エンパワーメントに関する理論と論点 - 首都大学東京 都市環境学部 都市

5
総 合 都 市 研 究 第81号
2003
{審査付き論文A (共同研究関連論文)]
エンパワーメントに関する理論と論点
1.はじめに
2
. エンパワーメント研究の歴史的発展
3
. エンバワーメントの概念
4
. エンパワーメントの構造とプロセス
5
. 日本におけるエンパワーメントに関する研究の現状
6
. エンパワーメントを支援するための理念
7
. エンパワーメントを支援する方法
8
. エンパワーメントの測定と評価
9
. おわりに
巴山玉蓮*
星
旦一料
要 約
本研究では、エンパワーメントの概念、日本の研究現状、評価指標について概観し、エ
ンパワーメントを支援する方、法論について文献レビューを踏まえて考察した。
エンパワーメントの概念は様々な言葉で表現されているが、人々が他者との相互作用を
通して、自ら最適な状況を主体的に選ぴとり、その成果に基づくさらなる力量を獲得して
いくプロセスと定義することができた。このことは個人にも、集団にも、地域にも共通し
ている。
評価の視点からいえば、エンパワーメントのプロセスは結果ともいえる。つまり、ある
特定の状況下におけるその一時点は、エンパワーメントのプロセスにおける結果を示して
おり、さらなるエンパワーメントへと漸進していく際の通過点と考えられるからである。
その通過点を評価することが結果の評価につながると考えられる。しかし、日本の研究状
況からは、エンパワーメントの評価指標や評価測定にはさらに研究の積み重ねが必要で、あ
ることが示唆された。
また、個人・集団・地域のエンパワーメントを支援するための理念は、1)住民第一主
P
e
o
p
l
eF
i
r
s
t
) 2) 情報提示と本人の意志決定 (
I
n
f
o
r
m
e
d
.Cho
i
Ce)3)専門家が住民
義 (
NonJudgementw
i
t
hV
a
l
u
e
) の三点である。エンパワ
の行動に価値をつけて判断しない (
ーメントがより推進されるためには、住民同士の相互学習や住民参加が保障され、エピデ
ンスに基づいた実践的な保健活動が展開される必要がある。また、性民と行政がそれぞれ
の責任と権利を共有し、協働することが相互のエンパワーメントを高めるという考え方に
立脚した、バラダイムシフトが不可欠であることが示唆された。
*東京都立大学大学院都市科学研究科(博士課程)
輔東京都立大学大学院都市科学研究科
6
総合都市研究第 8
1号 2
0
0
3
始めたのは第二次世界大戦後で、アメリカの公民
1.はじめに
権運動やカウンセリング、フェミニズム運動など
で社会変革を目指すうごき
9
)
と連動してきた。さ
日本における 2
1世紀の健康戦略である「健康日
らに、エンパワーメントという概念は、貧困問題、
J 1) 計画は、 1986年WHOオタワ憲章 2) で宣言
本21
発展途上国の開発、南北問題、搾取・非搾取の関
された新しい公衆衛生活動であるヘルスプロモー
係性の中で、また、人間の権利や基本的人権を中
ションの戦略を導入している O このヘルスプロモ
心に据えた活動の中で、パワーレス削という状況
ーションでは、唱道 (Advocate)、能力の付与
に対する人々の力量形成支援の文脈から説明され
(
E
n
a
b
l
e
) 、調停 (
M
e
d
i
a
t
e
) などの活動を通じて
てきた。
公的健康政策の構築や支援環境整備・地域活動の
エンパワーメントは、 1960年代から 1970年代に
強化を図り、人々のエンパワーメント(能力や権
かけては、カウンセリングや心理家族療法の中で、
限を与えること、力をつけること)も高めていこ
暴力や家族崩壊などによって打ちひしがれた個人
うとする、人々の能力向上の概念が強調されてい
や家族が再ぴ力を取り戻していく過程を表わし、
る
。
1
9
8
0年代では、アメリカの公衆衛生や福祉、看護、
健康日本2
1を受けた地方計画づくりでは、エン
精神保健などの領域でも使われ始めた 111。看護の
パワーメントが、住民参加や公的責任とともに注
分野へは、看護のあり方や看護者自身のエンパワ
目されている。今求められているのは、従前の運
ーメントという形で導入されω、注目されるよう
動、栄養、休養といった個別の健康づくり分野に
になった。この分野のエンパワーメントは、医
おける取組みだけではなく、ヘルスプロモーショ
師・医療に対して従属的な立場に置かれていた看
ン戦略で強調されている人々のエンパワーメント
護者の自立性を高めるための諸活動を象徴する言
や地域の特性に応じた健康的な公共政策や環境整
葉として用いられ始めた刷。その活動を通じて、
備 3)への取組みと支援である O
自らの身体と生活のコントロールを医療者に委ね
しかし、エンパワーメントについての研究の歴
ざるを得ない患者が、潜在的な力を取り戻すこと
史は浅く、日本においては久常 4)が保健師教育に
によってパワーを獲得していく過程も検討されて
エンパワーメントの考え方を取り入れたのが初め
きている。
てである。その後吉田 5)、野嶋 6)、清水 7.8) らによっ
公衆衛生分野におけるエンパワーメントに関す
てエンパワーメントの概念は紹介され、事例研究
る研究では、貧困層と健康の危険因子の研究 11) や
にもエンパワーメントの視点が用いられるように
当事者のみならず家族やコミュニティーのエンパ
なってきた。
ワーメントも議論されてきている。そこで共通し
本稿の目的は、エンパワーメントの理論と実践
ているのは、社会的な差別や搾取により組織のな
について総合的にレビューし、日本の現状と支援
かで自らコントロールしていく力を奪われた人々
のあり方について考察することである。
が、そのコントロールを取り戻すプロセスを「エ
ンパワーメント」という言葉で表している削こと
2
. 工ンパワーメント研究の歴史的発展
である。
このようにして、エンパワーメントは個人レベ
エンパワーメントは、「権能(権限)を付与する
r
r
こと J 権力をゆだねること J 能力を与えること」
ルとともに家族や地域を対象とした介入や地域活
動に理論的な基盤を与え、発展してきた問。
「可能にさせるごと j と辞書においては定義されて
7世紀に、法律用語として「公的な権威や
いる。 1
3
. ヱンパワーメシトの概念
法律的な権限を与えること」という意味で用いら
れたのが最初といわれている。その後広く使われ
オタワ憲章においで提言されたWHOのヘルスプ
巴山・星:エンパワーメントに関する理論と論点
7
表 1 ヱンパワーメントの概念定義
研究者名
W
a
l
l
e
r
s
t
e
i
nNら同
(
1
9
8
8
)
Z
i
n
即 時 百 回nMA
ら
凶
(
19
8
8
)
G
u
t
i
e
r
r
e
zLMl7)
概 念 定 義
コミュニティーやより広い社会において、自分達の生活をコントロールしていくために、
人キや組織やコミュニティーの参加を促進していくソーシャル・アクションのプロセス
個人が自分自身の生活全般にわたってコントロ}ルを獲得するだけでなく、コミュニティー
への民主的な参加にも同様にコントロールを獲得する一つのプロセス
個人がそれぞれの生活状況を改善するための行動を起こすことができるよう、個人的、対人
的、政治的なパワーを強めていくプロセス
自分の生活に影響する要因のコントロールを人々が主張することを支援するプロセス
(
1
9
9
0
)
GibsonCH
凶
(
1
9
9
1
)
S
e
g
a
lSPら山
一般 l
こパワーレスな人々が自分達の生活の制御感を獲得し、自分たちが生活する範囲内での
(
19
9
5
)
組織的、社会的構造に影響を与えるプロセス
自己と他者を尊重するパートナーシップ、対等の意思決定、選択や責任を受け入れる自由な
RodwellCM
訓
(
19
9
6
)
G
l
enMayeV"
(
2
0
0
0
)
どを支援するプロセス
自分の生活の真実を自分自身の言葉で語ること、そのような可能性をすべての者に創り出す
ために共同して取り組むこと
ロモーションは、「人々が自らの健康をよりコント
と協調し社会へ影響を与えながら積極的に改善し
ロールし改善することができるようにするプロセ
ていく動きに対して、専門家が援助を行うことに
スである」凶と定義し、個人のスキルアップや地
より、地域の健康状態を改善していく試み j と説
域活動の強化に対し、エンパワーメントに基づい
明している。また、 Rodwell20) は、自己と他者を
たアプロ}チの必要性を強調している。
尊重するパートナーシップ、対等の意思決定、選
代表的なエンパワーメントの概念をまとめると
択や責任を受け入れる自由などを支援するプロセ
表 1のとおりである。 W
a
l
l
e
r
s
t
e
i
n
日)は、「コミュニ
スとし、 GlenMaye211 は、「エンパワーメントとは
ティーやより広い社会において、自分達の生活を
自分の生活の真実を自分自身の言葉で語ること、
コシトロールしていくために、人々や組織やコミュ
そのような可能性をすべての者に創り出すために
ニティーの参加を促進していくソーシャル・アク
共同して取り組むことである」と述べている。
ションの過程」と定義している o Zimmennan'61 ら
このようにエンパワーメントはコミュニティー
は「個人が自分自身の生活全般にわたってコントロ
心理学分野、社会福祉学分野、公衆衛生・地域保
ールを獲得するだけでなく、コミュニティーへの
健学分野など研究領域や研究対象によって様々に
民主的な参加にも同様にコントロールを獲得する
定義され使われてきた概念であるが、そこには共
一つのプロセス」と述べている。 Gutierrez!
