連続立体交差事業に関する 最近の動向

第46回 連続立体交差事業研究会
連続立体交差事業に関する
最近の動向
国土交通省 都市局 街路交通施設課
街路交通施設企画室長
本田 武志
平成26年7月31日(木)
Ministry of Land, Infrastructure, Transport and Tourism
連続立体交差の事業効果と課題
事業効果
• 踏切除却による踏切事故の解消
事
• 開かずの踏切の除却等による交通渋滞の解消
• 鉄道により分断されている市街地の一体化によ
る地域の活性化
Ministry of Land, Infrastructure, Transport and Tourism
1
重要性1 踏切事故の解消
■踏切事故の現状
関係者年齢別の踏切事故
発生割合(H24
発生割合(
H24年度
年度))
踏切事故件数と踏切事故による
踏切事故件数と踏切事故による
死傷者数の推移
死傷者数
の推移
年齢不明
3%
500
80歳
歳
以上
15%
450
400
450
350
踏切事故件数
362
300
367
333
250
200
122
150
100
174
163
143
115
50
102
死亡者数
0
H17
H18
H19
316
323
305
295
負傷者数
120
128
327
H20
123
92
H21
138
121
128
117
87
79
94
H23
H24
H25
113
H22
0∼9歳 10歳代
7%
2%
20歳代
10%
30歳代
6%
70歳代
17%
60歳代
16%
原因別の踏切事故
発生割合(H25
発生割合(
H25年度
年度))
40歳代
14%
50歳代
11%
その他
5%
直前
落輪・停
滞・エン
横断
スト
45%
35% 側面衝
撃・限界
支障
15%
■60歳以上の割合が約50%
踏切遮断時間と事故発生件数
踏切遮断時間と事故発生
件数【歩行者の直前横断
歩行者の直前横断】】
※第1種踏切を対象に集計(H18∼H22年度平均)
■ 全国の鉄道における踏切事故は、
毎年300件程度。
■ 踏切事故による死傷者数は
踏切事故による死傷者数は、
毎年200人以上。
(注)自殺を原因とする場合は含まない。
出典:国土交通省資料
Ministry
of Land, Infrastructure, Transport and Tourism
2
海外主要都市との踏切数の比較
日本国内の踏切箇所数は、海外の主要都市に比較し非常に多い。
東京23区はパリの約40倍
東京23区
パリ周辺
※上図は軌道の踏切を除く。
【東京23区とパリの踏切数の比較】
【東京
区と リの踏切数の比較】
踏切数
【東京23区と海外の主要都市との踏切数の比較】
東京23区
ニューヨーク
ロンドン
ベルリン
パリ
ソウル
629
47
13
46
15
16
出典:
・東京23区:踏切道実態調査(H21DB)、除却調査(H25.3末現在)
・ニューヨーク:Federal Railroad Administration Highway Rail Crossing Inventory database (http://safetydata.fra.dot.gov/OfficeofSafety/publicsite/Downloaddbf.aspx)
ニューヨーク市のブロンクス、ブルックリン、マンハッタン、クイーンズ地区の踏切( Closed Crossing or Abandoned を除く)
・パリ:パリ都市地図( Banlieue de Paris (Michelin))、GoogleMap(航空写真、Street View)
・ロンドン:ロンドン都市地図( LONDON AZ (Geographers A-Z MAP Co.)、 GoogleMap(航空写真、Street View)
・ベルリン:ベルリン都市地図( Standardfaltung Berlin (Falk Verlag))、GoogleMap(航空写真、Street View)
Ministry of Land, Infrastructure, Transport and Tourism
3
重要性2 交通渋滞の解消
■JR南武線(稲田堤駅∼府中本町駅間)連続立体交差事業(東京都)
<事業概要>
○事業区間:JR南武線(稲田堤駅∼府中本町駅間) 約4.3km
(Ⅰ期区間:約1.9km、Ⅱ期区間:約2.4km)
○総事業費:約598億円
(H23.12 月下り線立体化完成)
(H17.10 月立体化完成)
○事業期間:H4∼H27
○除却踏切:15箇所の踏切
○除却踏切
15箇所の踏切
(うち開かずの踏切1箇所、
自動車ボトルネック踏切2箇所)
*平成17年10月にⅠ期区間を高架化
*平成25年12月にⅡ期区間を高架化
Ministry of Land, Infrastructure,
