平成２４年１０月１６日生活文化局エキストラ募集名目で事務所に誘い出し、タレントレッスン等の受講契約を勧誘していた芸能プロダクションに業務停止命令（６か月）本日、東京都は、勧誘目的を告げないまま、電話等で消費者を事務所へ来訪させたり、路上で消費者を呼び止めて事務所まで同行させたりして、タレントレッスン等の受講契約を勧誘していた芸能プロダクションに対し、特定商取引に関する法律（以下「特定商取引法」という。）第８条に基づき、６か月間の業務の一部停止を命じました。１事業者の概要事業者名：代表者名：所在地：設立：業務内容：売上高：資本金：従業員数：株式会社ドリームゾーン代表取締役阿部透東京都港区赤坂三丁目９番４号赤坂扇やビル８階－Ａ平成２０年３月１２日タレントレッスン等の役務提供（訪問販売）約４，０００万円（平成２３年９月～平成２４年８月）４００万円６名（現在３名）２勧誘行為等の特徴（１）インターネット上のサイト、電子メール、電話などで、エキストラのアルバイト募集をするが、実際は、来訪した消費者に対して「エキストラよりも、タレント、俳優、歌手を目指しませんか。」などと勧誘して、タレントレッスン等の受講契約をさせる。（２）「君はトップになる素質がある。」などと路上で消費者を呼び止めて、エキストラのアルバイト募集名目で事務所へ同行させるが、実際は、タレントレッスン等の受講契約をさせる。（３）公衆の出入りする場所以外の場所の事務所内個室において契約をさせる。（４）消費者が断っているにもかかわらず執拗に勧誘を継続するなど、迷惑を覚えさせるような仕方で勧誘をしたり、消費者が解約の意思表示をしても契約を継続させるなど、迷惑を覚えさせるような仕方でこれを妨げている。（５）契約解除をした消費者に対して返金をしない。３業務の一部停止命令の内容平成２４年１０月１７日（命令の翌日）から平成２５年４月１６日までの間（６か月）、特定商取引法第２条第１項に規定する訪問販売に係る次の行為を停止すること。（１）契約の締結について勧誘すること。（２）契約の申込みを受けること。（３）契約を締結すること。【問合せ先】生活文化局消費生活部取引指導課電話０３－５３８８－３０７３４業務の一部停止命令等の対象となる主な不適正な取引行為不適正な取引行為特定商取引法の条項勧誘に先立って、インターネット上のサイトや電子メールの広告を見た消費者との電話において、エキストラアルバイトの面接に来るよう告げて事務所への来訪を要請し、又は路上において「モデルやタレント業務、エキストラもあります。」等と消費者を呼び止めて事務所まで同行させるなど、タレントレッスン等の受講契約（以下「本件契約」という。）の締結について勧誘をする目的である旨を明らかにしていなかった。第３条勧誘目的不明示本件契約の締結について勧誘をするためのものであることを告げず、電話で事務所への来訪を要請する方法等により誘引した者に対し、公衆の出入りする場所以外の場所である事務所の個室内において、本件契約の締結について勧誘を行っている事実があった。本件契約の解除をした消費者に対し、本件契約の解除によって生じる債務の履行を拒否している事実があった。本件契約の締結について、消費者が断っているにもかかわらず執拗に勧誘を継続するなど、迷惑を覚えさせるような仕方で勧誘をしている事実があった。また、本件契約の解除について、消費者が解約の意思表示をしても契約を継続させるなど、迷惑を覚えさせるような仕方でこれを妨げる事実があった。５第６条第４項公衆の出入りする場所以外の場所での勧誘第７条第１号債務履行拒否第７条第４号（省令第７条第１号）迷惑勧誘迷惑解除妨害今後の対応業務停止命令に違反した場合は、行為者に対して特定商取引法第７０条の２の規定に基づき２年以下の懲役又は３００万円以下の罰金又はこれを併科する手続きを、法人に対しては特定商取引法第７４条の規定に基づき３億円以下の罰金を科する手続きを行う。