VI I TAM BN 12 - Lilly Oncology

L
FO AT E
VI TAMI NB12
葉酸 とビタミンB12
~ アリムタ投与に際して~
【警告】
1.本剤を含むがん化学療法に際しては、緊急時に十分対応できる医療施設において、
がん化学療
法に十分な知識・経験を持つ医師のもとで、本剤の投与が適切と判断される症例についてのみ投
与すること。適応患者の選択にあたっては、各併用薬剤の添付文書を参照して十分注意すること。
また、治療開始に先立ち、患者又はその家族に有効性及び危険性を十分説明し、同意を得てから
投与すること。
2.本剤による重篤な副作用の発現を軽減するため、必ず葉酸及びビタミンB 12の投与のもとに本剤
を投与すること。
[「用法・用量に関連する使用上の注意」の項参照]
3.重度の腎機能障害患者で、本剤に起因したと考えられる死亡が報告されているので、重度の腎機
能障害患者には本剤を投与しないことが望ましい。
[「慎重投与」の項参照]
4.多量の胸水又は腹水が認められる患者では、体腔液の排出を検討すること。
[ 他の葉酸代謝拮抗
剤で、胸水又は腹水等の体腔液の貯留が認められる患者に投与した場合、副作用の増強が報告
されている。]
5.本剤の投与により、間質性肺炎があらわれることがあるので、本剤の投与に際しては、胸部X線検
査等を行うなど観察を十分に行い、間質性肺炎が疑われた場合には、投与を中止し、適切な処置
を行うこと。
[「重要な基本的注意」の項参照]
【禁忌(次の患者には投与しないこと)】
1.本剤の成分に対し重篤な過敏症の既往歴のある患者
2.高度な骨髄抑制のある患者[骨髄抑制が増悪し、致命的となることがある。]
3.妊婦又は妊娠している可能性のある婦人[動物実験(マウス)
で催奇形作用が報告されている。]
ALM-P028
(R7)
2014年10月作成
効能・効果/用法・用量
〈参考〉
海外第Ⅲ相試験の概要
アリムタ+シスプラチン併用療法と
ゲムシタビン+シスプラチン併用療法の
多施設共同無作為化臨床試験
(JMDB試験)
アリムタ+シスプラチン導入療法後の
アリムタ維持療法とプラセボの
多施設共同無作為化臨床試験(PARAMOUNT試験)
対象と方法
【効能・効果】
対象
悪性胸膜中皮腫、切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌
対象と方法
化学療法歴のない臨床病期ⅢB期またはⅣ期の
非小細胞肺癌患者 1,725例
無作為化
〈効能・効果に関連する使用上の注意〉
対象
無作為化
2:1
アリムタ+シスプラチン併用群
(AC群)
(n=862)
2
アリムタ 500mg/m(1日目)
+
2
シスプラチン 75mg/m(1日目)
1.術後補助化学療法における本剤の有効性及び安全性は確立していない。
2.悪性胸膜中皮腫においては、
がん化学療法既治療例における本剤の有効性及び安全性は確立していない。
化学療法歴のない臨床病期ⅢB期またはⅣ期の
Non-Squamous非小細胞肺癌患者 アリムタ+シスプラチン導入療法施行例 539例
アリムタ群
(PEM群)
(n=359)
2
アリムタ 500mg/m(1日目)
+ BSC
両群とも1コース3週間で6コースまで施行
3.切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌においては、扁平上皮癌等の組織型ごとの結果及び化学療法既治療例での結
両群とも1コース21日毎、
PDまで施行
ゲムシタビン+シスプラチン併用群
(GC群)
(n=863)
プラセボ群(n=180)
2
ゲムシタビン 1250mg/m(1日目および8日目)
+
2
シスプラチン 75mg/m(1日目)
果を熟知し、本剤の有効性及び安全性を十分に理解した上で、患者の選択を行うこと。
[ 添付文書「臨床成績」の項参照]
プラセボ + BSC
全生存期間:Non-Squamous*患者
【用法・用量】
1.0
AC群
0.9
1. 悪性胸膜中皮腫
生 存 率︵ % ︶
滴静注し、少なくとも20日間休薬する。これを1コースとし、投与を繰り返す。なお、患者の状態により適宜減量する。
2. 切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌
0.8
生存期間中央値
11.8ヵ月
10.4ヵ月
(95%信頼区間)(10.4-13.2) (9.6-11.2)
0.7
調整ハザード比
(95%信頼区間)
0.6
1.0
GC群
0.5
AC群
0.4
PEM群
0.78(0.64-0.96)