Transport and Tourism
鶴川街道 高架切替前
【凡例】
●:開かずの踏切
◎:ボトルネック踏切
○:その他の踏切
鶴川街道
高架切替後
4
重要性2 交通渋滞の解消
■ 南武線(稲田堤駅 府中本町駅間)連続立体交差事業(東京都)
■JR南武線(稲田堤駅∼府中本町駅間)連続立体交差事業(東京都)
Ⅱ期区間高架化による効果 【自動車等交通の円滑化】 (東京都プレス資料)
踏切遮断が解消
自動車の平均速度が向上
交通渋滞が解消
Ministry of Land, Infrastructure, Transport and Tourism
5
重要性3 地域の活性化
■高架下空間を活用した賑わいの創出
浜松べんがら横丁:平成18年3月開業(飲食施設)
中心市街地活性化を図るために、 「都心ゲートパーク北地区整備事業」として、
事業提案
事業提案コンペで選定された民間事業者に公共空間である高架下の使用を許可。
ペ 選定された民間事業者
共空間 ある高架
使 を許
民間事業者が施設整備・管理・運営を実施。
(浜松市提供資料)
位置図
浜
松
市
静
岡
県
該当箇所
出典:浜松べんがら横丁HP
新浜松駅
Ministry of Land, Infrastructure, Transport and Tourism
出典:Google map
6
重要性3 地域の活性化
■高架下空間を活用した賑わいの創出
((株)中央ラインモール資料)
株
資
中央ラインモールプロジェクト
JR東日本グループが、連続立体交差化により生み出された中央線の高架下空間(全長約9km、約
70 000 2)を、沿線自治体によるまちづくりと連携をとりながら一体的に整備・開発
70,000m
)を 沿線自治体によるまちづくりと連携をとりながら 体的に整備 開発
【株式会社JR中央ラインモール】
平成22年12月にJR東日本の100%子会社として設立。武蔵境、東小金井、武蔵小金井、国立の4駅の駅と前
後の高架下エリアのまちづくりに加え、西国分寺駅の商業開発に取り組む。
魅力あるSCの開発
【【nonowa 西国分寺】
【【nonowa 武蔵境】
エリアマガジンの発行
【【nonowa 東小金井】
毎月20日 3万部発行
(三鷹 立川間の駅で無料配布)
(三鷹∼立川間の駅で無料配布)
(東京都HP)
Ministry of Land, Infrastructure, Transport and Tourism
7
連続立体交差事業の実施状況
これまでに約150地区で事業を完了し 約1 600箇所の踏切を除却
これまでに約150地区で事業を完了し、約1,600箇所の踏切を除却。
平成26年度は、全国57箇所で実施。
事業主体
宮城県
所在都市
多賀城市
鉄道名路線名
JR東日本仙石線
○
事業主体
川崎市
所在都市
川崎市
鉄道名路線名
京浜急行電鉄大師線
○
事業主体
兵庫県
所在都市
明石市
鉄道名路線名
山陽電鉄本線
群馬県
伊勢崎市
JR東日本両毛線・東武鉄道伊勢崎線
○
横浜市
横浜市
相模鉄道本線
○
京都市
○
京都市
阪急京都線
埼玉県
春日部市
東武鉄道伊勢崎線・野田線
-
富山県
富山市
JR北陸本線等
○
○
大阪市
大阪市
JR西日本片町線・東西線
-
千葉県
鎌ヶ谷市
東武鉄道野田線新京成電鉄新京成線
千葉県
野田市
東武鉄道東武野田線
○
新潟市
新潟市
JR信越本線等
○
岐阜県
岐阜市
名古屋鉄道名古屋本線
○
大阪市
大阪市
阪急電鉄京都線・千里線
○
-
大阪市
大阪市
JR東海道支線
-
東京都
調布市
東京都
稲城市
京王鉄道京王線・相模原線
○
静岡県
沼津市
JR東日本南武線
○
愛知県
知立市
JR東海東海道本線・御殿場線
○
堺市
堺市
南海電鉄南海高野線
-
名古屋鉄道名古屋本線等
○
堺市
堺市
南海電鉄南海本線
○
東京都
東村山市
西武新宿線他2路線
○
愛知県
半田市
JR東海武豊線
-
神戸市
神戸市
阪神電鉄本線
○
東京都
渋谷区、世田谷区、杉並区
東京都
京王京王線
○
三重県
世田谷区、杉並区 京王京王線
○
名古屋市
四日市市
近畿日本鉄道名古屋線
○
岡山県
倉敷市
JR西日本山陽本線等
名古屋市
名古屋鉄道名古屋本線
-
広島県
東京都
新宿区、中野区 西武新宿線
-
府中町・海田町 JR西日本山陽本線・呉線
○
○
○
豊田市
豊田市
名鉄三河線
-
広島市
広島市
JR西日本山陽本線・呉線
小田急電鉄小田原線
○
福井県
福井市
JR西日本北陸線等
○
徳島県
徳島市
JR四国高徳線・牟岐線
-
東武鉄道伊勢崎線
東
鉄 伊
線
○
大阪府
東大阪市
東
市
大阪外環状鉄道大阪外環状線
○
愛媛県
松山市
松
市
JR四国予讃線
讃線
○
JR埼京線
-
大阪府
東大阪市
近畿日本鉄道奈良線
○
福岡県
大野城市
西日本鉄道天神大牟田線
○
大田区
京浜急行本線・空港線
○
大阪府
高石市
南海電鉄本線・高師浜線