《参考》東京都内における当該事業者に関する相談の概要（平成２４年１０月１６日現在）相談件数平均年齢平均契約額２１年度２２年度２３年度２４年度合計２５．８歳（最高４６歳）３５万円 (最大８３万円) ８１９１０６～消費者へのアドバイス～・最近、インターネット上には様々なアルバイト募集が掲載されています。その中には、商品やサービスの販売を目的としているものもあることから、応募の際には必ず電話やメール等で募集内容を細かく確認しましょう。・また、路上や街頭においても、販売目的を隠して事務所まで同行させる悪質事業者がいますので、十分に注意して下さい。４３参考資料【事例１】平成２３年１０月ころ、消費者Ａは、インターネット上の○○○○を開いたところ、芸能関係のエキストラアルバイト募集をしている欄があり、それをクリックすると、「大手ＴＶ局の人気ドラマ・バラエティ番組、アーティストＰＶ、ＣＭなど芸能関係のお仕事多数！短期１日～ＯＫ！１勤務だけでもＯＫ、未経験者大歓迎」などの記載があった。Ａは、そこに電話をしたところ、当該事業者従業員甲が電話に出て、「エキストラアルバイトの面接をします。都合が良ければ、明日の午前○○時に面接をしますので、身分証明書、履歴書、印鑑を持って、恵比寿にある事務所まで来てください。」などと言った。Ａはエキストラ募集の面接を受けることを決め、当日事務所へ行った。事務所に入ると、甲が、名刺を見せながら「私が電話を受けた甲です。社長が来るまで、そこの部屋で一緒に待ちましょう。」と言い、個室に連れていかれた。この個室は、長机１つ、椅子２脚だけの狭い部屋であり、すごく圧迫感があった。甲は、Ａに対して「Ａさん、生の声を聞いてなおさら感じるけど、ピンと来た。あなたは、エキストラではもったいない。是非、タレントや歌手を目指すべきだ。どうですか、興味はありませんか。」などと聞いてきたが、断った。数分後、当該事業者の乙が個室に入ってきて、「社長の乙です。Ａさん、私はテレビドラマの「○○」や「○○」に出たことがあるんだよ。私は今でも俳優を目指しているんだよ。Ａさんも、エキストラのアルバイトではなく、タレントや女優、歌手を目指しませんか。」と聞いてきた。Ａは、社長自らが歌手等を薦めたことから嬉しくなり、やりたい旨を伝えた。すると、当該事業者の丙が個室に入ってきた。丙は、「顧問の丙です。あなた、本当に歌手をやりたいの。」などと、強い口調で聞いてきた。Ａは、丙の言われるまま、やりたい旨を伝えた。丙は、「それじゃ、スクールを受講して貰います、年間○○万円だよ」と言うと、すかさず乙が、「某若手俳優も、このレッスンを受けていたんだよ、ここに載ってる○○先生が、彼を育てたんだよ。」などと言った。Ａは、スクール受講の話と、年間○○万円の話を初めて聞き、何が何だか分からなくなった。しかし、Ａは勇気を持って「無理です、そんな大金払えません。」と言うと、丙が「そうしたら○○万円のコースがある。」と言った。Ａは、再度払えないことを告げると、丙は「クレジットカードがあるでしょ。そこに借りられるかどうか電話してみて。」と言ったことから、Ａは電話したところ、借りることができなかった。それを聞いた丙は、「それなら、消費者金融で借りるしかないな。」と言い、当該事業者で予め準備してあった用紙をＡに渡し、「そこに書いてある電話番号に電話して、理由は友人のピアノを買うため、月収は○○万円と言って ○○万円を借りて下さい。」と言った。Ａは、当該事業者の３名と一緒に消費者金融まで行った。