ちばがく第15号-1 H22.7月

特集:本年度2学期「面接授業」担当教員からのメッセージ
第15号
平成22年7月
放送大学千葉学習センター THE OPEN UNIVERSITY OF JAPAN/ CHIBA STUDY CENTER
モクレン科の常緑木・タイサンボク(泰山木、大山木、学名:Magnolia grandiflora)の花を、千葉学習
センター2階の窓から見つけました。北米の中南部原産の木だそうです。表面の光沢のある葉に対して、
裏面は毛が密生していて錆色に見えます。白色の清楚な花、艶やかな緑色の葉、錆色の裏面、これらの
3色がメロディを奏でているかのようです。
[写真6月18日撮影:坂本香保]
The more I learn, the more I realize I don’t know.
The more I realize I don’t know, the more I want to learn.
Albert Einstein:1879-1955
ちばがく 第15号 [1]
八雲の愛した日本/英語講読Ⅴ -小泉八雲を読む
小谷かつ代
放送大学非常勤講師
この授業は、放送授業科目「英語講読(’08)」で扱った内容に基づき、
小泉八雲の作品を3つ読みます。「怪談」なかから ”乳母桜” ”青
柳の物語”、「骨董」より ”常識”の3作品を取り上げます。
土日二日間の集中講義ですので、受講者は予習をしっかりしてきていた
だきたいと思います。クラスでは、自宅学習ではできないことをやりた
いと思いますので、受講生同士が協力してクラスで発表するような作業
をやってみたいと思います。
英語講読ですので、英語の読解力を養うのが目的です。英語を読むとい
う地道な作業と同時に、教科書にCDが付いていますので、英語の朗読
を聴く訓練もしてみましょう。目と耳を使って、存分に英文を理解して
みましょう。作品は、日本の民話を八雲が美しい英語に翻訳したもので
す。作品の舞台が日本ですので、日本人学習者には理解しやすいと思い
ます。
アイルランド人の父とギリシャ人の母との間に生まれた小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)は、明治23年
に来日しています。八雲、40歳のときです。日本での最初の赴任地、島根県の松江で、八雲はすっか
り日本人と日本文化に魅せられてしまいます。54歳で日本で亡くなるまでの間に実に、多くの見聞録
や随筆を書いています。その当時、日本文化について書いたヨーロッパ人は他にもいますが、八雲はそ
のなかでも最も日本人と日本文化の真髄に触れた西洋人ではなかったでしょうか。
八雲の眼は、いつも、形の奥にある日本人の心と精神に向けられていました。感性豊かな八雲は、当時
の日本人の崇高な魂や慎み深い態度をことのほか愛していました。八雲の愛した日本人はどこに行って
しまったのだろう、と嘆きにも近い気持ちに駆られているのは私1人でしょうか。
松江で八雲は日本人女性・小泉節子と結婚し、日本に帰化します。”乳母桜”をはじめとする日本の民
話は、節子が八雲に語って聞かせたものです。妻の語る日本の美しい民話に、八雲はどれだけ心をとき
めかしたことでしょうか。
日常見ているモノを少し掘り下げてみる/衣・生活用製品の多面的評価
藤原康晴
放送大学客員教授
「ひな人形の男びなと女びなはどちらが右側に?」「TV出演している
ゲストの位置はスタジオのどちら側?」「着物の右前の着方は?」「川
の右岸はどちら?」など、この社会には左右の優劣や方向に関してさま
ざまなきまりごとがありますが、それをあまり意識することなく見過ご
しています。日常接していますこの種の右と左に関するきまりごと(そ
の由来が比較的明確なものとそうでないものがありますが)を少し掘り
下げ考えてみます。
次に掘り下げてみますのが、織物の柄です。紙上に描かれた織物の組織
図にサインペンで着色することによってギンガム、千鳥格子、グレン・
チェックなどの柄ができあがるのを実習します。複雑に見える織柄も、
その基本的なところを押さえさえすれば、容易に作成できることがわか
ります。この実習後、他の方が着ている衣服の織柄が目に留まるようになったとの声を聞いています。
今日の暮らしでは多くの生活用製品を使用しており、使用中に「ヒヤリ・ハット(危うく事故になると
ころだった)」を経験することがあります。実際、ガス瞬間湯沸かし器、石油ストーブ、シュレッダー
等による事故が繰り返し発生して、大きな社会問題になりました。ストーブ、ガスコンロによる火災も
多く発生しています。これらの生活用製品の事故は、「製品に起因するもの」よりもむしろ「使用者の
誤使用、不注意に起因するもの」によるほうが多くなっています。これらの事故原因を掘り下げ、その
分析結果をふまえて、事故の未然防止・再発防止のため、製品の製造者、使用者にはどのような役割が
あるかを考えます。
以上に例示しましたように、この授業では日常の生活において見ているモノ、使っているモノ、習慣的
に行っている事柄を対象に、少し掘り下げ、多面的に考察する教材を用いて実施します。身の周りのモ
ノをちょっと掘り下げてみると、いろいろ見えてくるものがあるのを実感していただけることでしょう。
ちばがく 第15号 [2]
“水は高きより低きへ流れる” ?/海水の動きから何が読めるか
宮田元靖
放送大学客員教授
図1は、北太平洋の海面の高度を人工衛星から測定した結果を長期間平均して、模式的に描いたもので
す。水面の高さの同じ場所を結んだ等高線で表し、太平洋全体の平均海面(ジオイド面)から高い場所
は実線で、低い場所は破線で結んだ等高線で示してあります。
低緯度の西寄りに一番高い海域があり、その北方の高緯度には逆に窪地のような海域があるのがわかり
ます。
数値は海抜(等ジオイド
面をゼロとした時の高低。
単位cm)
図1 北太平洋における海面の等高線と海流(矢印)の模式図。
等高線の間に描いてある矢印は、海水の表層の流れを長期間平均した値をやはり模式的に示したもので
す。日本の近海では南岸に沿って南西から北東に向かう流れと北側から南に流れている流れがあります
が、それぞれ黒潮、親潮と呼ばれ昔から知られていた海流です。
黒潮と親潮は、日本の東北地方で合流し東に流れて行きます。その先はアメリカ大陸にぶつかって、南
北に別れ、亜熱帯と亜寒帯をそれぞれ大きく回って、また、日本近海に戻ってきます。
ですから、海流というのは、海の表層にある大規模な海水の水平循環の一部に名前を付けたものだと言
えます。この海流の方向と等高線に注目して下さい。
海流は陸上の河川にしばしば喩えられますが、河川は等高線を横切って(等高線とほぼ直角方向に)流
れています。これに対し、海流は、等高線に平行に流れています。この点が河川と海流とでは全く異
なっているのです。
この面接授業では、上記の例のような「“水は高きより低きへ流れる” がどうして海流には当てはまらな
いのか」とか、「海の波を船上から眺めていると風上から風下の方向に進むように見えるのに、海岸で
見ると風向と関係なく常に沖合から海岸線に向かって波が押し寄せているのは何故か」などという、一
見不思議な海水の動きを受講者の方々に理解してもらうことを目的にしています。
ボンジュール!/ はじめてのフランス語:発音と入門
仲島陽一
東洋大学非常勤講師
フランス語のあいさつ、発音、初歩の文法等から始める入門クラスです。近頃はパティシエ人気でフ
ランス語を始める人が増えているなどとも聞きますが、観光やファッションなどの楽しみから、古典
芸術や現代思想など深い専門分野に至るまで、いろいろな道に通じているのがフランス語です。
語学だけでなく、フランスの社会や文化、歴史や時事などにも触れる授業です。初歩と言っても語学
には苦労も必要なのは事実ですが、その分得られるものもいろいろとあります。
ちばがく 第15号 [3]
英語での作文や会話を皆さまと一緒に/英語の基本A
志子田祥子
東京大学非常勤講師
放送大学千葉学習センターで学んでおられる皆さん、 こんにちは。
平成22年度第2学期面接授業「英語の基本A」では、これまでに皆
