AC/A 比について 定義 輻輳系の情報なしに調節系の情報を入力した場合、調節性輻輳量(AC)と調節 刺激量(A)は一定の範囲内で比例関係にある.これを AC/A 比という. (→1D の調節刺激に対して引き起こされる輻輳量のこと) ※調節系の情報=具体的には凹レンズ、凸レンズ、検査距離 AC/A 比の発達と年齢による変化 生後6カ月には成立し、老化により若干低値となる. 生涯を通して大きく変化しない. AC/A 比の測定 調節に伴う単位輻輳量で通常3D 調節負荷したときの輻輳量から求める. 個人差が大きく、正常値は2〜6Δ/D(プリズムジオプトリー/ジオプトリー) また、測定の際に調節刺激を与えたときは調節努力を促すことが重要 AC/A 比の障害 a)高 AC/A 比の内斜視=非屈折性調節性内斜視 治療に二重焦点レンズや累進屈折レンズを装用し、近見時に調節しなくてもよ いようにする.診断目的にはピロカルピンやジスチグミン等を用いる.これら の薬剤はアセチルコリンの働きを強め、一定の調節を誘起するために必要な毛 様筋へのインパルス数を少なくするので、AC/A 比を減ずる働きがある.ただし 長期的に使用するとは虹彩嚢腫などの副作用があり、長期的に使用されること は無い. b)AC/A 比に影響を与える因子 (1)視能訓練 視能訓練では AC/A 比そのものは変化しない. (2)手術操作(両内直筋後転術) 両内直筋後転術でわずかに減少する. (3)薬物投与 アトロピンなどの副交感神経遮断薬を点眼すると AC/A 比は増大する. プリズムを用いる測定法 1. Gradient method 視標の位置一定、レンズ度数を変化させての眼位測定 (本来は-1.00D、-2.00D、-3.00D と負荷していき回帰直線を求める) a)Far gradient method 固視距離を遠方に固定し、完全矯正した眼の眼位と、完全矯正した眼に-3.00D のレンズを負荷したときの眼位の変化をプリズム遮蔽試験で測定する. 例)遠見時に完全矯正の眼鏡装用時の眼位が-2Δの人が、 -3.00D を負荷し調節努力を促すと+7Δと眼位は変化した. この人の AC/A 比は+7—(—2)/3=3Δ/D と計算できる. b)Near gradient method 固視距離を近法(=33cm)に固定し、完全矯正した眼に+3.00D のレンズを装 用した状態での眼位(=無調節状態)と、+3.00D のレンズを取り除いた眼位(= 調節状態)の変化をプリズム遮蔽試験で測定する. 例)正視眼の人に 33cm の視標を見せた時の眼位は+20Δである. 同距離で両眼に+3.00D 付加したときの眼位は-7Δであった. この人の AC/A 比は+20—(—7)/3=9Δ/D と計算できる. 2. Heterophoria method 遠見・近見での眼位変化を(距離を変えて)測定し、瞳孔間距離を加えてから AC/A 比を求める方法. Gradient method よりも近接性輻輳の介入により大きな値となる. ※臨床には用いない 大型弱視鏡を用いる測定法 foveal スライドを用いて、屈折矯正下での他覚的斜視角と、-3.00D を負荷した 状態での他角的斜視角を測定し求める. 基本的には以下の公式から求めることが出来る. 調節刺激を与えたときの眼位—無調節状態での眼位/与えた調節刺激量 (ただし Heterophoria method では瞳孔間距離(cm)を加え求める)
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