7
l
は
通の価値、つまり「全ての人の潜在能力を信じ、
「個人がそれぞれの生活状況を改善するための行動
その潜在能力の発揮を可能にするような人間尊重
を起こすことができるよう、個人的、対人的、政
の平等で公正な社会を実現しようとする価値」叫
治 的 な パ ワ ー を 強 め で い く 過 程 で あ る Jとし、
が存在するといえる。
Gibson'81 は、「自分の生活に影響する要因のコン
トロールを人々が主張することを支援するプロセ
4
. エンパワーメントの構造とプロセス
e
g
a
lら19) は「エンパワーメン
スj と述べている o S
トは、一般にパワーレズな人々が自分達の生活の
エンパワーメントの対象、方法、プロセスは、
制御感を獲得し、自分たちが生活する範囲内での
個人または心理的エンパワーメント・組織(集団)
組織的、社会的構造に影響を与える過程」と定義
のエンパワーメント・コミュニティーのエンパワ
している。清水 71 はこの定義を、「健康の危険因子
ーメントの 3階層 6,22部)で論じられる場合が多い。
である統御感を喪失した状態をその人自らが周囲
総合都市研究第 8
1号
8
下のように述べている。第一段階は「基本的ニー
1)個人のヱンパワーメント
野嶋
6)
2
0
0
3
は
、 G
ibson聞のエンパワーメントが発生
ズ・レベル」で、基本的ニーズを満たす為に行動
する前提要件を紹介している。要約すると、①人
し、その結果労働量や労働時間の軽減とそれに伴
聞は、自分自身の健康に根元的に責任を負い、す
う自由な時間の確保ができる。第二段階は「アク
なわち健康はその個人のものであること、②個人
セスレベル」で、パワーを生み出す様々なリソー
の成長する力、自己決定する力は尊重されなけれ
スへのアクセスが可能となることによって、社会
ばならないこと、③人聞は自らをエンパワーする
的、経済的エンパワーメントが進む。第三段階は
のであって、保健医療従事者が人をエンパワーす
「意識化レベルJで、自己のおかれている状況につ
ることはできないこと、④保健医療従事者は、対
いての意識化が進み、自分の果たしている役割や
象者(患者、クライエント)を頭ごなしにコント
変革に向かつて自分の果たせる役割について意識
ロールしようとする欲求を放棄し、対象者との協
化される。第四段階は「参加レベル」で、意識化
力関係を形成し、対象者のニードを優先していく
された価値や目標に向けて積極的に参加し、意思
必要があること、⑤エンパワーメントが生じる条
決定にも参加する。第五段階は「コントロール・
件は、ヘルスケア提供者とクライエントに相互尊
レベル」で、全ての側面でのエンパワーメントが
敬の念が存在していること、医療従事者も対象者
進むことにより、新しい関係性が生まれ、他の
も共に参加する関係、協働関係であること、⑥エ
人々にも働きかける活動が見られる、という 5段
ンパワーメント過程の必要条件は信頼であること
階のモデルである。
が示されている。
麻原 m は、エンパワーのプロセスについて、①
26
清水7)は、 I
s
r
a
e
l
話)や S
c
h
u
l
z
) らの論文を引用し
個人のもつ潜在能力と一貫性への希求、②自分自
て、エンパワーメントとは、一個人が個々の生活
身の客体化と問題の意識化、③新しい価値観の獲
に対し意思決定をし、統御できるようになる、ま
得、④問題解決方法の習得と実践、問題解決能力
たはできていると感じられるようになることと個
の獲得、⑤個人の変化に関連する集団の力(働き)
人レベルでみた定義をしている。
の 5点について説明している。そして、個人は他
久木田 10) は、エンパワーメントのプロセスを以
者との交流の中で認められたり、感情を受け止め
問題解決の方法の習得と実
践問題解決能力継続的実践
力の獲得 エンパワーメント
相互に力量を獲得
↑
↓
共感・対話
満足感・安心感・意欲
効力感・有能感・白尊感情
↑
↓
傾 聴
自身が認められる、帰属意識、アイデンティティ、自分の考えや行動の確認
協働関係、情報提供、
を得る、分かち合い、カタルシス、愛他性、感情の共有、共感、励まし、目的
機会の提供、相互尊敬、
の共有、棺互関係、対人関係技術の取得など
信頼関係、環境整備
図 1 個人のヱンパワーメント・プロセスと支援方法麻原 (
2
0
0
0
) を一部改変
巴山・星:エンパワーメントに関する理論と論点
9
コミュニティ・エンパワーメント
資源の再配分
資源の再配分要求
組織的エンパワーメント
統御感の拡大
意思決定役割を担う
個人的・心理的エンパワーメント
図 2 ヱンパワーメントの 3つのレベルとその関係
られたり、逆に他者を支える経験をするという集
団の力の中で、個人の安心感を得、自己効力感、
清水 (
1
9
9
7
) を一部改変
やすい形にして提供していくこと」としている O
そこで個人的・心理的エンパワーメントが獲得
有能感、自尊感情、意欲などが高められ、エンパ
されれば、直接コミュニテイレベルでの決定や資
ワーのプロセスが漸進していくと述べている。
源の再配分に影響を及ぽし、逆にコミュニテイレ
このように、エンパワーメントの概念にはプロ
/ベルでの決定や資源の再配分は個人レベルのエン
セスが重要視されており、エンパワーメントには
パワーメントに影響力を及ぼす可能性を、清水の
個人の意志や自己決定・価値観が強く影響するこ
エンパワ」メントの 3つのレベルとその関係を一
と、他者との相互関係によりエンパワーは強化さ
部改変して図 2に示した。
れること、その関係は信頼関係と、協働関係であ
麻原 27) は、集団およびコミュニテイ」のエンパ
ること、集団との相互作用によってそれぞれが
ワーメントとは、集団および地域のメンバーが共
「力をつけること」ができるものと考えられる。麻
通の問題を解決するよう力を結集し、生活をコン
原のエンパワーメントプロセスの図を基に、専門
トロールできる力をつけることにより、メンバー
家の支援方法として傾聴、共感・対話、そして、
が個々人の生活上の問題を地域住民の共通の問題
相互の力量を獲得するという力量形成支援を追加
として認識することを示している。久木田部)は、
した新しいモデルを図 1に示した。
エンパワ}メントは QOLと強く関連して相乗効果
2) 集団(組織) ・コミュニティーのエンパワー
を生み、その結果、これまでパワーを持たなかっ
メント
た者(弱者)がパワーを持つようになるだけでな
清水7)は、組織レベルでのエンパワーメントは、
く、これまでパワーを持っていたもの(強者)を
「組織の中で個人が意思決定の役割を担うことで自
も含めた社会に、構造的な変化を生じさせること
らの統御感を高めたり、組織がコミュニテイレベ
を示している。
ルでの決定や資源の再配分に影響力を及ぼすこと
以上のことから、エンパワーメントは、他者と
ができるようになることを指し、個人レベルのエ
の相互作用を通して発生し、多重構造をもっとい
ンパワーメントとコミュニティレベルのエンパワ
える。またエンパワーメントは、人々が自ら最適
ーメントの相互作用が生じる部分を取り出したも
な状況を主体的に選ぴとり、その成果に基づくさ
の」と述べている。また、コミュニテイレベルの
らなる力量を獲得していくプロセスであるといえ
エンパワーメントとは、「コミュニティーが個人な
る。このことは個人・集団・地域に共通している
りグループが必要に応じて行っている努力に対し
ことが明らかになった。
て、社会的・政治的・経済的資源をより大きな社
会から獲得してきたり、そうした資源をより使い
総合都市研究第 8
1号
1
0
2
0
0
3
プロモーションという世界の健康戦略の潮流によ
5
.