Ａが無人機コーナーで作業している間、甲、乙、丙が店舗の外でずっと待機していたため、Ａは逃げることはできなかった。作業が終わり、Ａは、男３人と事務所へ向かっている間にたくさんの人とすれ違ったが、助けを求める勇気は出なかった。事務所に戻ると、やはり男３人も個室に入り、丙がＡに対して「金を出して。」と言ったので、Ａは、丙の言うがまま、○○万円を手渡した。数分後、丙は就学規定、ドリームゾーンスクール申し込み書、ドリームゾーンスクール受講契約書を示して、「これらは、スクール受講関係の契約書だから、サインして。」などと言った。Ａは、もうサインするしかないと思いサインした。その後、丙は「Ａさん、取引先に宣伝するため、プロフィール用の写真を撮りたいけど、この書類にサインしてくれますか。」などと、またもや、今まで全く聞いていないことを言った。しかも、その書類を見ると、○万円を払う旨の記載があった。Ａは断ったところ、３人は承諾した。契約してから４日目の○○月○○日、Ａは当該事業者に対して、「お願いいたします。やめさせてください。」などとメールを送ると、当該事業者から「一度会社に来てください。いつ会社に来れますか？」などとメールが返信された。Ａは、当該事業者に対して、辞めたいという意思をメール送信しても、受け入れてくれないことから、直接会って話すことにした。契約してから７日目の○○月○日、Ａは事務所へ行き、丙に対して「辞めさせて下さい、○○万円を返して下さい。」と告げると、丙が「スクールに通えば、歌手になれるから。」などと言い、全く聞き入れる余地がなく、契約の解除も代金の返還も拒否された。Ａは、契約してから１５日目の○月○日付けで、契約解除の通知書を当該事業者宛に郵送した。それ以来、当該事業者から、通知、電話、メール等は全くなく、返金も一切なかった。【事例２】消費者Ｂは、平成２３年１１月ころ、池袋駅東口五差路付近の歩道を歩いていたところ、いきなり当該事業者従業員甲が、「すみません、芸能プロダクションに興味はありませんか。私はドリームの甲と言います。当社は、あまり世間では知られていないけど、このチラシにあるように数名がテレビ番組等で活躍している芸能プロダクションです。ここに載っている乙が社長で、「○○」というドラマに出ているけど知っているかな。」などと気安く話し掛けてきた。甲は、「このハガキに載っているようなモデルやタレント業務、そしてエキストラもあります。興味があれば、恵比寿の事務所に女性マネージャーがいるから、一度その人に相談してみましょう。」と言った。Ｂは、いかがわしい会社ではないかと甲に対して確認すると、甲は「お金は全くかからないから大丈夫だよ。それよりも、君を見て感じたけど、君はトップになる素質がある。午後○時までに恵比寿の事務所に着けば、社長や女性マネージャーの己もいるから行きましょう。今から社長に電話してみるから。」と言い、自分の携帯電話を取り出し、電話を掛けた。電話が終わると、甲は「社長の了解を得たから、一緒に事務所へ行きましょう。」と言った。Ｂは、すっかり甲の話を信用し、エキストラをやってみようと思い、甲と山手線に乗った。Ｂは、甲と一緒に恵比寿駅で下車し、駅前の表通りから裏路地に入り、雑居ビルの階段を４階まで登って事務所に入った。甲は、Ｂを机１つ椅子２脚がやっと入るくらいの個室に案内した。数分後、当該事業者従業員己が個室内に入ってきて、「甲から聞いています。私はチーフマネージャーの己です。」と言い、Ｂの記載したアンケート用紙を見ながら「あなたはエキストラ希望なのね。実は、私の娘もうちの事務所に所属しているのよ。あなた○○歳で、芸能関係の経験がまだ無いから、早く契約して仕事を貰った方がいいわよ。」と言った。