2014 年2月 平成 25 年度 株式会社明治野鳥保護区内 タンチョウおよびオジロワシ繁殖状況報告書 株式会社明治野鳥保護区牧の内および株式会社明治野鳥保護区槍昔における、タンチョウおよび オジロワシの繁殖状況をご報告します。 1. 目的 株式会社明治野鳥保護区牧の内、および株式会社明治野鳥保護区槍昔では、野鳥保護区の保全対 象である絶滅危惧Ⅱ類のタンチョウの他、同じく絶滅危惧Ⅱ類であるオジロワシが繁殖地として利 用している。繁殖地を保全するため、また野鳥保護区における適切な環境管理活動を進めていくた め、基礎情報収集を目的として毎年繁殖期に繁殖状況調査を行なっている。 2.野鳥保護区について 当会では、タンチョウの繁殖地を保全するため、1987 年より当会独自の野鳥保護区を設置してい る。今回の調査地は、株式会社明治が自然環境保全区とし、さらに 2007 年に当会と協定を結ぶこ とで株式会社明治野鳥保護区牧の内(231.8ha)、および株式会社明治野鳥保護区槍昔(235.5ha)と し、共同で保全している場所である(図1~3)。同野鳥保護区では、基礎情報収集ためのモニタ リング調査、野鳥保護区の自然を人に知ってもらうための自然観察会、および自然環境の維持、改 善のための管理活動を行なっている。 図 1.野鳥保護区位置図 1 図2.株式会社明治野鳥保護区牧の内(左赤枠内)、および株式会社明治野鳥保護区槍昔(右赤枠内) 図3.株式会社明治野鳥保護区牧の内(左)、および船上から見た株式会社明治野鳥保護区槍昔(右) 3. 対象種について (1)タンチョウ 国の特別天然記念物、および環境省レッドリスト絶滅危惧Ⅱ類に指定されている翼開長 240 ㎝ におよぶツルの仲間。一時は絶滅したと考えられていたが、長年の保護対策の結果、北海道東部 を中心に 1,500 羽になるまでに個体数を回復させている。毎年3月下旬頃、釧路地方で越冬した タンチョウは、主に道東の湿原に飛来し、繁殖期に入る。風蓮湖周辺を含む根室半島では、約 50 つがいのタンチョウが湖沼や河川付近のヨシ原を利用して繁殖している(図4左)。 (2)オジロワシ 国の天然記念物、および環境省レッドリスト絶滅危惧Ⅱ類に指定されている翼開長 230cm にお よぶ大型のワシ。ヨーロッパからアジアにかけて広く分布し、多くは北海道へ越冬のため飛来し、 一部は夏に道内でも繁殖する。根室半島では、営巣するつがいが 15~20 つがい確認されている。 魚や水鳥を捕食するため、河口部や海岸部に良く見られ、巣は湿地周辺に生える巨木の樹上を使 用する(図4右)。 図4.タンチョウ(左)とオジロワシ(右) 2 4.繁殖状況の確認方法について 株式会社明治野鳥保護区牧の内では、4月7日、15 日、19 日、29 日、5月 1 日、13 日、17 日、 29 日、6月 10 日、14 日、27 日、7月 1 日、19 日、24 日の計 14 回、巡回時に実施し、同野鳥保護 区周辺から目視でタンチョウ、およびオジロワシの繁殖状況を確認した。 株式会社明治野鳥保護区槍昔では、地上から繁殖状況を確認することが困難であるため、5月 3日、6月5日、7月3日の3回、近隣の漁港から小型船をチャーターし、船上から目視で確認 をした。 5.平成 25 年度繁殖結果 (1)株式会社明治野鳥保護区牧の内 ・タンチョウ ・オジロワシ : 標識T25 ペア(区内)注 ・・・・・ 繁殖成功 ヒナ1羽 標識 99Vペア(区外)・・・・・・ 繁殖成功 ヒナ1羽 : タンネ沼ペア(区内)・・・・・・ 繁殖成功 ヒナ1羽 オンネ沼ペア(区外)・・・・・・ 繁殖成功 ヒナ1羽 (2)株式会社明治野鳥保護区槍昔 ・タンチョウ ・オジロワシ 注) : ヤリムカシ川南ペア(区内)・・・ 繁殖失敗 ヤリムカシ川東ペア(区外)・・・ 繁殖失敗 : ヤリムカシ川河口ペア(区内)・・ 繁殖成功 ヒナ2羽 区内:野鳥保護区内で繁殖したつがい 区外:今回の確認地点は野鳥保護区外だが、野鳥保護区の環境を利用していると考えられる個体 以上 3
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