日本におけるエンパワーメントに関す
る研究の現状
る 影 響 な ど が 考 え ら れ る 。 一 方 、 2000
年までにエ
ンパワーメントに関する研究論文が少なかった理
由は、エンパワーメントの概念が、社会運動や人
エンパワーメントをキーワードにした医学中央
権、一人ひとりの価値観に深く根ざしているとい
雑誌の検索結果では、会議録を除いたエンパワー
う点と、家父長制度や長いものにはまかれろ、お
986年 か ら 2003年 9月 ま
メントに関する論文は、 1
上に楯突かないといった日本特有の文化には馴染
でに1
40件 報 告 さ れ て い る 。 そ の 内 訳 は 、 原 著 論 文
みにくかったという点にあるのではないかと考え
38
件 、 総 説 3件 、 解 説 / 特 集 8
1件 、 一 般 1
8件 で あ っ
られた。
r
「 エ ン パ ワ ー メ ン ト J. 地域Jを キ ー ワ ー ド
000年 か ら 2003年 9月 現 在 ま で に 109
た。そのうち2
件 報 告 さ れ て お り 、 原 著 論 文 は 30
件であった。こ
983年 か ら 2003年 ま で 医 学 中 央 雑 誌 を 検 索 し
に
、 1
のエンパワーメントへの関心の高まりは、日本に
たところ、日本における原著論文は以下の
おける社会構造・疾病構造の変化、権利意識の変
あ っ た 。 概 要 を 表 2に示す。
化、ノーマライゼーションの理念の発展、ヘルス
表
報告者
宰
却
)
柳i
7件 で
1 . 柳 津 尚 代 劃 は ベ ト ナ ム に お け る NGO (非政
2 地域のエンパワーメントに関する原著論文
研究目的
栄養不良の要因分析
研究対象
地域の人キ
(
1
9
9
9
)
研究方法
研究結果
ベ ト ナ ム に お け る NGO 地域の人身のイニシアチ
(非政府組織)活動
ブを生かしたアプローチ
が、人々のエンパワーメ
ントに寄与
山根初)
健康実態の把握
都市近郊農村、農山村、
糖尿病対策
糖尿病患者
(
2
0
0
1
)
坂根ら 31
l
2年間の追跡調査
健康増進政策の推進を提起
農漁村中高年女性住民
(
2
0
01
)
プリシード・プロシード個別指導のポイントが把
モデルを用いて健康教育握しやすい・参加者から
を実施
のエンパワーメントが得
られたなどの成呆から、
MIDORIモデルは有用
門間泣)
(
2
0
01
)
保健師のエンパワーメン保健師(婦)
質問紙調査
保健師(婦)の主体性、
トの構造とその規定要因
エンパワーメントの下位コミュニティ影響力を高
を分析
概念である主体性、コミめるには、事例検討、相
ユニティ影響力につい談が行いやすく、働きが
て、保健師の経験年数にい度が高められるような
よって分析
職場環境が必要
佐伯ら泊、
住民参加型の地域保健福支援チームのスタッフ全員
自由記載による調査、面行政スタッフは住民への
(
2
0
0
1
)
祉活動における参加スタ
接、既存資料、参加観察法
ツフのエンパワーメント
信頼を学び活動に方向性
と希望を見出す
下山田ら羽) エンパワーメントに関す
エンパワーメントに関す実践活動から知見の集
(
2
0
0
2
)
る文献研究
る理論やそれを活用した
実践活動および研究の動
積、理論化、更なる実践
活動のへの貢献
向について概観
成木らお)
Bリ ハ 事 業 と 保 健 師 ・ 保 Bリハ事業の主催者
(
2
0
0
2
)
健郎の役割を検討
グループインタビュー法
f
K
友の会」の活動を通じ、
地域住民は身体障害者に
おける課題解決だけでな
く、精神障害者における
課題解決にも発展
巴山・星:エンパワーメントに関する理論と論点
1
1
府組織)活動において、栄養不良の要因分析にお
を用いた質的記述的研究により、彼らが活動を通
いて地域の人々のイニシアチブを生かしたアプロ
じ、地域住民は自分たちに起こっている問題を意
ーチが、人々のエンパワーメントを可能にしたこ
識化し、その解決に向かつて意思決定をし、課題
とを報告している。
を解決しつつある動きを、コミュニティー・エン
2
. 山根四)は都市近郊農村、農山村、農漁村を
パワーメントであったと述べている O
対象に、 2年にわたる調査から次の健康増進政策
現時点では、エンパワーメントの理論を用いた
を提起した。①農村女性の生活史に対応した健康
研究や、アンケートによる量的な分析とインタ
的ライフスタイルの構築と自律的力量形成(エン
ビューによる質的な分析によるエンパワーメント
パワーメント)②女性の健康と権利擁護運動及び
の評価が行われているが、明確な測定方法や評価
男女共同参画社会づくり③生活の質・自己実現を
指標についての議論は今後の課題である。また、
志向した健康文化のまちづくり、④医療・保健・福
エンパワーメントのプロセスを評価するのか、成
祉・生活の質の基盤整備と中山間地域振興政策の
果 (
o
u
tcome) を評価するのかについても、今後
連携の 4点である。
の研究結呆の蓄積が待たれるところである。さら
3
. 坂根ら 30 はプリシード・プロシードモデルを
に、特にアメリカで発展したエンパワ」メントの
糖尿病患者にたいする健康教育に用いたところ、
概念が、日本においてどのように定着していくの
個別指導のポイントが把握しやすい・参加者から
か、あるいは日本特有の発展型を示していくのか
のエンパワ}メントが得られるという成果があっ
についても注意深く検証していく必要があるとい
たことを報告している。
えよう O
4
. 門間加は、行政機関で働く保健師を対象に、
情報公開やインフォームドコンセント、住民参
エンパワーメントの下位概念としての主体性およ
加(参画)など新しい考え方は導入され広く活用
びコミュニティ影響力について、保健師の経験年
されてきたが、バターナリズムからの脱却とエン
数によって分析した。保健師の主体性やコミュニ
パワーメントが推進される前提として不可欠であ
ティ影響力を高めるためには、事例検討や関連職
る専門家(注(1))のパラダイムシフトを図るた
種への相談が行いやすく、働きがい度が高められ
めの実践方法論の体系だった構築は、充分ではな
るような職場環境の整備が必要であると述べてい
いことが示唆された。
る
。
5
. 佐伯ら制は、住民参加型の地域保健福祉活
6
. エンパワーメントを支援するための理念
動における、参加スタッフのエンパワーメントを
明らかにするため、支援チームスタッフ全員の調
個人のエンパワーメントを支援するためには、
査結果を質的に分析した。その結果、行政スタッ
メリットだけでなくデ、メリットも含めた情報を共
フは住民への信頼を学び、活動に方向性と希望を
有化することが大切である。人々は、ある事象に
見出していたと報告している O
ついて十分な情報の提供を得、それを基にして自
6
. 下山田ら泊)はエンパワーメントに関する理
らの行動を選択し決定する。専門家はその推進を
論やそれを活用した実践活動および研究の動向に
支援するのが役割である。星 361 は支援する際の理
ついて概観し、実践活動において獲得された知見
念について次の 3項目を提唱している。1.住民
をさらに集積、統合する必要性を述べている。
第一主義 (
P
e
o
p
l
eF
i
r
s
t
)2
. 情報提示と本人の意
7
. 成木ら 351 は、地域参加型機能回復訓練事業
志決定を重視した支援 (
I
n
f
o
n
n
e
dC
h
o
i
c
e
) 3
.専
における住民組織活動の地域への影響に関する研
門家が住民の行動に価値をつけて判断しない
究で、久木田 91 のモデルを用いて考察している。
(NonJudgementw
i
t
hV
a
l
u
e
) ことである。この理
1
0年以上の活動歴があるボランテイア団体の活動
念は健康日本21
'1にも応用されている O
と周囲の変化について、グループインタビュー法
1)住民第一主義 (
P
e
o
p
l
eF
i
r
s
t
)
1
2
総合都市研究第 8
1号
PeopleF
i
r
s
tは、地域保健活動における最も大切
2003
の選択と結果を認め合うことが重要である。
