外国人相談について - 公益財団法人大阪府国際交流財団

外国人相談について
2016年2月
大阪府府民文化部都市魅力創造局国際課
公益財団法人 大阪府国際交流財団(OFIX)
=
目 次 =
ページ
はじめに
1
1
大阪府外国人情報コーナーにおける外国人相談の現状
2
2
外国人相談の意義・役割
3
3
外国人相談の機能
4
4
外国人相談の利用者
4
5
外国人相談の実施団体
4
6
自治体等における外国人相談窓口
5
7
外国人相談を始める前に
5
8
外国人相談窓口設置へのステップ
8
9
OFIX の支援
10
参考資料
1
大阪府内の分野別多言語相談窓口
11
2
大阪府外国人情報コーナーの対応例
12
3
相談票のサンプル
14
4
大阪府外国人相談コーナーの概要
15
はじめに
大阪府は、在留外国人数が東京都に次ぐ全国2位で、平成 26 年末で 160 の国・地域出身の外国人約
20 万人が暮らしています。外国人住民が日本人とともに暮らすことは、今や珍しいことではなくなって
おり、日々の暮らしに身近な市町村等が外国人相談事業を行うことは、多文化共生社会を実現するうえで
重要であると言えます。
大阪府では「大阪府国際化推進基本指針」
(平成 4 年)に基づき、平成 5 年に「大阪府外国人相談コ
ーナー」
(現「大阪府外国人情報コーナー」
、以下「情報コーナー」という。)を開設し、多言語での情報
提供を開始しました。
情報コーナーは、日本語の習得が不十分なため、暮らしにかかわる各種サービスを十分受けることがで
きなかったり、困った時の相談機関がわからなかったりするなど、日常生活において外国人住民が抱く不
安の解消を目的として開設したものです。
平成 21 年度からは、大阪府から本事業を受託した公益財団法人大阪府国際交流財団(以下「OFIX」
という。
)が運営を行い、現在、日本語以外に英語、韓国・朝鮮語、中国語、ポルトガル語、スペイン語、
タイ語、フィリピン語、ベトナム語の8言語で対応しています。
外国人相談には専門知識や関係機関とのネットワークが必要であり、OFIX が培ってきたこれらのノウ
ハウを、外国人住民に最も近い立場にある市町村のみなさんへお伝えすることで、より地域に密着した行
政サービスの拡充につながるのではないかと考えています。
市町村のみなさんが外国人相談、もしくは、窓口での外国人住民の対応を行う上で本冊子を参考にして
いただければ幸いです。また、常設の外国人相談窓口をまだ設置されていない場合は、設置を検討するき
っかけにしていただければ幸いです。
大阪府府民文化部都市魅力創造局国際課
公益財団法人 大阪府国際交流財団(OFIX)
1
1
大阪府外国人情報コーナーにおける外国人相談の現状
情報コーナーでは、平成 26 年度に 1,273 件の相談や
問合せ(以下「相談」という。
)を受けています。前年度か
ら 10%ほど減少したとはいえ、毎月 100 件以上の電話、
来訪、メールによる相談を受けていることになります。
言語別では、日本語での相談が最も多く、516 件と全
体の 41%を占めています。このうち 227 件(44%)は
外国人住民からの日本語による相談です。日本語以外で
は、英語(281 件、22%)による相談が最も多く、中国
語(148 件、12%)
、スペイン語(100 件、8%)と続
きます。
なお、情報コーナーでは、英語と日本語以外の言語によ
る相談には「トリオフォン」で対応しています。トリオフ
ォンとは、外国人相談者と情報コーナー担当者と自宅等待
機の通訳者の 3 者が同時に通話を行うことができる電話
の機能です。
(9 ページ参照)
【相談件数推移】
】
件
1,800
1,664
1,600
1,409
1,381 1,371
1,400
1,248 1,219 1,214 1,242
1,318
1,273
1,200
1,000
800
600
400
200
0
年度 17
18
19
20
21
22
23
24
25
26
内容別では、平成 26 年度ののべ 1,346 件の相談のうち、国民健康保険や運転免許など生活に必要な
情報「暮らし」に関する相談が 455 件と全体の約3分の1を占めています。外国人住民からの相談のみ
ならず、外国人住民等が訪れた市町村窓口からの通訳依頼も多い状況です。次に多いのは「在留資格」
(245 件)に関する相談です。外国人住民の場合、結婚、離婚、出生など人生の転機で在留資格に関す
る届出や変更が必要になることが多いためです。また「医療・福祉」
(152 件)や夫婦、親子など、家族
関係に関する「結婚・国籍」
(150 件)も相談件数が多い分野です。
【平成 26 年度 (言語別)
(内容別)相談内訳】
】
言
ベトナム語, 68
語 別
タイ語, 38
内 容 別
事件事故, 43
韓国・朝鮮語, 17
フィリピン語, 12
