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建設発生土の搬出時・搬出後のトラブル回避のために
当環境委員会が本年1月に実施した「建設発生土の取扱いに関するアンケート調査」
に対し、会員より寄せられた建設発生土の搬出時・搬出後のトラブル事例から、トラブ
ル回避のための基礎知識、また行政や関係団体が公表しているガイドラインや手引き、
マニュアル等の参考文献等を取りまとめましたので参考にして下さい。
◇廃棄物処理法関係のトラブル
■ガラ混じり土の取り扱い
一般残土として民間処分場に残土を排出したところ、土中に土として扱えないガラが多く見受け
られ、ガラを廃棄物として処分する事態があった。
■参考文献等
・【建設工事に伴う廃棄物混じり土の取扱いの手引き】(社)土工協・電建協
平成 18 年
要点
1.建設工事より生じた場合は産業廃棄物として取り扱う事を可とする県政令市が多いと考えら
れ、産業廃棄物とみなした場合の処分先は産業廃棄物処理施設です。
2.廃棄物がコンクリート片、鉱さいなどの粉体である場合は、建設発生土との完全な分離は困難
と考えられ、廃棄物が混入した状態か否かを判別する為の具体的な基準は未だ存在していませ
ん。従って、必要に応じて管轄行政に見解を確認する必要があります。
・【建設工事で遭遇する廃棄物混じり土対応マニュアル】土研センター
要点
廃棄物混じり土に遭遇した場合、まず廃棄物の状況からリスク把握し必要な応急対策を取ると共
に、都道府県等の環境部局に通報する必要があります。
次に汚染の有無を確認し、汚染なしと判断できる場合には、「未掘削存置型」若しくは「掘削分
別型」での対応を行います。
「未掘削存置型」→廃棄物混じり土を存置しても必要に応じて対策を行えば構造物の基礎地盤と
して支障がないこと及び生活環境保全上の支障がないと判断できる場合に適
用します。
「掘削分別型」→掘削して廃棄物を分別し、廃棄物は廃棄物処理法に則り処分します。分別した
土は有効利用します。
・【大阪湾広域臨海環境整備センターの受入れ基準】
http://www.osakawan-center.or.jp/disposal/kijyun.html
・
【掘削工事に伴う汚泥と土砂の判断区分について】
(大阪6行政
平成 24 年 4 月)
http://www.city.osaka.lg.jp/kankyo/cmsfiles/contents/0000018/18715/handankubun2.pdf
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◇廃棄物処理法関係のトラブル
■含水比の高い残土の取扱い
場所打ち杭の残土を他現場で利用するため仮置きを行った。含水比が高いため、ベッセル車で運搬
したため廃棄物処理法に抵触しないか、問い合わせがあった。
■参考文献等
・【掘削工事に伴う汚泥と土砂の判断区分について】
(大阪6行政
平成 24 年 4 月)
要点
1.場所打ち杭(オールケーシング)の場合
開削工事等(開削(ドライ掘削、水中掘削)ケーソン、オールケーシング工法、全面開放型シ
ールド工法等での工事)により地盤を掘削した場合の掘り出された土砂は泥状を呈していて
も土砂である。
2.場所打ち杭(アースドリル工法)の場合
安定液(泥水、ベントナイト泥水)を使用していても排出時に泥状を呈していなければ(ダ
ンプトラックに山積みが出来てその上を人が歩ける状態、コーン指数で言えば、おおむね2
00kN/㎡以上、また一軸圧縮強度がおおむね50kN/㎡以上であれば)土砂である。
◇処分先とのトラブル
■無許可業者の残土受入
残土受入業者が、町長の許可なく自分の土地に残土を受け入れた(当社にそのことを伏せていた)
。
近隣からのクレームにより無許可処理が発覚し、業者が逮捕された。
■参考解説
1.一般残土に対する法的規制はありません。各自治体が独自で「土砂条例」等を作成し、対応
しています。その条例でも、許可を受けた者に対する罰則等はありますが、土砂を持ち込ん
だ業者に対する罰則は規定されていないところが多いようです。
2014 年 2 月 25 日大阪府豊能町で発生した土砂崩壊事故において、大阪府は、府砂防指定地管
理条例違反罪で社長を刑事告発しているが、持ち込んだ業者に対する処分は行われていませ
ん。
但し、一般残土に産業廃棄物が混入していた場合、廃棄物処理法の排出事業者責任を問われ
ることになります。
一般残土の排出先については、許可内容の確認が必要です。
2.業者を選定するにあたっては十分な事前調査を行って下さい。
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◇処分先とのトラブル
■土砂の性状確認
盛り土に適さない表土や粘性土は処分先に断られることがある。
■参考解説
・処分先の受入れ基準を確認し、処分先の基準に従って搬出土の検査をする事になります。土壌
汚染対策法による基準だけで無く、粘性土や天然石の大きさ等、受入れ基準が多様になる所も
あるので注意が必要です。
■参考文献等
・【建設工事における自然由来重金属等含有、岩石・土壌への対応マニュアル(暫定版)
】
・【掘削工事に伴う汚泥と土砂の判断区分について】
http://www.city.osaka.lg.jp/kankyo/cmsfiles/contents/0000018/18715/handankubun2.pdf
処分先とのトラブル
■油混じりの土砂
発注者から土対法で定める有害物質 25 項目において、問題ないとの事であったが、処分先に運搬
したところ、途中で油の含有が多いため受入できなくなった。
■参考解説
1.廃棄物処理法上、産業廃棄物として排出される引火点 70℃未満の廃油は特別管理産業廃棄物
に分類されます。
2.土壌に含まれる油分が5%未満の場合、汚泥として処理してくれる処理場もあるようですが、
5%を超えると、油分を含む汚泥となります。この場合、焼却等の処分が必要となり、処分費
も高くなり、処理できる施設も限られます。
3.油混じり土が発生した場合、油分の種類や混入割合等を調査した上、管轄行政に相談し、処
分方法・処分先を決めることをお勧めします。
4.土壌汚染対策法においてはベンゼンの基準値(第2溶出基準)が 0.1mg/L 以下と定められて
います。大阪湾広域臨海環境整備センター(フェニックス)の「管理を要する陸上残土」の
受入れ基準も(第2溶出基準)0.1mg/L 以下となっています。
■参考文献等
・【大阪湾広域臨海環境整備センターの受入れ基準】
http://www.osakawan-center.or.jp/disposal/kijyun.html
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◇発注者とのトラブル
■自然由来の汚染土壌
受入側の要求で土壌試験を行ったところ自然由来の土壌汚染があり一般残土では処分できな
くなったが、処分費用等について発注者になかなか理解してもらえなかった。
■参考解説
1.汚染土については一般残土と違い「土壌汚染対策法」の縛りを受けます。
一般残土の受入れについては受入れ施設が受入れ基準を設定し、試験結果の提出を求めら
れる場合が増えていますので、搬出する前に試験する事をお勧めします。
2.汚染土は「要措置区域」等の指定区域から排出・処分する場合、許可施設で処分する事が
土壌汚染対策法で決められています。許可施設については、インターネットで全国の施設
が見られます。
■参考文献等
・【土壌汚染対策法に基づく調査及び措置に関するガイドライン(改訂第2版)】
・【建設工事における自然由来重金属等含有、岩石・土壌への対応マニュアル(暫定版)】
以 上
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