CTのビームデータ測定 熊本地域医療センター 石橋 謙吾 黒田 洋明 山下 裕輔 森島 光浩 熊本大学大学院生命科学研究部 荒木 不次男 大野 剛 背景 現在,わが国の年間医療被ばくの内,X線CTによ る被ばくは43%に達している。 被ばく線量の評価としてCTDIを用いられているが, CTDIの目的は装置間の線量の違いの比較であり, 患者の被ばく線量の評価には適していない。 背景 AAPM Task Group(TG)‐111では, CTDI100はZ軸方向 の散乱線を十分に収集できず,実際の線量と比べ 過小評価になることが指摘されている。 目的 モンテカルロシミュレーションを用いたCT 撮影における患者の被ばく線量の評価を目的 にCTのビームデータを測定する。 得られたビームデータをもとに,吸収線量 測定から線量校正を行い,CT検査における 患者CT画像を用いて,モンテカルロシミュ レーションにより各臓器の被ばく線量の評価 を行う。 使用機器 PHLIPS M100 Brilliance CT 64 CT chamber(0.9 cmΦ×10 cm) PTW30013 Farmer chamber, 0.6 cc GMctdospp(IMPS, Germany) ビームモデリングの作成 Al半価層 OCR(空中軸外線量比) X線管球 Bowtie Filter 電離箱線量計 Al X線管球 ビームモデリングの検証 CTDI100測定 2 5 1 3 4 X-ray voltage :120,100,80 kV X-ray current :200 mA Beam collimation :10 mm 線量校正 水ファントムによる吸収線量測定 2 3 1 5 4 X-ray voltage :120,100,80 kV X-ray current :422 mA Beam collimation :40 mm Helical pitch :0.703 吸収線量の計算式 DPMMA N 60 Co D ,w M PMMA kPMMA kQkD ,PMMA DPMMA : アクリル吸収線量 60 N D ,wCo : コバルト水吸収線量校正定数 M PMMA : アクリル測定電離量 kPMMA M w / M PMMA : 水とアクリルの電離量比 [ Dw / Dchamber ]kV kQ : kV-X線に対する線質変換係数 [ Dw / Dchamber ]60 Co kD,PMMA DPMMA Dw : アクリルと水の吸収線量比 吸収線量の補正係数 PMMA water chamber kPMMA Mw M PMMA MPMMA water chamber Mw [ Dw / Dchamber ]kV kQ [ Dw / Dchamber ] 60 Co PMMA water water PMMA DPMMA k D ,PMMA DPMMA Dw Dw 臓器線量の評価 患者CT画像を用いて,実際のスキャン条件でのモ ンテカルロシュミレーションによる計算から体内 線量分布を計算した。 体内線量分布をもとに線量体積ヒストグラム (Dose Volume Histogram:DVH)を作成し, 各臓器線量を定量的に評価した。 臓器線量は胸部,腹部における主要な臓器を対象 とした。 結果 Al半価層測定 Relative Value 100 Measured ー Monte Carlo ● 80 60 120 kV(8.7 mm) 100 kV(7.7 mm) 40 20 80 kV(6.3 mm) 0 0 4 8 12 Al (mm) 16 20 結果 OCR(120 kV) 100 OCR(80 kV) Measured Measured 100 Monte Carlo 80 Relative Value (%) Relative Value (%) Monte Carlo 60 40 20 80 60 40 20 0 0 0 50 100 150 200 250 Distance from central axis (mm) 0 50 100 150 200 250 Distance from central axis (mm) モンテカルロ法によるモデリング 線源 付加フィルタ (アルミニウム) Bowtie Filter (アクリル) アルミニウム アイソセンター 結果 CTDI100 2 25 20 CTDI100 (mGy) Measured Monte Carlo 5 120 kV 1 3 15 100 kV 4 10 5 X-ray voltage : 120,100,80 kV X-ray current : 200 mA Beam collimation: 10 mm 80 kV 0 0 1 2 3 4 5 Measurement Point 6 結果 吸収線量 Absorbed dose (mGy) 25 Measured Monte Carlo 3 20 2 1 120 kV 15 100 kV 5 4 10 80 kV 5 0 0 1 2 3 4 5 Measurement Point 6 X-ray voltage : 120,100,80 kV X-ray current : 422 mA Rotation time : 0.5 rot/s Beam collimation : 40 mm Detectors : 64 Helical pitch : 0.703 結果 胸部撮影の被ばく線量 Volume (%) 100 X-ray voltage : 120 kV X-ray current : 231 mA Rotation time : 0.5 rot/s Helical pitch : 0.609 CTDIvol : 11mGy Heart (13 mGy) 80 Lung (12 mGy) 60 40 Spinal cord (9 mGy) 20 0 0 0 1 10 15 2 3 Dose (mGy) 30 4 結果 腹部撮影の被ばく線量 X-ray voltage : 120 kV X-ray current : 261 mA Rotation time : 0.5 rot/s Helical pitch : 0.703 CTDIvol : 14 mGy Volume (%) 100 Liver (16 mGy) 80 Kidney (17 mGy) Pancreas (17 mGy) Spleen (17 mGy) 60 40 20 0 0 0 10 1 20 30 2 3 Dose (mGy) 40 4 考察 ビームモデリングの検証 CTDI100の測定値が計算値に比べ低かったのは 寝台によるX線の吸収が考えられる。 モンテカルロシミュレーションによるモデリ ングの精度を上げるには寝台のモデリングまで 考慮する必要がある。 考察 線量校正 吸収線量測定による校正は,部分的にベッドの 影響を含んでおり,測定値と良い一致を示し た。 臓器線量の評価 胸部撮影の被ばく線量は肺,心臓に比べ脊髄は 線量が低かった。これは骨により線量が吸収さ れたものだと考えられる。また骨に囲まれてい る臓器は線量が不均一になっていた。 腹部撮影の被ばく線量は肝臓,膵臓,腎臓,脾 臓にどれもほぼ均一に線量がかかっていた。 結語 モンテカルロシミュレーションを用いたX線 CT装置のビームモデリングはCTの線量評価 に有用でした。 得られたビームデータをもとに,吸収線量測 定から線量校正を行い,患者CT画像を用い たモンテカルロシミュレーションによる臓器 被ばく線量の評価は有用でした。 ご清聴ありがとうございました
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