その他, 80
,0
教育, 51
住まい, 60
ポルトガル語, 93
仕事労働, 110
スペイン語,
100
暮らし, 455
日本語, 516
結婚国籍, 150
中国語, 148
在留資格, 245
英語, 281
医療福祉, 152
1273 件
2
(複数カウント)
のべ1346件
1346 件
2
外国人相談の意義・役割
(1) 生活者としての外国人住民への情報サービス
外国人住民は、日本での生活に必要な情報を日本人と同じ質と量で享受しているわけではありま
せん。
「暮らし」に関する各種制度等が複雑化・多様化するなど、日本語が読めないことで情報格差
は拡大し、不便を強いられています。外国人住民が、孤立せず、情報を得る手段として、外国人相
談を利用することは安心して暮らしていくことにつながります。
(2) 外国人住民へのメッセージ性
平成 24 年 7 月に施行された改正住民基本台帳法において、住民基本台帳に記載されている中長
期在留の外国人(*)住民は、日本人同様に基礎行政サービスを受けられることを示しています。外国
人相談は、自治体にとって外国人住民が行政サービスの対象者であることを具体的に示すツールと
なります。
(3) ニーズの顕在化
日本で生活するうえで、外国人住民が直面する現実を受けとめていくのが、外国人相談です。外
国人住民が定住化していくなかで、日本人の視点からでは気づかない外国人住民にとって不便な事
柄や、困っている事柄を顕在化させ、その解決を図ることで、外国人がより住みやすい社会づくり
を後押しします。
(4) アンテナとしての役割
外国人相談は外国人住民の声を直接聴くことができる窓口です。外国人住民が直面している問題
や状況を把握し、その実情をキャッチできます。窓口の問合せ内容から、データを積み上げ、分析
することで、外国人住民のニーズに合った行政サービスに結びつけることができます。
(5) トラブル防止の役割
外国人住民が抱えている問題を、早い段階で解決に結びつけることで、外国人住民のみならず周
囲の人々にとっても安心・安全な地域を形成できます。
外国人相談は外国人住民を様々な側面から支援する行政サービス
地域や企業、行政など地域コミュニティにプラスとして還元される
(*)中長期在留の外国人とは
「中長期在留者」とは,出入国管理及び難民認定法 2 条の2に定める在留資格をもって我が国に在留する外国人のうち、次の①から
⑥までのいずれにもあてはまらない人です。
① 「3月」以下の在留期間が決定された人、 ② 「短期滞在」の在留資格が決定された人、 ③ 「外交」又は「公用」の在留資格が
決定された人、 ④ ①から③までに準じるものとして法務省令で定める人(「特定活動」の在留資格が決定された、亜東関係協会の本
邦の事務所若しくは駐日パレスチナ総代表部の職員又はその家族の方)、 ⑤ 特別永住者、 ⑥ 在留資格を有しない人。
3
3
外国人相談の機能
(1) 多言語での情報提供
多言語での情報提供とは、外国人住民が理解できる言語を用いて、必要とされる情報を伝えるこ
とを意味します。外国人住民が求める情報は、国籍、年齢、家族構成、職業、来日後の期間、日本
語習得の程度など、様々な要素により異なります。法律、制度などがめまぐるしく変化し、複雑
化・多様化するなか、常に新しい情報を収集し、適宜提供します。
(2) 通訳
外国人住民は転入届から始まり、国民健康保険加入、納税手続きなど、様々な手続きを行うために
市町村の窓口等を訪ねます。その際、窓口担当職員が外国人住民の質問の内容や状況を理解し、かつ
外国人住民側も必要な情報を自分が理解できる言葉で説明を受けることができれば、互いの信頼関
係を構築し、安心した生活を送ることができます。しかし、現実には窓口担当職員が対応できる言語
は限られるため、多言語による外国人相談窓口の電話などの手段を用いて、外国人住民と窓口担当職
員の間の通訳を行うことでスムーズなコミュニケーションを図ります。
(3) 問題解決が可能な専門機関へつなぐ
外国人相談は外国人住民の抱える問題に直接介入して解決するものではありません。複合的な問
題の整理を行い、問題を解決できる行政機関等の専門機関に結びつける業務を行います。問題の内容
に応じて、入国管理局、労働基準監督署、大阪府女性相談センター、法律相談窓口等につないで解決
に結びつけます。また専門機関で多言語対応ができない場合は、通訳等による側面支援を行います。
4
外国人相談の利用者
外国人相談の利用者は、日本語の習得が不十分な外国人住民を想
定していますが、実際の利用者は外国人住民に限ったものではあり
ません。外国人住民を配偶者、従業員、賃借人、生徒・保護者、患者、
利害関係者などとして関わる住民は外国人住民の数に比例して増加
し、文化や言葉、習慣の違いなどに起因するトラブルの相談が発生