さんが学んでこられた文法の知識を、自信をもって実際のコミュニ
ケーションに応用できるよう、お手伝いしていきたいと思ます。
限られた時間のなかで印刷教材および放送授業15回分のすべてを面
接授業で扱うことは難しいですが、いくつかの課を選択し、じっくり
学んでいきましょう。印刷教材で扱われている基礎的な文法事項や構
文など有用表現の確認を行ってから、みなさんに実際に英語を使って
作文や会話などの作業をしていただきます。
さきほど「自信をもって実際のコミュニケーションに応用」と書きま
ましたが、学習者のみなさんのなかには「これまでに多くの時間を費
やして英語を勉強してきたのに、自信をもって話せるとは 言えない」
とか、「母語話者の話す英語は早すぎて聞き取れない」という方、あ
るいは、「印刷教材に付いている音声教材も早すぎてついていけな
い」という方がいらっしゃるかもしれません。「英語の基本A」では、面接授業という形式を生かして、
発音と聴解の練習、訓練も時間をかけて行っていきます。具体的には、発音記号の確認、発音練習や教
科書本文の音読練習、および聴解練習などを行う予定です。これまで英語の発音に自信が持てなかった
方、あるいは、聞き取りが苦手だったという方も、ぜひ一緒に声をだして練習しましょう。また、印刷
教材には、英語で書かれた手紙やメール、イギリス料理の調理法なども紹介されています。さまざまな
英語のスタイルを学びつつ、英語圏の文化にもふれていきましょう。英語にかぎらず語学の学習では、
基本の習得と継続的な努力が要求されます。また、私がみなさんとご一緒できる時間内でお伝えできる
ことは非常に限られています。ですから、今回の面接授業の終了後もみなさんがそれぞれ英語の学習を
継続されることのできるよう、ご自分にあった学習法をみつけていただけるよう、毎回さまざまな学習
方法を紹介していきたいと思います。教室で皆さまにお目にかかれるときを楽しみにしています。
喜び踊れ、音楽を愛する魂よ!/コンチェルト(協奏曲)の歴史
佐々木勉
名古屋音楽大学教授
放送大学で西洋音楽史についての授業を担当させていただくようなっ
て、早いものでもうすぐ20年になります。知的好奇心が旺盛で、社会
経験が豊かな受講生のみなさんと過ごすスリリング時間が、いつの間
にか「快感」になってしまいました。神聖な学問の場である授業が、
私にとっては「気の置けない仲間との愉快な語らいの場」になってい
るように思われます。
放送大学では、いつも2つのことを目標に授業を行っています。1つ
は、音楽を愛する健全な聴衆を育てること。もう1つは、音楽を学問
として学ぶことの面白さを伝えることです。
今回の授業では、コンチェルト(協奏曲)を取り上げます。それは、
17世紀初期にイタリアで生まれました。一般的には、独奏とオーケス
トラを組み合わせた形の音楽として知られています。「コンチェルト
concerto」という言葉は、「concertare論争する」から派生したものとされ、「独奏」と「オーケストラ
(合奏)」という異なる音響を、論争における意見の相違に見立てている、と考えられています。そし
て、論争から優れた結論が導き出されるのと同じように、性格が異なる2つの音響から新たな素晴らし
い音響が生まれる、というわけです。歴史をふり返ると、最初期のコンチェルトとは、器楽を伴う声楽
曲のことでした。器楽と声楽は異なる性格をもっているので、両者を対比させて「論争」が成立するこ
とになるわけですが、それでは、器楽伴奏付きの声楽曲はすべてコンチェルトになってしまいます。し
かし、そうではありません。なぜなのでしょうか? 器楽のためのコンチェルトが発達した後に、独奏
がないコンチェルトや、逆にオーケストラがないコンチェルトが作られた時代がありました。それでは
「論争」は生まれないように見えますが、なぜ、それでもコンチェルトなのでしょうか? 授業では、
コンチェルトの変遷をたどりながら、西洋音楽史を理解し、「なぜ」を考えたいと思います。
受講に音楽の特別な知識は必要ありません。好奇心があれば十分です。
ちばがく 第15号
第12号 [4]
[9]
調理を科学的な目でみることでおいしい調理を/調理とおいしさの科学
石井克枝
千葉大学大学院教育学研究科教授
日常の調理は、ほどよい加減でおいしくできていますか。
うまくいくはずが失敗した。どうしてこうなるのだろう。い
つも上手にできないのでつくりたくない。もっとおいしくす
るにはどうすればいいのだろうなど、いろいろな疑問を持っ
たことがありませんか。おいしいご飯を炊くには?、おいし
いみそ汁をつくるには?、肉や野菜の炒め物をおいしくつく
るには?、クッキーやスポンジケーキをおいしくつくるには
?、てんぷらは?、パンは?、煮物は?、魚は? というあな
たの疑問にお答えしたいと思います。講義を聴いたその日か
ら、調理を科学的にみる目ができ、あなたの調理の腕は上が
ります。
おいしいとはどういうことなのだろうという、普段食べて感じている「おいしい」感覚を分析してい
きます。おいしさを意識し、日常の調理を科学的にみることで、食品を見る目、調理法の原理がわか
り、栄養バランスのよい食事にも行き着きます。
調理できると、自分の食生活を自分の力でデザインできます。自分にとってどんな食事がいいのか自
分の好みをふまえてつくることができます。食事は毎日、すべての人と出会い、私たちの体をつくっ
ています。毎日元気に過ごすために食事は大きな要因になります。その食事が毎食おいしければ、精
神的にも満足度がアップし、生き生きした生活をつくることにつながります。
私たちの食生活は大きく変化し、自分がつくらなくても食べものが手に入る生活になってきました。
しかし、自分の食生活を自分でつくる力は、生活をつくる力、ひいては自分らしく生きる力になると
思っています。そこに調理は必須条件です。調理していない人も、調理している人も、ぜひ、この授
業で、調理する力をアップさせ自分の食生活をデザインしていきましょう。
“自然な形”に見る力学性を探る/デザインを科学する
久保光徳
千葉大学大学院工学研究科デザイン科学専攻教授
“自然な形”とは何か? その形は、自然自
身が我々に示す形とは異なります。あくま
で人の手による形、人工物の形なのですが、
作為の無い必然性を感じ取ることができる
自然な存在感を持つ形です。授業において
は、まず、その自然な形をイメージしても
らいます。これまでに生活のなかで得られ
てきた経験や考察において築き上げられて
きている各自のこの形に対する幾何学的尺
度を明らかにしてみたいと思っています。我々が何を持ってその形を“自然な形”とするのか、その判
断基準を洗い出し、他者との違いを比較してみましょう。さまざまな“自然な形”が提案されると思い
ますが、その形に対してこちらからは工学的な視点での構造評価を試みさせていただきます。提示し
ていただく形に対して、材料力学、構造力学の初等的な知見を持って力学的解釈を試みたいと思いま
す。その形が構造力学的な意味において必然的なのかどうなのか。そして、その形に必然性が見いだ
される時、そこに“自然な形”が存在することを期待しています。ワークショップ的導入を終えたら、
次に、先人たちが残してくれた“自然な形”を見ていきたいと思います。1つは天然の枝で作られた背
負子の形、もう1つは神社やお寺の正面を飾る虹梁の表面を飾る唐草模様のパターンについて話をさ
せていただく予定です。前者は材料力学的知識レベルでその形の必然性が説明できますが、後者の唐
草模様は、構造力学と弾性力学の中間的領域における知識を持って、応力分布と唐草模様の装飾との
関係について検討してみることになります。この授業内容のほとんどは萌芽的な意味合いが強く、ま
だ「学」とするには恐ろしく未熟で不確定なところがありますが、ぜひとも興味を持って、我々がほ
とんど無意識に感じ取っている形への感覚について見直す機会としていただければ幸いです。
面接授業「デザインを科学する」は、千葉大学デザイン学科のスタッフ8名が、それぞれの専門領域か
らデザイン科学の全体像をご紹介するものです。デザインを科学の眼で考えます。
ちばがく 第15号 [5]
