講義資料

米国ベンチャーキャピタルの概要
Tsunesaburo Sugaya
May 20, 2014
本日の内容
ƒ 自己紹介
ƒ 米国ベンチャーキャピタルの概要
o アメリカ経済を支えるベンチャー
o 資金運用における投資と融資
o ベンチャーキャピタルの仕組みとエコシステム
o 米国においてベンチャーキャピタルが
社会的に果たしている役割
o 米国におけるVCの役割と実績
o 日本と米国のギャップ
ƒ 最後に ~起業家として生きる
自己紹介
菅谷常三郎
General Partner, Jafco Ventures
(共同経営者、無限責任組合員)
ƒ 防衛大学校理工学部を卒業後、海上自衛官に任官
ƒ モトローラジャパンにて、移動通信R&D・ビジネスデベロップメント
ƒ 1999年 (株)ジャフコ VA部長、海外案件のビジネスデベロップメント
ƒ 2003年 Jafco America Ventures Inc. President&CEO 新チーム立ち上げ
ƒ 2008年 (株)ジャフコ 執行役員 米国担当
ƒ 2011年4月 Jafco America Venturesに転籍、現職
AlwaysOn
Sunny Sugaya
2013, The Top 100 Venture
Partners on the planet
JAFCO Venturesへの評価
The Top 25 VC Firms in 2013
Jafco Ventures
www.jafco.com
4
アベノミクス「第3の矢」 成長戦略
国家戦略特区
福岡市:創業特区
アメリカ経済を支えるベンチャー
ベンチャーバックの企業が時代を作ってきた
資金運用における投資と融資
経済において価値(お金)を産み出す源泉は企業
会社の目的とは?
資金を元手に、事業を行い、利益を産み出すこと
良い企業がたくさんあれば社会は潤い、経済は成長す
る。経済活動の中心には企業活動がある。
この企業活動に対して、元手や運転資金を供給することで、
その見返りを求めることが運用、すなわちお金を働かせる
事
資金調達の方法
資金調達
融資
投資
借入
銀行等の
金融機関
株式の発行
株式市場
個人投資家
(東証、ナスダッ
ク市場 etc)
投資銀行
・企業等
機関投資家
ベンチャーキャピ
タル
個人投資家
(エンジェル等)
融資と投資の違い
融資で資金調達
プラス:
– 経営権には影響しない
– 支払い計画をたてられる
– 税制優遇を受けられる可能性
マイナス:
– ビジネスの状況に関わらず、資金の返
済義務がある
– 個人的な負債となり得る
– 手持ち資産に応じて、借入の上限があ
る
– 返済が遅延すれば、倒産
資金の出し手である債権
者は、安全性、担保の有
無、現在の収益性を重視
投資で資金調達
プラス:
– 担保力が不十分でも、ビジネスの成長
を実現するために必要な額の調達が可
能
– 返済義務はない
マイナス:
– 株主が会社オーナーシップを有するた
め、企業家の持分が減少(株の希薄化)
– ビジネスの状況が悪い状況が続けば、
株主により、CEO、創業者を含むマネジ
メントチームが変えられることもある
資金の出し手である投資
家は、企業の成長性、経
営者を重視
ベンチャーキャピタルの仕組みとエコシステム
会社の成長と投資のタイミング
会社の価値
上場
時間(年)
VC、エンジェル
投資銀行
一般投資家
VCのしくみ
リターン(キャピタルゲイン)
リターン(キャピタルゲイン)
ベンチャー企業
ベンチャーキャピタル・ファンド
ベンチャー企業
- マネジメントフィー
- 成功報酬
- ファンド運用
General Partner
(ベンチャーキャピタル)
Limited Partner
(投資家)
.......
Limited Partner
(投資家)
企業、州などの年金基金
大学などの寄付基金
Fund of Funds
裕福な個人
企業
その他
ベンチャー企業
出資
出資
マネジメントメンバー
(ベンチャー・キャピタリスト)
マネジメントメンバー
(ベンチャー・キャピタリスト)
....
.
-
ベンチャー企業
.......
Limited Partner
(投資家)
マネジメントメンバー
(ベンチャー・キャピタリスト)
IPO (株式公開)
M&A (売却)
Out of Business
(破産)
ベンチャーキャピタルの資金回収
一株当りの価格の変化
Company
セキュリティ
会社A
2005年
2006年
1st ラウンド 2nd ラウンド
0.50
0.50
2007年
3rd ラウンド
2008年
4th ラウンド
エクジット
(IPO)
1.97
2.87
56.3
株価は100倍強(年利96%に相当)
株価は20倍強(年利110%に相当)
投資先が成功すれば投資家には投資金額の何
十倍ものリターンが入る
→ ハイリスク・ハイリターン
米国においてベンチャーキャピタルが
社会的に果たしている役割
何故、多くの日本企業が勝てないか?
