平成 26 年 5 月吉日 公益社団法人 岐阜県診療放射線技師会 会 員 各 位 公益社団法人 岐阜県診療放射線技師会 理事 萩野 英俊 第 51 回MR技術研究会のお知らせ 謹啓 初夏の候、会員皆様には益々ご健勝にてご活躍のこととお慶び申し上げます。 さて このたび、第 51 回MR技術研究会を下記の通り開催致しますので、 お誘い合わせの上、ご出席下さいますようご案内申し上げます。 敬具 記 日 場 時 所 : : 平成 26 年 6 月 28 日(土) 13:30~17:30 高山赤十字病院 3 階 大会議室 〒506-0025 高山市天満町 3-11 【総合司会 TEL (0577)32-1111 高山赤十字病院 岩佐 成彦】 メーカー講演 「画像診断に関する最近の話題」 バイエル薬品株式会社 一般演題 【座長 木沢記念病院 糟谷 幸徳、大垣市民病院 小川 定信】 「時間外頭部 MRI 検査における Dot Engine の有用性」 高山赤十字病院 北村 裕貴 先生 「拡散強調画像が診断に有用であったクロイツフェルト・ヤコブ病の 1 例」 久美愛厚生病院 土田 真孝 先生 「頸動脈 MR プラークイメージング ~簡易撮影法~」 東可児病院 山本 渉 先生 「Metal Artifact 低減について ~syngo WARP における検討~」 中津川市民病院 櫻井 直之 先生 「各種腹部大動脈ステントグラフトのメタルアーチファクトが MRI 画像に及ぼす影響」 岐阜大学医学部附属病院 庄田 真一 先生 「条件付き MRI 対応ペースメーカーの検査経験」 岐阜市民病院 河口 大介 先生 「肩関節腱板断裂における MRI 画像所見と関節鏡視下手術結果の比較」 大垣市民病院 若畑 茜 先生 特別企画 【座長 久美愛厚生病院 西野 直樹】 『 最新 MRI トピックス ~各装置メーカーの現在と未来~ 』 1:GE 寺嶋 健一先生 3:PHILIPS 廣保 雅文先生 2:東芝 4:日立 千葉 寿恵先生 西原 崇先生 5:SIEMENS 諸井 貴先生 特別講演 【座長 岐阜大学医学部附属病院 梶田 公博】 『 MRI で血管を診るためのテクニック -原理から臨床まで- 』 磐田市立総合病院 第 1 放射線診断技術科 技師長 寺田 理希 先生 ※ 会費として会員 500 円、非会員 1,000 円を徴収させて頂きます。 ※ 本会は日本救急撮影技師認定機構の認定を受けております。 ※ 当日は技師格カードをご持参して下さい。 共催:公益社団法人 岐阜県診療放射線技師会 バイエル薬品株式会社 時間外頭部 MRI 検査における Dot Engine の有用性 高山赤十字病院 放射線科 ○北村裕貴, 畑中信吾, 岩佐成彦, 山下光弘, 山口忠夫 【はじめに】 救急現場での MRI 検査は主に虚血性脳血管障害に用いられている。虚血性脳血管障害は 発症から治療開始までの時間が非常に重要となるため、時間外も日当直者が対応をしてい る。しかし、MRI 検査は常時携わっていない技師にとっては非常に煩雑である。 【目的】 時間外頭部 MRI 検査に Dot Engine を用いて操作の簡略化を図る。 【使用装置】 シーメンス社製 1.5T 装置 MAGNETOM AVANTO 【検査数推移】 件数はほぼ右肩上がりに増加し、平成 25 年は 351 件で平均 1 日 1 件程度の検査を行って いる(脊椎検査を含む)。 【検査】 当院の脳梗塞撮像シーケンスとして基本は DWI transverse と頭部 MRA と FLAIR transverse(体動補正 BLADE 法使用)を撮像する。 追加のシーケンスとしては頸部 MRA と DWI coronal を撮像することがある。 撮像方法として、頭部 MRI 検査では Dot Engine を使用しているため、自動断面位置決 め機能等により、操作を簡略化している。 内容としては、AC-PC Line を自動で設定して、 追加シーケンスがある場合はチェックボックスの ON で行う。しかし、頭部 MRA、追加 シーケンスの頸部 MRA に関しては手動で位置決めを行っている。 また、患者状態に合わせ、①通常シーケンス、②体動補正シーケンス、③fast シーケン スを選択することができる。 