P=0.0195
未調整ハザード比
(95%信頼区間)
0.6
PEM群
0.4
プラセボ群
0.3
GC群
0.2
2
通常、成人にはペメトレキセドとして、1日1回500mg/m(体表面積)
を10分間かけて点滴静注し、少なくとも20日間休
プラセボ群
生存期間中央値
13.9ヵ月
11.0ヵ月
(95%信頼区間)(12.8-16.0)(10.0-12.5)
0.8
0.81(0.70-0.94)
P=0.005
生存率
︵%︶
シスプラチンとの併用において、通常、成人にはペメトレキセドとして、1日1回500mg/m(体表面積)
を10分間かけて点
2
全生存期間:無作為割付後
0.2
0.1
薬する。これを1コースとし、投与を繰り返す。なお、患者の状態により適宜減量する。
0
0
6
12
18
24
生 存 期 間( 月 )
〈用法・用量に関連する使用上の注意〉
( 抜粋)
1.本剤による重篤な副作用の発現を軽減するため、以下のように葉酸及びビタミンB12を投与すること。
(1)葉酸 : 本剤初回投与の7日以上前から葉酸として1日1回0.5mgを連日経口投与する。なお、本剤の投与を中止又は
終了する場合には、本剤最終投与日から22日目まで可能な限り葉酸を投与する。
0
30
間中及び投与中止後22日目まで9週ごと
(3コースごと)
に1回投与する。
3
6
9
12
15
18
21
24
27
30
33
36
15
8
2
3
0
0
Adapted from Scagliott GV, et al: J Clin Oncol 26 2008: 3543-3551.
©2008 American Society of Clinical Oncology. All rights reserved.
Readers are encouraged to read the entire article for the correct context
at jco.ascopubs.org.
Adapted from Paz-Ares LG, et al: J Clin Oncol 31 2013: 2895-902.
©2013 American Society of Clinical Oncology. All rights reserved.
Readers are encouraged to read the entire article for the correct context
at jco.ascopubs.org.
333 272 235 200 166 138 105
169 131 103
78 65
49 35
79
23
43
12
副作用
(Grade3-4)
好中球減少はAC群15.1%、GC群26.7%、貧血は各5.6%、
新規の重篤な副作用は認められなかった。貧血はPEM群6.4%、
9.9%、血小板減少は4.1%、12.7%、発熱性好中球減少は1.3%、
プラセボ群0.6%、好中球減少は各5.8%、0%であった。
3.7%、脱毛は11.9%、21.4%、嘔気は7.2%、3.9%であった。
アリムタと葉酸・ビタミンB12の投与スケジュール(例:アリムタ+シスプラチン併用療法およびアリムタ単剤維持療法)
1コース目
(21日)
アリムタ初回投与の
7日以上前
1週
2週
3コース目
2コース目
3週
維持療法
1コース目
4コース目
維持療法
2コース目
アリムタ最終投与日から22日目まで
葉酸
葉酸として1日1回0.5mgを連日経口投与
アリムタ最終投与日から22日目まで
ビタミンB12
1回1mgを筋肉内注射 9週ごと
ステロイド*1
アリムタ
+
シスプラチン
20日間休薬
初回投与日
(アリムタ:500mg/m2を10分かけて点滴静注)
投与日
投与日
投与日
投与日
投与日
(アリムタ単剤)
(アリムタ単剤)
初回化学療法
維持療法*2
*1 ステロイドの投与は患者の状態に応じて担当医が判断する。 *2 初回化学療法の効果および副作用の状況に応じて、維持療法を実施するか担当医が判断する。
1
39
無 作 為 化 後 期 間( 月 )
*本文献のNon-Squamousとは組織型が腺癌と大細胞癌を合わせたものです。
副作用
(Grade3-4)
ビタミンB 12として1回1mgを筋肉内投与する。その後、本剤投与期
(2)
ビタミンB 12 : 本剤初回投与の少なくとも7日前に、
0
追跡患者数
PEM群
359
プラセボ群 180
2
葉酸とビタミンB12の併用について
1
よくあるご質問
2
アリムタ投与に際して、葉酸とビタミンB12を併用するのはなぜですか?
