22 ウィメンズ・ウエア・デイリー・ジャパン vol. 1815 昭和54年 4 月24日第三種郵便物認可 週 1 回月曜日発行 2014年 (平成26年)7月28日 (月曜日) 発行 WWD FOR JAPAN ECと店舗をシームレスにつなげる新サービス バニッシュが実現するEC革命とは? ファッションブランドの自社ECサイトの構築支援を行なうバニッシュ・スタンダードは、ECと店舗をつなぐ新しいサービスをスタートした。 これまで在庫や顧客情報の一元 化を唱えてきた同社の小野里寧晃・社長だが、 「これから一番重要なのは、 “ECはEC、店舗は店舗” と分けるのではなく、店舗とECが一緒になって企業全体でお客さまにお応 えできる仕組み。 その第一歩として、 ECと店舗を連携するサービスを作る」と語る。 創業以来、 常に顧客サービスの本質を追求してきた小野里社長の目に映るECの未来とは? バニッシュ・スタンダードが考える新しいECのシステム 店舗から直接配送 3日後にお届け SHOP A 自社ECサイト CASE 1 消費者 在庫ゼロ サイトから 購入するが… SHOP B 店舗在庫を 活用する! PICK UP SHOP 消費者 C CASE 2 SHOP D 1週間後にお届け POINT ECサイトと店舗が連動することで、販 1 小野里寧晃 (おのざと・やすあき)/バニッシュ・スタンダード社長 ECサイト用 物流倉庫へ 売の機会損失を防ぎ、企業全体の活 性化につながる! PROFILE:1982年10月24日生まれ、群馬県出身。DJなどを経て、2005年に大手 ウェブ制作会社に入社、その後 EC 事業を立ち上げる。11年3月に独立し、バニッシュ・ スタンダードを設立 POINT 在庫の一元化システムを構築するより 2 も低コストかつ短期間、そして店舗ス タッフへの負担も小さい! ピーディに構築できる。もちろんファッションビルに向 けた対応も考案済みだ。ただ、顧客にとってはどちら であっても良いことであり、提供されるサービスに変わ りない。 「ECでは一般的に、在庫がないことで生まれる オンラインを利用する顧客が年々増加する中、スマ たものにはなっていない」と語る。 「ECを利用する顧客 販売の機会損失が約20 〜 60 %と企業ごとにバラつき ホが普及したことで顧客がブランドと接触する機会は に対し、今できる最大限のサービスは “在庫がある”と がある状態。現在はそれに対応するため再入荷リクエ 格段に増えた。小野里社長は 「これからは、ECを利用 いうこと。面積に関係ないECだからこそ、それが実現 ストという仕組みもあるが、実はリクエストを受けた在 する頻度が店舗より多い顧客や、 初めてブランド購入す できていなくてはならない。ブランドにとって、ECで最 庫を提供したとしても大体3割程度しか販売につながら るのが ECという顧客が増えていくことは確実だ。だ 低限やっていなければならないのは、顧客の機会損失 ないのが現状。つまり、 このサービスを導入するだけで、 からこそ次につながるサービスが提供できているか? を防ぐこと。それが優良な関係を築く際の軸になる」 。 今まで再入荷リクエストがあった分をプラスにできる可 今こそ再度見直すべき」と警鐘を鳴らす。 顧客にとっても欲しいアイテムの在庫がないことほど残 能性があるということ。店舗との連動はそれだけイン 一方、インターネットやスマホ、ソーシャルネットワー 念なことはない。 「楽しいショッピングを提供することこ パクトがある。このサービスは現在、 開発を進めており、 キングサービス (SNS) など、周りを取り巻くテクノロジー そ、ファッションブランドを運営する企業の一番重要な 今秋には稼働予定だ」。しかし最終的に小野里社長が は急速に発展しているように見えるECだが、 「これま 姿勢のはず」 。そのため、小野里社長はこれまで、物流 目指すのは、実店舗を活性化するECの仕組みだ。 「今 で顧客とブランドの間で優良な関係性を築き、ロイヤル の一元化を提唱し、ECも店舗も関係なく企業全体で 秋リリースする新サービスは、僕らの目指す理想の仕組 顧客に在庫を提供することを重要視してきた。ただ、 みの第一歩。詳細はまだ言えないが、最終形は、ECシ 店舗のサービスと比較 物流の一元化は現実的には契約面や費用面、時間、費 ステムの側ではなく、店舗の販売員の立場からオンライ すると、現状のECサー 用対効果を踏まえると、企業として現実的には手を付 ンサービスを設計するものになる。ECと店舗がお互い ビスは店舗のようにフレ けづらかったことも事実だ。 に助けあう仕組みができれば、これまでのECの考え方 カスタマーを育成してきた キシブルで応用が 効い 今後の課題は 店舗の 活性化だね バニッシュ・スタンダード 再入荷リクエストの時代は終わる! 自体も大きく変わる。文字通り、店舗とECがシームレ スにつながる。来年までには新しいサービスを提案し そこで小野里社長が新たに提案するシステムが、EC たい」 。ともすればテクノロジーの猛烈な発達のスピー サイトから店舗の在庫を客注できる仕組みだ。 「ECサ ドに振り回されるファッションECだが、小野里社長の イトに在庫がない場合、在庫に余裕のある状態の店舗 理想は、 「“EC”という言葉がなくなること」。シームレス から引き当てて、店舗から顧客にダイレクトに送るか、 につながった店舗とECが、ファッション業界全体にイ 店舗在庫をEC 物流に送って、最終的に顧客に配送す ンパクトを与える新しい未来型ビジネスモデルであるこ る」 。新システムは在庫の一元化に比べ、開発コストは とは間違いない。本質を捉えたバニッシュのファッショ 格段に低く、開発期間も早ければ1〜2ヵ月と、かなりス ンオンライン革命の動向に今後も注目したい。 社名:バニッシュ・スタンダード/設立:2011年3月/本社所在地:東京都港区南青山5-10-1 AOYAMA BLDG 5・6階/従業員数:20人/業務内容:EC 事業コンサルティング、 EC 構築、 アプリ構築、 EC 運営代行/ URL:http://www.v-standard.com/ 問い合わせ先:バニッシュ・スタンダード 03 - 6419 -7647 [email protected] /企画・制作:WWDジャパン
© Copyright 2024 Paperzz