Vol.22 JUL. 2008 日本でのCDMAサービス開始10周年を迎えて 1998年7月14日に関西・九州・沖縄でCDMAのサービスが開始されて以来、 日本でのCDMAのサービス開 始から10周年を迎えました。この10年間で日本でのCDMAは大きく拡大し、既に9,000万人以上の皆様が CDMAをベースにした3G(第3世代)のサービスを利用しており、携帯電話は音声サービス中心からワイヤ レスデータサービス端末に大きく変化し、 日本は世界で最も先進的なモバイル市場となりました。CDMAが日 本のモバイル市場の発展に寄与することが出来たことをクアルコムとして誇りに感じるとともに、CDMAの拡 大はひとえに多くのパートナーの皆様のご支援の賜物と感謝しております。 クアルコムでは、革新的な技術開発をすることが事業の中心にあるという創業からの考え方に基づいて、研究 開発活動を積極的に行っております。クアルコムのビジネスモデルは、革新的な技術開発を行い、 自らは最終 製品を提供せず、研究開発活動の成果を、半導体製品、 ライセンス、サービス・アプリケーションプラットフォー ムを通じてパートナーの皆様に提供することで、 ワイヤレス市場の拡大と発展を可能にする 「ワイヤレス業界 のイネーブラー(enabler)」 という考え方に立っています。 クアルコムは今後も積極的な研究開発活動によっ て革新的な技術を提供することで、 パートナーの皆様のニーズにお応えし、 ワイヤレス市場の拡大と発展に貢 献していきたいと考えています。 クアルコムジャパン株式会社 代表取締役会長 1 山田 純 また、パートナーの皆様のビジネス拡大へのサポートを更に強化する為に、6月25日付けで真野毅が代表取 締役社長に就任し、日本での経営体制を強化致しました。真野は、携帯電話メーカーの米国法人の社長も含 めて、携帯電話業界での長い経験を有しており、 日本でのクアルコムの事業基盤を強化するものと確信してお ります。新しい経営体制の下で、真野と共に、 クアルコムジャパンの社員が一丸となって、 日本のパートナーの 皆様のビジネス拡大にお役に立つよう努めて参ります。 今後とも宜しくお願い申し上げます。 社長就任のご挨拶 この度社長を務めさせて頂くことになった真野でございます。 QUALCOMM NEWS Vol.22 JUL. 2008 クアルコムとの出会いは、京セラが2000年2月にクアルコムの携帯端末部門(現在のKyocera Wireless Corp.) を買収した時に始まります。この買収担当をした私が、KWCに赴任することになり、米国のサンディエ ゴを拠点に、米国・南米・オセアニア・インドの市場で、 ノキア、モトローラ、サムスン、LGというグローバルな競 合相手と戦う経験をさせて頂きました。 グローバル市場は、仕様・品質要求は比較的緩やかですが、端末価格が厳しく、 メーカーが市場リスクを取らな ければならない厳しい市場でした。例えば、開発に着手しても、その商品を買ってもらえるかどうかはわからな い、 オペレータからの価格と販売台数のコミットメントはなく、市場の実売をいつもウオッチしながら部材を発 注していても、在庫リスクがでてくる、 しかし、反対に、市場でヒットすれば、製品寿命・販売台数は大幅に伸びる 魅力的な市場でもありました。 クアルコムジャパン株式会社 代表取締役社長 真野 毅 日本では、 オペレータの仕様・品質の要求は厳しい代わりに、 このような市場リスクはある程度オペレータが面 倒を見てくれた市場です。日本メーカーは、市場成長期に日本市場に開発リソースを集中させることにより、 世界の先端技術をいち早く導入し、高度なサービスを実現した反面、残念ながらグローバル市場は海外メー カーに圧倒的な差をつけられてしまいました。 しかしながら、 やっと日本メーカーが海外を攻めるチャンスが到来して来たと考えています。1つ目は、海外市 場もi-Phoneに代表されるスマートフォンの需要拡大により、 日本の得意とするハイエンド商品を受け入れる 土壌ができつつある点です。2つ目は、 ブロードバンド時代の到来により、日本において新しいデータ端末の 需要が創造されると同時に、海外市場へ攻めないと生き残れないという強い危機感が生まれてきている点 です。最後に、 日本メーカーは、海外において非常に高いブランドイメージを持っているという点です。 現在、 クアルコムは全世界のCDMAのオペレータ向けだけでなく、UMTSのオペレータ向けのチップセット・ プラットフォームも供給しております。