ppm、ppbといった低濃度の水の汚れをどのように測るのか?/水の汚れを測る
宮崎章
産業技術総合研究所招聘研究員
水の汚れと言った場合に、「水が濁っている」という状態を考える
方々も多いかと思います。水の濁りは、専門的には「水の濁度」と
いいますが、水の汚れをすぐに目で確かめることができるため、有
効な指標であることは言うまでもありません。
しかし、近年では、目では見えないが、物質が水に溶けていて、い
ろいろな影響を及ぼすことが問題となってきました。このような物
質を汚染物質といいます。溶けている濃度も、ppmとかppbなどが
問題となっています。ppmとは、1gの水のなかに10-6g(百万分の
1g)の物質が溶けている濃度で、ppbとは、1gの水のなかに10-9g(10
億分の1g)の物質が溶けている濃度です。このように非常に低い濃度
の物質が問題となっているのです。
水質の基準には、カドミウムやヒ素のような人間の健康に影響を及
ぼす物質の基準と、pHやBODのような我々の生活環境に影響を与え
る水質の基準があります。これらの基準を超えて、工場などの事業
所から排水が排出されると、法律違反で罰せられることになります。
したがって、事業所では、排水中の汚染物質の濃度を測定して、基
準に合致しているかどうかを確認する必要があります。
その際に、ppmとかppbの濃度を正確に測定できないと、基準を超えている排水を排出してしまうおそ
れもあります。そのため、近年では、このように低い濃度の物質を測定する技術がいろいろと開発さ
れてきました。
本講義では、このような技術の概要と適用例、今後の発展の動向などについて、述べる予定です。
水は、生命の源泉です。多くの皆さまが水に関心を寄せていただけることを、願っています。
「一神教」と「宗教的掟」について考えよう/旧約聖書から何を学ぶか
加藤隆
放送大学客員教授・千葉大学教授
近現代の展開のなかで、人類の生活はさまざまな面で目覚しい進
歩を実現してきました。そうしたなかで、「宗教」の領域は、古
色蒼然としています。宗教の領域は、意図的に等閑にされてきた
観があります。
今回の授業は、「一神教」はなぜ「一神教」なのかを考える機会
になっています。キリスト教とイスラムは、「一神教」を代表す
る2つの大きな流れになっていて、現在の世界でも大きな勢力に
なっています。この2つの流れの「一神教」の立場が成立したの
は、キリスト教もイスラムも存在しない時代の「古代ユダヤ教」
においてです。「古代ユダヤ教」の姿を検討することは、キリス
ト教とイスラムの根本的な立場について検討することに繋がりま
す。
「旧約聖書」は、「古代ユダヤ教」について本格的に知るための、
ほとんど唯一の資料です。今回の授業ではこの「旧約聖書」を検
討します。「一神教」は、さまざまな神々から、人間の側が1つの神を選ぶから「一神教」になるの
ではなく、人間の側がどの神も選べない状態に追い込まれたから「一神教」になる、ということを確
認します。「人間の側がどの神も選べない状態」が「罪」の状態です。
「古代ユダヤ教」では、「人間の側がどの神も選べない状態」のなかで、それでも神に忠実であろう
として、一セットの掟(=「律法」)が絶対的と言える権威をもつようになります。「律法」は、単
なる「神の言葉」「神の命令」よりも強い権威をもちます。この経緯についても検討します。
キリスト教は、「律法」を退けて、神との生き生きした結びつきに依拠するはずのものでしたが、キ
リスト教でも、「旧約聖書」に「新約聖書」が加えられて「聖書」が成立します。イスラムは、民族
主義的なユダヤ教を普遍主義的に変更した姿になっています。この際に、民族主義的な「(ユダヤ教
の)律法」を、普遍主義的な別の「一セットの掟」で置き換えるという方法が用いられたと言えると
思われます。
ちばがく 第15号 [6]
楽しい会話を基本とする回想法をまちづくりに/回想法にもとづく都市環境計画
丸山純
千葉大学大学院工学研究科講師
認知症が世界の先進諸国で増えています。なぜでしょう? それは
かつてない高齢化社会になりつつあること、そして、核家族化や生
活が便利になってきたために、高齢者の役割が減りつつあることが
原因といわれます。この認知症を直したりまたは軽減するために、
最近いろいろなところで実施され、話題にされているのが「回想法」
です。「回想法」とは、認知症患者やその予備軍が自分の過去のい
きいきしたシーンを回想して、それを語り、聞き手との交流を通し
て人生を振り返ることで、心の安定や周囲の人との質の高いコミュ
ニケーションを目指す心理療法のことです。これによって脳の活性
化が行われ、認知症の進行防止や予防をすることができます。
すでに東京都内や東京近郊でも回想法を研究・実践している公的機関やNPO等のさまざまなグループが
あります。また、そのアプローチも、生活道具などからだけではなく、絵画や音楽など、多方面から実
施されています。
しかし、その基本はやはり楽しい会話です。東京とその近郊を中心に、心療回想法と名付けて回想法の
研究・実践・普及に努めている小林幹児博士は、認知症のうちの脳血管性痴呆タイプは、脳細胞の活性
化によって回復が可能であり、そのためには楽しい会話を基本とした回想法が効果的だと指摘していま
す。
だとすると、街自体が、認知症を生みにくく進行させない、また、認知症の人でも楽しく安心して暮ら
せる、そういう街をつくることはできないでしょうか? そのためにはどうしたら良いのでしょう?
この講義では、回想法の基本的考え方を、都市計画やまちづくり、あるいは、身近な住環境の改善に取
り入れることによって、精神的にも豊かな住環境を市民たち自身でつくってゆく、そんな方法を受講者
の皆さんと共に探ってゆきたいと思っています。
コンピューターで生物学を楽しもう/生物情報学実習
二河成男
放送大学准教授
この講義は,生物学の研究のなかでも、パソコンを
使って行われるデータ解析について、実際にどのよ
うなことが行われているかを、皆さんに体験しても
らうものです。生物学のなかでもDNAやタンパク質
のといった分子生物学に関連する対象に絞って、実
習を行ないます。現代の分子レベルの生物学は特別
な装置や施設が必要となり、実際の研究に触れるこ
とは容易ではありません。しかし、生物情報学的な
研究では、まだまだ個人のパソコンレベルで行える
ことは多数あります。また、そのような研究を行う
ベースとなる生物学的データや解析用ソフトウエア
も無料で公開されています。したがって、誰でも調
べてみることができます。本実習でも、公開されて
いるデータベースから得られるDNAやタンパク質の
配列情報と、実際の研究にもよく使われているフリーソフトを用います。皆さんには、本実習用に準備
した操作マニュアルを参照しながら、実際の実験で得られるデータを画面上で可視化し、そこから生物
学的な情報を引き出してもらいます。具体的には、タンパク質立体構造の視覚化、タンパク質間の類似
性の探索、遺伝子発現解析、現代人類のアフリカ起源説など、複数の課題に挑戦してもらう予定です。
よって、遺伝子や進化といった生物学に関する基本的な知識があれば、さらに理解が深まるでしょう。
また、詳細なマニュアルを準備していますが、ある程度解析の仕組みを理解してもらうために、それな
りのパソコン上の作業を必要とする内容になっています。したがって、席に座って、マウスをクリック
しているだけで結果が得られるといった簡単なものではありませんが、ぜひ、この機会に、放送授業と
は異なる、体験型の学習に参加してみてください。
ちばがく 第15号 [7]
感じるもの、心でとらえるものは、一人ひとり違う/デザインの楽しみ
出雲たけこ
デザインという言葉は、時流に乗って猛スピードで流れたり、ファッ
ションの海にぷかぷかと浮かんだり、日常のあちこち到るところに散ら
ばっている。だから、多くの人はデザインについて「なんとなく」知っ
ている。漠然としたイメージ―知識があることで安心したりする。直接
そのデザインに自分がかかわったという実感ではないのに、共感が生ま
れる。かっこいいクルマ、空を突くガラス建築、黒一色だけのポスター、
新しいデザインだ!