しています。また日本国籍はあっても、外国にルーツのある住民(た
とえば、海外で生まれ育ち、その後日本に帰国した人、日本人と外国
人夫婦の間に生まれた子どもなど)も対象です。
5
外国人相談の実施団体
様々な団体が外国人相談を実施しています。形態としては、常設の相談窓口設置、1 日または短期間
の相談会形式で実施しているものがあります。
(参考資料 1 大阪府内の分野別多言語相談窓口)
団体類型
相談窓口の例示
大阪労働局「外国人労働者コーナー」
大阪法務局「外国人人権相談」
府内市町村(*)
行政機関
自治体
国際交流協会
専門家団体
NPO/
NGO
(*)5ページ
府内国際交流協会(*)
大阪弁護士会「外国人法律相談」
大阪府行政書士会「無料相談会」等
すべての外国人労働者とその家族の人権を守
る関西ネットワーク(RINK)
(特活)AMDA 国際医療情報センター等
大阪府内外国人相談窓口設置市町村一覧参照
4
6
自治体等における外国人相談窓口
参
考
自治体等の委託を受けた事業であること
が多い
法律、在留資格などの専門分野での相
談。社会貢献事業としての位置づけであ
ることも多い
特化した分野での相談、支援、同行通
訳、交渉など、より柔軟な対応が可能
平成 28年 2 月現在、大阪府内 43 市町村のうち外国人向けの多言語による相談窓口を常設している
自治体等は 11 団体です。
◆府内の外国人相談窓口の調査を実施
OFIX では、平成 26 年度に在留外国人 1,000 人以上の府内 24 市町村を対象に、
「大阪府内における
外国人相談の在り方に関する基礎調査」を行いました。その結果、外国人相談窓口設置に踏み切れない理
由として
- 外国人の行政に対するニーズ把握が不十分
- 多文化共生指針などの裏付けがなく、必要性が庁内で認識されにくい
- 設置運営の予算確保が困難
- 緊急度、優先度の高いテーマではない
との回答がありました。
一方で、災害時等の緊急時に、外国人住民の対応に懸念を抱く市町村が見受けられました。災害時体制
は、平時の延長上にあることを考えれば、日常生活上の相談を受ける体制を整えることが求められていま
す。
大阪府内外国人相談窓口設置市町村一覧
相談対応
(平成 28年 2 月現在)
対応言語(言語により対応日異なる)
回数
電話番号
大阪市
(公財)大阪国際交流センター
英・中・韓
週7日
06-6773-6533
東大阪市
国際情報プラザ
英・中・韓・ス
週5日
06-4309-3311
堺市
国際交流プラザ
英・中・韓・ス・ポ
週4日
072-228-7499
八尾市
人権文化ふれあい部
週5日
072-924-3909
豊中市
(公財)とよなか国際交流協会
週1日
06-6843-4343
寝屋川市
(特活)寝屋川市国際交流協会
中・韓・べ
英・中・韓・ス・ポ・ベ・フィ・タイ・イン
ドネシア・ネパール
英・中・韓・ス・フィ
週2日
072-811-5935
箕面市
(公財)箕面市国際交流協会
週1日
072-727-6912
松原市
人権文化室
週3日
072-337-3103
摂津市
自治振興課
(特活)とんだばやし国際交流協
会
池田国際交流センター
英・中・韓・フィ・インドネシア
英・中・韓・ス・ポ・ベ・タイ・フィ・インド
ネシア
中・ポ
月1日
06-6383-1357
中
週5日
0721-24-2622
英・中・韓
週1日
072-735-7588
富田林市
池田市
(注)英:英語、中:中国語、韓:韓国・朝鮮語、ス:スペイン語、ポ:ポルトガル語
ベ:ベトナム語 フィ:フィリピン語
7
外国人相談を始める前に
外国人相談には、生活全般に関わる問合せのほか、在留資格や国籍など、外国人特有の相談があります。
家族の問題、職場や地域社会でのトラブル、病気など、その悩みは多様で深刻化しています。このような
相談を受けるにあたって、次のような準備が重要です。
◆分野別につなぎ先となる『相談窓口のリスト』
リストについては、11 ページを参照してください。また OFIX の情報コーナーの HP には分野別
の便利なリンク集をまとめています。http://www.ofix.or.jp/life/sodan.html
◆相談内容を記録する『相談票』
(参考資料 3
相談票のサンプル)
相談票には、相談を受けた日、相談者の氏名・住所・国籍・性別、使用言語、相談内容、回答の欄
を設けます。通訳者が複数いる場合は、通訳の氏名欄も設け、継続案件はできるだけ同じ通訳に依頼
できるようにします。相談票のすべての項目を埋めるため、相談に不要な情報まで聞く必要はありま
5
せん。なお、相談票に基づいて集計を行うと相談の傾向が見えてきます。また、事例や回答例を積み
上げることで、相談対応の改善などを図るうえで貴重な資料になります。
◆外国人の生活、労働、在留資格などに関する『参考書』
相談員の必要最小限の知識として、外国人相談における特徴的な事例を抽出した解説書や在留資
