埼玉工業大学 テーマ N02: 機械工学学習支援セミナー(小西克享) シリンダ内圧力から熱発生率を求める方法-1/3 シリンダ内圧力から熱発生率を求める方法 シリンダ内圧力から熱発生率を計算する方法を解説します.エンジンの燃焼行程におい て,単位クランク角度当りの熱発生量を熱発生率 [J/deg]という.熱発生率の時間的変化(熱 発生率パターン)は燃料の燃焼状態を知る上で重要な要素である. 熱力学第 1 法則の第 1 基礎式より dQ  dU  PdV  ncv dT  PdV (1) となります.ただし, dQ:燃焼によって発生した熱量分 dU:内部エネルギーの変化 P:シリンダ内圧力 dV:シリンダ容積の変化分 n:シリンダ内のガスのモル数 cv:定容比熱 dT:温度変化 したがって,(1)式をクランク角度に対する微分形で表すと dQ dU dV dT dV  P  ncv P d d d d d (2) となります.理想気体の状態方程式は,ガス定数を R とすると (3) PV  nRT なので,(3)式の両辺を で微分すると V dP dV dT P  nR d d d dT 1  dP dV   V P (4)  d R  d d  となります.(4)式を(2)式に代入すると n dQ cv  dP dV  V P d R  d d dV   P d  cv  dP dV  dV  P V  P c p  cv  d d  d 1  dP dV  dV P V  P   1  d d  d V dP P dV   (5)   1 d   1 d  となります. 埼玉工業大学 機械工学学習支援セミナー(小西克享) シリンダ内圧力から熱発生率を求める方法-2/3 右図に示すピストン断面において l: コンロッド長さ r: クランク長さ  : 連かん比  l r : y 上死点基準のクランク角度 とすると,ピストン変位に関して y  r  l  r cos  l cos  φ (6) が成立します.ここで r sin   l sin  θ なので, r sin  r cos   1  sin 2   1    sin 2   1  2  l 2 2 となり,(6)式に代入すると y  r  l  r cos   l 1  sin 2  2  l l sin 2    r 1   cos   1  2  r r        sin 2    r 1    cos    1  2          r 1    cos    2  sin 2   (7) となります.シリンダ容積 V は,すきま容積と行程容積を加えたものなので   V  Ay  Vc  Ar 1    cos  2  sin 2   Vc (8) となります.(8)式をで微分すると,シリンダ容積の角度変化    dV  Ar 1    cos   2  sin 2  d  1     2 2   Ar  cos       sin  2        1    1  Ar sin   2  sin 2  2  2 sin  cos   2       1    1  Ar sin   2  sin 2  2  2 sin  cos   2     cos    Ar sin  1   2 2   sin      dV は d 埼玉工業大学 機械工学学習支援セミナー(小西克享) シリンダ内圧力から熱発生率を求める方法-3/3 と表されます.(5)式に代入すると,熱発生率は dQ V dP PAr sin   cos  1    d   1 d   1  2  sin 2      (9) となります.よって,燃焼圧力 P を任意の角度刻みごとに測定し,シリンダ内圧力の角度 変化 dP dQ を求めれば,熱発生率 が(9)式より計算できることになります. d d 参考:任意の角度刻み  ごとの圧力を Pi 1 , Pi , Pi 1 とすると,中心差分近似より,i 番目の角 度におけるシリンダ内圧力の角度変化は dPi Pi 1  Pi 1  d 2 として計算することができます. http://www.sit.ac.jp/user/konishi/JPN/Tech_inform/Pdf/HeatReleaseCalcByPressure.pdf Copyright ⓒ 2014 小西克享, All Rights Reserved. 個人的な学習の目的以外での使用,転載,配布等はできません. お願い: 本資料は,埼玉工業大学在学生の学習を支援することを目的として公開しています.本資 料の内容に関する本学在学生以外からのご質問・ご要望にはお応えできません.
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