このような海外のオペレータの客先認定等を側面から支援すると同時 に、売上げの20%以上に相当する約18億ドル (1,900億円以上) を開発投資をしているクアルコムの技術を ご活用頂き、 日本の通信業界の皆様がグローバル市場でご活躍頂けるよう、微力を尽す所存ですので、宜しく お願い申し上げます。 QUALCOMM NEWS Vol.22 JUL. 2008 R 総務省が推すユビキタス特区の選定も終わり、 「携帯端末向けマルチメディア放送サービス等の在り方に関する懇談会」 (「在り方懇」)では報告書案が纏められるなど、携帯端末向けの次世代放送に係わる様々な動きが活発化しています。 一方米国ではMediaFLOがその更なる事業拡大のため追加の周波数を取得、また全米第一位の加入者を有するAT&T がMediaFLOのサービスを開始するなどMediaFLOがその存在感を高めています。 日本の最新動向について 沖縄県 那覇市 豊見城市 神奈川県 沖縄県 横浜市鶴見区 豊見城市 島根県 松江市 QUALCOMM NEWS Vol.22 JUL. 2008 対象地域 提案組織 対象プロジェクトと 実証実験 メディアフロー 携帯向けマルチメディア放送サー ジャパン ビス 企画(株) ・メディアフロー技術を利用した、 リ アルタイム型及び蓄積型のブロー ドバンド配信サービスの開発・実証 携帯向けマルチメディア放送サー モバイル ビス メディア リ 企画(株) ・メディアフロー技術を利用した、 アルタイム型及び蓄積型のブロー ドバンド配信サービスの開発・実証 利用 周波数 電波の利用可能性 VHF 11ch 実験局免許を受けて 利用可能。 配信を開始しています。一方、 既に 「V CAST Mobile TV」のサービス 名称でMediaFLOのサービスを2007年3月に開始した全米第2位 の加入者を有するVerizon Wireless(Verizon) にも独自サービス として、スポーツ実 況やニュースを音 声 の みで配 信する「ESPN R a d i o 」やスペイン語 系 視 聴 者 向けの 二ヶ国 語 放 送を手がける 「MTV Tr3s」のサービス開始も発表されています。AT&T Mobile TV、V CAST Mobile TVともに合計10チャンネルストリーミングチ ャンネルを月額15ドル、 もしくは、 データ通信定額サービスとのセット で、Verizonでは月額25ドル、AT&Tでは月額30ドルでサービスを 提供しています。 また米 国におけるM e d i a F L O のカバレッジは既に全 米 6 1 都 市 (2008年6月現在)までに拡大、加入者を増やしています。更に、 クア ルコムは、既に全米で周波数を獲得し、サービスを開始しているUHF 帯のch55(日本のch54)に加え、2008年4月、Boston、Los Angeles、New York City、Philadelphia、San Franciscoの計 5地域で、ch56(日本のch55)の周波数獲得を発表し、 これらの追加 チャンネルを使った新規サービスのための準備を開始しています。 横浜市におけるUHF VHF (30ch)及び豊見城 9ch 市におけるVHF(9c 又は につい 11ch h又は11ch) ては、いずれも実験 UHF 局免許を受けて利用 30ch 可能。 (株) メディア 多様な受信機向け情報配信サービ UHF 13ch∼ スコープ ス ・メディアフロー技術を利用した、 多 62ch 様な受信機器を対象とした情報配 のうち 1ch 信サービスの開発・実証 UHF (62ch) で実 験局免許を受けて 利用可能。 【左:LG社「Vu」、右:Samsung社「ACCESS」】 米国の最新動向について クアルコムの100%子会社で、米国でMediaFLOのサービスを提供 する 「MediaFLO USA Inc.(MediaFLO USA)」の事業拡大に係わ る二つの大きな発表がされました。まず、全米でWCDMA方式を採用 し、 7千万人を越える加入者を有する全米最大の携帯電話事業者AT& T Wireless(AT&T) がMediaFLOのサービス「AT&T Mobile TV」 の開始を2008年5月に発表しました。AT&Tは既にMediaFLOの対 応端末2機種、Samsung Telecommunications America社 (Samsung)の「ACCESS」とLG Electronics Mobile Comm U.S.A. Inc.(LG)社の「Vu」を市場に投入、AT&T Mobile TVのサー ビスを提供しています。