【考察】 時間外頭部 MRI 検査において Dot Engine を使用することは、煩雑な操作を簡略化でき、 患者状態に合わせたシーケンスが選択できるという点で有用であると考えられる。 今後としては、操作中のコンソール画面上にガイダンス画像やテキストを表示させるこ ともできるため、徐々に付け加えていけたらと考えている。 【まとめ】 時間外の救急 MRI 検査は特別な検査ではなくなってきており、件数は右肩上がりに増加 している。 当院では日当直者全員が頭部 MRI 検査を行うため、Dot Engine を使用して操 作の簡略化を図っている。 【演題名】: 拡散強調画像が診断に有用であったクロイツフェルト・ヤコブ病の1例 久美愛厚生病院 放射線科 土田真孝 【症例】: (患者)64歳 女性 (主訴)目眩、ふらつき、複視 (臨床経過)初診時の血液データでは主訴の原因となるものが特定できず頭部CTを行うも所見はないと診 断された。その後、耳鼻科、眼科領域の疾患を疑ったが原因となりうるものは特定できず症状の改善もみ られないため入院となった。 【MRI画像】 入院9日後に左手の振戦があったため、MRI検査を施行したところ拡散強調画像にて右大脳皮質の高信 号病変を認め早期のクロイツフェルト・ヤコブ病(以下ヤコブ病)と診断された。 【考察】 ヤコブ病は異常な速度で進行し、診断がなされた頃には患者の自我は消失しているケースも少なくはな い。しかし、早期の段階では意思の疏通は可能であるものの、認知証の疑いでとどまり発見が遅れる傾向 がある。また、脳梗塞を疑ったMRI検査では、拡散強調画像は必須画像となっているが、認知症などその 他の疾患では必ずしもルーチンとして選択されないこともある。 今回の症例を経験し、その他の脳疾患を疑う患者のMRI検査では拡散強調画像は可能な限り行ったほ うがヤコブ病などの疾患の早期発見に繋がり、患者QOLの向上に繋がると考える。 【結語】 頭部MRI検査において拡散強調画像は脳梗塞疑いの患者以外にも極力おこなったほうがよいと思われ た。 頸動脈 MR プラークイメージング∼簡易撮影法∼ 東可児病院 山本 渉 頸動脈の動脈硬化性プラークは、内腔の狭窄や閉塞をきたすだけでなく、その脆弱性から 動脈塞栓の原因となる。すなわち脳梗塞の重大なリスク要因である。MRI では、black-blood imaging により頸動脈プラークの性状診断、脆弱性の性格な評価が可能である。 ●頸動脈プラークの MRI 撮像法 頸動脈の動脈硬化性プラークの MR イメージングでは、血管内腔の信号を抑制する black-blood imaging 法で動脈壁を撮影します。この手法には様々な撮影方法が開発されて います。大別するとスクリーニングに使用する簡便法とプラークの性状を詳細に検査する 高精細法に分ける事ができます。今回、簡便法について検討しましたので報告します。 Metal Artifact 低減について ∼syngo WARP における検討∼ 中津川市民病院 医療技術部 櫻井 直之 1.はじめに 従来の MR 検査では、体内インプラントによる磁化率アーチファクトが顕著なため、診 断に有用な画像を取得することは容易ではありません。MRI 装置更新に伴い、syngo WARP とういう技術により、磁化率アーチファクトの低減が可能となり、インプラント周 囲の浮腫や術後変化を評価できることが期待されます。 今回、WARP における特性と傾向を理解し、より artifact による影響を抑えた画像を取得 することを目的としました。 [WARP とは・・・・TSE シーケンスにおいてのみ可能なパラメータであり、インプラ ントによるフィールド・ディストーションに対するスライスおよびリードアウト・エンコ ード勾配磁場によるディスロケーション補正を可能とする技術(VAT:ViewAngle Tilting)] 2.使用装置とファントム MRI 装置:1.5T MAGNETOM AERA ファントム:①画像歪み→格子ファントム(鉄製クリップ) ②SNR→ボトルファ ントム(装置付属) ③画像コントラスト→Gd 希釈水溶液(0.125、 0.25、0.5、1.0、2.0mmol/L) ④空間分解能→ピンパターン 90-401 型 (日興ファインズ) 3.方法 low BW(130Hz/pixel)、High BW(600Hz/pixel)の条件において、WARP の有無、VAT 値を 0、30、60、100 と変化させ以下の①∼④につき評価しました。 ①画像歪み ②SNR ③画像コントラスト ④空間分解能 4.結果 ①画像歪みは、WARP を用いて、VAT の値が大きいほど目立たなくなりました。 ②SNR は、WARP の有無、または、VAT の値により変わりませんでした。 ③画像コントラストは、WARP の有無、または、VAT の値により変わりませんでし た。 ④空間分解能は、WARP を用いて、VAT の値が大きいほど周波数エンコード方向 に 悪くなりました。また、low BW で顕著でした。 5.考察 syngo WARP の特性と傾向を理解し、metal artifact 低減において有用であることを確認し ました。high BW で撮像できれば、VAT の高値による周波数エンコード方向への空間分解 能の低下を抑え、また画像歪みの影響を抑えることができます。ただし、SNR 低下の影響 に注意が必要です。 各種腹部大動脈ステントグラフトのメタルアーチファクトが MRI 画像に及ぼす影響 岐阜大学医学部附属病院 ○庄田真一 梶田公博 放射線部 前田祥吾 山口香織 三浦賢征 大橋佑介 八重樫良平 加藤大輝 上平弘明 中川直紀 岡田仁志 【背景】腹部大動脈瘤ステントグラフト留置後の経過観察において非造影 MRA が造影 CTA の 代替的手法となれば放射線被ばくや造影剤使用の観点において多くのメリットが見込まれ る。しかし、ステントのメタルアーチファクトが非造影 MRA 画像に悪影響を及ぼすことが 懸念される。 【目的】腹部大動脈瘤に対するステント内挿術に用いられる4種類のステントグラフトに ついて、それぞれのメタルアーチファクトの大きさをファントム実験にて計測する。 【方法】対象はエンデュラント ステントグラフトシステム、エクスクルーダー Y 字型ステ ントグラフトシステム、パワーリンク ステントグラフトシステム、クックゼニス AAA エン ドバスキュラーグラフトの 4 種類とした。各々のステントグラフトを水中で固定し、ステ ントグラフトのメインボディ部及びレッグ部を Balanced Turbo Field Echo (TR/TE 2.8/1.39, flip angle 80°, matrix 192×256 , slice thickness/gap 6/-2 mm)にて横断像で撮像 し、アーチファクトの領域を含むステント外径を ImageJ 及び Workstation(GE healthcare 社製 Advantage windows4.2)を用いて測定した。次に測定値をそれぞれのステントの実測 値で除し、アーチファクトの拡大率を求め比較した。 【結果】ImageJ によるレッグ部及びメインボディ部の拡大率はエンデュラントでは 116%、 108%、エクスクルーダーでは 124%、110%、パワーリンクの非接合部では 123%、125%、接 合部では 142%、135%であった。 また Workstation によるレッグ部及びメインボディ部 の拡大率はエンデュラントでは 116%、111%、エクスクルーダーでは 127%、113%、Power Link の非接合部では 126%、127%、接合部では 143%、137%であった。ゼニスは強いアーチファ クトのため ImageJ、Workstation 共に計測は不可能であった。 【結語】メタルアーチファクトの影響はステントグラフトの種類によって大きく異なり、 最もアーチファクトが小さいのはエンデュラント ステントグラフトシステムであった。 条件付き MRI 対応ペースメーカーの検査経験 岐阜市民病院 河口大介 服部光良 山田裕子 横山貴優 砂畑伸英 広瀬茂樹 近年高齢者が増えるに従い,ペースメーカー(以降 PM)を植え込む患者も増えつつあ る.MRI 検査の需要も高齢になるほど増えているのが実情であった.こうした背景より 2012 年 10 月 1 日より,Medtronic 社製 条件付き MRI 対応 PM の販売が開始され,全国で1例目 の処置が同日当院にて行われた. 近年 X 線を使用した検査では,植え込み型 PM,植え込み型除細動装置装着患者の撮影に関 する対応がすでに行われている.MRI では MR Safe(MR 安全),MR conditional(条件付 きで MRI 可能),MR Unsafe(MRI 危険)の MRI 検査に対する安全性は既に明確にされて おり,今回条件付き MRI 対応 PM システムは,MR conditional での適応となった.