イソビストとは?

イソビストとは?
イソビストは 非 イオン 性ダイマ ー 型 の イオトロランを主 成 分とする水 溶 性ヨード造 影 剤である。240mgI/mLと
300mgI/mL のヨード濃度を有する2 製剤があり、製剤により適応が異なる。
3.
有効成分に関する理化学的知見
構造式:
HOーCHーCH2OH
Ⅰ
OH
COーNHーCHーCH2OH
Ⅰ
HOーCH2ーCHーCHーNHーCO
CH2OH
HOーCHーCH2OH
Ⅰ
COーNHーCHーCH2OH
Ⅰ
OH
NーCOーCH2ーCOーN
Ⅰ
COーNHーCHーCHーCH2OH
CH3 Ⅰ
CH3
CH2OH
一般名:イオトロラン(Iotrolan)
,
化学名:A diastereomeric mixture of 5,5 -〔malonylbis- (methylimino )〕bis
,
〔N,N -bis〔2,3-dihydroxy-1- (hydroxymethyl )propyl〕
-2,4,6-triiodoisophthalamide〕(ⅠUPAC )
分子式:C 37H 48Ⅰ6N 6O 18
分子量:1626.23
CAS 登録番号:79770-24-4
性 状:本品は白色の粉末または塊で、においはなく、味は甘い。
溶解性:本品は水に極めて溶けやすく、メタノールにやや溶けにくく、エタノール (95) に溶けにくく、
ジエチルエーテルにほとんど溶けない。
◆ 親水性
分配係数は親水性の指標とされる。親水
■非イオン性造影剤の分配係数(n-butanol/buffer, pH 7.6)
性が高いほど蛋白結合性や細胞表面の刺激
親水性
性が少なくなると考えられ、造影剤の生物学
疎水性
的活性にかかわる物理的特性といえる。
metrizamide*
iopamidol
iotrolan
-2.0
log P
-1.0
0
分配係数(P)
Mützel, W. et al.:RöFo suppl.128:28-32(1989)
*metrizamide は世界初の非イオン性モノマー型造影剤として使用されたが現在は市販されていない。
5
線造影剤の 水溶性ヨード
造 影の仕 組 み 造影剤の基礎
X
中央値(95%信頼限界)
250
166mgI/kg
(142-203)
150
薬物動態
(mgI/kg)
ED50
組成・性状
200
有効成分に関す
ラットの脳槽内にイオトロラン、metrizamideを
投与し、50%のラットに反射・運動障害や痙攣な
どの神経機能障害を惹起する造影剤量(ED50)を
求めた。イオトロランのED50値は他剤に比し有意
に高かった(P<0.05)。
る理化学的知見
【MEMO】50% 神経機能障害誘発量
(ED 50)
(ラット)
100
55mgI/kg
(51-59)
n=6
50
効能・効果
n=6
0
metrizamide*
イオトロラン
用法・用量
Muetzel, W.et al.: Invest. Radiol. 19: S140-141 (1984)より作図
組成・性状
造影検査の
実際
4.
◆ イソビストの組成・性状
イソビスト注240
内容量(mL)
イソビスト注300
10
5125.9
6407.5
ヨード濃度(mg/mL)
240
300
1瓶中のヨード含有量(g)
2.4
3.0
エデト酸カルシウム
造影剤投与時
の注意事項
イオトロラン(mg/瓶)
炭酸水素ナトリウム(mg/瓶)
副作用等
添加物
1.0
二ナトリウム(mg/瓶)
塩化ナトリウム(mg/瓶)
注意を要する
症例
販売名
4.0
6.0
pH調整剤(2成分)
−
pH
包装
適量
6.5∼8.0
約1
浸透圧比(生理食塩液に対する比)
約3.9
約8.6
比重(37℃)
1.279
1.353
関連情報
粘稠度(mPa・s,
37℃)
6
イソビストとは?
5.
薬物動態
◆ イソビストの吸収・排泄
1 )クモ膜下腔内投与(髄腔内投与)
イソビスト注240
腎 機 能 の 正 常 な 脊 髄 疾 患 患 者 6 例 に 腰 椎 穿 刺 によりクモ 膜 下 腔 内 に イオトロラン
(190mgI/mL)8mLを投与し、腰部脊髄撮影を行った。続いて血中ヨード濃度、尿中総ヨード
排泄量を経時的に測定し、薬物動態を検討した。
その結果、イオトロランのクモ膜下腔から血中への移行は速やかであり、投与後24 時間ま
でに投与量の約84% が、48 時間後には約94%が尿中に排泄された。
■クモ膜下腔内投与後の
血中ヨード濃度の経時的変化(ヒト)
■クモ膜下腔内投与後の
尿中総ヨード排泄量(ヒト)
30
投与量に対する累積率(%)
血中ヨード濃度(µgI/mL)
100
20
(n=6)
10
0
1
2
6
投与後時間(hr)
50
(n=6)
0
24
2 4 6 8
12
24
投与後時間(hr)
48
渡部恒夫ほか: 薬理と治療14 (6 ):4317-4326 (1986 )
【参考】脊髄造影における排泄経路(模式図)
クモ膜下腔内投与
吸収
静脈
循環系
肝
腎
胆汁中排泄
尿中排泄
【MEMO】造影剤の誤投与
医療事故として脊髄造影にイオン性造影剤を誤って使用したため、不幸な結果を招いた事
例が知られている。
このような事例から脳・脊髄造影に適応を有さない造影剤には警告欄に
脳槽・脊髄造影に使用しない旨の記載がされている。
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線造影剤の 水溶性ヨード
造 影の仕 組 み 造影剤の基礎
X
組成・性状
イソビスト注300
有効成分に関す
る理化学的知見
2 )子宮腔内投与(ウサギ)
イオトロラン(300mgI/mL)をウサギ子宮腔内(n=3)に100mgI/kgを投与したところ、1
日以内に尿及び膣からの流出液中に投与量の約 97% が排泄された 1)。
本剤は子宮腔内投与後、主に膣口から直接排泄されるとともに、一部腹腔内に移行して、そ
薬物動態
の後速やかに血中に吸収されて尿中に排泄される。
【参考】子宮卵管造影における排泄経路(模式図)
排泄
腟
効能・効果
子宮腔内投与
ただし、卵管閉塞が
ある場合は
子宮
吸収
循環系
用法・用量
子宮
子宮頸管
肝
腎
腹腔内
胆汁中排泄
尿中排泄
造影検査の
実際
卵管
腟
注意を要する
症例
排泄
イソビスト注240
イソビスト注300
イオトロラン(300mgI/mL)をウサ
ギ後肢膝関節腔内(n=3)に100mgI/
造影剤投与時
の注意事項
3 )関節腔内投与(ウサギ)
【参考】関節腔内投与での排泄経路(模式図)
関節腔内投与
ぼ全量が尿中に排泄され、糞中への
吸収
排泄あるいは投与部位での残存は認
副作用等
kgを投与したところ、24時間以内にほ
循環系
められなかった1)。
胆汁中排泄
尿中排泄
関連情報
腎
包装
肝
〈参考文献〉
1) 宮本好明ほか:基礎と臨床27(12):4669-4674(1993)
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