この発表に伴い、MediaFLO USAはAT&T の加入者向けのみの限定サービスとして、CNN社のニュースおよび Sony Pictures Television社の映画コンテンツのストリーミング 【MediaFLOの周波数獲得状況】 A 698 MHz B 706 MHz C 710 MHz 2003年6月FCC Auction D E Ch.56 Ch.55 716 MHz 722 MHz 728 MHz { { 2 2008年5月20日、 「在り方懇」は様々な議論・検討や将来運営事業者 になりうる企画会社、携帯電話事業者、 メーカーなどへのヒアリングを 実施、携帯端末向けマルチメディア放送に係わる技術方式や制度面 およびビジネスモデルの在り方、今後の望まれるスケジュールなどを 発表しました。今後は「在り方懇」の事務局である総務省によるパブリ ックコメントの募集を経て、2008年7月に携帯端末向けマルチメディ ア放送の゛ 在り方″ の正式な方針決定がなされる予定となっています。 報告書案によれば、今後は(必要であれば)関連法案の国会への提出、 政令、訓令、告示等の整備、情報通信審議会での技術方式の公募や技 術検討、電監審での諮問、答申、 ARIBにおける技術規格の策定、事業 者の募集などを経て、2010年中頃を目処に事業者の選定が完了す る予定が提案されています。また総務省は「ユビキタス特区」の枠組 みにおいて、3社がMediaFLOの実験を実施することを発表しました。 クアルコムとKDDIの合弁会社である「メディアフロージャパン企画 (株)」は沖縄県でVHF帯を、 ソフトバンクの子会社である 「モバイルメ ディア企画(株)」は、神奈川県でUHF帯および沖縄県でVHF帯を利 用した実験を実施する予定です。また島根県の企業が協力して設立さ れた「メディアスコープ (株)」も、松江市においてUHF帯を利用した実 験を予定するなど、国内ではMediaFLOが様々な形態で実際にフィー ルドで開始されることになります。 No.49にて全米ライセンスを取得 2007年3月よりMediaFLOを展開中 A B 734 MHz C 740 MHz 746 MHz 2008年4月FCC Auction No.73にて5ライセンスを取得 (Boston, Los Angeles, New York City, Philadelphia, San Francisco) 今後、新規チャンネルを追加予定 QUALCOMM NEWS Vol.22 JUL. 2008 MediaFLO (メディアフロー)の国内外最新動向 QUALCOMM NEWS Vol.22 JUL. 2008 ワイヤレスブロードバンド実現へのクアルコムの取り組み ワイヤレスブロードバンドへの二つのアプローチ OFDMAとCDMA Evolution ワイヤレスブロードバンド実現に向けては、新たな技術方式として開発が進 むOFDMA(Orthogonal Frequency Division Multiple Access) を ベ ー スとする系 譜と、3 G の 技 術 方 式となって いるC D M A( C o d e Division Multiple Access) をベースとして発展する系譜の二つの開発 ロードマップがあります。OFDMAをベースとする技術としては、2010年 以 降 の 商 用 化を目 指して 開 発 が 進 ん で いるU M B( U l t r a M o b i l e Broadband)やLTE(Long Term Evolution)があります。これらは 10MHzから20MHzというこれまで以上に広帯域の周波数を一括して使 用できる場合有効な技術といえますが、世界の多くの地域ではこのような 広帯域の周波数を通信事業者に割り当てることが容易でなかったり、 また 周波数の使用者が入札で決定される国では、そもそもそのような広帯域の 周波数はコストが高くつきすぎるという課題も指摘されています。また現 在の3G通信事業者にとっては既に投資を行っている3Gネットワークを如 何に活用しながら高度で競争力のあるサービスができるかという、 ビジネ ス上重要なポイントも考慮が必要です。それらのニーズに応えるために、 ク アルコムではOFDMAの開発だけでなく、CDMAを更に進化(Evolution) させ新しい時代のワイヤレスブロードバンドサービスのニーズに応える 技術開発にも力を入れています。 CDMA2000とWCDMAの進化 3G技術であるCDMA2000とWCDMAはこれまでそれぞれ、EV-DO Rel.0からRev.Aへと、 またはHSDPAからHSUPAへと発展してきていま す。これらCDMA技術の進化はそれで止まらず、更にこれらをベースにマ ルチキャリア化や高次変調の導入、最新のMIMO技術との組み合わせにな どによる高速化や高スループット化が図られています。 