な基本理念であり、人々を中心に位置づける考え
方は、憲法上の国民主権と同義といえよう。
7
. 工ンパワーメントを支援する方法
3
7
1 は、ヘルスサービスでは、中心に据えた
Moore
人々の満足度が大切であり、その本質は、サービ
個人がエンパワーしていく過程を、行政や専門
n
'
劃
は
、
スの質であると述べている。また、 Camero
家がどのように支援すべきかについて WH0421 は
子供達の予防的なケアには、参加とエンパワーメ
「健康教育活動の方法は、従来から活用されてきた
ントの視点が必要であり、家庭と学校との協働や
他者依存型で、専門家を主導とした方法から脱皮
異世代交流を促進する地域保健と学校保健との取
しなくてはならない」と指摘し、そのための具体
り組みが重要であると述べている。 WHO
油)は、生
的な方法として、「人々が自主的で主体的に参加す
活習慣が形成される子ども達への健康教育と家庭
好ましい健康習慣を維持するための環境
ること JI
保健の意義を提示した。アメリカ合衆国で、広がっ
整備をすること Jの重要さを述べている o Flynn
た
I
KnowYourBody (自分の身体を知ろう)J401
ら431 はアクションリサーチを用いた健康なまちづ
運動は、好ましい健康習慣は、子ども時代から家
くりを実施する中で、情報へアクセスをしやすく
族のエンパワーメントと連動した家庭保健によっ
すること、意思決定に必要な情報を見極める機会
て築かれることを示している。さらに労働現場に
を与えることがエンパワーメントに寄与すると述
おいて産業保健活動を推進するために、経営者や
べている。 McFarlaneら却はヒューストンのスペ
労働組合が健康保険組合と協働した取り組みも期
イン系地域住民のコミュニティーにおける調査結
待される。また、労働者を評価活動に巻き込むと、
果から、学習も含めヘルスケアへのアクセスを増
組織的な学習が強化され、理論と実践とが推進さ
加させるための情報を提供することがエンパワー
れる 411 ことが報告がされている O
メントに繋がることを報告している。麻原 451 は個
2)情報提示と本人の意志決定を重視した支援
人のエンパワーメントの支援は、1.協働関係に
(
lnformedChoice)
あること、そのためには①支援目的の本質を理解
専門職の役割は、専門職から見たメリットやデ
する②対象者との協働関係の重要性を理解する③
メリットについてエピデンスに基づいた情報を、
対象者のエンパワーに接し、自らも達成感や効力
対象者へ提供することである。専門家の新しい役
感を得ることで、対象を尊重し、協働関係にある
割は、
トップダウン方式で住民を指導・健康管理
新たな支援者役割へ価値観を変換していくなど、
することではない。特に生涯学習においては、情
. 対象と
相互作用と協働関係を強調している o 2
報を提示し、人々が自分を発見し役割を見つけ、
. 対象者のエンパワーのプロ
なる人々の理解、 3
自己決定をしていく過程を支援し、その決定を尊
セスを支えるとして、自己表現できる場の設定や
重することが大切なことである O 対象者を単に利
情報提供などを挙げている O また、コミュニティ
用者と位置づけるのではなく、提供者と協働する
ー・エンパワーメントの支援も1.パートナーシッ
ことによって相互に力量をつけていく存在として
. 情報提供・技術支援 3
. 機会
プ(協働関係) 2
位置づける必要がある。
. 直接的な地域を挙げている o Tsey
'
6
1ら
の提供 4
3)専門家が人々の行動に価値をつけて判断しな
は、エンパワーメントにおける、効果的な家族支
い (NonJudgementw
i
t
hV
a
l
u
e
)
援モデルは、①様々な場やレベルで人類生態学的
すべての人にメリットがある画一的な選択肢は
な対応をすること、②目的が共有されること、③
ありえないことから、人々がどのような選択をし
長期的な対応の必要性を示し同時に、エビデンス
ても、その選択に対して善悪の価値づけを専門家
に基づく介入効果を明確にする追跡調査が求めら
がしないことが大切である。多様な選択肢が保障
れるとし、エンパワーメントを支援する実践的な
されていることを専門家と人々が確認し合い、そ
総合科学としての方法論が必要で、あることを示唆
巴山・星:エンバワーメントに関する浬論と論点
1
3
47
している。この他に F
awcett
).!土、地域のエンパ
ーシッブ(協働関係)、情報提供、機会の提供、環
ワーメントを高めていくために、社会科学を応用
境整備を含めた地域支援に集約されることが明確
する大切さを述べている。
)
になった(表 3。
公衆衛生分野における健康教育は、行動変容を
エンパワーメントについて考えるとき明言はさ
目的とした専門家主導による意図的な働きかけが
れないが、「支援する側」と「支援される領I
J に立
多く採用されてきた。しかしながらそれだけでは
場が二分されてしまう傾向がみられる。それでは
十分な成果が得られないことから、健康学習 48-50) エ
エンパワーメシトについて議論する意味がないわ
ンパワーメント教育日)へと視点が推移してきつつ
けで、「支援する側」と「支援される側j の双方が
ある。個人や家族、集団や地域がエンパワ}する
パートナーであると同時に、教師であり学習者で
ために大切なことは、個人や家族を重視するだけ
あるということを認識する必要性を再度強調した
ではなく、住民同士が相互学習し、住民参画が推
し
ミ
。
進されてエンパワーしやすい環境を専門家や行政
が住民や関係者とともに整備をすることである則。
8
. 工ンパワーメントの測定と評価
常に支援する側から支援される側へと一方向の図
式があるのではなく、支援する側もされる側も相
エンパワーメントを測定する先行研究は欧米を
互に学び合い、認め合いエンパワーされるのであ
a
l
l
e
r
s
t
e
i
n
回
、 R
o
g
e
r
sら田)
中心に進められてきた。 W
る
。
やC
o
r
r
i
g
a
n56) は個人や精神障害者のエンパワーメ
法的バリアにより社会参加を困難にされていた
肢体不自由者のエンパワーメントを多職種、
NPO
枕e
l
l
問
、 Eng
国)はコミュニティー
ントの測定を、 Co
s
u
r
a
el
"
9
1 らはエンパワーメントの三次
の測定を、 I
が地域レベルで支援してきた結果、環境整備を保
元的なレベルの測定を、 I
r
v
i
n
eら印)はスタッフの
障する法整備にまで結ぴついた事例闘がある。こ
a
n
d
i
v
e
rら6川ま精神
エシパワーメントの測定を、 V
うした環境整備の支援活動は、集団の力量形成を
障害者家族のエンパワーメントの測定などの研究
促進する効果をもち、地域住民がその意義や目標
とスケールの開発を行った。
を共有し、地域全体の問題を自分達の諜題として
田村 62) は、個人や患者がいかにエンパワーされ
捉えることができた結果である。さらに、普遍的
ているかを測定し、その測定項目として広い意味
な問題解決能力が獲得されるように住民と行政そ
での「問題解決能力」と、その背景となる「自己
れに関係機関が協働して環境を整備していくとき、
効力感 (
s
e
l
f
e
f
f
i
c
a
c
y
)JI
自尊心 (
s
e
l
f
e
s
t
e
e
m
)J
コミュニティーエンパワーメントがより発展して
などの心理状態を提示している。エンパワーされ
いくことが示唆された。また、エンパワーメント
た個人の変化は、自由になる、自分で状況判断・
を支援する方法の鍵は、対象を問わず、パートナ
計画・実施・評価などを行う、問題を解決しよう
表 3 ヱンパワーメントを支援する方法
支 援 方 法
1.対象者と目的を共有すること
2
. 対象者を理解すること
3
. 対象者とパートナーシップ(協働関係)を構築すること
4
. 対象者のエンパワーのプロセスを支える自己表現できる場を提供すること
5
. 対象者のエンパワーに接し、自らも達成感や効力感を得ること
6
. 対象者の情報へのアクセスをしやすくすること
7
