取引法のクーリングオフ 制度の適用があるが、事業者との取引の場合は適用除外となっており、クーリングオフ制度が 適用されない。しかし、事業者にクーリングオフ適用の有効性を認めた判例がある。 【判例】大阪高等裁判所平成 15 年 7 月 30 日判決 自動車を販売する会社が訪問販売により消火器の点検と薬剤の購入契約を締結した事例で 「商行為に該当する販売または役務の提供であっても、申し込みした 者、購入者若しくは役務 の提供を受ける者にとって、営業のために若しくは営業として締結するものでない販売または役 務の提供は、除外事由としない趣旨であ ることが明白である」とし消火器の充填薬剤の購入契 約は営業上の目的を持って締結されたのではなく適用除外に該当しないとしてクーリングオフを 有効と認め た。
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