検証結果

工場製作型極小規模処理施設(接触酸化型)
③新工法による社会実験結果
苫前町 49%縮減
①検証項目
1)建設コスト
②検証の目的
建設コストの削減効果を確認
2)維持管理コスト
維持管理コストへの影響を確認 苫前町
3)建設工期
採用工法による工期の短縮効
果を確認
苫前町 75%短縮
4)処理性能
処理性能への影響を確認
苫前町
BOD,SSの計画水質を満 ・BOD 最大14.8mg/ℓ、平均12.9mg/ℓ (計画値 15mg/ℓ)
足
・SS 最大38mg/ℓ、平均10.7mg/ℓ (計画値40mg/ℓ)
※1 流入率約70%(平均流入量38.4m3/日/能力55m3/日)
※2 BODの実績評価値は、H24年10月後半~H25年1月のデータを用いて行った。
・接触酸化法は、生物膜を用いた処理方式の一つであり、活性汚泥法と比べて返送汚泥
が必要ない、余剰汚泥量が少ない、付着生物量が任意で調整できないため操作条件の
変更に対応しいにくい等の特徴がある。
・接触酸化法は、生物膜から断続的に剥離する微生物の凝集性が低いことから、活性汚
泥法と比べて、処理水が白濁し透視度が低い傾向にある。
・低水温期においては、生物膜への吸着による微細SSの除去速度が低下し、処理水中
のSSが増大して透視度が低下することがある。
・良好な透視度が必要とされる場合には、沈殿槽の後段に急速ろ過池等の設置を検討
する。
・微生物量を簡単に増やせないことから、短期間での処理増力の増強が難しい。
5)汚泥の性状
汚泥性状への影響を確認
苫前町
影響なし
・汚泥濃縮貯留槽から引き抜いた汚泥の含水率は、計画値(98%)を満足していた。
・汚泥濃縮槽において汚泥を貯留しすぎた場合、汚泥濃縮槽から汚泥がオーバーフロー
し、水処理プロセスに悪影響を及ぼすことが懸念されるため、汚泥海面とスカム厚を適
宜測定し、適切な時期に汚泥処分を行うことが必要である。
6)その他法令遵守
当該処理施設に適用される法 苫前町
令及び規制を満足していること
を確認
問題なし
・法令に従って基準に応じた対策を実施
・当該処理施設は悪臭防止法、大気汚泥防止法、騒音規制法、振動規制法の規制対象
区域外であったため、悪臭防止法、大気汚染、騒音規制、振動規制に関する項目につい
ては、確認しなかった。
生活環境の改善を確認
・平成24年12月末までに114戸が個別処理施設から公共下水道に切り替わったことで、
雑排水の放流が減少し、生活環境が改善した。
7)技術導入による生 生活環境改善効果を確認
活環境改善効果
8)住民参画
苫前町
影響なし
・現場打ちコンクリートのOD法と比較した場合
554,000千円(OD法165m3/日×2池)
→284,800千円(本技術 55m3/日×2系列+110m3/日×2系列)
④考察・留意点
・本技術と同規模の処理能力を有するOD法はなく、全体計画水量を対象とした仮想設計
により建設コストを比較した。
・本技術は施設を工場で製作することによる製作手間の低減や機器類の点数が少ない
等、仕様の簡略化を行っているため、建設コストが縮減された。
・平成24年度の維持管理コスト(処理能力55m3/日)の実績値 357万円/年
・検証事例では、維持管理コストのうち人件費が72%を占めることとなった。
・施設規模が小さいほど維持管理コストに与える人件費の影響が大きくなることから、本
技術を適用しようとする地域の特性、維持管理体制等を十分に踏まえて維持管理コスト
を試算することが必要である。
・現場打ちコンクリートのOD法と比較した場合
約18ヶ月(OD法)→約4.5ヶ月(本技術)
・本技術と同規模の処理能力を有するOD法はなく、全体計画水量を対象とした仮想設計
により建設工期を比較した。
・施設の工場製作およびユニット化により、建設工期を従来技術よりも短縮することがで
きる。
・本技術を適用する地域の特性や土中埋設の有無等によって建設工期に差異が生じる
ことから、仮想設計等により従来技術の建設工期の比較を行うことが必要である。
施設管理への住民参画の可能 苫前町 住民の協力による効果を ・建設と維持管理の円滑な実施のため住民説明会を実施し、住民向けのパトライト故障 ・本技術は極小規模処理施設のため、常駐管理を行うことが難しいため、住民との協働
性・効果を確認
確認
通報システムを採用して、住民の協力による不具合の発見・対応を行うことが可能となっ による設備不具合の発見・対応等を検討することが望ましい。
・検証事例では、パトライト点灯から通報まで時間が長かったことから(2時間半)、通報ま
た。
での時間短縮のために、より一層の住民への啓発が必要と判断された。