解説書 Petrifilm TM ペトリフィルム™ 大腸菌群数迅速測定用プレート この解説書はペトリフィルム™ 大腸菌群数迅速測定用プレート (RCCプレート)に現れた結果を、 良く理解していただく為のものです。詳しくは、お近くの特約販売店または3M担当者までお問い合わせください。 AOAC International、FDA(BAM) では、大腸菌群をグラム陰性菌で、乳糖を分解して酸とガスを産生する菌と しています。ペトリフィルム™ 大腸菌群数迅速測定用プレートでコロニーが増殖して酸を産生し、 プレートに含まれ ているpH指示薬により、赤褐色から黄色に変化します。 コロニーの回りに気泡があるものは、確定大腸菌群です。 ISOでは、選択培地を用いて生育する菌を大腸菌群としています。大腸菌群数の測定方法として、ISO4832法で は、乳糖添加VRB培地(VRBL)上で、 コロニーの大きさ、酸の産生により確認します。ペトリフィルム™ 大腸菌群 数迅速測定用プレート上では、酸の産生により、黄色の(酸性)部分として、気泡のある、 あるいは気泡の無い赤色 コロニーが見られます。ISO4831法では、大腸菌群はMPN法で測定され、選択培地で乳糖を分解してガスを発 生するとしています。ペトリフィルム™ 大腸菌群数迅速測定用プレート上で大腸菌群は、気泡を伴う赤色コロニー として見られます。 AFNORでは、ISO4831法とISO4832法と比較して、精度を確認しています。 1 2 6時間培養 酸産生部分による大腸菌群測定(6−14時間) 14時間培養 大腸菌群コロニー測定(8−24時間) 6時 間ほどで黄 色 酸 産 生 部 分 が 現れます 。大 腸 菌 群 が 増殖すると、黄色部分が現れます。 8時間以上培養すると、気泡のある赤色コロニー、気泡の ない赤色コロニーが見られます。 AOAC/BAM法と比較したときの解釈 AOAC/BAM法と比較したときの解釈 中心部に赤い点が有無に関わらず、黄変した領域を数え、 推定大腸菌群とします。 気泡のある赤色コロニーを数え、確定大腸菌とします。 ISO4832 (VRBL)と比較したときの解釈 中心部に赤い点が有無に関わらず、黄変した領域を数え、 大腸菌群とします。 AFNOR精度管理では、最終結果は14時間培養で確認 します。 ISO4831 (MPN)と比較したときの解釈 気泡のある赤色コロニーを数え、大腸菌群とします。 豚加工品以 外はAFNOR精度管理では、最終結果は 24±2時間培養します。 ISO4832 (VRBL)と比較したときの解釈 気泡のある赤色コロニーを数え、大腸菌群とします。 AFNOR精度管理では、 最終結果は24±2時間培養します。 適正測定範囲:15∼150(コロニー総数) 酸産生領域(6−14時間) 写真3−10までのゲルの変化に注目して下さい。大腸菌群 50ヶ所以上を含むプレートで推測することが出来ます。 が酸を産出するために、 ゲルの色が、赤橙色から橙黄色に RCCプレート上の細菌生育面積は20cm2です。 1つの格子 変化します。 (1cm2)以上の中の産生領域の平均数を求め、 20倍するこ 菌数の多い大腸菌群(10 個/プレート以上)では4時間 とによりプレート1枚あたりの推定総数を求めます。写真5で の培養で全体的に黄変します。 ( 写真4参照) この場合に 囲った□1の中には、 6つの推定大腸菌群(酸産生領域)が は、適した菌数に希釈して下さい。 認められます。 大腸菌群の中には、大量の酸を産出するものもあります。 大腸菌群が生育し続けるにしたがい、赤色コロニーが酸 この様な場合、 コロニー数がプレート当り20を超えなくても、 性領域の中に現れ始めます。 ( 写真6参照) 3 産生領域の融合が起きる事があります。 目立たない産生領域 3 大腸菌群数 = 0 4 推定大腸菌群数 = 測定不能多数(105以上) 1 5 推定大腸菌群数 = 120 6 推定大腸菌群数 = 280 コロニーと気泡の測定(8−24時間) 写真7および写真8はそれぞれ異なる細菌をそれぞれの濃 AOAC/BAM法による気泡を伴う確定大腸菌群数=72 度で接種し、同じ時間培養したプレートの例です。 この時点 ISO4831法による気泡を伴う大腸菌群数=72 で酸性領域を伴う明瞭な赤色コロニーが両プレートに現れて ISO4832法による気泡の有無にかかわらない大腸菌 います。