1 研究主題 自信、やる気を育てるために ~自尊感情や自己肯定感を高める指導を通して~ 2 研究主題設定の理由 *波線は、本研究と合致する部分 (1) 本校の学校教育目標と目指す児童像 「人間尊重の精神を基調とし、平和を愛し、広く国際国家において信頼と尊敬を得られる知・ 徳・体の調和のとれた人間性豊かな児童の育成」 すすんで学ぶ子 学ぶ意欲をもち、身に付けた知識や技能をもとに、自ら考え、主体的に判断し、課題をより よく解決しようとする子 助け合う子 自他のよさをとらえ、他と共に力を合わせて生活しようとする心豊かな子 たくましい子 健康の増進に努め、明るく、元気よく、強い精神力をもち、たくましく生きようとする子 (2) 子どもに不足している力(昨年度のアンケートより一部抜粋) ・言葉で伝える力が不足している。 ・自分の気持ちを言葉に表して説明できない。 ・自分の思いを伝えることが苦手。 (3)子どもに身に付けさせたい力 ・自分の考えを文章だけでなく、言葉でも伝える力。 ・原稿や決まった型がないと話すのに困る児童が数多くいる。 ・身近な出来事や社会のことに関心をもち、考える力。 ・考える力。 (4)研究主題設定理由 昨年度のアンケートより子どもに不足している力として、 「自分の思いをうまく伝えられない」 、 「自分の気持ちを言葉に表すことが苦手」といった回答が得られた。また、子どもたちに身に付 けさせたい力として「自分の考えを文章だけでなく、言葉でも伝える力」 「原稿や型がなくても自 分の考えを言葉で述べる力」 「身近な出来事や社会に関心をもち、考える力」等が必要であるとい う意見が出された。 昨年までの4年間の研究『主体的に取り組む児童の育成 ~書くことを通して~』によって、 白糸台小学校として国語「書くこと」を学習する際の型が定まり、児童にも一定の学力を身に付 けさせることができた。本年度は教科を離れ、道徳の時間を通して、児童の心の育成に重点をお き研究を進めていく。その心の育成がアンケート内容の解決策になるという視点にたって研究を 進めたい。 アンケートから、書く力といったスキルは身に付いたものの、主体的に物事を判断し自らの考 えを発信する力は未だ十分ではないと読み取ることもできる。この事を踏まえ、今年度は児童の 心の育成を重視し、その心の成長によって自分の気持ちを相手に伝えたり、生活していく上での 様々な諸問題に関心をもったり、それに対してじっくりと考えたりといった主体的な姿勢を育成 していきたい。 そのような主体的な姿勢をもった児童を育成するためには、子どもの自信、やる気を育てる必 要がある。 『自信 やる気 確かな自我を育てるために』 (東京都教職員研修センター)によると、 学習への意欲や理解度が高く、友人関係も良好である児童ほど、自尊感情や自己肯定感が高いと される報告がなされている。道徳の時間を中心に教育活動全体を通して、この自尊感情、自己肯 定感を高め、自信、やる気をもつ主体性のある児童を育成していきたい。 3 研究仮説 道徳の時間を中心とした教育活動全体を通して自尊感情や自己肯定感を高めること で、自分を前向きに受け入れ、他者を尊重する心を培い、児童の自信とやる気を育 てることができるのではないか。 (1)研究仮説イメージ図 身近な出来事に関 すすんで学ぶ子 心をもち、考える 学ぶ意欲 *アンケートより *目指す児童像 自分の考えを伝 助け合う子 えようとする意欲 自他のよさ *アンケートより *目指す児童像 たくましい子 明るく、強い精神力 自信・やる気 *目指す児童像 (主体性) 自尊感情・ 自己肯定感の 自分を受け入れる 高まり *研究仮説 他者を尊重する *研究仮説 (2)用語の定義 自尊感情 自分のできることできないことなどすべての要素を包括した意味での「自分」を他者とのかかわり 合いを通してかけがえのない存在、価値ある存在としてとらえる気持ち 自己肯定感 自分に対する評価を行う際に、自分のよさを肯定的に認める感情 (3)目指す児童像 自尊感情、自己肯定感を意識した上で、各分科会ごとに目指す児童像を示す。 〔参考資料として〕 低学年「自助」を育てる時代 ・自分を愛する心を育てる ・生まれてきたことを愛する ・自分を愛する人を愛する 中学年 「共助」を育てる時代 ・お互いがお互いを支えあう ・仲間と一緒にいることを尊ぶ 高学年 「協働」を育てる時代 ・仲間と共に共通の目標に向かい支え合う ・仲間と共に歩む(創り上げる)ことを尊ぶ 中学校 「自己実現」への意識を育てる時代 ・自分の夢をもち、社会に目を開きながらその実現に努める *参考資料『セルフエスティームを育てる道徳授業』 清水保徳・和井内良樹居/編著 明治図書 4 自尊感情の3つの観点 自尊感情は3つの因子により構成される。本アンケートはこれら3つの観点に基づき、児童の自尊感 情の傾向を把握することとする。 A自己評価・自己受容 自分のよさを実感し、自分を肯定的に認められることができるかを見取る観点。教師との関係におい て影響が大きいことから、教師からの評価や言葉掛けにより高めることができる。 B関係の中での自己 多様な人との関わりを通して、自分が周りの人の役に立っていることや周りの人の存在の大きさに気 付くかを見取る観点。学習に対する意欲や良好な友人関係においての影響が大きいことから、学習や 友人関係の構築を支援することで高めることができる。 C自己主張・自己決定 今の自分を受け止め、自分の可能性について気付いているかを 見取る観点。自分の将来について考える機会をもつことで高め ることができる。 右記の3つの観点をバランスよく高めることで、子どもの自尊感情や自己肯定感を高めることができ る。 *参考資料『自信 やる気 確かな自我を育てるために』 東京都教職員研修センター 5 アンケートの実施について 本アンケートは東京都教職員研修センターと慶應義塾大学の共同研究により開発されたものである が、記載される文言に低学年児童にはわかりにくい表現が含まれている。そのため研究推進委員会では、 発達段階に即して文言を見直し、平易な表現に改めた。 アンケートを実施したのち、出てきた数値をレーダーチャート化し、本校児童の傾向を掴みたい。そ して、レーダーチャートの中で著しくポイントの低い観点を伸ばすことに重点を置き、分科会毎の目指 す児童像を決めていく。 決定した目指す児童像、すなわちポイントの低い観点をいかに伸ばしていくかの手立てを分科会にて 検討する。この検討された手立てが、授業をする際に盛り込む「自尊感情や自己肯定感を高める手立て」 となる。
© Copyright 2024 Paperzz