格などの解説書を何冊か揃えておくと、答えるポイントが理解しやすくなります。
例:
「外国人よろず相談」
(日本加除出版)、「外国人の法律相談チェックマニュアル」
(明石書店)
「外国人相談の基礎知識」
(松柏社)等
◆相談員相互の『連携』
府内の外国人相談窓口の相談員同士で情報を共有するとともに、対応が難しいケースなどの事例
を共有することで、相談員のスキルを向上させることができます。
【大阪府外国人情報コーナーの相談事例】
(1) 暮らし
情報コーナーで受ける相談のうち、約3分の1を「暮らし」に関するものが占めています。その
中でも市町村の業務である国民健康保険や住民税、国民年金に関する相談が多く寄せられています。
たとえば送付される請求書等の書類が日本語のため、理解しないまま放置して、延滞金がかさんだ
り、預金の差し押さえにあうなど、様々な問題が生じています。このような相談に対しては、それ
ぞれの制度の趣旨や仕組みを相談者に説明します。
(2) 在留資格
在留資格に関しては、外国人住民本人だけでなく、雇用主、配偶者など外国人住民と関わる方か
らの相談があります。また、色々な理由で入国管理局に直接問合せることをためらう人、また言葉
の面で情報を得ることが十分できない人からの相談もあります。在留資格の切替や更新の手続など
については、必ず「入国管理局」や「外国人在留総合インフォメーションセンター」に確認するよ
うに伝えるなど、対応には十分な注意が必要です。
「入国管理局」: http://www.immi-moj.go.jp/
「外国人在留総合インフォメーションセンター」
:0570-013-904
:03-5796-7112 (IP、PHS、海外)
(3) 医療・福祉
医療機関を受診することは日本語が不自由な外国人にとって、不安な経験です。このため外国語
が通じる病院の情報を知りたいという相談や、同行通訳の依頼が寄せられます。こうした相談には、
大阪府の医療機関情報検索サイトである「大阪府医療機関情報システム」から外国語対応のできる
医療機関を紹介したり、通訳派遣をすることができるいくつかの団体を紹介しています。また、福
祉サービスは、在留資格によって利用できる制度が異なりますが、生活保護の受給者からの制度運
用に関する相談等が多く寄せられており、生活資金の貸付など行政の提供する制度が外国人住民に
もセーフティネットになっていることがわかります。福祉サービスについては、市町村の福祉担当
窓口を案内し、必要に応じて電話通訳で相談者と市町村窓口担当者との意思疎通を図っています。
「大阪府医療機関情報システム」: http://www.mfis.pref.osaka.jp/
(4) 婚姻・国籍
婚姻、離婚、養子縁組など家族関係の法律、制度、手続は国により千差万別です。例えば、離婚
が認めらない国の出身者の場合は、在留資格、ひとり親に対する福祉、再婚などで問題が起こるこ
とがあります。このような相談へは、領事館、外国人法律相談等を案内しています。また、国籍の
分野では、帰化や国籍再取得などの相談もあります。このような場合は、大阪法務局国籍課を案内
します。
6
「大阪法務局 国籍課」
:06-6942-1481
http://houmukyoku.moj.go.jp/osaka/static/gyoumusyokaikokuseki.htm
(5) 仕事・労働
仕事を見つけたいという外国人住民やその家族からの相談には、外国語対応が可能な「大阪外国
人雇用サービスセンター」を紹介しています。賃金、有給休暇などの相談に対しては、大阪労働局
の「外国人労働者相談コーナー」や労働基準監督署を案内します。また、職場内の人間関係がうま
くいかず、悩みを抱える外国人労働者からの相談もあります。このような場合は、「大阪府総合労
働事務所」を案内します。
「大阪外国人雇用サービスセンター」 : 06-7709-9465 (就職など)
「外国人労働者相談コーナー」
: 06-6949-6490 (労働条件など)
「大阪府総合労働事務所」
: 06-6946-2608 (職場での悩みなど労働全般)
(6) 教育・文化
子どもの教育は保護者にとっては大きな心配事であり、学校等の受け入れに関する相談が寄せら
れます。特に子どもが高校や大学へ進学する年頃になってから来日する場合は、日本語習得だけで
なく、進路の情報収集が大きな心配事になっています。こうした相談は、大阪府教育委員会の「帰
国・渡日児童生徒学校生活サポート」の HP が参考になります。
「帰国・渡日児童生徒学校生活サポート」
:
http://www.pref.osaka.lg.jp/shochugakko/kikoku/index.html
(7) 事件・事故
交通事故の被害者、加害者として外国人住民が関わる場合、保険会社や相手側との交渉で日本語
