沖縄産にこだわり生産し 世界に通用するメーカーへ

㈱フジタカクリエイション
沖縄産にこだわり生産し
世界に通用するメーカーへ
地域資源活用
独立行政法人 中小企業基盤整備機構 広報統括室広報課
﹁沖縄らしさを沖縄でつく
る。どこもやっていないこと
だから挑戦してみたかった﹂
と㈱フジタカクリエイション
︵沖縄県うるま市︶の高里豊
吉社長は、オリジナル製品の
企画・製造を始めた経緯を語
る。やるからには沖縄発の世
界的なテキスタイルメーカー
にまで上りつめる。これを目
低コストでなければ太刀打ちで
標に掲げ、沖縄の伝統的な模
様や独特な色使いを現代風にア
きない。
い知らされました﹂と壁にぶつ
が重要なのだ、ということを思
﹁この時に価格競争の厳しさ
を知り、品質と価値の追求こそ
レンジした、かりゆしウェア、
ハンカチ、ストールなどを自社
で一貫生産している。
一九八四年に寝具卸として
業。メーカーから届く商品を見
て、
﹁ここを工夫すれば売れる
のに﹂という思いを抱くことが
本 社
沖縄県うるま市字州崎
12 28 ☎ 098 938 2323
http://www.kukuru-okinawa.com/
業 種
テキスタイル商品の製
造・販売
業
1984 年
設 立
1999 年 1 月
資本金 3000 万円
従業員数 47 名(アルバイト含む)
ンドの立ち上げだった。
要になるのは、オリジナルブラ
社長は言い切る。そのために必
れは顧客の満足度にあると高里
必要なのは﹁価格以上に価値
ある商品﹂を提供すること。そ
どうすればいいのか。
大手との価格競争には勝てない。
企業データ
にある工場で生産しているが、
最初に手掛けたのはTシャツ
のプリント。スクリーン印刷設
ても、商品が良いだけで売れる
商品の良しあしである。といっ
は一〇%まで高めるのが目標だ。
億円︶の五%を販売。三年後に
ットサイトでも全売上高︵約五
販売する。このほかインターネ
しウェア、てぬぐい、雑貨類を
工場で生産した高品質のかりゆ
専門店など六店舗を構え、自社
の目抜き通りである国際通りの
よるオリジナル商品で、那覇市
た。すべて自社のデザイナーに
かったときの辛さを語る。
二〇〇九年に﹁KUKURU﹂
現在、Tシャツなど量販品は、 ︵くくる=沖縄の方言で﹁心﹂
十年前に立ち上げた中国江蘇省
の意味︶のブランドを立ち上げ
ることはほとんどなく、そのも
来年からは沖縄での生産に戻す
多くあった。提案しても実現す
どかしさなども加わり、自ら製
計画。独自の生産技術を駆使す
るので、かつての二の舞にはな
造に携わる道を選んだという。
らないと強調する。
備を導入し、生産販売を始めた
わけでもない。安く販売しても
ただ、沖縄で生産することで
売れるわけではない。決め手は
が、量産品であるTシャツ類は
﹁価格以上の価値﹂
を
求め続ける
かりゆしを着た高里豊吉社長
商工ジャーナル 2015.8 78
LET S COLLABORATE!
プリント 技 術 を
苦労して 確 立
装置を導入し、最適な温度を求
適さない。そこで軟水に変える
います﹂という。
実践的な内容は今でも役立って
ました。多くの気づきがあり、
でしたが、それ以上の成果を得
目標は世界に通用する
テキスタイルメーカー
販売までを一貫して行うことに
めて何度も試行錯誤し、納得の
こうしてプリント技術を完成さ
この縁もあって中小機構のア
ドバイザーと関わり、国の地域
ある。川上・川下の分業が普通
いく洗いができるようになった。
高里社長がこだわるのは、プ
リントから縫製までをすべて自
せるまでに二年を費やし、売れ
産業資源活用事業を申請。二〇
高里社長が取り組む事業展開
の特徴は、プリントから縫製、
社工場で完結すること。この技
る商品を作ることができるよう
ではこのようなSPA︵製造小
術をつかむまで容易ではなかっ
合わせ、中小機構は経営、EC
売︶が増えてきたが、沖縄では
だったアパレル業界でも、最近
︵電子商取引︶の専門家などを
ほかにはない。
一〇年に認定を受けた。これに
﹁お客様が納得し売れる商品
を作ることができましたが、こ
派遣し販路拡大などを支援した。
になったという。
必要になり、
﹁京都に出向き染
れで完璧とは言い切れません。
客観的な経営へのアドバイスが
た。生地の前処理、プリント後
色の勉強をしました。それぞれ
満足せず、さらに高品質を目指
の水洗いなどいくつもの工程が
の工程は分業体制になっている
着実に実を結び、今年四月にオ
ーを導入し本格的なテキスタイ
高里社長と中小機構との関わ
りは、インクジェットプリンタ
規模事業者三〇〇社﹂
︵主催・
された﹁がんばる中小企業・小
業が評価され、今年三月に発表
また、地域貢献・地域経済の
活性化に貢献している同社の事
はない。沖縄発のテキスタイル
は事業規模の拡大だけの追求で
すのは当然だが、そこにあるの
という。企業として成長を目指
理由は、下請にならないためだ
﹁コンパクトに生産すること。
工場内を無駄なく使い、倉庫ま
したい﹂と熱意を語る。
ル生産体制を構築したころに
中小企業庁︶に選定されている。
で備える﹂ことで、固定費を圧
インクジェットプリンターを
使いプリントを始めたのは十年
る。会社経営のイロハを勉強す
ープンした沖縄最大の大型商業
ほど、職人の技が必要なことを
私は自社だけでやろうとした。
前。当時、技術が確立したばか
る必要性を感じた高
縮する合理的な手法をとってい
りで冒険でもあったが、色数に
里社長は、熊本県人
施設にも店舗を開設した。
制限がほとんどなく、デザイン
吉市にある中小企業
最初はうまくできずに悩みまし
の再現性が高い特徴を重視した。
大学校人吉校の﹁経
た﹂という。
中小企業基盤整備機構
お問い合わせ先
てくるはずだ。
目標とする。規模は後からつい
通用するメーカーになることを
への展開を図り、さらに世界で
メーカーとして、県内から全国
る。一貫生産、販売にこだわる
ただ、生地に直接プリントして
営管理者養成コー
地域資源活用事業認定
で中小機構が経営支援
もうまくいかない。生地に糊を
ス﹂で半年間にわた
たが、ひとつずつ解決すること
コーティングすることで、厚み
り、経営マネジメン
広報統括室広報課
☎03 ︱5470 ︱1515
79 商工ジャーナル 2015.8
で、乗り越えることができまし
や濃さを出すことに成功した。
ト を 学 ん だ。
﹁那覇
と熊本の往復は大変
洗いにも問題があった。沖縄
の水はミネラル分の多い硬水で
生地に微妙なバランスで糊をつける
プリントの前処理作業。試行錯誤の
中でつかんだ技術だ