. 対象者の意思決定に必要な情報を見極める機会を提供すること
8
. 対象者のヘルスケアへのアクセスを増加させるための情報を提供すること
9
. 長期的な対応と、エビデンスに基づく介入効果を明確にする追跡調査をすること
1
0
. 直接的な地域支援をすること
1
4
総合都市研究第 8
1号 2003
とする、積極的に他者に働きかけるなどが見られ
まれ、発言権が保障され、また相互に受容し合え
るので、質的な評価指標のーっとして活用できる
ることが重要と考える o
可能性があるが、それぞれのスケールについての
エンパワーメントの測定指標や評価基準を開発
信頼性、妥当性までは確認されていないと述べて
することは、エンパワーメントの概念を広く普遍
いる。また地域のエンパワーメントも個人と違っ
化するために不可欠な研究課題と考えられた。守表
た次元で「問題解決能力」が測定内容だとし、地
4はこれまでの研究結果をもとに評価指標を整理
域に問題解決能力があるか、人的ネットワークが
したものである。多くの研究者がエンパワーメン
あるか、異論を受け入れる土壌があるか、住民の
トはプロセスであると定義してきたが、評価の視
力量をどのように保障するかなどを挙げている。
点に立てばエンパワーメントは、プロセスである
麻原 4川土、個人のエンパワーメントの評価指標
とともに結果でもあると考える。ある特定の状況
として、自己効力感、自尊感情、意欲、自己信頼、
下における一時点は、エンパワーメントのプロセ
満足感、健康、統制感、動機づけ、ポジティブな意
スにおける結果を示しており、さらなるエンパワ
識、幸福感、有能感、自己達成感、地域資源の活用、
ーメントへと漸進していく際の通過点と考えられ
他者の尊重、ソーシャルサポートなどをあげてい
るからである。活動の効果を共有するために、対
る。集団のエンパワーメントの評価指標としては、
象者と専門家がともに通過点を結果として、エン
積極的、前向きなグループの信念、凝集性、他組
パワーメントに関する評価をすれば、双方が自ら
織とのネットワークの発展、メンバーの強みを発
の変化に気づき、次の目標設定が容易になるとい
揮できる役割構造、ソーシャルサポートの高まり、
える。この通過点を評価することが結果の評価に
リーダーの育成などが見られる、としている。コ
つながると考える。
ミュニティーエンパワーメントの評価指標は、個
エンパワーメントの評価には、質的なアプロー
人のエンパワーメント指標の他に、地域の生活問
チと量的なアプローチを適宜用い、態度、知識と
題の解決、住民のリーダーシップ、交渉技術、社
技能、批判的思考、ネットワーク、活動の実行度、
会との関係性の調整、地域への所属意識、住民の
政治活動への参加度について広がりや変化を明ら
地域に関する知識、他組織とのつながり、地域内
かにしていく必要がある。
組織および施設とのつながり、協力、地域内の意
さまざまな領域でエンパワーメントの概念が使
思決定システムの存在などを挙げている。さらに、
われていることや、質的な研究や量的な研究など
集団や地域においては、住民相互に信頼関係が生
の研究方法の違い、研究領域による研究対象の違
表 4 工ンパワーメントの個人・集団・地域別にみた評価指標
個 人
集 団
地
域
(コミュニティー)
評 価 指 標
自由になる、自分で状況判断・計画・実施・評価を行う、問題を解決しようとする、積極的に他者
に働きかける
自己効力感、自尊感情、意欲、自己信頼、満足感、健康、統制感、動機づけ、ポジティブな意識、
幸福感、有能感、自己達成感、地域資源の活用、他者の尊重、ソーシャルサポート
積極的、前向きなグループの信念、凝集性、他組織とのネットワークの発展、メンバーの強みを発
揮できる役割構造、ソーシャルサポートの高まり、リーダーの育成、発言権の保障、相互の信頼関
係、受容
地域の問題解決能力、人的ネットワークの有無、異論を受け入れる土壌の有無、住民の力量の保障、
自己効力感、自尊感情、意欲、自己信頼、満足感、健康、統制感、動機づけ、ポジテイブな意識、
幸福感、有能感、自己達成感、地域資源の活用、他者の尊重、ソーシャルサポート、地域の生活問
題の解決、住民のリーダーシップ、交渉技術、社会との関係性の調整、地域への所属意識、住民の
地域に関する知識、他組織とのつながり、地域内組織及び施設とのつながり、協力、地域内の意思
決定システムの存在、発言権の保障、相互の信頼関係、受容
巴山・星:エンパワ}メントに関する理論と論点
いなど、人の心理面や価値的部分に関わる内容で
あるだけに評価は容易ではない。評価の枠組みは
あるものの、具体的な測定方法や評価方法は提示
されていないのが現状であり、今後さらに学際的
なアプローチが必要であろう O また、エンパワー
のプロセスを評価するのか、エンパワーしている
結果を評価する削のかについても議論を深めてい
く必要がある。
9
. おわりに
本研究では、エンパワーメントの概念、日本の
研究現状、評価指標について概観し、エンパワー
メントを支援する方法論について文献レビューを
踏まえて考察した。
その結果、エンパワーメントとは、人々が他者
との相互作用を通して、自ら最適な状況を主体的
に選びとり、その成呆に基づくさらなる力量を獲
得していくプロセスであると定義することができ
た。このことは個人にも、集団にも、地域にも共
通しているといえる。
評価の視点からいえば、エンパワーメントのプ
ロセスは結果であるともいえる。つまり、ある特
定の状況下における一時点は、エンパワーメント
のプロセスにおける結果を示しており、さらなる
エンパワーメントへと漸進していく際の通過点と
考えられるからである。その通過点を評価するこ
とが結果の評価につながるといえる。しかし、日
本における研究の現状からは、エンパワ」メント
の評価指標や評価調u
定には更なる研究の積み重ね
が必要で、あることが示唆された。
個人・集団・地域のエンパワーメントを支援す
るためには、住民参加が推進されることやエビデ
ンスに基づいた実践的な保健活動が展開される必
要がある。また、住民と行政が責任と権利を共有
し、協働することが相互のエンパワーメントを高
めるという考え方に立脚した、パラダイムシフト
が不可欠であることが示唆された。
注
1
)1
専門家」とは様々な分野の保健医療福祉従事者で
1
5
あり、彼らの活動を通して保健医療福祉水準に影響
を与えることのできる人々のことを指している。
引用文献
1)厚生省 (
2
0
0
0
)1
2
1世紀における国民健康づくり運
1
) について報告書j
動(健康日本2
O
t
tαwα Chαr
t
e
rfor Heαl
t
h
Promotion.F
i
r
s
tI
n
t
e
r
nαt
i
oη
α1C
o
n
f
e
r
e
n
c
eon
H
e
a
l
t
hPr
o
m
o
t
i
o
nOttawa,
Canada
2
0
0
1
) あなたのまちの健康づくりーみ
3)星旦二編著 (
んなで進める「健康日本 21J一 新企画出版社、
p
.
2
0
3
0
1
9
9
4
)1
主体的活動の質をたかめるため
4) 久常節子 (
の方法論J久常節子、島内節編.地域看護学講座 4、
医学書院、 p
.
2
7
3
5
1
9
9
4
)
1健康学習と EmpowennentE
d
u
c
a
t
i
o
n
J
5)吉田亨 (
Hea
1
t
hS
c
i
e
n
c
e
s,
1
0
、p
.
8
1
1
9
6
)1
エンパワーメントに関する研
6)野嶋佐由美(19
究の動向と課題」看護研究、 2
9(
6
)p
.
4
5
3
4
6
4
7)清水準一 (
1
9
9
7
)1
ヘルスプロモーションにおける
エンパワーメントの概念と実践」看護研究、 3
0(
6
)
p
.
9
1
4
1
9
9
7
) 1アメリカ地域保健
8)清水準一・山崎喜比古 (
分野のエンパワーメント理論と実践に込められた意
味と期待j 日本健康教育学会誌、 4 (
I
)p
.
1
1
1
8
1
9
9
8
)1
エンパワーメントとは何か」久
9)久木田純 (
木田純、渡辺文夫編. r
現代のエスプリ J至文堂、
p.