○
長崎県
長崎市
JR九州長崎本線
○
東京都
練馬区
西武池袋線
○
大阪府
泉大津市
南海電鉄本線
○
熊本県
熊本市
JR九州鹿児島本線・豊肥本線
○
東京都
葛飾区
京成押上線(補助第140号線)
○
大阪府
○
鹿児島市
鹿児島市
JR九州指宿枕崎線
○
東京都
墨田区
墨
区
京成押上線
京成押
線
○
大阪府
摂津市
阪急京都線
-
北九州市
北九州市
JR九州筑豊本線・鹿児島本線
○
墨田区
墨田区
東武伊勢崎線
-
兵庫県
西宮市
阪神電鉄本線
○
福岡市
福岡市
西日本鉄道天神大牟田線
○
東京都
世田谷区
足立区
足立区
東京都
北区
東京都
寝屋川市、枚方市 京阪本線
【凡例】
○:事業着工箇所(44箇所)
Ministry of Land, Infrastructure, Transport and Tourism
−:着工準備箇所(13箇所)
8
連続立体交差の事業効果と課題
事業効果
• 踏切除却による踏切事故の解消
• 開かずの踏切の除却等による交通渋滞の解消
鉄道 より分断され
る市街地
体化 よる
• 鉄道により分断されている市街地の一体化による
地域の活性化
…しかしながら…
しかしながら
• 全体事業費・ピーク時の必要額が多額
• 用地取得などによる事業期間の長期化
• 公共事業費の減少
Ministry of Land, Infrastructure, Transport and Tourism
9
課題1 多額の事業費
平成26年度 事業実施個所の平均像
‹ 全体事業費※:
約590億円
‹ 整備延長
:
約3.2km
‹ 踏切除却数
:
約9箇所
※全体事業費:都市側負担分に鉄道事業者負担分を加えた全体事業費
(参考)ピーク時の事業費増大に伴う地方財政の圧迫
高知県の街路事業費とJR土讃線連立事業費の推移
45
40
(億円)
街路事業
連立事業 連立事業
街路事業
35
30
25
20
15
10
5
0
H6 H7
Ministry of Land, Infrastructure, TransportH4andH5Tourism
H8 H9 H10 H11 H12 H13 H14 H15 H16 H17 H18 H19
10
課題2 用地取得などによる事業期間の長期化
<JR中央線連続立体交差事業(三鷹駅∼立川駅)の流れ>
(約2年)
当初計画
測量・設計
(約3年)
用地買収
(約2年)
仮線工事
(約3年)
高架工事
(約1年)
仮線撤去・側道
8年間
H7年
H15年
(約3年)
実施
測量・設計
(約7年)
用地買収
(約5年)
仮線工事
(約8年)
高架工事
(約4年)
仮線撤去・側道
H7年
18年間
H25年
【事業期間が長い理由】
・用地取得の長期化(難航物件の処理)
用地取得の長期化(難航物件の処理)
・工事に起因する事故を契機に、駅利用者の安全確保や列車運行の安全性・安定性の
確保を徹底するため、列車が運行していない時間帯での工事が増加
Ministry of Land, Infrastructure, Transport and Tourism
11
課題3 公共事業費の減少
■ 年々厳しくなる財政状況
● 厳しい地方財政
地方税収の落込み等により平成6年度以降、財源不足が急激に拡大
地方税収の落込み等により平成6年度以降
財源不足が急激に拡大
(H26年度は財源不足は約11兆円、借入金残高は平成3年度の2.9倍に)
● 公共事業費の減少
一般公共事業費(国交省)H22(0.85) →H23(0.88) →H24(0.92)
→H25(1
H25(1.14)
14) →H26(1
H26(1.02)
02)
※H23、24:地域自主戦略交付金への移行額を除く
● 防災
防災・安全交付金の創設(平成25年度)
安全交付金の創設(平成25年度)
社会資本整備総合交付金(連立事業を含む)の総額が減少
【平成26年度国土交通省関係予算事業費注) 】
社会資本総合整備: 4兆 980億 (前年度比:1.02)
(前年度比:1 02)
-社会資本整備総合交付金 : 1兆8,653億円(前年度比:1.01)
-防災・安全交付金
: 2兆2,327億円(前年度比:1.04)
Ministry of Land, Infrastructure, Transport and Tourism
12
推進に向けて取り組むべき視点
視点1 コスト縮減・工期の短縮
・新たな工法の採用(低コスト、用地取得期間短縮等)
新たな工法の採用(低コスト 用地取得期間短縮等)
・コンパクト化(区間短縮等)
視点2 効果(一部)の早期発現
・仮線高架
仮線高架、片側切換
片側切換
・段階的整備
視点3 付加価値の創出
付加価値 創出
・連立を契機としたまちづくり(再開発、新機能立地等)
連
契機 し
(再開発、新機能 地等)
・鉄道の利便性向上
・駅を中心とした公共交通の充実