が不十分であること、制度がわからないなどの相談があります。またけんかや詐欺が疑われる事案
への対応方法についての相談も寄せられます。解決につなぐために、
「公益財団法人日弁連交通事
故相談センター」
、警察や、外国人のための相談会の利用を促します。
「公益財団法人 日弁連交通事故相談センター」
:0570-078-325 (日本語のみ)
(8) 住まい
公営住宅や保証人、敷金などが不要な民間住宅に関する情報を求めるものや、入居した住宅での
トラブルに関する相談があります。賃貸住宅の修理修繕の費用負担、契約違反による違約金請求な
ど、言葉の問題や商習慣の違いから、外国人住民が十分に理解・交渉することができず、納得でき
ないとの相談が寄せられます。こうした相談へは、「大阪府住宅相談室」や大阪弁護士会の「外国
人法律相談」を紹介します。
「大阪府住宅相談室」
「外国人法律相談」
: 06-6942-3854 【平成 28 年 3 月 31 日まで】
(日本語のみ)
: 06-6944-8269 【平成 28 年4月 1 日より】 (日本語のみ)
: 06-6364-1248 (予約要)
7
8
外国人相談窓口設置へのステップ
市町村等が常設型の外国人相談事業を開始するためには、バックボーンとなる戦略とその事業を支え
る指針や人材が必要です。
・他団体窓口の視察
1日相談会の実施
・OFIX へ相談
枠組
人材
(1)
(2)
指針
相談員
方針
(3)
策定
通訳員
(OFIX との共催)
★外国人相談窓口★
設
置
◆多言語での情報提供
役割
◆通訳サービス
◆相談サービス
予算措置
(4)周知・PR
(5)ネットワーク構築
・紙媒体
・マスメディア/自主媒体
・口コミ
・市町村/国際交流協会
・専門機関
・民間機関
(1) 指針・方針の策定
国の方針として平成 18 年から総務省が定める「地域における多文化共生推進プラン」のなか
で、外国人住民への対応を行う専門家の養成や、外国人住民が行政・生活情報を入手し、地域生活
で生じる様々な問題について相談できる外国人住民の生活相談のための窓口や情報センターを設置
することが重要視されています。
大阪府内のいくつかの市町村でもすでに「外国籍住民施策方針」、
「国際化推進プラン」、「多文化
共生指針」などを策定しています。このような指針にもとづき、外国人住民受入促進として外国人
相談事業を実施している市町村もあります。
(2) 相談員
外国人相談を担当する相談員には、日本語を含む2か国語以上の言語能力に加え、次のような知
識等が必要となります。
・労働、医療、福祉、税金など市民生活に欠かせない制度や在留資格などの知識
・相談者との信頼関係を築くためのコミュニケーションスキル、文化や価値観の違いへの理解
・複雑に絡まる相談の内容から問題の本質を見定める力
・相談内容が複雑化する中、相談窓口単独で終結できる事例は限られているため、その他の専
門機関や民間の機関とのネットワークを構築、活用する力
しかしながら、相談員は、言語以外の特別な資格を持っていたり、あらかじめ講習を受けている
わけではないため、相談業務に携わるなかで知識等を得ることが多くなります。
8
(3) 通訳
相談員が通訳を兼ねることも多いのですが、多言語の
相談員を相談窓口に常時配置することは困難です。そ
のため、相談員の担当言語以外の言語による相談には
通訳を依頼する場合があります。通訳は同席または電
話で行われます。必要とされる言語の通訳は、市町村
の外国人住民の状況により異なります。
相談者により近い立場の外国人ネイティブの通訳の確
保は外国人住民のエンパワメントという観点からも検
討すべき課題です。
なお、情報コーナーでは、英語と日本語以外の言語に
よる相談には右図のように「トリオフォン」を用いて
対応しています。
三者通話用電話「トリオフォン」(イメージ)
トリオフォンは、外国人相談者と相談員が自宅待機の
通訳者を介して同時に通話できる電話の機能
外国人相談者
通訳者
相談員
(4) 周知(PR)
OFIX が平成 22 年度に実施した外国人府民への情報流通促進調査の結果では、
回答を得た 428
名のうち 345 名、約 80%の外国人住民が外国人相談窓口を知らないと回答しています。
相談窓口を設置しても、情報を必要とする外国人住民がその存在を知らなければ活用すること
ができません。外国人住民へ必要な情報を届けることは容易ではありませんが、いくつかの PR 例
を紹介します。
① 紙媒体による周知
多言語による
窓口設置の告知チラシを作成
配
布
市役所・区役所/ハローワーク/入管/子どもの学校/日本語教室/
宗教施設/在日外国公館/国際交流協会/外国人対象の店・レストラン 等
② マスメディア、自主媒体(HP、Facebook 等)を用いた周知
マスメディアへの広報、広告出稿 ex)エスニックメディア(雑誌・新聞等)