CDMA2000では、音声サービスのための1xの容量を現行の倍以上に拡 大する1x Advancedの開発が進んでいます。EV-DOについては、現在運 用されているRev.Aのネットワークをベースに、 ソフトウエアアップグレード により複数のチャンネルを同時運用するマルチチャンネル化を図るRev.B Phase I、更に基地局チャンネルカードのアップグレードも行い1チャンネ ルあたりの最高データスピードを上げるRev.B Phase IIの商用化が今後 1−2年で予定されており、更にその先には64QAMやMIMOの導入に より更なる高速化と高容量化を実現するDO Advancedが計画されて います。 CDMA2000の今後の発展 Broadband downloads Broadband uploads Low Latency, QoS, VoIP EV-DO Rel 0 Rev A DL: 2.4Mbps UL: 153kbps DL: 3.1Mbps UL: 1.8Mbps 2008 Rev B Phase ll DL: 9.3Mbps1 UL: 5.4Mbps 2009 DL: 14.7Mbps2 UL: 5.4Mbps 2010 CDMA2000 Best in class voice capacity 1.5x increase with available features4 2008 DO Advanced DL: 34.4Mbps3 UL: 12.4Mbps3 2011 1x Advanced 1x 2009 More than doubles today’ s voice capacity 2010 2x data capacity 2x voice capacity Enhanced capacity and data rates Rel-99 Rel-5(HSDPA) Rel-6(HSUPA) Rel-7 Rel-8 Rel-9 & Beyond WCDMA HSPA HSPA+(HSPA Evolved) DL: 384Kbps DL:1.8-14.4Mbps DL:1.8-14.4Mbps UL: 384Kbps UL: 384Kbps UL: 5.7Mbps 2007 2008 DL: 28Mbps UL: 11Mbps 2009 DL: 42Mbps1 UL: 11Mbps 2010 DL: 84Mbps 2 UL: 23Mbps 2 2011+ 1R8 will reach 42 Mbps by combining 2x2 MIMO and HOM (64QAM) in 5MHz, or by utilizing HOM (64QAM) and multi carrier in 10 MHz. 2R9 and beyond may utilize combinations of multi carrier and MIMO to reach 84 Mbps peak rates. Similarly, uplink multi carrier can double the uplink data rates. Note: Estimated commercial dates 限界に近づく周波数利用効率と今後の課題 このように、進化が続く無線技術ですが、同じ帯域幅を基準に考える場合、 周波数利用効率の視点から見ると近年の新技術はそれまでの技術に比較 してそれほど大きな改善を果たせない状況が顕著となりつつあります。次 の図は、 これまで新しい技術の導入により周波数利用効率がどの程度改善 されてきたか、その変化のトレンドを表しています。1990年代に初めて CDMAがcdmaOne(IS-95) として商用化された際には、それまでのアナ ログ方式(AMPS) に比較して10倍近い容量改善が達成されました。その 後CDMA2000 1XやWCDMAという3G技術が導入され、更にデータ容 量を拡大するためにEV-DOやHSDPAへと進化し、それぞれDO Rev.A からRev.Bへ、HSUPAからHSPA+へと改善されてきました。これらの進 化により周波数利用効率は継続的に改善されては来たもののその度合い はだんだんと低下し、今後OFDMAをベースにUMBやLTEが完成しても、 それによるDO Rev.BやHSPA+に比較した改善度を見るとそれほど大き くない状況になりつつあります。 