フラッシュバット溶接による鉄筋継手 「ダイヤレンNS・MKフープ」の引張

試験報告
フラッシュバット溶接による鉄筋継手
「ダイヤレンNS・MKフープ」の引張試験
(発行番号:第 13A1162 号)
この欄で掲載する報告書は依頼者の了解を得たものです(抜粋・編集して掲載)。
試験名称
依頼者
試験項目
フラッシュバット溶接による鉄筋継手「ダイヤレンNS・MKフープ」の引張試験
コーリョー建販株式会社 宮城工場
一方向引張り,一方向繰返し
試験体
試験項目
試験体
母材(鉄筋コンクリート用棒鋼)
記号
番号
一方向
引張り
MD10-T
MD13-T
MD16-T
1〜3
一方向
繰返し
MD10-R
MD13-R
MD16-R
種類
MK785
1〜3
呼び名
MD10
MD13
MD16
MD10
MD13
MD16
規格
降伏点
( σy0)
2
N/mm
785 以上
規格
引張強さ
( σb0)
2
N/mm
930 以上
公 称
断面積
(S)
2
mm
71.33
126.7
198.6
71.33
126.7
198.6
(注)1.記載内容は,依頼者提出資料による。
2.母材の種類は,高強度せん断補強筋用異形棒鋼 MK785 である。
準拠規格 : 2007 年版建築物の構造関係技術基準解説書(監修 : 国土交通省住宅局建築指導課 , 国土交通省国土技術政策総合研
究所 , 独立行政法人建築研究所 , 日本建築行政会議)3.7.3 鉄筋の継手及び定着「機械式継手及び圧着継手性能判定
基準」に規定される一方向引張り試験及び「溶接継手性能判定基準」に規定される一方向繰返し試験に従って行っ
た。なお , 一方向繰返しの載荷は以下の順序で行った。
①一方向引張り試験より , 降伏点の平均値(σy)の算出。
②引張り方向に応力σが降伏点(σy)の 1.2 倍以上になるまで載荷し , その時の応力をσc とし , 応力σが 0.05
σy0(σy0 は母材の規格降伏点)になるまで除荷する。
③応力σが 0.05 σy0 とσc の間で , 載荷と除荷を 20 回繰返し , その後 , 破断させる。
加力装置:500kN 油圧サーボ疲労試験機
参 照:写真 1(試験実施状況)
荷重・変位ストローク
試験方法
試験体
試験体つかみ部
写真1 試験実施状況
つづく
14
建材試験センター 建材試験情報 5 ’
14
つづき
試験項目
一方向
引張り
試験体
番号
MD10-T
1
2
3
824
835
842
996
999
1009
全て
母材で破断
平均
834
1001
-
1
2
3
806
811
811
984
985
987
全て
母材で破断
平均
809
985
-
1
2
3
854
854
830
1047
1037
1033
全て
母材で破断
平均
846
1039
-
MD13-T
試験体
試験結果
(σc = 1.2 ×σy)以上の
繰返し応力時
降伏点
20 回目
(σy)
2
N/mm
(σc)
2
N/mm
(σc)
2
N/mm
( σb)
2
N/mm
試験場所
破壊状況
記号
番号
MD10-R
1
2
3
827
828
826
1001
1001
1001
1002
1001
1001
1009
1016
1003
全て
母材で破断
平均
827
1001
1001
1009
-
1
2
3
808
805
807
979
979
979
981
981
983
985
988
987
全て
母材で破断
平均
807
979
982
987
-
1
2
3
846
849
834
1022
1022
1022
1025
1024
1024
1047
1043
1041
全て
母材で破断
平均
843
1022
1024
1044
-
MD13-R
MD16-R
担当者
引張強さ
1 回目
試験項目
試験期間
破壊状況
記号
MD16-T
一方向
繰返し
引張強さ
(σb)
2
N/mm
降伏点
(σy)
2
N/mm
平成 25 年 7 月 4 日〜 9 日
構造グループ
統括リーダー
主任
川 上 修
上 山 耕 平
庄 司 秀 雄(主担当)
中央試験所
コメント・・・・・・・・・・・・・・・・
今回は,コーリョー建販株式会社宮城工場の依頼により
実施した,フラッシュバット溶接による鉄筋継手の引張試
験について紹介した。
試験体は,New RC 総プロ以後に開発された,高強度鉄筋
を使用した溶接継手であり,開口補強筋やせん断補強筋と
して使用されている。
近年,RC 造建築物は高層化が進み,使用する構造材料の
高強度化が求められている。高層建築物では,耐震性や安
全性を確保するために,中低層の建築物に比べ柱や梁の断
面積が大きくなり,居住性を損なうこと,建物の自重が増
大することなどが問題となっている。
このような背景から,旧建設省では,1988 年から 1992 年
の 5 カ年をかけ,超高層化技術の開発と普及を目的とした
「鉄
筋コンクリート造建築物の超軽量・超高層化技術開発」
(以
下,New RC 総プロという)が行われ,構造躯体断面の縮小
化と構造部材の高強度化を目的とした開発が進められた。
試験は,
(一財)日本建築センターの構造評定を取得する
ために,2007 年版建築物の構造関係技術基準解説書で規定
される「鉄筋継手性能判定基準」に従って行った。一方向引
張り試験および一方向繰返し引張試験では,鉄筋継手の耐
力,靭性に関する性能が継手のない鉄筋と同等以上である
ことを確認した。
中央試験所構造グループでは,鉄筋継手の引張試験の他,
各種構造部材の性能試験を実施している。多くの方々にご
利用いただければ幸いである。
(文責:中央試験所 構造グループ 主任 庄司 秀雄)
建材試験センター 建材試験情報 5 ’
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