いろいろな食物の胃内停滞時間 停滞時間が短いほど胃の負担は軽くなります。参考にしてください。 1時間 半熟卵 100g 30分 たいの刺身 100g かぜ薬や痛み止めを飲まれるかたへ 薬と胃の話 牛乳 200mL 生卵100g 2時間 さつまいも 100g 胃内停滞時間 白米ご飯 100g 食パン 100g 30分 もち 100g 牛すき焼き 100g 3時間 うどん100g 30分 かまぼこ 100g たいの塩焼き 100g ビーフステーキ100g 4時間 天ぷら100g うなぎ100g 編集/日本栄養士会 管理栄養士・栄養士必携,P170, 第一出版, 2015(より作成) 2015年4月改訂 MC1504017 (4494) OM 監修:川崎医科大学・川崎医療福祉大学 特任教授 春間 賢 薬と胃炎 薬を食後に飲むことが多いのはなぜでしょう? それは、服用した薬が 直接胃に接触しないように食物で覆い、胃を守るためです。 しかし、薬の性質上、食後に服用しても胃炎や潰瘍になりやすいもの があります。その中でよく知られているものの1つに、非ステロイド性 消炎鎮痛薬という薬があります。効き目や安全性から、 痛みを抑えたり、 かぜの症状を和らげる薬に広く配合されています。 非ステロイド性消炎鎮痛薬はこんな時に使われます ●かぜをひいたとき ●歯、骨、関節が痛いとき 頭痛、生理痛の時 胃炎を起こしやすい主な薬剤 ●非ステロイド性消炎鎮痛薬 痛みや炎症を抑え、熱を下げる薬です。 ●抗生物質 体内に入った細菌を殺したり、 増殖を抑える薬です。 ●副腎皮質ホルモン 炎症や免疫反応を抑える薬です。 か のう ●骨折や化膿などで 皮膚が腫れているとき は 胃の調子が悪いときに、これらの薬を服用する場合は、 医師に相談しましょう。 1 2 胃炎とは 胃の痛みや不快感、 食欲不振などの症状の原因となる胃腸の病気は、 私たちの生活のなかでとても身近な存在となっています。胃腸はスト レスや生活の乱れなど、心身の状態に敏感に反応する、 健康のバロ メーターともいえるでしょう。 その胃腸病の中でも、最も多いものが胃炎です。胃炎は、慢性と急性 の 2種類に分けることができ、 どちらも胃に炎症が起こる病気ですが、 成り立ちが異なります。 急性胃炎(急激な炎症が起きた状態) 急性胃炎は刺激による一過性のものなので、原因を取り除き、 胃の炎症を治療すれば早く治ります。 症状 胃・みぞおちの痛み、不快感、食欲不振など症状のひどい時は 嘔吐、さらには吐血や下血(血便)が起こることもある 原因 薬剤、ストレス、暴飲暴食、アルコール、風邪などのウィルス、 食物アレルギーなど おう と 慢性胃炎(長い間に起こる胃粘膜変化) 自然に治る性質のものではないので、長期にわたる適切な治療 を受けることが大切です。 症状 原因 胃の痛み、もたれ、不快感、 食欲不振など。 自覚症状がないこともある。 加齢、 ピロリ菌、 胃の働きの異常 など 3 4 非ステロイド性消炎鎮痛 薬と胃炎の関係 非ステロイド性消炎鎮痛薬が体内に入ると、 主に2つの物質が作用し て胃に影響を与え、炎症を起こしやすくしていると考えられています。 ①プロスタグランジン ②活性酸素 非ステロイド性消炎鎮痛薬は、プロスタグランジンという体内物質 を減らすことによって痛みや炎症を抑えています。 ところが、このプロスタグランジンが減ると、胃粘膜を守る粘液や 血流が減り、障害が起こりやすくなります。 非ステロイド性消炎鎮痛薬は、好中球という免疫細胞に作用して 活性酸素を放出させます。この活性酸素が胃壁の血管内で過剰に なると胃粘膜に障害が起こりやすくなります。 プロスタグランジンの働き 胃粘膜 血 管 体では 痛みを脳に伝える 発熱・炎症を引き起こす 胃では 粘液を作って胃を守る 5 6 胃薬の働き 活性酸素の話 活性酸素は通常その強い殺菌力で細菌やウィルスを攻撃し、 ひとくちに胃薬といっても、その働きはさまざまで、胃酸に作用する ものと、 胃粘膜に作用するものの2つに大きく分けられます。 私たちの体を守ってくれる働きをしています。 しかし、なんらかの原因によりその数が大量に増えると、 出過ぎた胃酸を止めたり、 中和する薬 正常な細胞や血管を酸化させ、 ●プロトンポンプ阻害薬 ●H 2ブロッカー その機能を障害します。 ●制酸薬 活性酸素による障害は、体の老化を早めるだけでなく、 動脈硬化などのさまざまな生活習慣病を引き起こすのです。 活性酸素は体にとって良い面と悪い面をあわせ持つ、 両刃の剣といえるでしょう。 弱くなった胃粘膜を 丈夫にする薬 ●防御因子増強薬 ●組織修復薬 7 8 かぜ薬や、痛み止めを飲む時の注意 ◆空腹時には 服用しないようにしましょう。 胃にやさしい 生 活 ◆規則正しい生活を心がけましょう。 ◆牛乳や胃粘膜を保護する薬 を先に飲むとよいでしょう。 胃の障害を 抑えることができます。 ◆アルコールやタバコは 胃粘膜に障害を与える ことがありますので、 控えた方がいいでしょう。 薬のなかには、牛乳と一緒に飲むと 効き目が弱くなるものがありますので、 医師または薬剤師に確認してください。 ◆食事は腹八分目で、 消化の良いものをとりましょう。 胃の負担が少なくなります。 ◆胃の調子が悪い時には 医師に相談しましょう。 9 10
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