葉酸の投与量設定の理由は何ですか?
アリムタによる副作用が葉酸とビタミンB 12を投与することで軽減されるからです。他の葉酸代謝拮抗
葉酸投与量の1日1回0.5mgは、国内治験時の用量です。海外の臨床試験では葉酸0.25〜0.5mg
剤で葉酸の投与による副作用の軽減が報告されていたことから、
アリムタについても葉酸やビタミンの
の連日投与でホモシステインレベルを2週間以内に9.0μM以下に低下させることが知られている3)4)
欠乏マーカーとしてホモシステインやメチルマロン酸の血中濃度の測定を実施し、副作用との関連性を解析しま
ことなどを参考に、 海外では各国で投与可能な用量として0.35〜1mgが使用され、0.4mgが最も多い用量で
した。その結果、
ホモシステイン、
メチルマロン酸が高値の患者で重篤な副作用の発現率が高いことが示されて
した。日本では、
この用量範囲で葉酸投与が可能な薬剤として、
「 調剤用 パンビタン®末」
を採用し、葉酸として
います1)。葉酸を投与することでホモシステイン濃度を、
ビタミンB 12を投与することでメチルマロン酸濃度を低下さ
0.5mg(パンビタン末として1g)
を設定しました。
せ、結果的に副作用が軽減されます。
効能・効果に
「本剤に含まれるビタミン類の需要が増大し、
食事からの摂取が不十分な際の補給」
があり、
国内にお
1)Niyikiza,C.et al. : Molecular Cancer Therapeutics.,1,545-552 (2002)
いて葉酸1日1回0.5mgの用量で投与が可能な薬剤は「調剤用 パンビタン®末」のみです
(2014年10月現在)
。
化学療法治療歴のない悪性胸膜中皮腫患者を対象としたペメトレキセドとシスプラチンの併
用療法とシスプラチン単独療法の比較第Ⅲ相試験での、葉酸、ビタミン B12の併用状況別の
CTC Grade3/4の副作用(外国人 )2)
副作用項目
本剤とシスプラチン併用 (N=226)
FS (n=168)
PS+NS (n=58)
発現例数
発現症例率 (% )
発現例数
発現症例率 (% )
4)Brouwer,I.A.et al. : Am.J.Clin,Nutr.,69,99-104 (1999)
P値
血液毒性
ヘモグロビン減少
3)Brönstrup,A.et al. : Int.J.Vitam.Nutr.Res.,69,187-193 (1999)
3
アリムタに葉酸を併用しても有効性に影響はありませんか?
7
4.2
4
6.9
0.479
白血球減少
25
14.9
15
25.9
0.072
好中球減少
39
23.2
24
41.4
0.011
葉酸等の投与には大量に投与するレスキューと、
ある一定量を投与するコンディショニングの2つの側
血小板減少
9
5.4
4
6.9
0.744
面がありますが、
アリムタと併用する葉酸投与はコンディショニングで、葉酸とビタミンB 12の欠乏により
悪心
20
11.9
13
22.4
0.082
疲労
17
10.1
6
10.3
0.999
嘔吐
18
10.7
12
20.7
0.071
下痢
6
3.6
4
6.9
0.284
脱水
7
4.2
2
3.4
0.999
口内炎
5
3.0
4
6.9
0.240
食欲不振
2
1.2
3
5.2
0.108
発熱性好中球減少症
1
0.6
3
5.2
0.053
G3/G4の好中球減少に伴う感染
0
0
3
5.2
0.016
発疹
1
0.6
2
3.4
0.163
非血液毒性
血中ホモシステインレベルが上昇して副作用発現リスクが高まることを予防することが目的です。
また、
アリムタを適量の葉酸と併用しても有効性に問題ないことが基礎試験5)や臨床試験 6)で示されています。
葉酸は一定量を投与することが、
アリムタの有効性を維持して副作用を軽減する上で重要と考えられています。
1日1回0.5mgを守るようにお願いします。
5)Worzalla,J.F.et al. : Anticancer Res.,18,3235-3239 (1998)
6)Scagliotti,G.V et al. : J.Clin.Oncol.,21,1556-1561 (2003)
4
NS:非併用集団
FS:葉酸、
ビタミン B12併用集団、PS:試験期間途中からの部分的併用集団、
2)Vogelzang,N.J.et al. : J.Clin.Oncol.,21,2636-2644 (2003)
ペメトレキセドの作用機序
葉酸を含むサプリメントなどを飲んでいる場合は、
どうすればよいですか?
