野間馬とは? - 馬の博物館

にほんざいらいば
日本在来馬
のまうま
野 間 馬「 ミ カ ン 」
今年2月、愛媛県今治市からポニーセンターへ新しいな
かまがやってきました。
それは、日本に昔からいる種・日本在来馬のうち、
「野間
馬(のまうま)」という種類の小さな馬です。
この小さななかまの名前をお客さまから募ったところ、
たくさんの方が色々なお名前を考えてくださいました。中
でも、応募された方が最も多く、親しみやすい名前という
ことで、「ミカン」に決まりました。
この名前は、野間馬の産地である愛媛県の名産品の「みかん」。
この根岸競馬場でかつて、日本人の馬主として初めてレースで勝利をあげた西郷従道(さ
いごうじゅうどう)の所有馬「ミカン」。
さらに、ポニーセンターにある「みかん」の木、など、色々なつながりのある名前なの
です。
野間馬(のまうま)とは?
愛媛県今治市が産地で、現存する日本在来馬8種のうち1種。体高がおおよそ 120 セン
チ以下で、トカラ馬(鹿児島県)や与那国馬(沖縄県)などとともに、在来馬のうちもっ
とも小柄な種です。
◆ 野間馬の起源
寛永 12 年(1635 年)、松山藩主久松定行が、今治城主であった弟の定房に命じて、瀬戸
内海の小さな島で、合戦用の軍馬の育成を行いました。ところが、疫病やえさ不足のため
この計画が失敗してしまいます。その後今治藩は、領内の野間郷へ馬の育成を委託しまし
た。
野間郷で育てられた馬は、体高4尺(約 121 センチ)を基準にして、それより大きな馬
は藩が買い取り軍馬として増産が進められました。一方、これより小さな馬は藩が農家へ
無償で払い下げ、のちの管理をまかせたのです。その後野間郷一帯の農家で、農耕馬とし
て繁殖が進められたのが、野間馬の起源とされています。
たてがみが多い
◆ 野間馬の特徴
※ミカンの場合、リボンでおめかしする
こともあります
温和で賢い性格
地面から背中までの高さ
が約 120 センチ以下
骨や蹄が硬い
このようにして増産された野間馬は、
「野間駒(のまごま)」、
「野間子(のまご)」などと
呼ばれ、農家の人々に無くてはならないパートナーとなりました。瀬戸内海の島や沿岸地
域など、急傾斜の多い地域では荷を運ぶのに用いられ、特にミカン栽培では収穫したミカ
ンを大量に運ぶのに非常に役立ったのです。
体が丈夫で、よく粗食に耐え、骨や蹄が堅いため蹄鉄をはかせる必要がありません。こ
れらの特徴は野間馬だけでなく、日本の在来馬にみられる特徴でもあります。
そのほかに、性格が温和で賢い、前髪やたてがみが多いなどと言われています。
◆ 野間馬のその後
明治時代に入ると、政府が軍馬の育成を奨励し、小型馬の
生産・育成を厳しく取り締まったため、野間馬は衰退の一途
をたどってしまいます。第二次世界大戦後はさらに、農業の
機械化が進み、農耕馬としての野間馬の出番はほとんど無く
なってしまいました。
そんな中、昭和 53 年、数少ない野間馬の所有者から、今
治市に4頭が寄贈され、「野間馬保存会」が発足されました。その後保存活動が進められ、
昭和 63 年に今治市の天然記念物に指定、翌平成元年には「のまうまハイランド」が今治市
にオープンしました。
保存・増産活動が進められ、約 50 頭に回復した野間馬は、観光や小学校のクラブ活動、
動物療法などに利用されています。
かつては人のために働いた野間馬が、一時は絶滅の危機に陥りながらも、地元の人々の
努力により、今また私たちの生活を豊かにしてくれているのです。
野間馬について、くわしくは
のまうまハイランドホームページに掲載されています
(「のまうまハイランド」で検索)
日本在来馬(にほんざいらいば)
古くから日本のそれぞれの土地で飼養されてきた日本固有
の馬を言います。
在来馬の起源については諸説ありますが、遺伝学的な研究に
より、古墳時代にモンゴルから朝鮮半島を経て、九州へ伝わっ
たとされるのが主流です。
律令国家が成立したのち、7世紀頃からは官牧(かんぼく)
北海道和種
と呼ばれる国営牧場で、宮中で用いる馬が放牧されました。ま
た、官道(国道)が作られると、物資を馬で運ぶ駅伝制が整備
され、馬は重要な交通手段となりましたが、この制度は形態を
変えながらも近世まで続きます。このほか、軍馬として、また
は農業の担い手として、あるいは神様へ奉納する神馬として、
木曽馬
馬は日本人の生活に着実に根付いてきました。
江戸時代には、馬の名産地が 20 以上あり、それぞれの地域で人々が育てていました。
明治期以降、日本の在来馬は多くが外来種と交配させることで改良が行われてきました
が、一部の地域では日本古来の種が残っており、現存するものは北海道和種、木曽馬、御
崎馬、トカラ馬、宮古馬、与那国馬、対州馬、野間馬の8種とされています。
日本在来馬について、くわしくは
(「日本馬事協会」で検索)
日本馬事協会ホームページ
に掲載されています
野間馬に会える施設
のまうまハイランドでは、繁殖を終えた野間馬を、動物園などの公共施設へ貸出してお
り、全国6か所の施設で野間馬に会うことができます。関東圏では、上野動物園でのみ会
うことのできなかった野間馬ですが、このたび横浜の馬の博物館へ、1頭を迎えることが
できました。普段目にすることのない在来馬である野間馬を、積極的にご紹介していきま
す。
「のまうまハイランド」ホームページより
十和田市馬事公苑
駒っこランド
上野動物園
富山市ファミリーパーク
天王寺動物園
兵庫県立農業高校
安佐動物公園
高知県立のいち動物公園
愛媛県立とべ動物園
〒034-0106
青森県十和田市大字深持字梅山1-1
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