Ministry of Land, Infrastructure, Transport and Tourism
13
直上方式の採用
視点1 コスト縮減・工期の短縮
直上方式
連続立体交差事業の実施にあたって、直上方式を採用
することによって、用地取得期間の短縮を図り、事業効
果を早期に発現
果を早期に発現。
事業期間
事業主体 :東京都
延長 :6,008m(本線:4,718m、空港線:1,290m)
全体事業費 :約1,243億円
事業期間 :平成12年度∼平成26年度
【京浜急行電鉄本線・空港線連続立体交差事業 (京急蒲田駅付近)】
凡 例
・除却される踏切 計28箇所
除却される踏切 計28箇所
● : その他の踏切 (9箇所)
● : 開かずの踏切 (11箇所)
● : 自動車BN踏切 (3箇所)
● : 歩行者BN踏切 (5箇所)
:京浜急行本線・空港線連続立体交差事業
:整備済街路
:事業中街路
:概成整備街路
:三次事業化優先整備路線
:都市計画道路
都市計画道路
直上施工機
直
施 機
京急蒲田駅完成イメージ
梅屋敷第4踏切
京急蒲田第10踏切 京急蒲田第5踏切
京急蒲田第12踏切
京急蒲田第13踏切
雑色第3踏切
京急蒲田第8踏切 京急蒲田第2踏切
梅屋敷第1踏切
梅屋敷第2踏切
京急蒲田第11踏切 京急蒲田第6踏切 梅屋敷第5踏切
梅屋敷第3踏切
京急蒲田第9踏切 京急蒲田第4踏切
大森町第4踏切
大森町第3踏切
大森町第1踏切
平和島第5踏切
雑色第1踏切
雑色第4踏切 雑色第2踏切
京急蒲田(空)第1踏切
京急蒲田(空)第2踏切
京急蒲田(空)第3踏切
京急蒲田(空)第4踏切
糀谷第1踏切
Ministry of Land, Infrastructure, Transport and Tourism
14
最急こう配の採用
視点1 コスト縮減・工期の短縮
高架区間短縮⇒コスト縮減・事業期間短縮
⇒コスト縮減 事業期間短縮
例)名古屋鉄道名古屋本線等
連続立体交差事業(知立駅付近)
35‰
Ministry of Land, Infrastructure, Transport and Tourism
35‰
15
片側を先行して高架化
視点2 効果(一部)の早期発現
連続立体交差事業において、片側を先行して高架化
連続立体交差事業において
片側を先行して高架化
⇒踏切遮断時間の短縮(事業効果を早期に発現)
【JR中央線連続立体交差事業(武蔵境駅部)】
JR中央線下り線(三鷹駅∼国分寺駅間)高架化:H19.7.1切替
※当該区間を含む三鷹駅∼立川駅間(13.1km)、H22.11.7高架切替(踏切除却済み)
⇒踏切の遮断時間が約4割減少
立川方面
○踏切遮断時間が平均約4割減少、13か所の踏切
のうち6か所で「開かずの踏切」※1状態解消
西武多摩川線
JR中央本線
○小金井街道では、踏切の遮断により発生す
る最大渋滞長が約4割減少
東京方面
Ministry of Land, Infrastructure, Transport and Tourism
16
段階的な整備
視点2 効果(一部)の早期発現
一連の事業区間において、段階的に整備:
連の事業区間において 段階的に整備 事業単位
のコンパクト化を図り、事業効果を早期に発現。
【西武池袋線連続立体交差事業(練馬高野台駅∼大泉学園駅間)】
大泉学園
都市計画変更区間 (H17.6)
都市計画決定区間 (S46.1)
←所沢方
豊島園
南口まちづくり
Ⅰ期区間に引き
続き整備中
事業化区間 約2.4km
都市計画変更区間 (H17.6)
新規事業化区間 22.4km
4km
在来線高架化 1.2km
Ⅰ期区間として整備
既事業化区間 約5
約5.4km H15.3高架複々線化工事完了
4km H15 3高架複々線化工事完了
都市計画決定区間 (S46.1)
既事業化区間 約
約5.4km H15.3高架複々線化工事完了
高架複々線化 事完了
複々線高架化 1.2km
事業化区間2.4km
整備延長
:約2.4km
全体事業費
:約474億円(うち都市側事業費:約285億円)
着工準備採択
:平成15年度
事業スケジュール:平成19年度∼平成26年度(予定)
Ministry of Land, Infrastructure,
Transport and Tourism
17
連立を契機としたまちづくり
視点3 付加価値の創出
∼周辺まちづくりに与える効果∼
■JR鹿児島本線外1線(熊本駅∼上熊本駅間)連続立体交差事業
連続立体交差事業と一体的に開発される周辺整備
鹿児島本線等連続立体交差事業
九州新幹線
東A地区再開発事業
熊本駅西土地区画整理事業
熊本駅
熊本駅西口広場
熊本駅東口広場
医療系専門学校
民間マンション開発
熊本合同庁舎A棟
0番線ホーム跡地開発計画
※民間商業開発を計画
熊本合同庁舎B棟
整備済(概成含む)
整備中 計画中
整備中・計画中
赤字 民間事業関係