10× 3 IS-95 vs. AMPS 8× 6× 4× 2× 1994 LTE vs. HSPA+ 1997 2000 2003 2006 2009 2012 制御技術が重要に EV-DO Phase l Broadband uploads, QoS 今後は様々なサイズの基地局間の干渉回避および Enhanced capacity and data rates Rev B Broadband downloads 2011 1 Peak rate for 3 EV-DO carriers supported by initial implementation. Standard supports up to 15 aggregated Rev. A carriers. 2 Peak rate for 3 EV-DO carriers with 64QAM in the DL. Standard supports up to 15 aggregated Rev. A carriers. 3 DO Advanced peak rate for 4 EV-DO carriers as expected for initial implementation, assumes 2x2 MIMO and 64QAM in the DL and 16 QAM in the UL. 4 Capacity increase possible with new codec (EVRC-B) and handset interference cancellation (QLIC). Note: Estimated commercial dates WCDMAでは、今年から来年にかけてHSUPAの商用サービスが開始さ れる見込みですが、その後64QAMやMIMOの導入、更にマルチキャリア 化といったHSPA+やHSPA Evolvedと呼ばれる開発が進んでおり、来年 以降サービスが順次提供が開始される予定です。 ではこのように周波数利用効率向上の限界が意識され始めた中で、今後利 用者に更に能力の高いサービスを提供していくためには、 どのような技術 開発が重要になるのでしょうか。 クアルコムは、今後は様々なサイズの無線 基地局が混在して利用される場合の干渉回避および制御技術が重要にな ると考えています。近年、広域をカバーするマクロ基地局を補完する目的 で、大型ビル内やユーザーが集中的に集まる高トラフィック地域をカバーす るための小型基地局の積極的な活用が広まっています。また今後は個人で の利用も想定するいわゆるフェムト基地局の利用も検討されています。 し かしこのような様々なサイズの基地局が、同じ周波数を使いながら同じ地 域で展開されると互いに干渉源となり全体のスループットを落としてしまう という問題が発生します。今後はネットワーク全体の効率を上げ、ユーザー あたりのスループットを高くするために、 これら基地局同士の互いの干渉を 回避し、制御する機能が大変重要となります。CDMAにしろOFDMAにしろ この干渉をうまくコントロールし、ネットワーク全体の効率を上げる技術が ワイヤレスブロードバンドサービス実現のカギになると考えられ、 クアル コムは今後この分野に対して重点的に取り組み、具体的な提案をしていく 予定です。 QUALCOMM NEWS Vol.22 JUL. 2008 EV-DO Multicarrier ‒ tripled data rates across cell WCDMAの今後の発展 クアルコムのチップセット最新情報 HSPA/EV-DO Rev.A/EDGE対応通信モジュール 「Gobi TM」 Snapdragon TM 始動 「Snapdragon」は、ARM v7アーキテクチャベースの1GHz CPU 「ScorpionTM」 、 600MHz DSP、 GPS機能、 CDMA2000/WCDMAマ ルチモードの3G通信機能、HDクラスの動画再生機能などを統合した チップです。通信機能を備えるPocketable Computing Device/ Mobile Computing Deviceをターゲットの市場としています。 クア ルコムが想定するPocketable Computing Deviceとは、 “ポケット に入るサイズ” のデバイスで4∼6インチのワイドVGAクラスのディス プレイを搭載、 ストレスなくWebブラウジングが可能、HD解像度の動 画鑑賞や音楽鑑賞、GPSを利用したナビゲーション、ゲームなどもで きるうえ、長時間のバッテリー駆動という要件を満たす端末です。 ポケッタブルなコミュニケーションデバイスが拡大すると見る一方で、 クアルコムではPCへの3G通信機能の統合も進むと考えています。 