イノベーションを生み出せていないから
研究開発、設備投資の割合(%)
研究開発
設備投資
Sony
6.39 (6.38)
2.77 (3.20)
Panasonic
6.50 (6.49)
4.25 (4.58)
Sharp
5.56 (5.91)
3.32 (5.42)
Apple
2.16 (2.55)
9.87 (7.81)
Samsung
5.73 (5.76)
34.05 (34.46)
売上比、2012年、()内は2009-2012 4年間の平均値
1 コストリーダーシップ戦略:低コスト化により低価格でも収益を生む戦略
2 差別化戦略:差別化によって、顧客のロイヤルティ化を実現する戦略
3 集中戦略:資源の集中によって、低コストや差別化を実現する戦略
Apple(米国企業)はどうしているのか?
オープン・イノベーション
イノベーション・エンジンとしてのベンチャー
~ 国家の競争力の源泉はイノベーション
ƒ 国家競争力の源泉はイノベーション(ヤングレポート、パルミサーノレ
ポート、オバマのイノベーション戦略 )
ƒ イノベーションこそ国家として成功し続けるための唯一最大の原動力
ƒ 社会全体をイノベーションのために最適化(人材、投資、インフラ)
ƒ イノベーションはベンチャー企業から産まれる
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社会的意義
ベンチャーキャピタルの社会的意義は、イノベ
ーションを生み出す源泉であるベンチャー企業
に資金注入をし続けること
オープン・イノベーションの中心になりつつあるベンチャー
Diminishing Economies of Scale:
US Industrial R&D by Size of Enterprise
Company Size
1981
1989
1999
2007
< 1,000 employees
4.4%
9.2%
22.5%
24.0%
1,000 - 4,999
6.1%
7.6%
13.6%
15.3%
5,000 - 9,999
5.8%
5.5%
9.0%
8.4%
10,000 - 24,999
13.1%
10.0%
13.6%
17.1%
25,000 +
70.7%
67.7%
41.3%
35.2%
Source: National Science Foundation , Science Resource Studies, Survey of
Industrial Research Development, 1991, 1999, 2001,2003,2005,2007
出口
Percentage Breakdown of Venture Backed Liquidity Events: IPO vs. M&A
Source: Dow Jones VentureSource
加速するイノベーションのスピード
New Company Categories Built at Record Speeds
Time to 10 Million Users
Pinterest
9 Months
Instagram
11 Months
iPhone
1 Year
Twitter
780 Days
Facebook
825 Days
iPod
3 Years
Mobile Phone
7 Years
Computer
8 Years
TV
10-12 Years
Radio
10 Years
Telephone
40 Years
米国におけるVCの役割と実績
米国のベンチャーキャピタル
ƒベンチャー企業に投資、育てるビジネスのプロ集団
ƒ積極的に会社運営に参加
ƒ
ƒ
ƒ
ƒ
取締役に就任
経営陣にとって、信頼のおける相談相手(メンター)
ビジネスアイディアをビジネスに育てるモデル作りの手助け
キャピタリストの広いネットワークを活用した、人材の紹介、ビジネスマッチング
ƒ長期的な視野の提供
ƒエクジットの模索、手助け
日本と米国のギャップ
米国は、世界最大のベンチャーマーケット
日・米・欧の年間投資額の比較
(百億円)
2005
2006
2007
2008
2009
2010
(資料) 財団法人ベンチャーエンタープライズセンター
VC投資のGDP比
1位:イスラエル
2位:アメリカ
3位:スウェーデン
4位:スイス
•
17位:韓国
•
26位:日本
日本は、先進国では最も低水準
世界各国の起業活動率(TEA)
1位:タイ
2位:ペルー
3位:コロンビア
•
6位:中国
•
13位:アメリカ
•
35位:日本
起業家として生きる
• 今は、数十年に一度のチャンスが訪れている
• 日本に一番欠如しているのは起業家、アントレプレナー
• 日本では、30歳台、40歳台の優秀な人たちは、ほとんど大企業へ
• 期待は20歳台以下の人たち
• 米国では、一流と言われる大学では、とにかく起業しなさいと教えます
• アントレプレナーが最もCool!
• 起業を目指してキャリアをデザイン
• 儲けて下さい、そしてそれを社会に還元して下さい
• 同じ会社でずっと働き続けるような人生もハイリスク