赤字:民間事業関係
事例 JR鹿児島本線 豊肥本線連続立体交差事業(熊本駅 上熊本駅間)
事例:JR鹿児島本線・豊肥本線連続立体交差事業(熊本駅∼上熊本駅間)
○ 連続立体交差事業は、事業を契機とした鉄道施設の増強(鉄道事業者の負担)、土地区画整理事業や市街地再開
Ministry
of Land, Infrastructure, Transport and Tourism
発事業による市街地開発、民間によるマンション建設等を誘発する民間投資誘発効果の高い事業
18
連立を契機としたまちづくり
視点3 付加価値の創出
∼健康・医療・福祉施策との連携∼
連続立体交差事業完了(平成20年度)から数年後….
高架下空間を利用した福祉施設(認可保育所・デイケアサービス)が開設
■京成電鉄京成本線連続立体交差事業
(海神駅∼船橋競馬場駅間) 【平成20年度事業完了】
東
認可保育所
船橋市 (H23.4∼)
武
鉄
道
京
野
成
本 至
線 京
至
田
柏
線
成
上
野
JR総武線
船橋駅
N
至 津田沼
︵
︶
都
京成船橋駅
宮
古
船
本
橋
町
駅
東
三
線
浜
線
和
︶
都
︶
都
田
本
︵
︵
(都)海神町前原東2丁目線
釜
町
大
神
宮
線
京成本線
船橋競馬場駅
至 津田沼
下
駅
:交通が集中する 踏切
連続立体交差事業区間 京成本線 L=2.5km
:その他の踏切
デイサ ビ (セントケア大神宮下)
デイサービス
【参考】交通施設バリアフリー化設備等整備費補助金
(生活支援機能整備事業) 対象事業
セントケア千葉(株)(H24.3∼)
※これまで既存の鉄道駅施設におけるエレベーター等
のバリアフリー施設整備のみ対象であったものが、
新たに子育て支援施設・医療施設の整備にも拡大。
Ministry of Land, Infrastructure, Transport and Tourism
19
鉄道の利便性向上: 新潟駅
視点3 付加価値の創出
■JR信越本線等(新潟駅付近)連続立体交差事業
連続立体交差事業により、在来線ホームを新幹線ホーム高さにあわせ、
新幹線と在来線の同一ホームを供用することにより、乗り換え利便性を向上
高架化工事箇所 【H24∼】
【イメージ図】
【断面図】
Ministry of Land, Infrastructure, Transport and Tourism
20
駅を核とした公共交通の充実:富山駅
視点3 付加価値の創出
【路面電車南北接続事業】
富山ライトレール(株)富山港線と富山地方鉄道(株)富山軌道線を富山駅高架下にて接続
1 LRTネ トワ ク 形成
1.LRTネットワークの形成
2 交通結節機能の強化
2.交通結節機能の強化
3.北部地区と中心市街地地区のアクセス強化
至 岩瀬浜
至
○富山ライトレール」7.6kmと市内電車7.3km
富山
」
市内 車
を接続することにより、15.2kmの路面電車ネット
ワークが構築される。
○富山駅高架下に停留場を設置することによ
り、乗降時・待合時の環境が向上する
Ministry of Land, Infrastructure, Transport and Tourism
至 南富山駅前
○新幹線・在来線のほか、路線バスやタクシー、
自家用車等と路面電車が有機的に接続される
ことにより、乗り換え利便性が格段に向上し、富
山駅周辺地区の交通結節機能が強化される。
大学前
○これまで富山駅において分断されていた南北
の路面電車を接続することにより、富山市の北
部地域と中心市街地のアクセス強化が図られ、
公共交通や中心市街地の活性化に寄与する。
21
推進に向けた取り組み ー 連立勉強会
平成25年度『連続立体交差事業に関する勉強会』
【趣旨】
連続立体交差事業の推進にむけ、工期短縮・コスト縮減策
及び事業効果の考え方について、地方自治体の関係者と意
見交換を行いながら検討を進めるもの。
【主な検討テーマ】
【主な検討テ
マ】
1)工期短縮・コスト縮減策の検討
2)事業効果の考え方の整理
→ 計4回の勉強会を実施
Ministry of Land, Infrastructure, Transport and Tourism
22
推進に向けた取り組み − 連立勉強会
工期短縮 コスト縮減策
工期短縮・コスト縮減策
【連続立体交差事業の全体像の整理】
事業費・工期は、当初計画と実績で大きく乖離していることが多く、
その大きな原因の一つとして「用地買収の難航」が挙げられる。
【事業段階に応じた着眼点】
①比較設計協議時:
用地買収リスクを踏まえて施工方式を選定
− 直上高架方式の検討(※直上工事桁方式)
②詳細設計協議時、施工時:
コスト縮減、工期短縮にむけた施工技術 工夫
コスト縮減、工期短縮にむけた施工技術・工夫
− ラーメン高架橋のプレキャスト構築工法
− 地中梁の省略工法 等
各事業段階(連立調査∼施工後)における検討のポイントを整理