専門家はこの「共感」を獲得するための効果も
きちんと設計に入れる。機能、使いやすさ、美しさ(かっこ良さ)を追
究し、共感を呼ぶデザインは極めつきのイメージになる。
しかし、「感じるもの、心でとらえるものは、一人ひとり違う」はず。
人は指紋も異なるし、色の見え方もそれぞれ違う。それならば、一人ひ
とりが感じるものを深く考え「感じる形」と「感じる色」で表現すれば、同じテーマでもそれぞれ別の
イメージが現れるはずだ。それは、共感を得ることができるだろうか? コンピュータも使って実際に
やってみよう。「デザインの楽しみ」での、宮崎紀郎先生と私の授業は、視覚情報伝達技、グラフィッ
ク・デザインである。情報やテーマをきちんと人に伝えるための「頭と心と技術」の作業である。「見
えるもの」を描くのではなく「感じるもの」を描く。視点を変えて、言葉や形、色を転がしてイメージ
を集約すると「ロゴマークやシンボル」ができ、イメージを膨らませ広げていくと、「自分の世界、別
の物語」が描ける。まず、コンピュータを使うことで表現できるもの、しやすいものを現場の人びとの
多様な作品を通して考えることから始め、実際にコンピュータを使って作品を作る。一人ひとりが、思
いがけないところで、本質的なデザインの世界としっかり繋がっているということを探り当てることが
できれば、深い喜びになる。今年も「デザインの楽しみ」を通して、あの感動を得られるだろうか?
宮崎紀郎先生と一緒に行う本年の講座「デザインの楽しみ」で、お会いしましょう。
困ったときの“お助けマン”としての医療英語の知識/日常生活の中の医療英語
森容子
埼玉女子短期大学国際コミュニケーション学科准教授
「医療英語」と聞くと、とかく難しく思われて敬遠されがちですが、こ
の授業では実践面に目を向けた日常生活の中なかで役に立つ易しい医
療英語を学習していきます。海外旅行中に突然病気になってしまった
り、怪我をしてしまったとき、また、病院で働いていて外人患者への
対応を迫られたとき、授業で学んだ医療英語の知識が、「困ったとき
のお助けマン」としての役割を多いに果たしてくれるでしょう。
この授業では、病院で起きうるであろうさまざまな場面を想定して、
病気や怪我、治療・予防に関連した英語の語彙やコミュニケーション
の習得をねらいとしています。時には講師の経験談をお話したり、替
え唄を歌って診療科の英単語を覚えたり、グループワークを取り入れ
たりしながら、皆さんが飽きないように、楽しく参加していただける
ように工夫して、実際に使える医療英語の語彙や会話表現をしっかり
と覚えていただきます。
教科書として放送大学の「医療・看護の英語」を使用します。また、面接授業中に補助教材としてプ
リントも配布する予定です。2日間という短い面接授業のなかで、盛りだくさんの内容になりそうな
ので、授業についてこられるように、受講前に必ずテキストに目を通し、各課の「単語トライアング
ル」は辞書を引いて予習しておいてください。では当日皆さんにお会いできるのを、楽しみにしてい
ます。【授業内容】・基本医療英単語と覚え方のコツ ・単語(体の部位・内臓器官) ・症状・病
気の言い方 ・診療科の言い方 ・病院案内 ・英語の診察申し込み用紙と書き方 ・新患受付での
会話 ・診察時の会話 ・使える医療英会話表現(1.患者として 2.病院職員として)
ちばがく 第15号 [8]
諸外国の介護制度と対比しながら日本の介護を見つめます/介護を考える
石垣和子
千葉県立保健医療大学教授・千葉大学名誉教授
石垣講師
片倉講師
辻村講師(右から2人目)
伊藤講師(前列左から2人目)
オランダの高齢者施設職員の方とともに
私たち講師陣は、千葉学習センターのすぐ近く
にある千葉県立保健医療大学の教員です。
私たちは、これまで、訪問看護師たちとともに
教育や研究に取り組んでまいりました。また、
高齢者や障害者の介護・看護について、家族を
含めた支援の方法を学生たちに教えたりしてい
ます。
この講義では、このような立場から介護につい
て日頃考えていることを皆様と共有し、相互に
意見交換する機会を設けて個人個人の考えを整
理し、今まさに介護中の方、将来に備える方な
ど、それぞれの目的に応じた収穫があるように
と準備しています。
介護は人類の歴史とともに歩んできたと思われ
ます。戦争の時代、感染症が猛威をふるってい
た時代、それぞれ違った形の介護があったと思
われますが、近年ほど介護の姿が急激に変化し
た時代はないのではないでしょうか。それは近
代科学の発展に伴う社会の変化と関係が深く、
対策として介護の社会化と言われる介護保険制
度の発足があり、それを受け入れるだけの人び
との価値観の転換が生じていたからだと思われ
ます。
とはいっても、青春期を戦前の日本社会で過ご
したご高齢の方々(多くは配偶者を介護したり、
介護されたりと、最も介護と関係の深い世代だ
と思われますが)は、変化に戸惑っていないで
しょうか。高齢者に比べて注目度がやや低く、
制度の整備も遅れた障害をお持ちの方は困って
いないでしょうか。こんなことをまず押さえる
には、制度についても最低限のことは知ってお
かなくてはなりませんので、この講義で少しご
説明したいと思っています。
また、日本特有の家族ぐるみの考え方のもとで、
いつ誰の身に極端な看護疲れが降りかからない
とも限らない危うい側面もはらんでいるのが日
本の介護事情であり、異なる角度から介護を見
る視点を持ちこむことも大切ではないかと思わ
れます。そのような意味から、オランダやフィ
ンランドなどの外国の事情を実際に見てきた講
師から写真を交えながら聞くことも、楽しく学
びながらも日本の介護の行き詰まりを打開する
ような考え方を思いつく、きっかけとなるので
はないかと考えています。
この授業は、千葉県立保健医療大学の石垣和子教授、片倉直子准教授、伊藤隆子准教授、辻村真由子助
教の4名によって行われます。第1回・第2回石垣、第3回・第4回片倉、第5回辻村、第6回・第7
回を伊藤、第8回を伊藤および辻村の各講師が担当されます。
なお、石垣和子教授は、宮崎和加子講師(千葉大学非常勤講師)とともに、「すこやかな老いを生きる」も
担当されます。「お年寄り」「地域の暮らし」「家族と暮らし」がキーワードの「すこやかな老いを生きる」
も、あわせて受講してください。
ちばがく 第15号 [9]
生活者のチカラ-生活の安全と安心を創ろう-/生活リスク論
奈良由美子
放送大学准教授
安全。安心。最近では、これらの言葉を新聞やテレビなどのニュース
で聞かない日はほとんどありません。それくらい、今や安全・安心は
わが国で関心の高い問題のひとつとなっています。これは言い換えれ
ば、最近では安全が低減してきている、あるいは、少なくとも人びと
がそう感じている状況にあることを示しています。つまり、最近では
リスクが物理的に増大している、あるいは、少なくとも人びとがその
ことを感じ不安に思っているということです。
地震や交通事故、病気やケガ、食品汚染、老後生活、インターネット
犯罪・・・。わたしたちの生活を脅かすリスクはさまざまです。リス
クは小さくあってほしい。では、いったい誰がリスクを小さくするの
でしょうか。
現代ではさまざまな社会的機能が分化し分業されています。生活リスクの低減についても例外ではあり
ません。生活リスクへの対処の多くが、リスクマネジメントの専門家・専門機関に外部化されています。
例えば犯罪については警察が、自然災害については自衛隊や消防など関連の行政機関がそれぞれ対応す
るしくみができています。そのしくみのなかで、わたしたちは、生活の安全・安心を確保するためには
専門家・専門機関にリスクを分析してもらい、対処の方策を決めてもらい、実施してもらうことを当た
り前のようにとらえてはいないでしょうか。もちろん、専門家や専門機関によるこれらの活動が引き続
き行われること、また、そのしくみがさらに洗練されていくことは不可欠です。それと同時に、生活者
がリスクに主体性をもって向かい合うことの意義と方法についても、考える必要があると思います。
この授業では、生活の安全と安心を実現するため、生活者にとってのリスクマネジメントを検討してい
きます。家庭で、あるいは、地域で、わたしたちは何をすべきで、何ができるでしょうか。生活者であ
るみなさんと一緒に考えていきたいと思います。
Tomorrow: A Peaceful Path to Real Reform /持続可能な美しい都市を考える
福川裕一
千葉大学大学院工学研究科建築都市学専攻建築コース教授
