日本海・能登半島西方沖大陸棚~南部大和海盆~大和堆の

KR14-06 航海報告:北西太平洋シャツキー海台南東方における地殻および
上部マントルの地震学的構造
○大平茜(横浜国立大学)
,小平秀一・中村恭之・藤江剛・新井隆太・三浦誠一(海洋研究開発機構)
北西太平洋は地磁気異常縞模様が詳細に明らかになっており、シャツキー海台の南東側はジュラ紀
後期から白亜紀前期にかけて太平洋プレートと Farallon プレートの境界で北東から南西に向かって海
洋底の生成・拡大が進んだといわれている(Nakanishi et al., 1989)
。かつての中央海嶺で生成され
た典型的な海洋性地殻が残存するテクトニクス場において地殻の厚さや地震波速度、モホ面の特性な
どを明らかにすることは、地球内部の物質循環や海洋プレートの変遷過程を理解するうえで重要な手
がかりとなり、さらにモホール計画をはじめとする海洋掘削科学においても欠かせない情報となる。
しかし、そのような海域において広範囲にわたるプレート年代を網羅した大規模な構造探査が行われ
た研究例は少ない。そこで本航海(KR14-06)ではシャツキー海台南東方において地磁気異常縞模様と
直交する約 1130km の長大測線を設定し、海底地形調査、マルチチャンネル反射法地震(MCS)探査お
よび屈折法・広角反射法地震探査を実施した。
調査は深海調査研究船「かいれい」を用いて 2014 年 5 月から 6 月に行われた。海底地震計(OBS)
を 5 台設置(図)した後、チューンドエアガンアレイ(総容量 7800inch3)を 200m 間隔で発振し、OBS
と船尾から曳航する長さ 6km、444ch のストリーマケーブルで反射波・屈折波を記録した。
MCS 断面上には、測線全体を通して海底面とほぼ平行な基盤が見られ、モホ面は測線南西端から 50km
付近までを除き、連続性に乏しく、不明瞭であった。また局所的には海洋性地殻内に明瞭で水平な反
射面やモホ面まで伸びる北東傾斜の反射
面が認められた。OBS 記録断面では、すべ
てのサイトにおいてオフセット距離
100km 付近まで明瞭な信号が得られた。海
洋マントルからの屈折波と考えられるシ
グナルはオフセット距離 30km 付近から初
動として観測され、フォワードモデリン
グの結果、モホ面直下の最上部マントル
の速度はおおむね 8.5km/s から 8.6km/s
であった。さらに Site1 を除く OBS で海
洋マントル内部からの反射波と思われる
フェーズが見られた。現在、詳細な解析
を進めており本発表では KR14-06 航海の
概要と解析によって得られた速度構造モ
デルを中心に報告する。
図 調査測線図。黒実線は発振測線、○は海底地震計の設置位置。