写真8の細菌は写真7の細菌と比較してより容易に 群数=128 乳糖を発酵し、 ガスを産生することができると考えられます。 基準に従って、気泡のあるコロニーあるいは無いコロニーを プレート当たりのコロニー数が150を超える場合にはその 測定して下さい。 (写真7の⃝1 ・ 2を参照) 数を推測します。 フォームダム上にあるコロニーは培地の 写 真9は、気 泡のあるまたは気 泡の無いコロニー測 定の 例を示しています。測定は、次の規定にしたがって行なっ 選択性の影響を受けていないので測定しないでください。 (写真7−10参照) てください。 1 2 7 大腸菌群数 = 64 8 大腸菌群数 = 164 9 大腸菌群測定解釈参照 10 推定大腸菌群数 = 240 TNTC(Too Numerous to Count:測定不能多数) より正確に測定するには、検体をさらに希釈します。 11 12 大腸菌群数 = TNTC (実数>104) 大腸菌群数 = TNTC (実数>103) 測定不能なほど多数(TNTC)のコロニーが現れたRCC 写真12のRCCプレートにはTNTCのコロニーを示す2つの プレートは以下のうち1つ以上の特徴があります。すなわち 特徴があります。 1)赤褐色から黄褐色へゲルの色の変化 1) ゲルの色調変化 2)多数の小型コロニー 2)多数の小型コロニー 3)多数の気泡 (写真11参照) 13 14 大腸菌群数 = TNTC (実数>104) 大腸菌群数 =0 写真13では、 ここのコロニーが見えないほど数が多くなって 写真14にはグラム陰性菌の非大腸菌群のコロニーが多数 います。 ゲルの色調が黄色に変化したことおよび多くの気泡 生育したプレートを示しています。 ラクト−スを発酵しない細 が存在することからTNTCと判断されます。 菌が多数現れた場合にはゲルの色調が暗赤色に見えます。 pH 殆どの細菌はpH7. 0付近で至適成長します。 pHの低い製品を希釈してプレートに接種する場合には、 pH6. 5−7. 5に調製してください。 写真15および16はpH調製後に接種したフレッシュヨーグルトの例です。培地中の阻害剤によりグラム陽性菌であるヨーグルト のスターターカルチャーは生育が阻害されますがスターターカルチャーにより産生された酸によりゲルのバックグランドの色調が 赤橙色から橙黄色へと変化し、 TNTCの結果の早期の状態に似ることがあります。培養中に更にTNTCの大腸菌群類の 生育の兆候が現れるかどうかフレッシュヨーグルトを含むプレートを経過観察します。 15 16 大腸菌群数 =0 大腸菌群数 =4 上の陰性プレートと前の頁のTNTCのプレートを比較してく ださい。写真15ではTNTCの結果を示すコロニーや気泡が 存在しないことに注目してください。 写真16に示したように、 ゲルの色調変化にもかかわらず、大 腸菌群が発生した酸はそれでも容易に見られます。 製品 食品残渣は不規則な形をしており、気泡を伴いません。 1 1 2 17 18 大腸菌群数 = 11 大腸菌群数 =10 写真17はパプリカの希釈液を接種したプレートの早期読み 取り例です。⃝1は赤色の食品残渣周囲の酸性領域を示 しています。食品の中にはpH指示薬と反応する酸性の細 片を含むものがあります。⃝2は赤色残渣の近くの気泡を 示していますが、酸性領域がありません。双方ともコロニー として数えないでください。 写真18はチョコレートを希釈した場合を示しています。⃝1で 示したように気泡がコロニーに割り込み、 コロニーが気泡の 縁取りをするようになることがあります。気泡周囲の酸の産 生により、大腸菌群のコロニーであることが示されます。 RCCプレート(大腸菌群数迅速測定用) 使用上の注意事項 詳細な注意事項、保証制限および対応制限、スリーエムヘルスケアの保証責任範囲、保管や廃棄に関するお知らせ、 および使用方法については、製品に添付の説明書をご参照ください。 保管 1 開封前は、冷蔵庫(8℃以下)で保管 してください。有効期限内に使用して ください。 2 開封後は、開口部を折り、粘着テープ でシールしてください。 3 開封後は室温(25° C以下)で保管し てください。冷蔵保存はしないでくだ さい。開封後は1ヶ月以内に使用して ください。 試料の準備 4 高 脂 肪、低 脂 肪 乳は直 接プレートさ れます 。その他の食 品、乳 製 品につ いては、少なくとも1:10希釈してくださ い。ストマッカーバッグ、希釈瓶などに 秤量またはピペットします。 