1
0
3
4
1
0
)W
a
l
l
e
r
s
t
e
i
nN (
1
9
9
2
)
:PO
ωe
r
l
e
s
s
ηe
s
s,empower,側 dh
e
a
l
t
h:I
m
p
l
i
c
a
t
i
o
ηs
f
o
rh
e
αl
t
hpromo
ment
t
i
o
n progγ
α ms. American Journal o
fHealth
6(
3
),p
p
.
1
9
7
2
0
5
P
r
o
m
o
t
i
o
n,
2
0
0
2
) 1ヘル
1
1
) 楼井尚子・巴山玉蓮・渡部月子他 (
ス・プロモ}ションにおける住民参加とエンパワー
メント J 日本衛生学雑誌、 5
7(
2
) p.
4
9
0
4
9
7
1
9
9
7
)1
看護のエンパワーメント パワ
1
2
)P
a
t
r
i
c
i
aU (
l
)p
.
14
2
0
ーを獲得する」看護管理、 7 (
1
3
) 吉田亨 (
1
9
9
8
) [健康とエンパワーメント]久木田
現代のエスプリ』至文堂、 p
.
1
4
6
純、渡辺文夫編. r
1
5
2
1
9
9
2
)1
ヘルスプロモーション1
4
) 島内憲夫訳WHO (
戦略・活動・研究政策 -J垣内出版、 p
.
1
1
2
8
e
r
n
s
t
e
i
nE(
19
8
8
):Empowerment
1
5
)W
a
l
l
e
r
s
t
e
i
nN,B
e
d
u
c
αt
i
o
n
:
F
r
e
i
r
es
i
d
e
a
sa
d
a
p
t
e
dωh
e
a
l
t
he
d
u
c
α
t
仰 L
H
e
a
l
t
hEducQ,
1
5,
p
p
.
3
7
9
・
394
1
6
) ZimmennanMA
,RappaportJ (
1
9
8
8
)
:C
i
t
i
z
側 p
αr
t
i
c
i
p
αt
i
o
n
,
pe
問 e
i
v
e
dωn
t
r
o
lα.
n
dp
s
y
c
h
o
l
o
g
i
c
a
lc
o
作
c
e
p
t
i
o
n
s,American Journal of Community
2
)WHO (1986)
総合都市研究第 8
1号 2
0
0
3
16
。
1
6(
5
),p
p
.
7
2
5
7
5
P
s
y
c
h
o
l
o
g
y,
1
7
) G凶 i
e
r
r
e
z1M(
1
9
9
0
):W
o
r
k
i
n
gwi
仇 wom
問。i
f
c
o
伽.
An側 >
p
o
w
併 me
ηtp
e
r
s
p
e
c
t
i
v
e,
S
o
c
i
a
lWork,
3
5(
2
),
p
p
.
1
4
9
1
5
4
1
8
)G
i
b
s
o
nCH (
1
9
9
1
)
:Ac
o
n
c
勿 t側 α
l
y
s
i
so
f側 o
p
o
w
e
r
ment,
JoumalA
d
v
.Nurs,
1
6(
3
),p
p
.
3
5
4
3
6
1
1
9
)S
e
g
a
lSP,S
i
l
v
e
n
n
a
nC,TemkinT (
1
9
9
5
)
:M
easuring
l
i
e
n
t
R
u
nS
e
i
f
H
e
l
pA
g
e
n
c
i
e
s,
Empowerment初 C
CommunityM
e
n
t
a
lH
e
a
l
t
hJoumal,
3
1(
3
),p
p
.
2
1
5
2
2
7
2
0
) RodwellCM (
1
9
9
6
)
:An側 a
l
y
s
i
so
ft
h
ec
o
n
c
e
p
to
f
仰~powerment , J
oumalA
d
v
.Nurs,
23 (
2
),p
p
.
3
0
5
3
1
3
2
1
) GlenMayeL (
2
0
0
0
)
:L.Mグテイエーレス他編著、小
松i
原助監訳「ソーシャルワーク実践におけるエンパ
ワーメント
その理論と実際の論考集」相川書房、
p
.
3
3
6
4
t
u
d
i
e
si
nempowerment:
2
2
) RappaportJ (
1
9
8
4
)
:S
o
d
u
c
t
i
o
ηt
ot
h
ei
s
s
u
e
,
P
r
e
v
.Hum.S
e
r
v
,
3
,
p
p
.
1
8
I
n
tγ'
s
y
c
h
o
l
o
g
i
c
a
lEmpowerment:
2
3
) ZimmennanM
(
1
9
9
5
)
:P
I
s
s
u
e
sαndI
ll
u
s
t
r
αt
i
o
n
s,AmericanJournalof
,
2
3(
5
),p
p
.
5
8
1
冊 9
CommunityP
s
y
c
h
o
l
o
g
y
2
4
) KarSB,
P
a
s
c
u
a
lC,
C
h
i
c
k
e
r
i
n
gK
(
1
9
9
9
)
:Empowerm叩 to
fWomα
ηf
oγ Heαl
t
hPromotion:A Metα
Anαl
y
s
i
s,S
o
c
i
a
lS
c
i
e
n
c
eandMedicine,49 (
1
1
),
p
p
.
1
4
3
1
1
4
6
0
c
h
u
l
zA,e
ta
l(
1
9
9
4
):
2
5
)I
s
r
a
e
lBA,CheckowayB,S
H
e
a
l
t
he
d
u
c
αt
i
o
ηαndcomη~unity empowerment:
Conceptuαl
i
z
i
n
gαndme
αsunngpe
γc
e
p
t
i
o
n
so
f
individuαl
,orgα削 Z
αt
i
o
nαl
,αndcommunity
c
o
n
t
r
o
l,
H
e
a
l
t
hE
d
u
c
.Q,
2
1,
p
p
.
1
4
9
1
7
0
I
s
r
a
e
lBA,
Z泊 四l
e
n
n
加 MA
,
e
ta
l
,(
1
9
9
5
)・
2
6
)S
c
h
u
l
zA,
Empowermentα
s
αm
u
l
t
i
l
e
v
e
lconstη~ct: pe
γc
e
i
v
e
d
c
o
n
t
r
o
lαtt
h
ei
n
d
i
v
i
d
u
αl
,o
r
g
αn
i
z
a
t
i
o
n
α
l
αndc
仰
,n
H
e
a
l
t
hE
d
u
c
.Res,
1
0,
p
p
.
3
0
9
3
2
7
.
munityl
e
v
e
l
s,
2
0
0
0
)I
高齢者のエンパワーメント
2
7
) 麻原きよみ (
文化的見地からのアプローチ 」老年看護学、 5、
p
.
2
0
2
5
9
8
)I
エンパワーメントのダイナミッ
2
8
) 久木田純(19
クスと社会変革」久木田純、渡辺文夫編『現代のエ
スプリ』至文堂、 p
.
1
8
3
1
9
4
1
9
9
9
) INGOの活動を通してみたベトナ
2
9
) 柳津尚代 (
たな展開
プリシード・プロシードモデルの応用 J
糖尿病、 4
4(
7
)、p
.
5
8
7
5
9
1
2
0
0
0
)I
保健師のエンパワーメントの構
3
2
) 門間晶子 (
2
)、
造と規定要因の分析」日本看護科学会誌、 20 (
p
.
1
1
2
0
2
0
0
1
)I
支援チームスタッフのエンパ
3
3
) 佐伯和子他 (
ワーメント
住民参加を軸にしたまちづくりをとお
して」金沢大学つるま保健学会誌、 2
5(
1
)
、 p
.
6
5
73
3
4
) 下山田鮎美他 (
2
0
0
2
)I
エンパワーメント理論を用
いた実践活動および研究の動向と課題」宮城大学看
護学部紀要、 5、p
.
1
1
1
9
3
5
) 成木弘子他 (
2
0
0
2
)I
地域参加型機能回復訓練事業
における住民組織活動の地域への影響に関する研
究」日本赤十字看護学会誌、 2 (
1
)、p
.
78
8
5
2
0
0
3
)I
Glo
b
a
lS
t
a
n
d
a
r
dの視点からの医療
3
6
) 星旦二 (
英国保健医療改革からみた保健医療の展望」治療、
8
5(
l
)
、 p
.