、FM ラジオ 等
自主媒体での告知 ex)HP、Facebook、機関紙 等
③ 口コミによる周知
・地域の外国人コミュニティの把握
・外国人キーパーソンの発掘
9
(5) ネットワークの構築
外国人相談窓口が全ての相談に単独で対応するには限界があり、専門性、言語対応や地理的要因な
どにより、他の機関との連携が必要となります。横のつながりがあれば、通訳や相談対応を依頼する
こともでき、外国人住民が言葉の障壁なく行政サービスを受けることができます。窓口相談員同士の
会議の開催だけでなく、相談会の開催などの場で協働する機会を設けることで、自治体や国際交流協
会が専門機関や民間機関とのネットワークの構築を進めていくことになります。
① 自治体・中間組織間のネットワーク 相談事業担当者が顔の見える関係を構築
② 専門機関とのネットワーク
行政機関(労働基準監督署、警察、入国管理局
等)、弁護士会、行政書士会等との連携
③ 民間機関とのネットワーク
外国人支援に携わる NPO、NGO 団体との協働
9
OFIX の支援
現在 OFIX が市町村等に提供している相談窓口設置・運営のための支援メニューは下記の通りです。
事業内容
相談員・通訳スキルアッ
プ研修
大阪府外国人向け
行政情報提供窓口相談員
ネットワーク会議
相談会共催事業
広域的な多言語情報提供
目的等
市町村等の窓口で相談員や通訳として活動をしている担
当者を対象に各種制度の仕組みや法律に関する知識の蓄
積を図り、相談や通訳に必要なカウンセリングや通訳技
能を学ぶ場を提供する。
外国人の抱える問題を解決する機関との連携を深めると
ともに、相談員や窓口担当職員同士が顔の見える連携を
目的として開催する。
市町村等が常設の外国人相談窓口を設置し、相談体制の
整備ができるよう、市町村単独で相談会を開催するため
に障壁になりうる、費用、ノウハウ、人的リソースを補
完することで、開催しやすい環境を整える。
OFIX のホームページに日本語を含む 10 言語で
「外国人のための生活情報」を掲載するとともに、
在阪外国人のための生活ガイド「大阪生活必携」
やよくある質問集(FAQ)
、相談機関のリンク集など、
外国人住民や相談担当者に役立つ情報を提供する。
備考
年 1、2 回
実施
年2回開催
平成27年
から29年
の3か年間
常時
http://www.ofix.or.jp/life/index.html
通訳派遣・翻訳
公的機関からの依頼を受けて、ボランティア通訳派遣や
翻訳を行い、市町村等での多言語支援を行う。
随時
この機会にご検討ください!
相談事業を検討したいが、常設での開設には少し敷居が高いと感じておられる場合、一日相
談会を共催してみませんか。相談窓口のイメージをつかんでいただけるほか、地域にお住ま
いの外国人のニーズを把握できる良い機会です。専門相談員、通訳派遣、翻訳などの費用を
OFIX が一部負担します。外国人住民向け一日相談会共催事業の要綱・様式に関しては
OFIX の HP の下記サイトからダウンロードしていただけます。
http://www.ofix.or.jp/news.html#20150814
10
~ 参考資料~
1
大阪府内の分野別多言語相談窓口
(平成 28 年2月現在)
分野
機関名
相談電話番号
対応日
月~日
9:00-20:00
【外国人専用】
月~金
9:00-17:30
対応言語
英語、中国語、韓国・朝鮮
語、フィリピン語、ポルト
ガル語、スペイン語、タイ
語、ベトナム語
(OFIX と連携して実施)
DV、女性の悩み
大阪府女性
相談
センター
06-6949-6022
06-6946-7890
【外国語専用】
06-6949-6181
外国人の人権
大阪法務局
人権相談室
0570-09-0911(英語) 水
0570-05-0110(中国語) 13:00-16:00
外国人の人権
大阪弁護士
会
06-6364-6251
第 2、第 4 金
12:00-17:00
英語、韓国・朝鮮語、中国
語
労働条件に関する
問題
大阪労働局
外国人労働
者相談コー
ナー
06-6949-6490
月・水・木
9:00-12:00
13:00-17:00
英語(月・水)
ポルトガル語(水・木)
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労働問題
大阪府
総合労働
事務所
労働相談専用電話
06-6946-2600
職場のセクハラ相談専用電
話 06-6946-2601
月~金
9:00~17:45
英語、中国語
(事前に日本語での予約が
必要。06-69462608)
06-7709-9465
月~金
10:00-18:00
英語、中国語、スペイン語(火・
金)ポルトガル語
0570-01-3904
(IP,PHS,海外 03-57967112)