5 以下に示す滅菌希釈用液のうち1種 類を適量加えます。 6 バターフィールドリン酸緩衝液(IDFリン酸 緩衝液、 リン酸二水素カリウムの0.0425g/L溶 液をpH7.2に調整) 0.1%ペプトン水 ペプト ン塩希釈液(ISO法6887) 緩衝ペプトン水 (ISO法6579) 生理食塩水(0.85-0.90%) 重硫酸塩無添加リージンブロス 蒸留水 検体を攪拌またはホモジナイズします。 希釈した検体のpHを6.5から7.5の間 に調整します。 酸性検体には1NのNaOHを 使用してください。 アルカリ性検体には1NのHClを 使用してください。 クエン酸、重亜硫酸塩、チオ硫酸塩を含 む緩衝液は使用しないこと。菌の生育を 阻害することがあります。 接種 7 次のプレートへ移る前に、1枚ごとに試料を接種後スプレッダーで延ばすことを忘れずに行ってください。 平らな台の上にRCCプレートを置きま す。上部フィルムを持ち上げます。 8 プレートに垂直にピペットを持ち、下部 フィルムの中心に1mlの試料を接種し ます。 9 気泡が入らないように上部フィルムを ゆっくりとかぶせます。上部フィルムは 落とさないでください。 凹面 平らな面 ク製の専用スプレッダーの 上 から軽く押し、試 料を均 一に広 げ スプレッダーをとり、1分間ゲル化され 10 プラスチッ 11 ます。 12 るまで待ちます。 平らな面を下にして、 フィルムの上から スプレッダーをひねったり、すべ 置きます。 培養 らせないでください。 読み取り ペトリフィルム™ プレートの迅速 13 上部フィルムを上にして水平に置き、 14 3M™ 15 コロニーは釣菌することが出来ます。 3 5 ℃±1 ℃で6∼2 4±2 時 間 培 養しま 測定については、下から直接光を当 上部フィルムを上げ、 コロニーをゲルか す。20枚まで重ねて培養できます。 廃棄 培 養 済のプレートを廃 棄 する場 合には、 菌の有無に関わらず、必ずオートクレーブ (高圧蒸気滅菌器) などを用いて滅菌後、 法令に従い廃棄してください。 てずに測定してください。ペトリフィル ム™ プレートは、コロニーカウンター または拡大鏡にて測定することが できます。結果の確認は解説書を参 照してください。 ら釣菌します。 培養の時間や温度は方法によって異なります。 もっとも一般的な方法を以下に示します。 AOAC Official Method(OMA) 2000.15 35±1℃ 24時間まで培養 AFNOR Validated Methods 3M 01/5 - 03/97A 加工豚肉製品 30℃ 14時間の結果 VRBL30℃との比較 3M 01/5 - 03/97B 加工豚肉製品 30℃ 24時間の結果 VRBL30℃との比較 3M 01/5 - 03/97C 24時間の結果 MPN法との比較 仕様及び外観は、予告なく変更されることがありますのでご了承ください。本書に記載してある事項、技術上のデータ並びに推奨は、すべて当社の信頼している実験に基づいていますが、その正確性若しくは完全 性について保証するものではありません。使用者は使用に先立って製品が自己の用途に適合するか否かを判断し、それに伴う危険と責任のすべてを負うものとします。売主及び製造者の義務は、不良であることが 証明された製品を取り替えることに限定され、それ以外の責任は負いません。本書に記載されていない事項若しくは推奨は、売主及び製造者の役員が署名した契約書によらない限り、当社は責任を負いません。 ホームページ http://www.mmm.co.jp/microbiology/index.html ナビダイヤル ※ 当部取扱製品の 0570-011-321 お問合わせは 受付時間/8:45∼17:15(土・日・祝日・年末年始を除く) ※ナビダイヤルはNTTコミュニケーションズ(株)のサービス名称です。 ナビダイヤルサービスは全国どこからでも市内料金でご利用いただけます。 携帯電話からでもご利用いただけます。 〈3M〉 〈Petrifilm〉 〈ペトリフィルム〉は、3M社の商標です。 食品衛生市場プロジェクト部 MIC-037-A(120801)TY 6102379T 本社 〒158-8583 東京都世田谷区玉川台2-33-1 このカタログは再生紙を使用しています。
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