更に己はＢに対して、「Ｂさん、エキストラをするのも、モデルをするのも、仕事を取引先から貰うためには、宣伝用の写真が必要なのよ。仕事は、あなたの写真付きプロフィールを見た取引先が決めるのよ。」などと言いながら、その契約書をＢに示した。しかし、その書類には「宣材写真撮影申し込み書・撮影料金○万円」などと記載されていた。Ｂは、甲から写真を撮ることも言われていないし、ましてやお金はかからないと言われていたのでおかしいと感じた。Ｂは、己に対して写真を撮ることを断ると、己は「確かに○万円は高いかもしれないけど、 ○○だと○～○万円だよ。実は、うちの娘も○万円払っているのよ。この書類にサインして。」などと、今までにない強い口調で言ってきた。Ｂは、己が言うがままサインをした。己は、Ｂに対して「写真を撮る日取りを決める前に、まずお金を払って貰いたいんだけど、今手持ちはいくらあるの。」と聞いてきたため、Ｂは「少ししかない。」と答えると、己は「一部でいいから払ってよ。」と強い口調で言った。Ｂは手持ちの○○○○円を払う約束をしたところ、己の代わりに、当該事業者の丙が入って来て、「顧問の丙です。それでは○○○○円お支払い下さい。」と言ったので、Ｂは丙に○○○○円を渡した。そして、後日来社した際に残りの金を払うこととなり、事務所を出た。４日後、Ｂは当該事業者へ赴いたところ、丙から以前と同じ個室に案内され、残りの○万○○○○ 円を支払った。丙が部屋を出ると、代わりに当該事業者従業員戊が入って来て、「タレント兼マネージャーの戊です。俺、「○○」に出ていたけど知ってる。Ｂさん、エキストラじゃなくて、演技の出来る役者を目指してみない。もし、興味があればレッスンを受けるといいよ。ただ、レッスン受講費として年間○○万円かかるよ。」などと言った。Ｂは、「受験が終わってから考えます。」と答え、すぐに事務所を出た。Ｂは、その日のうちに、○○区の消費者センターに電話を入れて相談した結果、当該事業者からクーリング・オフの話がなく、宣材写真撮影申し込み書も交付されなかったことに気付いた。Ｂは、契約をしてから８日目の○月○日に、当該事業者へクーリング・オフしたい旨の電話を入れたところ、丙は「これはクーリング・オフ対象外だから出来ません。」などと答え、一向に聞き入れる余地はなかった。そこで、Ｂは丙に対して、契約解除の通知を本日付けで郵送することを告げ、実際に郵送した。しかし、現在まで、当該事業者からの通知や返金は一切なかった。【事例３】平成２４年３月ころ、消費者Ｃが会員登録していた○○というインターネット短期アルバイト情報発信社から、テレビ等のエキストラアルバイト募集メールが届いた。その内容は「１日のみ単発もＯＫ！テレビ・雑誌・音楽ＰＶなどのエキストラ」であった。Ｃは、この会社の募集内容が、Ｃが希望していた１日アルバイトであったので、エキストラアルバイトに応募した。数日後、Ｃの携帯電話に、男の人から電話が入り、「この度は当社に応募して頂きありがとうございます。エキストラアルバイトの面接をします。何日でしたら都合がいいですか。それでは、○○日の午後○時○○分に恵比寿駅東口改札まで来て下さい。着いたら、今私が掛けた電話番号○○－○○○○－○○○○に電話して下さい。」などと誘われたことから、Ｃは言われたとおり、事務所へ面接を受けに行った。Ｃは、事務所の中に入ると、若い男の人から一番手前にある個室を案内され、アンケートを書くよう言われた。Ｃは、長机１つと椅子２脚しかない狭い個室に入り、机の上に置いてあったアンケートに住所、氏名、希望職種などを記載した。数分後、当該事業者の丙が部屋に入ってきて、名刺を見せながら、「顧問の丙です。