Ministry of Land, Infrastructure, Transport and Tourism
23
①比較設計協議時∼施工方式の選定∼
Ministry of Land, Infrastructure, Transport and Tourism
24
①比較設計協議時∼施工方式の選定∼
■直上工事桁方式
事前に工事桁架設の準備をしておき、切り替え当夜には工
事桁を一気に架設して計画高架線に切り替える工法
事桁を
気 架設
高架線
り替
法
メリット
デメリット
・用地取得面積を抑えることができるため、事業工期延伸リスクが低減。
・道路と鉄道の早期立体化による、踏切解消の早期実現
・計画構造物の高架高さを直上機械工法に比べ低くすることが可能。
・夜間作業の増加、仮設工事の増加
・工事費が高くなる。
工事費が高くなる。
・施工難度が高い。
Ministry of Land, Infrastructure, Transport and Tourism
25
②詳細設計協議時、施工時∼施工技術・工夫∼
■コスト縮減 工期短縮に係る施工技術 工夫
■コスト縮減・工期短縮に係る施工技術・工夫
コスト縮減・工期短縮が期待できる鉄道の施工・工夫の事例と
して 以下の工法について 実績 概要 適用条件等を整理
して、以下の工法について、実績、概要、適用条件等を整理
①鉄道ラーメン高架橋のプレキャスト構築工法
②
②トラス鉄筋付ハーフプレキャスト床版工法
プ
③地中梁省略工法
④CFT柱を用いた鉄道ラーメン高架橋
⑤ハイブリッド駅舎
⑥RC構造物の高さの変更工法(ジャッキアップ)
⑦直上高架プレキャストアーチ式高架橋(すいすいSWAN工法)
ハイブリッド駅舎
地中梁省略工法
線路方向の地中梁を省略
地中梁あり
Ministry of Land, Infrastructure, Transport and Tourism
全ての地中梁を省略
26
各事業段階における対応策の整理
各事業段階(連立調査∼施工後)における
コスト縮減、工期短縮にかかる検討のポイントを整理
チ クリスト形式で整理
チェックリスト形式で整理
Ministry of Land, Infrastructure, Transport and Tourism
27
推進に向けた取り組み ー 連立勉強会
事業効果の考え方の整理
①工期短縮による便益への影響
①工期短縮による便益
の影響
②連続立体交差事業の整備効果の検討
・防災面に関する効果
(避難迂回の解消、延焼遮断等)
・歩行者に関する効果
(移動経路の変化(短縮・上下移動解消)、歩行快適性等の向上等)
・周辺まちづくりに与える効果
周辺まちづくりに与える効果
(高架下空間の創出、市街地分断の解消、商業活動等への影響等)
等
整備効果にかかる検討事例等を整理
(連続立体交差事業の整備効果にかかる参考資料集)
③交通便益算定上の技術的課題の整理
Ministry of Land, Infrastructure, Transport and Tourism
28
①工期短縮による便益への影響
事業期間の短縮による効果
○ 工法選択等により事業期間を短縮させることで、工費が増加してもB/Cが向
上するケースもあり得る
【事業期間を短縮する場合の50年便益の考え方】
事業費が
436億円まで
増加しても
B/C>1
供用開始から50年
年
連立の平均像
・複線高架化
・区間延長3.59km
・工期16.6年
・工費372.6億円
Ministry of Land, Infrastructure, Transport and Tourism
総効果に算入する部分
各年次の想定便益
基準年次便益
総効果は
基準年次便益の
13.95倍
供用開始(4年短縮
供
縮)
事業費は
373億円未満で
B/C>1
基準年次便益は
31.2億円で
変わらないとすると
基準年次
次
総効果は
基準年次便益の
11.93倍
0年
供用開始から50
供用開始(16年
年)
基準年
年次
総効果に算入する部分
各年次の想定便益
基準年次便益
基準年次便益は変わらないが、
工法選択により工費と期間が変動する場合
基準年次便益が
31.2億円だと
B/C≒1
直上工法で工期を短縮(工費は増加)
4年短縮
29
②連続立体交差事業の整備効果の検討【周辺まちづくりに与える効果】
高架下への施設等導入による効果
商業活動等への効果
(駅周辺放置自転車等の変化)
(駅表・裏の
事業所数の
変化)
高架下駐輪場
供用開始
市街地分断の解消
(一定時間内到達範囲の拡大)
鉄道事業者への効果
(高架化前後における鉄道乗車人員の変化)
高架切替
グラフの数値は高架化後の期間に合わせて、すべて前年12月から当年8月
までのデータとなっている
Ministry of Land, Infrastructure, Transport and Tourism
30
③交通便益算定上の技術的課題の整理