月~金
8:30-17:15
英語、中国語、韓国・朝鮮語、
スペイン語、ポルトガル語
職業相談・
職業紹介
在留資格
厚生労働省
大阪外国人
雇用サービ
スセンター
入国管理局
外国人在留
総合インフ
ォメーショ
ンセンター
英語(第 1・3)
中国語(毎週)
入管・国際業務、
帰化等
大阪府行政
書士会
06-6943-7501
第1水
13:00-16:00
英語、中国語、韓国・朝鮮
語
医療情報
(特活)
AMDA 国際
医療情報セ
ンター
050-3598-7574
月~金
9:00-17:00
英語、スペイン語、中国語
法律相談
大阪弁護士
会
予約番号
06-6364-1248
金 (要予約)
13:00-16:00
英語、中国語
月~金
9:00-17:00
英語、中国語、韓国・朝鮮語、
ポルトガル語、スペイン語
月~木
14:00-17:00
火(18:00 まで)
金 13:00-18:00
スペイン語(月・火)、中国
語(水)、ベトナム語(木)、
タイ語(金)
法律相談
労働・在留資格等
日本司法支
援 セ ン タ ー 0570-07-8377
(法テラス)
すべての外
国人労働者
とその家族
の 人 権 を 守 06-6910-7103
る関西ネッ
ト ワ ー ク
(RINK)
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2
大阪府外国人情報コーナーの対応例
大阪府外国人情報コーナーに寄せられる問い合わせへの対応例を紹介します。
Q1 日本人と結婚を考えている外国人住民。婚姻の手続きを知りたい。
〈回答〉
①
日本での婚姻手続き:日本での婚姻を成立させるためには、日本人の本籍地または住所地の市
町村窓口に婚姻届を提出します。外国人住民の出身国により、必要書類が異なることもあります
ので、事前に市町村窓口に確認するように案内します。
最低限必要な書類としては、日本人側は戸籍謄本、外国人側は本国法により婚姻ができる要件
を備えていることを証明する「婚姻要件具備証明書」とその訳文、及び国籍証明書(パスポート)
になります。
「婚姻要件具備証明書」とは、婚姻をしようとする外国人住民の在日大使館、領事館など権限
を持っている機関が本国法上、婚姻に必要な要件を備えていることを証明する書面です。婚姻要
件は国によって定まっており、婚姻年齢、再婚禁止期間、重婚の禁止などの要件が備わっている
かを証明します。この証明書の取得方法に関しては、在日大使館、領事館を案内します。
(参考)在日公館リスト: http://www.mofa.go.jp/mofaj/link/emblist/
なお、国によっては,これらの証明書を発行していないところもあります。その場合は、市町
村窓口に相談するよう案内します。
②
外国人住民の本国での手続き:日本で受理された婚姻が本国でも認められるように手続きをし
ます。市町村から「婚姻届受理証明書」の交付を受けて、在日大使館、領事館に提出します。国
によって制度が異なりますので、在日大使館、領事館での確認が必要になります。
③
状況により、婚姻後の手続きなどについても説明します。
*そのまま、日本で生活をするのであれば、日本人配偶者との身分関係を証明する書類、生計維
持能力を証明する資料、日本人配偶者の身元保証書が必要になります。詳しい手続きは入国管
理局を案内します。
*日本人と結婚することで、外国人配偶者が自動的に日本国籍を取得することはありません。そ
のため外国人配偶者本人の戸籍が作成されることもありません。あくまでも、日本人側の戸籍
が変更されて、外国人との婚姻事実が身分事項欄に記載されることになります。
*日本人が外国人住民の姓へ変更を希望する場合、婚姻してから 6 か月後であれば市町村窓口
に届出をすれば改姓可能です。また外国人住民が日本人の姓への変更を希望する場合は、その
具体的手続きについては、在日大使館、領事館に問い合わせるよう案内します。
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Q2
「技術・人文知識・国際業務」の在留資格で滞在している。現在の職場の労働条件が悪化し
ているので転職したい。在留資格はどうなるのか心配。
〈回答〉
① 在留資格「技術・人文知識・国際業務」の要件を満たす新たな仕事が見つかれば、在留資格を変
更する必要ありません。要件に合っているかどうか心配であれば「就労資格証明書」(*)を入国管
理局に申請することで確認できます。在留資格については、入国管理局できちんと確認すること
が大切ですので、入国管理局の下記ホームページにある就労資格部門を案内します。
大阪入国管理局連絡先 HP「所在地・連絡先・業務内容」ページ
http://www.immi-moj.go.jp/soshiki/kikou/address/05.html