しかし施設 基準や事前トレーニングが必要であったり,MRI 対応リード,MRI 対応 PM のシステムであ ることや 1.5T 円筒型ボア MRI 装置であることなど細かく条件が規定されており,検査を行 うためにはそれらの基準を満たす必要がある. 当院での PM 装着患者の検査の流れは,(各診療科の)依頼医師が,MRI 対応 PM システ ムであることの確認を行い,循環器内科への高診を行う.循環器内科医師は,臨床工学士(以降 ME)に連絡を行い,ME はメーカーとともに MRI 検査前の PM チェック(以降 PMC)日 を決定する.この検査に問題がなかった患者のみ MRI 検査を行うことができる.検査当日 は,ME による前室での PMC,プログラムの変更,及び通常の金属チェック,問診等を行い,心 電図・SpO2 の測定とともに我々診療放射線技師が撮影を行う. 撮影終了後,患者の状態変化がないことを確認し,プログラムを元の設定に戻し検査を終 了する.検査は全部で 3 症例経験したが,全例で特に大きなトラブルは起きなかった. 現時点では循環器内科医師が全例検査に同席しているが, 経験を蓄積し患者の安全を確 保できると判断できれば,運用方法等,循環器医師と協議していく必要がある. 肩関節腱板断裂における MRI 画像所見と関節鏡視下手術結果の比較 ○若畑 茜、川地俊明、小川定信、石川照芳 [目的] 当 院 で は 技 師 が 一 次読 影 を 行 っ て いる 。 そ こで 関 節 鏡 視 下 腱 板 修復 術 ( 以 下 ARCR)を 行 っ た症 例 を retrospective に評価することにより、腱板断裂の診断における MRI の有用性と技師による読影の問題点を検討 した。 [対象] 2012 年 2 月∼2014 年 3 月までに肩関節 MRI が施行された 488 肩(右側 296 肩、左側 192 肩)のうち、腱板断 裂疑いに対して ARCR が施行された 33 例 33 肩。 [方法] 得られた MRI 画像を技師 3 名で判定し、ARCR 結果と比較した [検討項目] ① 棘上筋腱、棘下筋健、肩甲下筋腱、上腕二頭長頭腱(以下 SSP,ISP,SSC,LHB)ごとの病変数に対する第一次読 影の一致率 ② 再読影を行った際の一致率 [結果] ① 第一次読影の MRI の感度、特異度、偽陰性率、偽陽性率は SSP:90.3%、100%、9.7%、0%、ISP:42.9%、84.2%、57.1%、15.8%、SSC:13.3%、94.4%、86.7%、 5.6%、LHB:10%、100%、90%、0%であった。 ② 再読影を行った際の MRI の感度、特異度、偽陰性率、偽陽性率は SSP:96.8%、100%、3.2%、0%、ISP:57.1%、89.5%、42.9%、10.5%、SSC:60%、94.4%、40%、 5.6%、LHB:75%、100%、25%、0%であった。 [考察] ① 最も断裂の多い SSP に関しては感度、特異度共に良好であったが、その他筋腱に関しては感度が低くかっ た。特に LHB、SSC での感度が低く、技師間で確認を行ったところ、LHB、SSC の順に読影の際に認識 が薄かったことがわかった。 ② 再読影では全体的に感度は上昇し、特に LHB、SSC での上昇は著明であり、従来は認識不足による見落 としが多かったと思われ、今回の再確認で今後は読影率の向上および、検査中では断裂部位に合わせた追 加撮影が可能になると考えられる。 [結論] 肩関節腱板断裂における有病率の MRI 一致率においては SSP では良好な結果が得られたが、特定の腱板に関 しては意識不足があり、今回の検討による再確認で読影技術は向上すると考えられる。 第 51 回岐阜県 MR 技術研究会 最新 MRI トピックス ∼各装置メーカーの現在と未来∼ GE ヘルスケア・ジャパン株式会社 MR Sales & Marketing 寺嶋 健一 2014 年 4 月に横浜で開催された ITEM2014 における GE MR のトピックスを紹介する。 ブース内では「Discovery MR750w」のモックアップを展示し、新バージョン「DV24」の機能を体感し て頂いた。 