あなた、エキストラを希望するのもいいけど、自分自身をもっと世の中に売り出してみませんか。ドリームと契約して、タレントとして売り出せば、様々な分野の人達とつながりが持てて、自分の世界が広がり、あなたのお店の新規顧客が開拓されるはずだ。」と言った。丙は続けて、「メディアに出る人は、簡単には出られないよね。そのためには勉強が必要になる。そういうスクールみたいのは年間どの位かかると思う。」と言った。Ｃは、今まで全く話の無かったスクールの話やお金の話が出て驚いた。丙は「年間○○万円だよ。ただ、いろんなコースがあって、その人に応じてやっている。やる気があれば、短い期間でも、ものになる。例えば、半年○○万円のコースもある」と言ったが、Ｃは、○○万円、○○万円の何れも高額であり、急なスクールの話であったので断った。しかし、丙は「あなた、特別に今までこのコースにはないけど、○ケ月○○万○○○○円はどう。社長の了解を貰えばできるよ。社長に電話で聞いてみるけど、いいね。やる気のある人じゃなきゃ社長はＯＫしないから。電話の時、頑張りますと言ってね。」と一方的に強い口調でＢに迫り、社長宛に電話をした。Ｃは、スクールの話をしっかり断るタイミングがなく、丙が社長と電話で話している際、丙に言われるまま、頑張りますと告げた。しかし、Ｃは丙に対して「でも、どうしようかな。」と言うと、丙は「社長に特別に了解して貰ったんだから困るよ。あなたをサポートするから。それじゃ、契約書とか持ってくるから。」と言った。Ｃは、もう後には引き下がれないと感じた。数分後、丙の他に当該事業者従業員甲が入ってきて、「営業部長の甲です。これは、スクール就学規定、スクール申込書、スクール契約書になりますので、サインして下さい。」と言った。Ｃは、もう言われたとおりに書くしかないと感じ、サインした。すると、丙が、「Ｃさん、プロフィール用写真を撮る必要がある。これが一番宣伝になるから」などと、今まで全く話のなかったことを言い、写真撮影の申込書を示したが、よく見ると撮影代○万円と記載があることから断った。Ｃは、丙に対して「そろそろ帰りたいんですが。」と言うと、丙は「それじゃ、近所にコンビニもあるから、今、○○万○○○○円を下ろしてきて。」と言った。Ｃは、もう逃げられないと感じて、金を下ろしにコンビニへ向かった。しかし、当該事業者従業員丁がＣに着いてきて、当該事業者の監視状態の下、コンビニで金を下ろして、事務所に戻った。そして、○○万○○○○円を丁に渡し、事務所を出た。契約してから４日目の夕方、Ｃは辞めることを決意して当該事業者へ行った。Ｃは丙に対して「私はモデルやタレントになりたい訳ではないから、契約を解除させて下さい。」と言うと、丙は「担当は丁だから丁に言ってくれ、丁から連絡させるよ。」などと、Ｃの契約解除の意向から逃げるような言い方をした。Ｃは、契約してから５日目の午後○時、事務所へ赴き、丁に対して、「辞めさせて下さい」と言うと、丁は「どうして、そういう気持ちになったの、私は契約解除を受ける立場の者ではなく、しかも担当は甲さんなんで、甲さんに言って下さい。」と言い、明らかに契約解除を妨げ、遅延していることが分かった。Ｃは、契約してから８日目の○月○○日、当該事業者に対するスクール受講契約の解除通知を記載して、同日、それを郵便局○○支店にて簡易書留で送った。そして、その日の午後○時ころ、事務所へ行き、甲や丙に対して「今日、契約の解除通知を簡易書留で送り、クーリング・オフしましたので近日中に届くと思います。」と伝えたところ、丙は「それを確認した上で、こっちから電話するよ。」と言った。Ｃはその後、当該事業者に対して返金を求める電話を数回したが、社長が決めることだと言うだけで、一切、通知や返金はなかった。