葉酸を過剰に摂取することにより、
アリムタの有効性が減弱する可能性があります。葉酸を含有するサ
プリメントなどに関しては、
できるだけアリムタ治療中は、服用は中止していただいた方がよいと思われま
す。
また、医薬品でないサプリメントでは含有量の均一性などが不明ですので、
アリムタの葉酸補充に用いること
はお勧めできません。
5
アリムタによる治療中に、患者さんが葉酸を飲み忘れた場合は、
どのようにすればよいですか?
葉酸を飲み忘れた場合、飲み忘れた分をまとめて飲んだり、飲み忘れた分を今後の服用時に加えたりし
ないでください。また、葉酸の投与ができない患者さんは、
アリムタの副作用が増強すると考えられるた
Hys : ホモシステイン
Vit. B12 : ビタミン B12
Met : メチオニン
FH : 葉酸
3
め、
アリムタの投与は行わないでください。
4
6
アリムタの最終投与から22日目まで可能な限り葉酸を飲み続けることになっていますが、副作用がみ
られていない、
または回復した場合も飲み続けなければいけませんか?
明確なデータはありませんが、葉酸はアリムタの副作用を軽減する目的で投与されますので、副作用が
回復していれば葉酸を中止しても問題ない可能性もあります。
しかしながら、十分なエビデンスがないの
で、葉酸の投与は、可能な限りアリムタ投与終了後22日目まで続けていただくようお願いします。
7
アリムタ投与当日は、葉酸をいつ飲めばよいですか?
(アリムタ投与の前ですか後ですか?)
特に規定はありません。国内治験時にも葉酸投与のタイミングについて特に規定していませんでした。
患者さんへは飲み忘れがないように毎日決まった時間に服用するよう指導してください。
8
ビタミンB 12 の投与量設定の理由は何ですか?
このビタミンB12
ビタミンB12投与量の1回1mgを9週毎は、国内、海外における臨床試験時の用量です。
の投与スケジュールは、筋注1mgの3ヵ月毎が、悪性貧血患者での維持量として推奨7)8)されていたこと
などを考慮して設定されています。効能・効果に「ビタミンB12欠乏症の予防及び治療」
があり、用法・用量に「1mg
の筋肉内投与」
が記載されている主なビタミンB12製剤は下記の通りです。
フレスミンS注射液1000μg:ヒドロキソコバラミン酢酸塩
コバマミド注1mg「イセイ」:コバマミド
ヒドロキソコバラミン注1000μg「イセイ」:ヒドロキソコバラミン酢酸塩
シアノコバラミン注射液1mg「ツルハラ」:シアノコバラミン
ビタミンB12注
“Z”
1,000μg:シアノコバラミン
ビタミンB 12注「日医工」1mg:シアノコバラミン
ビタミンB 12注1000μg「NP」:シアノコバラミン
マスブロン注1mg:ヒドロキソコバラミン酢酸塩
各製剤の成分・含量、使用上の注意については、各々の添付文書をご参考ください。
7)Hoffbrand,A.V. : CONCISE OXFORD TEXTBOOK OF MEDICINE,227-234 (2007)
8)Walsh,J.R. : Hematologic Problems,41,627-636 (1997)
5
6