1
7
ふ1
8
1
,x
imizings
αt
i
s
f
a
c
t
i
o
ηαηd
3
7
) MooreST (
1
9
9
2
)
:Mα
mα
η
αg
ingd
i
s
s
αt
i
s
f
i
αc
t
i
o
ni
nment
αlh
e
αl
t
hαnd
hum
α
ηs
e
r
v
i
c
e
s
:αmodelf
o
ra
d
m
i
n
i
s
t
r
α
,t
i
v
ep
r
a
c
t
i
c
e,
H
e
a
l
t
hMarkQ,
9(
3
4
)
, pp.293
6
C
a
d
e
l
lS (
19
9
9
)
:F
o
s
t
例 切 削pow
例昭
3
8
) CameronG,
p
αr
t
i
c
i
p
αt
i
o
ni
np
r
e
v
e
n
t
i
o
np
r
o
g
r
α
,m
sford
i
s
αd
u
αn
t
α
gedc
h
i
l
d
r
e
nandf
a
m
i
l
i
e
s
:l
e
s
s
o
附 f
romt
e
n
,
CanJCommunMentH
e
a
l
t
h,
1
8
d
e
m
o
n
s
t
r
a
t
i
o
ns
i
t
e
s
(
1
)
, p
p
.
1
0
5
1
2
1
αl
t
h
yS
c
h
o
o
l,0
'
3
9
) WHO (EURO) (
1
9
8
9
)
:TheHe
Byme.ISBN0
9
0
6
3
2
3
るら1
I
I端徹朗編(1994) I
学校健康教育とライフスキル
4
0
)J
KnowYourBody プログラム日本版の開発」亀田
ブックサービス
4
1
) McQuistonTH (
2
0
0
0
)
:Empowerm
側 付 加l
u
a
t
i
o飽 o
f
ωo
r
k
e
rs
a
f
e
t
yαndhe
αl
t
he
d
u
c
αt
i
o
ηp
r
o
g
r
・
αms
, Am
JI
n
dMed
,
3
8(
5
),p
p
.
5
8
4
5
9
7
4
2
) WHOt
e
c
h
.R
e
p
.s
e
r
.N
o
.
6
9
0(
19
8
3
)
:N仰
,Approaches
toHe
αl
t
h
E
d
u
c
αt
i
o
ni
nP
r
i
maryHe
αl
t
hc
a
r
e
,
Repo
此
o
faWHOE
x
p
e
r
tCommittee
RayDW&R
i
d
e
rMS (
1
9
9
4
)
:Empowering
4
3
)F
l
y
n
nBC,
Communities:A
c
t
i
o悦 Rese
αr
c
ht
h
γo
ughHeαl
t
h
C
i
t
i
e
s
,HealthEducationQuarterly,
2
1(
3
),p
p
.
3
9
5
4
0
5
4
4
) McFarlaneJ
,
F
e
h
i
rJ (
19
9
4
)
:DeMαd
r
e
sαMα d
r
e
s
:α
2
0
0
1
)I
農山村における中高年女性の健
3
0
) 山根洋右 (
community
,
prim
α
.
r
yh
e
a
l
t
hc
a
r
ep
r
o
g
叩 mb
a
s
e
d側
empowerment
,
H
e
a
l
t
hEducQ,
2
1(
3
),p
p
.
3
8
1
9
4
.
2
0
0
0
)I
エンパワメントと保健活動
4
5
) 麻原きよみ (
康実態把握と健康増進対策に関する研究」日本農村
エンパワメント概念を用いて保健師活動を読み解
ムベンチェ省の母子保健の実態と課題」日本赤十字
2、p
.5
4
-7
2
武蔵野短期大学紀要、 1
医学会雑誌、 4
9(
6
)、p
.
8
3
1・
8
3
9
2
0
0
1
)I
地域における糖尿病対策の新
3
1
) 坂根直樹他 (
く」保健師雑誌、 5
6(
1
3
)、p
.
1
1
2
0
1
1
2
5
EveryA (
2
0
0
0
)
:Ev
αl
uαt
i
η.
gaboγi
g
i
ηαl
4
6
) TseyK,
巴山・星:エンパワーメントに関する理論と論点
empowermentprogr
αms:t
h
ec
αs
eoJFαmily
W
e
l
lB
e
i
n
g
,
A
u
s
tNZJP
u
b
l
i
cH
e
a
l
出
,2
4(
5
),p
p
.
5
0
9
5
1
4
4
7
) FawcettSB,SeekinsT
,WhangPL(1983-84):
C
r
e
αt
i
n
gandu
s
仰 gs
o
c
i
a
lt
e
c
h
n
o
l
o
g
i
e
sJ
o
rcommu
n
i
t
νempowerment.PrevHuni.Serv,3 (2-3),
p
p
.
1
4
5
1
7
1
4
8
) 吉田亨・河口てる子・川田智恵子 (
1
9
9
2
)
r指導モ
デル」と「学習援助モデル」一患者教育の新しい展
開に向けて」佐々木英夫編.糖尿病記録号 1991、
p
.
8
5
8
8
r
1
9
9
2
) 患者教
4
9
) 吉田亨・河口てる子・川田智恵子 (
育の新しい考え方」プラクティス、 9 (
1
)
、 p
.
5
8
5
9
r
9
3
) 健康教育理論の展開」園田恭一・
5
0
) 吉田亨(19
r
川田智恵子・吉田亨編. 保健社会学 E健康教育・
.
1
8
3
0
保健行動 J有信堂、 p
1
7
5
6
)C
o
r
r
i
g
a
nPW
,P
aberD,R
a
s
h
i
dF,e
ta
l
.(
19
9
9
)
:The
c
o
n
s
t
叩 c
t叩 l
i
d
i
t
yoJempowermentamongc
o
n
s
u
m
e
r
soJm
e
n
t
a
lh
e
αl
t
hs
ω叫 c
e,S
c
h
i
z
o
p
h
rR
e
s
.3
8
(
1
)
, p
p
.
7
7
8
4
5
7
)C
o
t
t
r
e
l
lL
.
J
r(
1
9
7
6
)
:T
hec
o
m
p
e
t
e
n
tcommunity.
Ohαp
t
e
r
. Further Explor
αt
i
o
n
si
nS
o
c
iα
l
P
s
y
c
h
i
αt
r
y
,B
.j
(
,α
p
l
e
n
;R
.W
i
l
s
o
n,andA
.L
e
i
g
h
t
o
n
.
E
d
s
.
B
a
s
i
cBooks,
NewYor
k
.
5
8
) EngE,ParkerE(
1
9
9
4
)
:Me
αs
u
r
i
n
gCommunity
C
o
m
p
e
t
e
n
c
e仰 t
h
eM
i
s
s
i
s
s
i
p
p
iD
e
l
t
α:Theη
it
e
て
α
fc
e
b
e
t
w
e
e
ηP
rogramE
v
a
l
'
旬α
t
i
o
n側 dEmpowerment
,
H
e
a
l
t
hE
d
u
c
a
t
i
o
nQ
u
a
r
i
e
r
l
y,
2
1(
2
)
.p
p
.
1
9
9
2
2
0
5
9
)I
su
r
a
e
lBA
,CheckowayB,S
c
h
u
l
zA,e
ta
l
.(
1
9
9
4
)
He
αl
t
hE
d
u
c
a
t
i
o
nαndCommunityEmpowerm
四 t
:
C
o
n
c
e
p
t
u
αl
i
z
αt
i
o
n側 dMeαs
u
r
i
n
gP
e
r
c
e
p
t
i
o
noJ
Org
αn
i
z
αt
i
o
ηαlαηdCommunityC
o
n
t
r
o
l
,Health
) FunnellM M,AndersonRM,ArnoldoMS,e
ta
l
51
(
1
9
9
1
)
:Empowerment:側 i
d
e
αω h
o
s
et
i
m
ehαs
6
0
)I
r
v
i
n
e D,L
e
a
t
t P,Evans MG,e
t al
.(1
9
9
9
):
ωme的 d
i
a
b
e
t
e
se
d
u
c
αt
i
o
n,D
i
a
b
e
t
e
sE
d
u
c
a
t
i
o
n,1
7
(
1
)
, p
p
.
3
7
41
Me
αs
u
r
e
m
e
n
to
fs
t
a
f
fempowermentw
i
t
h
i
nh
e
a
l
t
h
s
e
r
v
w
eo
r
g
問 調t
伽, JNursMeas,
7(
1
)
.p
p
.