みなさんは自分の街、さらに、日本の都市をどのように見ておられる
だろうか。「美しい都市」と言えるかどうか。「住めばみやこ」とい
う言葉があるように、住みやすいかどうかは「美しい」と関係ないと
思われるかもしれない。あるいは、住みやすいことこそ「美しさ」だ
と言われるかもしれない。しかし、私たちの周りには、シャッター通
りと化した目抜き通り、自殺の名所となった巨大な団地、ほとんど手
つかずの木賃ベルト地帯、低層住宅と巨大なマンションが混在する異
様な町並み、都市が蚕食した農地が広がる。一方、都心近くの再開発
された超高層住宅の足下は、一見美しく整備されているが、住民の姿
は少なく、これが本当の意味で美しいと言えるのかどうか疑問符がつ
く。
なぜ都市は美しくなければならないないのか、いやそれ以前に「美しい都市」とはどういう都市を言う
のか、仮に「美しい都市」を措定できたとしてそれはどうしたら実現していくのか。これらは一体の課
題なのだが、そこに筋道をつけていこうというのがこの授業の主題である。
以下は、21世紀を迎えるにあたり私が提唱した「美しい都市をつくる五ヵ条」である:
1. 「高密度=高層」ではない(人間的・協調的な都市空間へ)
2. ビジョンと戦略(コンパクト・シティへ)
3. 個別の行為が全体をつくる(個をエンパワーする都市計画へ)
4. 参加(つくる参画へ)
5. コミュニティ・ディベロッパー(「参加」を超えて)
標語は、ハワード『田園都市論』初版本のタイトルをそのまま拝借した。そのリアリティは現在も揺る
がないし、今こそ21世紀の田園都市論が求められると思うからだ。
田園都市論がそうであったように、抽象的な議論に終始するつもりはない。授業では、基礎的な部分に
ついては絵本『ぼくたちのまちづくり』(全4巻、岩波書店、1999)を活用していく。絵本だが内容
は高度です。そして、川越一番街、長浜、高松丸亀町など具体例をとりあげ、検討していく。
ちばがく 第15号 [10]
「アタリマエ」を問い直す/家族から読み解くジェンダー
嶺崎寛子
日本学術振興会特別研究員PD・東京大学東洋文化研究所
家族にはいろいろなものが投影されます。家族、
それは、人が最初に出会う社会で、もっとも長
い時間を過ごす場所。出産や子育てなどのリプ
ロダクション、睡眠や食事などの再生産機能を
担うところ。そこは、同時に、各人各様の「家
族は~であるべき」という希望や願い、エゴが
交錯する場でもあります。さらには、国家の家
族に関連する政策や方針は、その国の「理想の
家族のかたち」を雄弁に物語ります。個人個人
というミクロと、国家政策や家族法、社会状況
というマクロの二つの視点から、夫婦別姓や同
性婚、事実婚、養子縁組などを素材に、日本の
家族法や諸外国の家族法を比較し、制度として
結婚式における家族写真(エジプト)
の家族の今を考えます。
その際、ジェンダーは欠かせない視点です。「ジェンダーの問題」として家族を捉えなおす。家族を俯
瞰的に眺めることができるようになれば、「家族」に幸せや生き甲斐を感じる人も、違和感や居心地の
悪さを覚える人も、その気持ちの由来が少しは見えてくるかもしれません。
家族の形は千差万別です。この授業では、講師が長く研究留学をしていたエジプトなど、主に中東世
界を例にとって、家族の形、結婚のあり方などを紹介します。日本人になじみのない社会を鏡とし、
そこで生活する人びとの声をお届けすることによって、皆さんが当たり前だと思っている現代日本の
家族の形と、そのなかに埋め込まれているジェンダーを問い直すことが、この授業のねらいです。写
真などの映像資料も適宜使用します。この授業は、例えば皆さんが今、直面している家族問題に明快
な回答を与えることはできません。しかし、その問題から距離を取って、問題をさまざまな場所から
複眼的に眺めることができるようになるように、ささやかなヒントを提供することならば、できるか
もしれません。ジェンダーや家族に関する知的好奇心を満たしたい方の、履修を歓迎します。
プロジェクトを成功させるには/プロジェクトマネジメント
進藤昭夫
千葉工業大学非常勤講師・元千葉工業大学教授
企業活動や社会活動のさまざまな局面において「プロジェクト」と
言う言葉が広く使われるようになっています。最近では企業環境や
社会環境の変化に対応し、新たな価値の創出を目指し、プロジェク
ト体制による活動がなされています。
プロジェクトは、目標とする成果物(品質)を、決められた予算(コス
ト)と期間(工期)内に達成する業務と言われていますが、プロジェク
トを成功させるには、計画段階から最終成果物完成までの業務(ライ
フサイクル)全体について、プロジェクトを管理・運営するマネジメ
ントが重要となります。プロジェクトマネジメントの知識体系では、
品質・コスト・工期管理など個別知識についての書物や議論は数多
くありますが、重要となるのは業務遂行における人的資源・物的資
源・資金・技術・情報などの経営資源の獲得とその効果的な運用で
す。特に計画段階における目標設定と経営資源活用の曖昧さが、プロジェクトの失敗につながった事
例は多くあります。また、最近では人的資源を活用するチーム(組織)づくりとそのモチベーション向上
も重要になっています。そこで、本講義では、プロジェクトと通常の仕事は何が違うのか、その特徴
は何か、プロジェクトを成功に導くマネジメントではどのようなことに留意すれば良いかなど、さま
ざまな分野での事例を入れながら、実務における問題点も含めて話しを進めたいと思います。質問も
歓迎します。昨年の受講生の専攻分野は、社会と産業、産業と技術、社会と経済、自然と環境、生活
と福祉、人間と文化、心理と教育などさまざまであり、また、プロジェクト経験のある人や未経験の
人も受講されました。プロジェクトマネジメントの基本は、どのような分野にも適用できる考え方で
あり、分野横断的な課題の解決を図る方法です。本講義では、各分野に共通するプロジェクトマネジ
メントの基礎知識と実務に反映できる知識の修得を目指したいと思います。
ちばがく 第15号 [11]
心理学は心の科学というよりは行動の科学です/心理学実験2 教育心理学実習
森山哲美
常磐大学人間科学部教授・副学長
私は、昭和58年(1983年)の放送大学開設当初から、千葉学習センター
で心理学実験を担当してまいりました。現在、「心理学実験」と「教
育心理学実習」を担当しておりますが、開設当初から担当してきた心
理学実験(当時は、「心理学実験実習」と呼んでおりました)につい
て思ったことを以下に記し、皆様へのメッセージとします。
これまで多くの受講生の方々とかかわることで、受講生の方だけでな
く、私も多くのことを学びました。それは、①放送大学の受講生は、
真に大学で学びたいと望んでいて、授業にとても熱心であること、②
受講生が心理学に対して抱いているイメージは多様であること、③実
験結果をレポートにすることにとまどいを感じている受講生が非常に
多いこと、④心理学における実験の意味を理解してもらうには、単に
実験を実施するだけでなく、心理学の歴史を学んでもらう必要があると思ったことです。心理学に対し
て、多くの方が、精神的な問題あるいは哲学的な問題を考究する学問と考えておられるようです。また、
心理学 イコール カウンセリング、あるいは、心理学は臨床心理学と思っておられる方も多くいました。
私は、心理学における実験の意味をそのような方々に理解していただくために、「心理学実験」の授業
でありながら、「なぜ心理学は科学であろうとするのか」について、必ず授業のはじめに講義するよう
になりました。また、実験レポートを書くことに慣れていない方が非常に多く、レポートの書き方の説
明もしてまいりました。そのため、最初の実験に取り掛かるのが、授業開始から3時間ぐらいが経過し
てからということが多くありました。提出された実験レポートは、必ず添削をして返却しました。添削
して残念だったことは、書式がなかなか守られないということ、さらに、剽窃の問題です。「レポート
を書くときに他者の文章をそのまま無断で引用することはいけないことである」と注意を繰り返しまし
たが、配布資料や参考文献の文章をそのままご自分の文章としてレポートにする学生が多くいました。
以上のような経験によって、私なりに授業に工夫を凝らしてきましたが、改善すべきところは、まだた
くさんあるように思います。長年、心理学を学んできた私からすれば当然と思えるようなことでも、心