② 離職後の注意点を伝えます。
中長期在留者のうち、雇用関係が基礎となる在留資格が付与されている人は、その雇用関係に変
更が生じた場合は、変更が生じた日から14日以内に入国管理局に届け出をしなければいけませ
ん。これを怠ると 20 万円以下の罰金となります。また転職後も 14 日以内に入管への報告が必
要になります。届出フォームは下記入管のサイトからダウンロードできます。
所属機関変更届 法務省 HP「契約機関に関する届出」ページ
http://www.moj.go.jp/nyuukokukanri/kouhou/nyuukokukanri10_00015.html
③ この相談では労働条件が悪化していることが原因で転職を考えているので、原因となる現在の職
場での労働状況を聞き取り、問題の解決を示唆します。
労働条件の相談については、大阪労働局の「外国人労働者相談コーナー」を案内します。
大阪労働局 HP「外国人労働者相談コーナー」 ページ
http://osaka-roudoukyoku.jsite.mhlw.go.jp/var/rev0/0108/8123/2707.pdf
下記のような追加情報も必要に応じて提供します。
④ 退職が決まれば、雇用保険の受給資格がある外国人労働者は離職後、住所地を管轄するハローワ
ークで失業手当の受給手続きができます。離職の理由によっては支給が制限されることもあり、
その期間は3か月です。
(外国人の場合、その在留資格に基づく本来の活動を継続して3か月以
上行っていない場合、在留資格取り消しの対象となります。ただし、活動を行わないことについ
て正当な理由がある場合は,在留資格取消しの対象とはなりません。
)
※ 雇用保険の手続きについては、ハローワークの下記サイトに記載されています。
ハローワーク HP「雇用保険手続きの案内」ページ
https://www.hellowork.go.jp/insurance/insurance_guide.html
⑤
外国人の方が仕事を見つける方法として、紹介しているのは次のような方法です。
・外国人向けの求職サイトを検索する
・外国人向けハローワークに出向く
・外国人向けの雑誌、新聞の求人広告
・外国人向け人材派遣会社登録
(*)外国人からの申請に基づき法務大臣が、申請者が行うことができる収入を伴う事業を運営する活動または報酬を受
ける活動を証明する文書です。外国人を雇用等しようとする者は,その外国人が就労する資格があるか否かについ
てあらかじめ確認する手段として、また外国人本人は就職等の手続きをスムーズに行うため,自分が就労できる在
留資格を有していることを雇用主等に明らかにする手段として、利用できます。
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3
相談票のサンプル
外国人相談処理カード
受付
年
形態
来訪
No. 月
電話
日
文書
直接(HP・パンフレット等)
どこでOIS を知ったか。
( 曜日) 時間 時 分 ~ 電子メール
間接(知人の紹介/市町村/他)
氏 名 住 所
者
近畿
その他
FAX
欧米英語圏
韓国・朝鮮
中国
ブラジル 南米スペイン語圏
タイ
ベトナム
日本
その他
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暮らし
住まい
結婚・国籍 教育
在留
仕事・労働 医療・福祉
人権
その他
タイ語
フィリピン
スペイン語 フィリピン語 ポルトガル語 相談内容
処理内容
備
電話
言 語
訳
担当
国 籍
通
性別
大阪府
分間
考
14
ベトナム語
事件・事故
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大阪府外国人情報コーナーの概要
大阪府外国人情報コーナー
1.設置場所:公益財団法人大阪府国際交流財団内
大阪市中央区本町橋2-5 マイドームおおさか5階
2.対応言語:英語、中国語、韓国・朝鮮語、フィリピン語、スペイン語
ポルトガル語、タイ語、ベトナム語、日本語の9ヵ国語
3.受付日時:毎週月曜日~金曜日 9:00~17:30(12:15~13:00 休憩)
〔祝祭日、年末・年始(12/29~1/3)を除く〕
4.相談方法:(1)英 語
総括相談員等による面接・電話相談・電子メール・文書
(2)英語・日本語以外の言語
トリオフォンを利用した登録相談員による電話相談
5.連絡先 :相談専用直通電話 06-6941-2297
メールアドレス
[email protected] (英語・日本語のみ)
FAX 番号
06-6966-2401
15
(英語・日本語のみ)
発行日 平成 28 年 2 月
発行元 大阪府府民文化部都市魅力創造局国際課 TEL:06-6210-9309/(公財)大阪府国際交流財団 TEL:06-6966-2400