7
9
9
6
5
2
) WorldHealthOrganization,NordicCouncilo
f
Educ
就i
onQu
副 e
r
l
y
,
2
1(
2
),p
p
.
1
4
9
1
7
0
6
1
)V
a
n
d
i
v
e
rVL,
J
o
r
d
a
nC,K
e
o
p
r
a
s
e
u
t
hK,e
ta
l
.(
19
9
5
)
M
i
n
i
s
t
e
r
s(
1
9
9
1
)U
n
i
t
e
dNαt
i
o
n
sEηv
i
r
o悦 me
ηt
F
αm
i
l
y側 ,
powermentα
η ds
e
r
v
i
c
eα
st
i
s
f
a
c
t
i
o
n:側
Progr
αm,
SundsvαIS
tαtementonSupportωe
Env
の
ちnm
のt
t
s
.
αf
a
m
i
l
ymemberw
i
t
hment
α1i
l
l
n
e
s
s,P
s
y
c
h
i
a
t
r
i
c
r
5
3
) 藤原佳典他 (
2
0
0
1
) 障害者が「介助犬」と生活する
8
ことに関する地域住民の意識調査」日本公衛誌、 4
4
0
9
41
9
(
5
)、p.
e
x
p
l
o
r
a
t
o
r
ys
t
u
d
yo
fL仰 t
i
側 f
a
m
i
l
i
e
swhoc
a
r
ef
o
r
R
e
h
a
b
i
l
i
t
a
t
i
o
nJ
o
u
r
n
a
l,(
1
)
. pp.
47
5
4
6
2
) 田村誠 (
2
0
0
0
) エンパワーメントの評価方法と考
r
え方」病院、 5
9(
8
)、p
.
7
3
0
7
3
5
5
4
)W
a
l
l
e
r
s
t
e
i
nN,
P
o
w
e
r
l
e
s
s
n
e
s
s(
1
9
9
2
)
:Empow
仰明朗ム
αndH
e
a
l
t
h
:1悦 p
l
i
c
αt
i
o
n
sJ
o
rHe
αl
t
hPromotion
Pr
o
g
r
a
m
s,
Am
e
r
i
c
a
n
.J
o
u
r
n
a
lo
fH
e
a
l
t
hP
r
o
m
o
t
i
o
n,
6
p
.
1
9
7
2
0
5
(
3
),p
5
5
)R
o
g
e
r
sES,Chanber
I
i
nJ
,E
l
l
i
s
o
nML,e
ta
l
.(
1
9
9
7
)
A
c
o
n
s
u
m
e
r
c
o
ηs
t
r
u
c
t
e
ds
c
a
l
et
omeasureempo
悦服r
mentαmonguseroJmentα1heαl
t
hs
e
r
v
i
c
e
s,
百t
e
i
nN P
o
w
e
r
l
e
s
s
n
e
s
s(
1
9
9
2
)
:E悦 .
powerment
,
6
3
)W
a
l
l
e
r
αndHe
αl
t
h
:I
m
p
l
i
c
αt
i
oηsf
o
rHe
αl
t
hPromotion
Pro
g
r
a
m
s
.Ame
r
i
c
a
nJ
o
u
r
n
a
lo
fH
e
a
l
t
hP
r
o
m
o
t
i
o
n,
6
(
3
),p
p
.
1
9
7
2
0
5
6
4
) 楼井尚子・星旦二 (
2
0
0
3
)
rパートナーシップ」が
6
)、
保健師にもたらすもの」保健師雑誌、 59 (
p.
4
8
6
4
9
1
P
s
y
c
h
i
a
t
rS
e
r
v
.4
8(
8
)
.p
p
.
1
0
4
2
1
0
4
7
KeyWords (キー・ワード)
Empowerment (エンパワーメント), Process (プロセス), PeopleF
i
r
s
t (住民第一主義)
1
8
総合都市研究第 8
1号
2
0
0
3
ReviewontheTheoreticalIssueofEmpowennent
GyokurenTomoyama*andT
a
n
j
iH
o
s
h
i
*
*
*
G
r
a
d
u
a
t
eS
t
u
d
e
n
t
,
TokyoM
e
t
r
o
p
o
l
i
t
a
nU
n
i
v
e
r
s
i
t
y
疋S
c
h
o
o
lo
fUrbanS
c
i
e
n
c
e,
TokyoM
e
t
r
o
p
o
l
i
t
a
nU
n
i
v
e
r
s
i
t
y
*
*
G
r
a
d
u
a
t
Comp
γ
'
e
h
e
n
s
i
v
eU
.
γ
b
αnS
t
u
d
i
e
s
,
N
o
.
8
1,
2
0
0
3,
p
p
.
5
1
8
,
t
h
ec
o
n
c
e
p
to
fempowerment
,
t
h
ep
r
e
s
e
n
tc
o
n
d
i
t
i
o
no
ft
h
er
e
s
e
a
r
c
hi
nJapan
Byt
h
i
sr
e
s
e
a
r
c
h
,
andt
h
emethodologywhichs
u
p
p
o
r
t
sempowermentwas
andt
h
ee
v
a
l
u
a
t
i
o
ni
n
d
e
xweres
u
r
v
e
y
e
d
c
o
n
s
i
d
e
r
e
d
.
t
h
ec
o
n
c
e
p
to
f
Thec
o
n
c
e
p
to
fempowermenti
se
x
p
r
e
s
s
e
dbyv
a
r
i
o
u
sw
a
y
s
.I
no
n
e
'sl
i
f
e,
st
obes
a
i
dt
h
a
ti
ti
sap
r
o
c
e
s
st
ochooseandd
e
t
e
r
m
i
n
et
h
eb
e
s
ts
i
t
u
a
t
i
o
nbyo
n
e
empowermenti
t
ot
h
eg
r
o
u
panda
l
s
o
s
e
l
ft
h
r
o
u
g
hani
n
t
e
r
a
c
t
i
o
nw
i
t
ht
h
eo
t
h
e
r
s
.T
h
i
si
scommont
ot
h
ei
n
d
i
v
i
d
u
a
l,
c
o
m
m
u
n
i
t
y
.
,
f
u
r
t
h
e
re
n
d
e
a
v
o
ro
fr
e
s
e
a
r
c
hi
su
n
a
v
o
i
d
a
b
l
ef
o
r
F
r
omt
h
ep
r
e
s
e
n
tr
e
s
e
a
r
c
hs
i
t
u
a
t
i
o
no
fJapan
t
h
ee
v
a
l
u
a
t
i
o
ni
n
d
e
xo
re
v
a
l
u
a
t
i
o
nmeasuremento
ft
h
eempowerment.
,
t
h
e
r
ea
r
et
h
r
e
ep
o
i
n
t
so
ft
h
ei
d
e
af
o
rs
u
p
p
o
r
t
i
n
gt
h
eempowermento
fan血d
i
v
i
d
u
a
l
,
Moreover
o
fag
r
o
u
pando
facommunity脱 ;1
)People助成, 2
)I
n
f
o
r
m
e
dC
h
o
i
c
e,and3
)NonJudgement
r
e
s
i
d
e
n
t
s
' m
u
t
u
a
ls
t
u
d
yandc
i
t
i
z
e
n
s
' p
a
r
w
i
t
hV
a
l
u
e
.I
no
r
d
e
rt
opromoteempowermentmore,
,
andt
h
ep
r
a
c
t
i
c
a
lh
e
a
l
t
ha
c
t
i
v
i
t
ybasedone
v
i
d
e
n
c
e
t
i
c
i
p
a
t
i
o
ni
nm
u
n
i
c
i
p
a
la
f
f
a
i
r
sa
r
et
obes
e
c
u
r
e
d
i
sr
e
q
u
i
r
e
d
.
,
i
twass
u
g
g
e
s
t
e
dt
h
a
tt
h
eparadigms
h
i
抗i
si
n
d
i
s
p
e
n
s
a
b
l
e
;whichs
t
a
n
d
sont
h
ei
d
e
a
Moreover
台湾 t
h
er
e
s
p
o
n
s
i
b
i
l
i
t
yandt
h
er
i
g
h
t
,
andc
o
l
l
a
b
o
r
a
t
i
n
gbetweenr
e
s
i
d
e
n
t
sanda
d
m
i
n
i
s
t
r
a
t
h
a
ts
h
a
r
t
.
t
i
o
nwouldr
a
i
s
em
u
t
u
a
lempowermen