理学をはじめて学ぶ方には、心理学における実験の意味や実験レポートの書き方がわからないのは当然
です。そのような方に心理学実験のおもしろさを知っていただくためには、私が心理学実験の本来のお
もしろさを伝えられるような指導をする必要があります。これからも放送大学の授業を継続するかぎり、
それを意識しながら授業を行っていきたいと思っております。受講生の方は、本当に学びたいと思って
いる方たちなので、その熱心さに応えられるように努力したいと思います。学生の皆様も、ぜひ心理学
における実験の意味を考えながら、そして、心理学実験のおもしろさを体験しながら、私の授業を受け
てください。
古典芸能から千葉を見ましょう!/芸能に映る「千葉」
岡田万里子
日本学術振興会特別研究員
千葉学と古典芸能を合わせて学んでしまおうという、とても贅沢な
授業です。能、人形浄瑠璃、歌舞伎、日本舞踊といった代表的な日
本の古典芸能を、千葉を舞台にした作品を例に学んでいきます。
千葉という地域や歴史に興味のある方も、また、古典芸能に興味は
あるけれども見たことはないという方や、あるいは、古典芸能が大
好きで自らも嗜んでいらっしゃるという方、それぞれに新しい発見
があると思います。
授業でとりあげる内容は、入門的な知識から、古典芸能の研究の方
法にまで及びます。研究のための文献紹介にも重点を置いています
ので、より深く学びたい方への導入部にもなると思います。
古典芸能には縁のなかったという方にも、それぞれの芸能の成り立
ちや、入門書の紹介、上演情報の入手方法から切符の買い方まで、
多くの情報をお渡しします。
質問は随時受け付けています。積極的に授業に参加される履修者を
のぞみます。
ちばがく 第15号 [12]
イタリアに学ぶ歴史文化を活かした暮らしと景観/生活空間づくり:イタリア編
宮脇勝
千葉大学大学院工学研究科准教授
未だに何か豊かさを感じ取れない日本の暮らし、め
まぐるしく変化する都市の風景。一方、海外に目を
向けると、日々の生活や価値観は大きく異なってい
ます。この授業ではイタリアを取り上げます。屋外
空間での日々の生活を楽しみ、歴史文化を大切にす
るまちづくりを行っているイタリアの暮らしを見て
みてみましょう。人びとの時間の過ごし方、まちの
様子は、日本とは異なっています。
そもそもなぜ、イタリアはそのような都市空間にな
ったのか。また、現在暮らしのなかで、どのように
都市空間を使ったり、維持しているのか。観光で少
し歩いただけではわからない、実際の暮らしと風景を中心に、これまでの留学体験や国際学術交流をベ
ースに、講義していきます。
とりわけこの講義では、「景観」を中心に考えてみます。なぜならば、景観には人びとの生活のあり方
や人々の価値観が表れているからです。「景観」を観察することで、イタリアの文化をイメージするこ
とができ、さらに、日本の文化と対比することは興味深いものです。また、現在では環境問題がグロー
バル化していますが、景観や歴史文化もまた、守るべき環境問題の1つとして取り上げられているのが
ヨーロッパですので、これから必要な計画学としても「景観」は重要性を増してくるでしょう。
本授業では、具体的に、イタリアの歴史的な都市空間の成り立ちから始まり、景観の捉え方、景観と生
活の質、価値観、それを守る制度の仕組みや空間計画の方法論といった順序で学んでいきます。あくま
でも、今という時代に、どのような価値観に基づいてイタリアの歴史、文化、景観、環境を考えたまち
づくりが行われているのか。その特徴を理解しながら、日本とイタリアの違いだけではなく、双方の良
いところ、日本と共通する環境計画学的な新たな手法、あるいは、それぞれの課題点など、現代の都市
生活をめぐるさまざまな取り組みについて、いっしょに考えてみましょう。
「大学」について考えよう/現代社会と大学
前田早苗
放送大学千葉学習センター客員教授・千葉大学普遍教育センター教授
教育学の領域では、ながらく小学校や中学校の義務教育段階を対象とし
た研究が主流で、大学など高等教育を対象とする研究はあまり盛んでは
ありませんでした。もちろん、著名な、そして。優れた高等教育研究者
もたくさんいらっしゃいます。それでも高等教育研究者の数は初等・中
等教育のそれと比較すれば、ずっと少なかったのです。それはおそらく、
義務教育段階での教育課題を解決することが各方面から求められていた
ことがありました。また、大学が唯一、学位を授与する権利を持つ機関
であり、そこで行われる教育研究活動は、外部からの干渉を受けない「自
治」を有しているため、研究の対象となりにくかったのです。さらに、自
分たちが行っている教育研究活動そのものをテーマとして研究すること
自体、好まれなかったということもあるかもしれません。
大学の使命は、教育、研究、社会貢献の3つであると言われていますが、20年くらい前までは社会貢
献はあまり重視されていませんでした。教育と研究の優先順位も、研究が先である大学も多かったので
はないかと思います。
時代は変わり、大学への進学率は著しく高まり、それゆえに、多様な学生のニーズに応えるべく、大学
は常に「改革」を迫られるようになりました。大学はどのような目的を掲げ、いかなる特色ある教育を
実施し、そして、どんな学生を育てようとしているのか、こうしたことを可視化するという難題と向き
合っています。高等教育研究も、近年では大学マネージメントや教育方法など、社会の要求に合わせた
実践的な研究が盛んに行われるようになってきました。
授業では、このような大学が置かれている社会的な位置づけの変遷を知るために、戦後の新制大学の出
発からその歴史をたどりながら、大学がなぜ変わらなければならないのか、逆に変わってはいけないこ
とは何なのか、現代の大学はどのような課題を抱え、これから何を目指さなければならないのかといっ
たことについて、皆さんとともに考えたいと思っています。
ちばがく 第15号 [13]
私たちの身体は自然対応型なのです/自然セラピーと快適性・健康
宮崎良文
千葉大学環境健康フィールド科学センター教授
現代に生きる我々の体は、自然対応用にできていると考えられてい
ます。人間はヒトになって約500万年が経過しますが、そ99.99%
以上を自然のなかで過ごしてきたからです。自然対応用の生理機能
を持って、現代の都市化・人工化された社会を生きているため、ス
トレス状態にあるのです。森林セラピーとは、「科学的裏付けを持っ
た森林浴効果」を意味しており、「予防医学的効果」を目的としている
点に特徴があります。薬理効果に代表される「特異的効果」を期待
しているのではなく、ストレス状態を緩和し、低下している免疫機
能を改善することによって、疾病を予防し、健康の維持・増進を図
るという考え方に基づいています。生理的リラックス効果に関して
は、全国42ヶ所の森林において、各約1週間を目処に504名の被験
者の協力のもと、実験を行いました。その結果、森林部において15
分間座って景色を眺める座観実験では、都市部(駅周辺)に比べ、
代表的なストレスホルモンであるコルチゾール濃度は12.4%、ストレス時に高まる交感神経活動は
7.0%、収縮期血圧は1.4%、心拍数も5.8%の低下を示し、ストレス状態が緩和されていることが明
らかとなり、リラックス時に高まる副交感神経活動は55.0%の昂進を示し、生体がリラックスしてい
ることが示されました。歩行実験においても、ほぼ同様の結果を得ました。また、李卿講師(日本医
科大学)を中心とした共同研究では、日常的に免疫機能が低下している男女において、2泊3日の森林
セラピーによって免疫機能が改善されることが明らかにされています。一方、都市部実験においては、
改善効果は認められず、この効果は森林という自然環境によってもたらされることが示されています。
本授業においては、上記に加え、森林セラピーの基本となる快適性や健康の概念について述べます。
さらに、大きな話題となっている「個人差」問題へのアプローチ法についても提案し、議論したいと
思います。活発な意見交換をお願いいたします。
歴史を知って、今を知ろう! /アメリカ現代史
小島かおる
神田外語大学・常磐大学非常勤講師
アメリカ合衆国・・・。誰もが知っている国の
名前です。そして、日本との関係も、最も深く
かつ重要な国のひとつ。殊に、この国に対して
は、「大嫌い」派と「大好き」派に分かれる傾
向が強い、そんな気がします。
さて、そのアメリカの歴史について、あるいは、
アメリカの政治や社会の現状について、皆さん
は、どの程度正確な知識を持っているでしょう
か?