そ こ で ク ア ル コ ム が 提 唱 す る の が 、H S D P A / H S U P A と CDMA2000 1X EV-DO/EV-DO Rev.A、GSM/GPRS/ EDGEのすべての通信方式をサポートしたマルチモードの通信モジュ ール「Gobi」です。1つのモジュールで、世界で利用されている大多数 のネットワークに対応できることから、PCメーカーにとっては、出荷前 に特定の地域向けにカスタマイズする手間が少なく、各種認証取得 にかける時間も低減できるというメリットがあります。Gobiモジュール は、 クアルコムがリファレンスデザインを提供し、機器メーカーが製造 してPCメーカーに納品するという形態になっています。 長時間のバッテリー駆動は、Snapdragonの最大の特徴でもあり、消 費電力は2400DMIPS(Dhrystone MIPS) で550ミリワットを達 成しています。 OSはBREW®に加え、Windows Mobile®やLinux®など、 さまざま なオープンOSに対応します。すでにサンプル出荷が始まっており、日 本 、台 湾 、韓 国 および米 国 で、複 数 のメーカー が1 5 機 種 ほどの Snapdragon搭載端末の開発を進めており、2008年第4四半期か ら2009年第1四半期には最初のSnapdragon搭載製品が発売され る見込みです。 ノートPC向けワイヤレスモデムの出荷数推移 80 60 PC内蔵モデム 50 PCカード 長率 均成 平 年 %の 53 40 30 20 10 (百万台) 6,800万台 USBモデム 70 500万台 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 出所:ABI Research, March 08 QSC MSM 4 ディスプレイ の大きさ 携帯電話 <2インチ 高機能端末 2.5インチ スマートフォン <3.5インチ PCD (Pocketable Computing Device) 4∼6インチ MCD (Mobile Computing Device) 7∼12インチ LapTop >12インチ QUALCOMM NEWS Vol.22 JUL. 2008 進化を続けるBREW ® ユーザー・エクスペリエンスを飛躍的に向上させることの出来る BREW4.0並びに、本格的3Dエンジン対応の機種も増え、いよいよ ケータイもユース・ケースなどでの使い勝手や3D描画もPC並みに 近づいて来ました。 トフォームは、BREWとFlashのそれぞれの技術の強みを組み合わせ ることで、モバイルアプリケーションとWebコンテンツの開発におけ る垣根を取り払い、 マスマーケット向け携帯端末プラットフォームに新 たな標準を創出します。 また5月28日∼30日に米国サンディエゴにて開催されたBREW Conference 2008では次世代BREWであるBREWモバイルプラ ットフォームが発表され、同時にAdobe Systems Incorporated社 と、BREWモバイルプラットフォームにAdobe Flash®技術とその他 の新しいプラットフォーム機能を統合することを発表しました。 広範囲に普及しているクアルコムのBREWクライアントソフトウェア を利用するBREWモバイルプラットフォームは、今回の技術の統合に より、Adobe Flashを使ったBREW環境での高度なアプリケーショ ンとWebコンテンツの開発が可能になります。BREWモバイルプラッ BREWモバイルプラットフォームは、 プラットフォーム機能、マルチメ ディアとコンテンツのサポート、機器データベースへのアクセス、接続 サポート、タッチスクリーンのユーザーインターフェース開発やその 他の新しい拡張機能を備え、広く普及しているBREWクライアントの 多様なサービスとAPIをさらに拡充します。また各種ツールにて Flash開発者は、携帯端末機能とWebコンテンツサービスを統合す る独立したアプリケーションを作成できるようになります。 ますます進化してゆくBREWにご期待下さい。 発行:クアルコム ジャパン株式会社 〒107-0062 東京都港区南青山1-1-1 新青山ビル西館18階 Tel.(03)5412-8900(代表) Fax. (03)5412-8956 http://www.qualcomm.co.jp ※記載されている社名および製品名は、 クアルコムもしくは各社の商標・登録商標です。 ※記事の内容は予告なく変更することがあります。 ※クアルコムの承諾のない転載・転用を禁じます。
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