行政区域を超えた交通流動の評価
幹線道路以外の道路ネットワーク
幹線道路以外の道路ネットワ
ク
●都府県間ODやネットワークの整合確保
(交通センサスODの分割情報、コードンポイントの共
有)
【県境を越えた配分と便益の計測例】
●詳細ネットワー
●詳細ネットワ
クの整合確保
(配分結果・
QV条件データ
の提供など)
前橋市
高崎市
安中市
伊勢崎
旧新町
玉村町
富岡市
太田市
上里町
甘楽町
本庄市
神川町
●市町村道ネットワークを追加する場合の作業項目
(断面交通量
【区画道路を加えたネットワーク配分例】
把握やOD分
割の考え方、
ネットワーク
上での再現
等にあたって
必要な作業
項目の整理)
深谷市
藤岡市
美里町
熊谷市
行田市
旧神泉村
鉄道と並行する幹線道路等への影響
●ミクロシミュレーションの併用
(車輌1台ごとの走行シミュレーションを行い
(車輌1台ごとの走行シミュレ
ションを行い、時間短
時間短
縮効果を積み
時間軸を持ったシ
上げ)
ミュレーション結果
をアニメーションで
●ミクロシミュ
表示している例
レーションを
レ
ションを
併用する場
合のマニュ
アルとの関
係性整理
歩行者流動に関する効果に関する対応
●歩行系行動の立体移動負荷の算入
●周辺まちづくりによって誘発される歩行者交通の評価
(現況歩行者流動を割り増しして評価するケース等)
●時間短縮、安全性向上以外の視点からの歩行者便
益定量化の検討
●歩行者交通の再現モデルやプローブパーソン調査な
どの新たな技術動向の把握
(費用便益比への組み込みは継続的な検討課題)
右折車両が交差点内で停止し滞留が発生
Ministry of Land, Infrastructure, Transport and Tourism
31
透明性の確保
■会計検査院 平成22年度決算検査報告 (一部抜粋)
( 部抜粋)
「鉄道事業者に工事を委託する場合の管理費の精算等について」
平成23年10月28日付け 国土交通大臣宛て
標記について、会計検査院法第34条の規定により、下記の通り是正改善の処置を求
める。
記
3 本院が求める是正改善処置
貴省においては、道路交通の円滑化や安全確保の観点から、今後も、補助事 業等に
より 道路と鉄道とが交差する箇所等での工事を鉄道事業者に委託して多数実施するこ
より、道路と鉄道とが交差する箇所等での工事を鉄道事業者に委託して多数実施するこ
とが見込まれる。
ついては、貴省において、委託工事における管理費の精算等を適切に行うよう、次のと
おり是正改善の処置を求める。
おり是正改善の処置を求める
ア 立体交差化に係る委託工事について
管理費については 鉄道事業者に対し 管理費の根拠資料を道路管理者等に提出す
管理費については、鉄道事業者に対し、管理費の根拠資料を道路管理者等に提出す
るよう指導するとともに、道路管理者等において、鉄道事業者に管理費の根拠資料の提
出を求め、これに基づき管理費の内訳等を確認した上で精算を適切に行うこととするよ
う、地方整備局等を通じて都道府県等に助言すること。
う、地方整備局等を通じて都道府県等に助言する
と。
Ministry of Land, Infrastructure, Transport and Tourism
32
透明性の確保
『鉄道事業者に高次を委託する場合の管理費の精算等について』
( 部抜粋)
(一部抜粋)
平成24年7月24日付け 北海道開発局、各地方整備局 宛て
事務連絡【都市局街路交通施設課、道路局路政課・環境安全課】
地方整備局等においては、下記事項について貴管内の都道府県、指定市に対し適切な助言を行う
とともに、本事務連絡を情報提供されたい。また、貴管内の都道府県に対して管内区市町村へも情報
提供頂くよう提供されたい。
記
(1)鉄道事業者に立体交差化による踏切道を除却する工事を委託する場合の管理費に
ついては 鉄道事業者に管理費の根拠資料の提出を求め これに基づき管理費の内訳等
ついては、鉄道事業者に管理費の根拠資料の提出を求め、これに基づき管理費の内訳等
を確認した上で精算を適切に行うこと。
『道路管理者等が鉄道事業者に立体交差化により踏切道を除却する工事を
委託する場合の管理費について』 (一部抜粋)
平成 年 月 日付け 各地方運輸局 宛て
平成24年7月24日付け
事務連絡【鉄道局技術企画課】
地方運輸局においては、下記事項について貴管下鉄道事業者に周知されたい。
記
・標題の管理費については、根拠資料を道路管理者等に提出すること。
Ministry of Land, Infrastructure, Transport and Tourism
33
事業の必要性・効果のアピール:京急本線・空港線の全線高架化の効果
平成25年3月28日 東京都 記者発表資料より
事業区間 約1.3km
踏切概要図
第 一 京 浜 の 自 動 車 交 通 が 円 滑 化!