たとえば、アメリカ合衆国憲法は18世紀末に
制定され、今日でも使われている「世界最古の
成文憲法」(27の修正条項が付加されています
が)なのです。
18世紀末といえば、日本でいえば江戸時代、そして、アメリカ自身も弱小新興国家でした。そんな昔に
作られた憲法が、21世紀の超大国アメリカで、科学技術の先進国アメリカで、今も生き続けているなん
て、ちょっと驚きですよね。
この講義では、第2次世界大戦後のアメリカの歴史を解説します。古代文明から書き起こす世界史の時間
の長さに比べれば、わずか数十年の出来事。なんのことはないと思いきや、そこには長大な世界史の流れ
とのかかわりが詰まっています。たとえば、アメリカの中東政策について理解を深めるには、その古代文
明を知る必要が出てくるからです。
ですから、アメリカ現代史について、そこに詰まったアメリカの政治や社会のこと、他国との関係などな
ど、それらを短い授業時間のなかでお話するのは実は ‘至難の業’ なのです。でも、できるだけ断片的では
なく、総合的なアメリカ理解につながるよう工夫するつもりです。
皆さんの「アメリカを見る目」がより正確に、より柔軟になれば嬉しいです。
ちばがく 第15号 [14]
平成22年度 2学期 「面接授業科目」一覧
科目名・担当講師・所属
デザインの基礎:立体▲ 宮崎清 他 放送大学特任教授・千葉学習センター所長・千葉大学名誉教授
パソコンを使いこなす▲ 虎岩雅明 NPO法人TRYWARP代表理事
初歩からのパソコン▲ 広瀬洋子 放送大学ICT活用・遠隔教育センター教授
現代社会と大学 前田早苗 千葉大学普遍教育センター教授・放送大学千葉学習センター客員教授
新・生涯学習と社会参加 三輪建二 他 お茶の水女子大学大学院教授
安心社会実現のための人間情報学 板生清 東京理科大学教授
芸能に映る「千葉」 岡田万里子 日本橋学館・大妻女子大学非常勤講師
デザインの楽しみ▲ 宮崎紀郎 他 千葉大学名誉教授
日本の伝統工芸を考える● 宮崎清 他 放送大学特任教授・千葉学習センター所長・千葉大学名誉教授
文化形態の哲学 勢力尚雅 日本大学准教授
音楽の楽しさ▲ 宮野モモ子 千葉大学大学院教育学研究科教授・放送大学千葉学習センター客員教授
生活空間づくり:イタリア編 宮脇勝 千葉大学大学院工学研究科准教授
すこやかな老いを生きる 石垣和子 他 千葉県立保健医療大学健康科学部長・千葉大学名誉教授
問題発見と解決の技法ー解決 大林康二 北里大学大学院教授
社会学入門 島村賢一 世田谷区立生涯大学専任講師
生活リスク論 奈良由美子 放送大学准教授
パンドラの箱を開けよう▲ 生井澤寛 放送大学教授
地球温暖化を考える 山本忠 千葉大学名誉教授・放送大学千葉学習センター客員教授
千葉県の博物誌● 宮野信也 他 千葉県立中央博物館・自然誌・歴史研究部長
観測天文学への誘い▲ 佐藤英男 東京理科大学非常勤講師・元国立天文台教授
不思議を探る化学の実験▲ 山田サチ子 千葉工業大学・東邦大学非常勤講師
物理の不思議を学ぶ●▲ 大高一雄 千葉市科学館長・千葉大学名誉教授
身の回りを数学的見地から考える 高橋眞映 山形大学名誉教授・東邦大学非常勤講師
画像工学入門 小林裕幸 千葉大学大学院工学研究科教授
日常生活の中の医療英語 森容子 埼玉女子短期大学専任講師
英語の基本A 志子田祥子 東京大学非常勤講師
基礎からの英文法m 大橋理枝 放送大学准教授
英語講読V-小泉八雲を読む 小谷かつ代 放送大学非常勤講師
初めてのフランス語:発音と入門 仲島陽一 東洋大学非常勤講師
初めてのドイツ語:会話編 三ツ石祐子 慶應義塾大学非常勤講師
初めての中国語:文化編 謝黎 東北芸術工科大学専任講師
中国語中級:会話編 大山潔 東京理科大学・明治大学非常勤講師
初めての韓国語:発音編 千惠蘭 放送大学非常勤講師
初めての韓国語:会話編 文彰鶴 神奈川大学特任助教
初めてのロシア語:会話編 久野康彦 東京芸術大学非常勤講師
初めてのスペイン語:会話編 丸田千花子 慶應義塾大学専任講師
姿勢と健康 碓田拓磨 早稲田大学非常勤講師・虎ノ門カイロプラクティック院院長
介護を考える 石垣和子 他 千葉県立保健医療大学健康科学部長・千葉大学名誉教授
終末期がん患者を支える 眞嶋朋子 千葉大学大学院看護学研究科教授
調理とおいしさの科学 石井克枝 千葉大学大学院教育学研究科教授
家族から読み解くジェンダー 嶺崎寛子 日本学術振興会特別研究員PD
衣・生活用製品の多面的評価 藤原康晴 放送大学客員教授
日本の服飾文化を考える 小山直子 御茶ノ水女子大学ジェンダー研究センター客員研究員
日常生活の中の感覚・知覚心理学 西川泰夫 放送大学客員教授・上智大学名誉教授
子どもの理解と心理療法 北原知典 こどもの城小児保健部心理相談員
心理学実験1▲ 松井進 常磐大学非常勤講師
心理学実験2▲ 森山哲美 常磐大学教授・副学長
心理学実験3▲ 藤井輝男 敬愛大学教授
教育心理学実習▲ 森山哲美 常磐大学教授・副学長
臨床心理学実習A▲ 小西健 西新宿心理相談室臨床心理士
身近な知的財産権 松倉秀実 慶応義塾大学大学院非常勤特別研究教授・弁理士
回想法に基づく都市環境計画 丸山純 千葉大学大学院工学研究科講師
デザインを科学する 青木弘之 他 千葉大学大学院工学研究科教授
社会調査実習B1▲ 島村賢一 世田谷区立生涯大学専任講師
社会調査実習B2▲ 島村賢一 世田谷区立生涯大学専任講師
凡例: ● 面接授業が学園外で行われるもの ▲ 実験・実習を含むもの
ちばがく 第15号 [17]
平成22年度 2学期 「面接授業科目」一覧
科目名・担当講師・所属
プロジェクトマネジメント 進藤昭夫 千葉工業大学非常勤講師
アメリカ現代史 小島かおる 神田外語大学・常磐大学非常勤講師
会計学 鈴木孝則 早稲田大学大学院順教授
中国とインドの経済圏 藤村是清 神奈川大学非常勤講師
和楽の世界-狂言への誘い 小笠原匡 能楽師和泉流狂言方・重要無形文化財総合指定保持者
ルネサンス・イタリアの饗宴 彌勒忠史 学習院生涯楽章センター講師・二期会カウンターテナー
『南総里見八犬伝』を読む▲ 高木元 千葉大学大学院文学研究科教授
持続可能な美しい都市を考える 福川裕一 千葉大学大学院工学研究科教授
コンチェルト(協奏曲)の歴史 佐々木勉 名古屋音楽大学教授
西洋美術とその背景を学ぶ 神野真吾 千葉大学大学院教育学研究科部准教授
『古事記』を紐解く 谷口雅博 國學院大學助教
日本庭園の特徴 藤井英二郎 千葉大学大学院園芸学研究科教授
旧約聖書から何を学ぶか 加藤隆 千葉大学文学部教授・放送大学千葉学習センター客員教授
近世の古文書を読む▲ 菅原憲二 千葉大学大学院文学研究科教授
自然セラピーと快適性・健康 宮崎良文 千葉大学大学院園芸学研究科教授
環境浄化機能材料概論 魯云 千葉大学大学院工学研究科准教授
水の汚れを測る▲ 宮崎章 (独)産業技術総合研究所招聘研究員
生物情報学実習▲ 二河成男 放送大学准教授
環境を守る微生物たち 淺田泰男 他 日本大学教授
10億分の1メートルの世界● 上野信雄 千葉大学大学院融合科学研究科教授
地球科学実習特講▲ 萩谷宏 東京都市大学准教授
海水の動きから何が読めるか 宮田元靖 放送大学客員教授
凡例: ● 面接授業が学園外で行われるもの ▲ 演習・実験・実習を含むもの
本年度2学期の受講申請に際しての参考にしてください!