世界で初めて音のしない MR 検査を実現した「SILENT SCAN」は特に注目されており、撮像をしてい ない騒音レベルから +3dB 以下の音圧レベルに抑えている。 これは騒音の発生源である傾斜磁場のス イッチングをほとんど行わない技術と、RF 送信と受信の時間を限りなくゼロにしている「ゼロ TE テクノ ロジー」との融合によって実現できた撮像法である。 この撮像法を MRA に適用することによって、今 まで画像化が難しかった脳動脈瘤に対するコイル塞栓およびステント留置後のフォローに有用だという報 告が出ている。 毎回血管造影をしなくても塞栓後の血流評価が可能になると期待できる。 また、「FOCUS」は局所選択励起を用いた拡散強調画像撮像法であるが、折り返しを気にすることなく 撮像視野を狭めることができる。 従来法では難しかった延髄領域や膵臓・前立腺において高分解能な拡 散強調画像が歪みも無く得られるようになる。 頭部領域の検査において 3 次元の動き補正を可能にした「3D PROMO」は、装置が患者の動きを予測し て、その傾きに合わせて励起パルスを打つことができる。 データ収集後に再度動きをモニターして、予 測と合っているかどうかを確認する。 これを繰り返すことによって、3D 撮像においてブレのない画像を 得ることができる。 3D ASL、MR-Touch、IDEAL-IQ など定量化につながる信頼度の高いアプリケーションによって、疾患 のグレード評価などに適用できる。 以上 『最新MRI トピックスのご紹介』 東芝メディカルシステムズ株式会社 営業本部 MRI営業部 千葉寿恵 今年のITEM における東芝MRI ブースでは、1.5T最新装置“Vantage Elan”(図1)を展示、併せてElanに 搭載されている最新アプリケーションを紹介し、ご来場を頂いた多くの先生方からのご高評をいただきまし た。本研究会では、これら最新情報の中から “乳房MRIアプリケーション”をご紹介致します。 近年、乳房MRIは大きな注目を集めています。乳癌診療ガイドライン2013では、広がり診断、多発乳癌の 検出に加え、乳房内病変の診療方針決定が推奨グレードB (科学的根拠があり、実践するよう推奨する)と 明記され、MRIの重要性が高まりました。また、同ガイドラインおよび日本乳癌検診学会から、ハイリスク群 に対するスクリーニングの有用性が示されています。加えて、乳房再建で使用するインプラントの保険適用 にともなうスクリーニング検査の増加も予想されています。この状況を背景に今後検査数増加が予想される 乳房MRIに対して、当社の最新の取り組みを紹介させて頂きます。 ●より確実な脂肪抑制画像のご提供 脂肪抑制法「Enhanced Fat Free」は2発の脂肪抑制パルスを印加することが特長です(図2)。懸念される 撮像時間の延長はSPAIR法のように縦磁化の回復を待たないため、時間の延長なく高い脂肪抑制効果を 提供します。 ●さらなる高画質な画像のご提供 乳房形状に応じてコイルを上下左右に動かすことが可能な専用コイル「ブレストSPEEDER」により、コイル を乳房に密着させることが可能なため従来に比べ大幅にSNRが向上します(図3)。 ●インプラントのスクリーニングの適用 乳房インプラントの検査用として、シリコンを選択励起するシーケンス「PASTA-Si」があります。インプラン トの内容成分がシリコンか生理食塩水かの識別およびシリコンの漏れの有無を確認することができます。 図 2. 脂肪抑制法 Enhanced Fat Free の概念 図 1. 1.5T 最新装置“Vantage Elan” 図 3. 上下左右にシフトするブレスト SPEEDER PHILIPS 最新 MRI トピックス Philips Electronics Japan Healthcare sector MR Modality Specialist Masafumi Hiroyasu 今年の ITEM2014 では“臨床現場でのルーチン検査にこだわる”をテーマに、新製 品のハイエンド装置「Ingenia CX」(3.0T/1.5T)の発表が行われました。 本演題の内容と致しまして、第一に新製品「Ingenia CX」の御紹介をさせていただ きます。