糀谷駅
0
2
梅屋敷駅
第
4
【第一京浜の状況】
8
(空港線 京急蒲田(空)第 踏切)
(空港線:京急蒲田(空)第1踏切)
(時間/日)
自動車の平均走行速度が向上
【第一京浜の環7∼環8間における朝・昼・夕の平均走行速度】
高架化前
(H22.3調査)
19.6km/h
全線高架化後
(H24.11調査)
5
10
15
交通渋滞が解消
20
約3割向上!
25
梅
屋
敷
第
5
京急蒲田駅
京
急
蒲
田
第
2
京
急
蒲
田
第
10
京 京
急 急
蒲 蒲
田 田
第 第
11 12
京
急
蒲
田
第
13
雑色駅
雑
色
第
1
雑 雑 雑
色 色 色
第 第 第
2 3 4
川崎方面
六郷土手駅
京急本線
200
400
6.1%
11 6%
11.6%
7.9%
74 4%
74.4%
約9割
ゼロ!
0
30
600
800 (m)
※上り方面(川崎方面から品川方面)の最大渋滞長
(km/h)
羽田空港への道路アクセスが向上
780m
全線高架化後
(H24.11時点)
地元の方々が効果を実感
子どもの通学・高齢者の移動など安心感が高まった
【京急蒲田(空)第1踏切の遮断による渋滞長※の変化】
高架化前
(H22.3調査)
24.7km/h
0
梅 梅 梅 梅
屋 屋 屋 屋多
敷 敷 敷 敷摩
第 第 第 第堤
1 2 3 4通
り
事業区間 約4.7km
6
4
大
森
町
︶
ゼロ!
全線高架化後
(H24.11時点)
大
森
町
第
3
︶
︶
環
7
大森町駅
大
森
町
第
1
京急蒲田(空)第4
京急蒲田(空)第3
京急蒲田(空)第2
京急蒲田(空)第1
(第一京浜)
京 京 京 京 京
急 急 急 急 急
蒲 蒲 蒲 蒲 蒲
田 田 田 田 田
第 第環 第 第 第
4 58 6 8 9
︵
<全線高架化後>
︵
平和島駅
平
和
島
第
5
空港線
品川方面
︵
【京急蒲田(空)第1踏切の遮断時間の変化】
7.8時間/日
国道15号(第一京浜)
都道
H24.10に除却した踏切(24踏切)
H22.9に除却済みの踏切(4踏切)
糀谷第1
<高架化前>
踏切遮断が解消
高架化前
(H22.3調査)
羽田空港方面
大鳥居駅
※地元の方々へのアンケート調査結果
思う
思う
やや思う
変わらない
分からない
回答者数=215人
円 滑 な 消 防・救 急 活 動 に 貢 献
緊急出動時の移動がスムーズになった
羽田空港への道路アクセスが良くなった
14.9%
15.8%
69.3%
約7割
※地元タクシー会社へのアンケート調査結果
高架化前に踏切遮断で通行を妨げられた経験
7 2%
7.2%
95 2%
95.2%
ほぼ全員
92.8%
思う
変わらない
分からない
回答者数=215人
約9割
ある
ない
※地元消防署員へのアンケート調査結果
回答者数=83人
Ministry of Land, Infrastructure, Transport and Tourism
4.8%
消防署員
の意見
思う
どちらでもない
地下化後
・緊急出動で第一京浜側へ抜ける際は、踏切
緊急出動で第 京浜側
抜ける際は 踏切
部を必ず通過していたため、踏切が解消され
た効果は絶大である。
・踏切がなくなったことで、出動経路が多く
なり、現場到着時間も早くなった。
34
ご静聴ありがとうございました。
Ministry of Land, Infrastructure, Transport and Tourism