本年度2学期の「放送授業」は、10月1日に始まり、来年1月20日に終了します。また、「面接授業」
は、10月16日に始まり、来年2月6日に終了します。
これに伴い、本年度2学期科目登録申請は、8月5日受付開始、9月1日受付終了(郵送の場合は9月
3日受付終了)の日程で行われます。学部も大学院も、同じ日程です。
先月と今月の『ちばがく』で特集した本年度2学期開講の「面接授業」担当教員からの授業内容に関
するメッセージは、ぜひ、受講科目登録をお考えになられる際のご参考にしてください。
受講したい科目登録は、放送大学本部で、郵送やインターネットにより受付けます。学習センター事
務窓口での受講登録申請はできません。
なお、千葉学習センターで開設されている「面接授業科目」のうち、科目登録申請締め切り後、受講
定員に空席が生じた科目については、千葉学習センター事務窓口ないしは郵送で追加登録申請をする
ことができます。
共に学んでみませんか! 「共修生」制度をご存知ですか!
放送大学は、生活スタイルや目的に応じて、ご自分のペースで、ラジオ・テレビによる放送教育を通
じて、「いつでも,どこでも,誰でも」学ぶことができる通信制大学です。同時に、放送大学では全国
各地の学習センターにおいて、「面接授業」 (教室などにおいて担当教員が行う授業、スクーリング )を
開設しています。
千葉学習センターでは、「共修生 (きょうしゅうせい)」と称し、「面接授業」を一般の方々が広く聴講で
きる機会を設けています。「共修生」は、放送大学に在籍しなくても、千葉学習センターで開設される
「面接授業」を聴講することができ、習得単位をお出しすることはできませんが、在学生と共に、お望
みの知識・教養を深めていくことができます。「面接授業」は1時間25分の授業8回で完結します。
聴講料は、1科目あたり5,500円です。入学料は不要です。
詳細につきましては、千葉学習センター教務係へお問い合わせください。
問い合わせ先:放送大学千葉学習センター
〒261‐8586 千葉市美浜区若葉2‐11
TEL:043-298-4367
在学生の皆様へ
在学生も、一度修得した科目の再受講など、単位修得はできませんが、「共修生」
として学習が可能です。「共修生」として「面接授業」を受講される場合には、1科目あたり5,500円が
必要です。「共修生」制度のことを、ぜひ、友人・知人にご紹介ください。
ちばがく 第15号 [18]
本年度10月入学学生募集
放送大学では、本年度10月入学学生を募集しています。
○教養学部教養学科
※教養学部の入学は、書類選考のみで入学試験はありません。
生活と福祉コース、心理と教育コース、社会と産業コース、人間と文化コース、自然と環境コース
の5コースがあります。
▽全科履修生(大学卒業を目指す方)
(対象)18歳以上で大学入学資格をお持ちの方
※大学・短期大学・専門学校からの編入学もできます。
▽選科履修生(1年間在学し、好きな科目を選んで学習される方)
(対象)15歳以上の方
▽科目履修生(6ヵ月間在学し、好きな科目を選んで学習される方)
(対象)15歳以上の方
○大学院文化科学研究科文化科学専攻
※選科履修生・修士科目生への入学は書類選考のみで入学試験はありません。
生活健康科学プログラム、人間発達科学プログラム、臨床心理学プログラム、社会経営科学プログ
ラム、文化情報学プログラム、自然環境科学プログラムの6つのプログラムがあります。
▽修士全科生(2年以上在学して学習・研究を進め、修士[学術]の学位取得を目指す方)
(対象)大学卒業もしくは同等以上の学力があると認められる方
▽修士選科生(1年間在学し、好きな科目を選んで学習される方)
(対象)18歳以上の方
▽修士科目生(6ヶ月間在学し、好きな科目を選んで学習される方)
(対象)18歳以上の方
○出願期間:平成22年6月1日(火)~平成22年8月31日(火)
※修士全科生のみ、平成22年8月20日(金)~9月10日(金)
○資料請求・問い合わせ先
・放送大学本部 〒261-8586 千葉市美浜区若葉2-11 TEL.043-276-5111(代)
・放送大学ホームページ http://www.ouj.ac.jp
・資料請求専用フリーダイヤル TEL.0120-864-600
・放送大学千葉学習センター
TEL.043-298-4367
FAX.043-298-4386
平成23年度大学院文化科学研究科修士全科生の学生募集
平成23年度大学院文化科学研究科修士全科生の学生募集を行います。
※修士全科生:修士(学術)の学位取得を目指し、2年以上在籍しいずれかのプログラムに所属
1.プログラム及び募集人員
プログラム
募集人員
生活健康科学プログラム
90名 程度
人間発達科学プログラム
60名 程度
臨床心理学プログラム
40名 程度
社会経営科学プログラム 120名 程度
文化情報学プログラム
120名 程度
自然環境科学プログラム
70名 程度
2.出願期間
平成22年8月20日(金)~平成22年9月10日(金)
※学生募集要項は平成22年6月11日(金)から配布しています。
3.出願資格
大学を卒業した方、または、平成23年3月31日までに卒業見込みの方。
そのほか、本学が定めた条件に該当する方。(詳しくは資料をご覧ください)
4.選考方法
選考は2段階にわたって行われます。
・第1次選考 研究計画書・志望理由書等による書類審査
・第2次選考 筆記試験[平成22年10月24日(日)]
面接試問[平成22年11月13日(土)・14日(日)]
5.資料請求・お問い合わせ先
・放送大学本部 〒261-8586 千葉市美浜区若葉2-11 TEL.043-276-5111(代)
・放送大学ホームページ http://www.ouj.ac.jp
・資料請求専用フリーダイヤル TEL.0120-864-600
・放送大学千葉学習センター
TEL.043-298-4367
FAX.043-298-4386
ちばがく 第15号 [19]