第二に、この新製品のデジタル MRI に搭載される「最新アプリケーション」 についてご紹介させていただきます。内容としましては特長的なアプリケーションで ある歪みやすい側頭葉などの歪みを抑えた拡散強調画像を得られる“TSE DWI” や、3.0T で腹部や乳腺の拡散強調画像に現れやすいアーチファクトを低減する “LIPO”の御紹介をさせていただきます。 第三として、MR ソリューションとして、新たに発表があった MRI ガイド下前立腺生 検システム「MR Therapy」や放射線治療位置決めシステム「Ingenia MR-RT」に ついて御紹介させていただきます。 株式会社日立メディコ 「日立最新技術の紹介」 株式会社 日立メディコ MRI システム本部 ソフト開発部 西原 崇 本年 4 月にパシフィコ横浜にて開催された ITEM2014 において、日立メディコは 3T 超電導 MRI 装置「TRILLIUM OVAL(トリリアム オーバル)」と、1.5T 超電導 MRI 装置「ECHELON RX (エシェロン アールエックス)」を展示したほか、最新のアプリケーションや臨床画像を展示さ せて頂きました。 本報告では最新アプリケーションの中から、ご好評を頂いた選択的 TOF MRA(BeamSat TOF) をご紹介させて頂きます。BeamSat TOF は、3D TOF のプリパルスとして pencil beam 型の励 起プロファイルを持つ RF パルス(Beam Sat パルス)を使用した撮像技術であり、BeamSat パル スにより特定の血管から流入する血液の信号を選択的に抑制することで、従来の TOF 画像に血行 動態に関する情報を付加できる機能です。 また、先月イタリア・ミラノにて開催された ISMRM では次世代開発技術について多数の学会 発表をさせて頂きました。本報告では、簡単に報告内容をご紹介させて頂きます。 ITEM 展示ブース BeamSat TOF 紹介スライド 3T MRI 装置 TRILLIUM OVAL ISMRM2014 シーメンス・ジャパン(株) MR ビジネスマネージメント部 諸井 貴 MRI の技術開発はここ数年さらに加速しており、特に快適性と高画質、定量化など様々な 方向に広がっています。 検査中の音の問題は、MR 装置の登場時から指摘されてきた問題であり、これまでも様々な 技術開発が行われてきました。しかし、従来の静音技術は、検査時間の延長やコントラスト の大幅な低下、検査時間の延長など、問題点が多く結果的には広く使われるには至りません でした。シーメンス社から発表された Quiet Suite は、これら問題点の多くを改善しており、 適用できる画像コントラストや検査部位の多様性の点でも大きく機能が向上しています。日 常臨床検査で使用できる静音技術の登場は、小児検査のみならず、検査中における被験者の 協力が得やすくなり、画質向上や検査時間短縮にも寄与すると期待されています。 静音化とともに大きな注目を集めていたのは、動きのある部位を対象とした FREEZEit とい う撮像技術です。ダイナミック検査では造影剤の到達タイミングを的確に反映した画像が非 常に重要といわれています。TWIST-VIBE は、全肝を 2.5 秒/相で表示することが出来る高 速性と高分解能を両立した撮像技術です。この技術の実現により、薬物動態解析による更に 高精度での定量評価が行えると期待できます。一方、息止め自体が困難な被験者や検査部位 では、これまで有効な対策がありませんでした。StarVIBE は、3D Stack of stars 法を取 り入れた撮像法であり、自由呼吸下でも体動アーチファクトを大幅に軽減した画像が得られ ます。StarVIBE は上腹部以外でも全身で適用でき、スクリーニング検査にも有用であるこ とが期待できます。 心臓検査では、定量化のための大きな障壁であった動きの問題をクリアする HeartFREEZE と呼ばれる技術が発表されました。検査後の動きを自動的に補正することで、スキャン後自 動的に定量マップ作成を可能としています。 今後もシーメンス社は、臨床検査に役立つ様々な技術開発を行うことで、快適性と高画質、 定量性を追求した MRI 検査実現に貢献してまいります。
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