滝川市教育委員会(担当:教育支援課) 「スマートフォン・携帯電話の利用に関する意識」アンケート調査結果について 1.目 的 児童生徒のスマートフォン・携帯電話(以下「スマホ等」とする)の利用に係るトラブルや健全な 生活習慣や価値観への悪影響を防ぐために、保護者及び児童生徒のスマホ等についての実態と意識 を調査し、今後の安全対策及び情報モラル教育や啓発等の基礎資料とするために実施した。 2.実 施 時 期 平成 26 年 9 月初旬~下旬 3.調 査 方 法 ・無記名による質問紙アンケート(児童生徒は学級単位で実施、保護者は家庭配付し回収) ・質問数は児童生徒用アンケート 9 問、保護者用アンケート 10 問 ・保護者アンケートは、子どもの人数分回答を求めた。 4.調 査 対 象 (1)小学3年~中学3年の児童生徒 (2)小学 1 年~中学 3 年の児童生徒の保護者全員 5.調査回答者数(回答者数/回答対象者数) (1)児童生徒 2,242 名/2,283 名 (回収率 98.2%) 小学生 1,241 名/1,243 名 (回収率 99.8%) 中学生 1,001 名/1,040 名 (回収率 96.2%) (2)保 護 者 2,367 名/2,924 名 (回収率 81.0%) 小学生保護者 1,634 名/1,884 名 (回収率 86.7%) 中学生保護者 733 名/1,040 名 (回収率 70.5%) 1 6.調査結果及び考察 (1)児童生徒のスマホ等の所持実態 ①スマホ等の所持実態 60% 50% 54.3% 80% 49.8% 70% 41.9% 40% 78.7% 68.9% 73.4% 71.1% 76.9% 68.3% 61.4% 60% 32.9% 26.7% 30% 50% 29.9% 40% 22.1% 30% 20% 20% 8.0% 8.2% 10% 10% 0% 0% 中3 中3 中2 中1 小6 小5 小4 小3 小2 小1 中2 中1 小6 小5 小4 小3 【図2】スマホ等を持ちたいと思っている児童生徒の割合 【図 1】子ども専用のスマホ等の所持率 注)児童生徒回答(自分専用のスマホ等を持っていない児童生徒対象) 注)全保護者回答(小1・2)全児童生徒回答(小3~中 3) 子ども専用のスマホ等の所持率は中学生で約 50%、小学校高学年で約 30%、小学校中学年で 約 25%であった。 (図 1) また、スマホ等を所持していない児童生徒の約 7 割が「持ちたい」と回答している。 (図 2) ②インターネットの接続機器の所有 70% ゲーム機(DS、PSP等)でネットを利用 68.0% 63.4% 62.4% 61.2% 60% している児童生徒が中学生で約 60%、小学校 53.4% 51.2% 50% 高学年で約 65%、小学校中学年で約 50%であ 48.9% 40% ることが分かった。 (図 3) 30% ゲーム機はスマホ等よりもネット利用率が高 20% いためネット利用制限をかける「フィルタリン 10% グ」の活用を保護者に対し一層啓発していく必 0% 小6 要がある。 中1 中2 小5 中3 小3 小4 【図 3】ゲーム機(DS、PSP 等)でのネット利用率 注)全児童生徒回答(全児童生徒対象) ③フィルタリングの利用実態 80% 77.1% 60% 70% 50% 60% 44% 40% 50% 38% 32% 30% 40% 30.7% 30% 20% 10% 20% 0% 10% 中1~中3 小3~小6 【図 4】ネットの危険性について 学校で学んだ児童生徒 注)全児童生徒回答 中3 中1 中2 【図 5】フィルタリングを利用していない上位 3 学年 注)保護者回答(子ども専用のスマホ等を持たせている保護者対象) 複数選択 可 中学生は授業や集会活動等でネットの危険性を学んでいる率が 70%を越すなど高い値を示し ている(図 4)反面、スマホ等を所持している生徒のうちの 3~4 割がフィルタリングを利用して 2 いないことが明らかになった。 (図 5) フィルタリングを設定していない状況は、有害サイト等に容易にアクセスできる環境に子ども をさらすことになるため改善が必要である。 ④保護者の「スマホ等を持たそうと考えている時期」及び「持たせていない理由」 中学卒業時 (高校入学) 36.2% 53.6% 高校在学時 43.9% 持たせる必要性なし 29.9% 21.5% 26.1% 経済的な負担 5.9% 中学在学時 持たせる 予定なし 25.9% 勉強の妨げ 15.1% 6.6% 8.8% 20.3% トラブルにあわせたくない 中学 18.9% 生活のリズムが崩れる 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 10% 小学 【図 6】スマホ等を子どもに持たせるとしたらいつか(保護者) 20% 30% 40% 【図 7】スマホ等を子どもに持たせない理由(保護者) 注)小 1~小 6 及び中 1~中3全保護者回答 注)小 3~中3全保護者回答 複数選択可 子どもにスマホ等を持たせてもよいと考えている時期は、小学生の保護者としてはその約 5 割、中学生の保護者としてはその約 8 割が高校入学時及び高校在学時と考えていることが分か った。 (図 6) また、保護者の約 44%がその必要性がないことからスマホ等を持たせていない。 (図 7) (2)児童生徒のスマホ等の使用状況 ①児童生徒のスマホ等の利用の実態 電話 メール ゲーム 動画 音楽 SNS 読み物 ブログ 掲示板 80.9% 57.3% 29.3% 17.8% 16.6% 12.7% 5.1% 2.5% 1.3% 0% 20% 40% 60% 80% 【図 8】スマホ等で何を利用しているか (小学3・4年) 注)児童回答(自分専用のスマホ等を持ってる児童対象) 複数回答可能 電話 メール ゲーム 動画 音楽 SNS 読み物 掲示板 ブログ SNS 動画 ゲーム メール 音楽 電話 読み物 ブログ 掲示板 69.1% 63.4% 41.4% 36.1% 25.7% 21.5% 9.9% 2.1% 1.6% 0% 20% 40% 60% 80% 【図 9】スマホ等で何を利用しているか (小学5・6年) 77.8% 63.2% 63.2% 62.2% 58.7% 57.1% 28.3% 10.7% 9.7% 0% 20% 40% 60% 80% 【図 10】スマホ等で何を利用しているか (中学生) 注)児童回答(自分専用のスマホ等を持ってる児童対象) 複数回答可能 注)生徒回答(自分専用のスマホ等を持ってる生徒対象) 複数回答可能 スマホ等を所持している児童は電話とメールの利用が 6 割以上と上位を占めている。 しかし、 中学生になるとその利用の形態が大きく変わり、小学生の時は 1~2 割にとどまっていたSNS (ライン等)の利用率が、8 割近くに急増している。(図 8~10) このことから、SNS(ライン等)の利用に関する家庭内のルールづくりは小学校高学年の 段階から必要がある。また、見逃せないのがゲームサイトの利用率が各カテゴリーともに 3 位 となっている点である。最近、ゲームの「無料アプリ」が数多く出回っている。無料で手軽に 3 楽しめるものもあるため、保護者による利用制限が必要と思われる。 ②長時間利用している児童生徒の実態 40% 40.1% 80% 27.6% 30% 26.1% 27.5% 21.4% 60% 20% 15.3% 12.7% 14.3% 7.6% 10% 9.3% 24.6% 40% 1.6% 11.4% 0% 中3 中2 中1 小6 小5 8.6% 20% 26.1% 14.3% 【図 11】スマホ等を 1 日 3 時間以上使用する児童生徒の割合 注)児童生徒回答(左側)保護者回答(右側) 0% スマホ等の1日あたりの使用時間は学年が上がる 小6 につれて長くなっている。特に1日3時間以上使用 3時間以上 1時間以上2時間未満 している児童生徒の割合が小学5年 9.3%、小学6 年 14.3%、中学 1 年 26.1%、中学 2 年 27.6%、 中1 2時間以上3時間未満 【図 12】スマホ等を 1 日 1 時間以上使用する 小 6 と中 1 の比較 中学 3 年 40.1%と学年が上がるにつれて増加傾向 注)児童生徒回答 にある。 (図 11)また、小学6年と中学 1 年の 1 日 1 時間以上使用する率を比較すると倍増している。 (図 12) 児童生徒の回答率に比べ、保護者がその状況をとらえている率が約半分にとどまっているた め、家庭におけるルールづくりと日常の点検及び指導が必要である。 (3)児童生徒に起こっているトラブル 41.8% 40% 45% 35.9% 40% 28.2% 30% 41.8% 35% 20% 15.6% 15.2% 12.8% 29.1% 30% 7.5% 10% 25% 0% 中3 中1 中2 小3 小6 小5 生徒回答 小4 保護者回答 【図 13】スマホ等で何らかのトラブルにあったと 回答した児童生徒 【図 14】「スマホ等で何らかのトラブルにあったと回答した 中 3 生徒」と「自分の子どもが何らかのトラブル 注)児童生徒回答(自分専用のスマホ等を持っている児童生徒対象) にあったと回答した中 3 の保護者」 注)生徒回答(自分専用のスマホ等を持っている生徒対象) 保護者回答(自分専用のスマホ等を持たせている保護者対象) 中学生 スマホ等の利用によ り何らかのトラブルに 巻き込まれた児童生徒 は、中学生で 3~4 割、 小学校高学年で 1~2 割程度、小学校中学年 チェーンメールが届いたことがあ る メール・ブログ・ラインに悪口や 嫌なことを書かれたことがある 個人情報や写真が勝手に流された り悪用されたりした 小学5・6年 小学3・4年 131 名/487 名 11 名/191 名 2 名/157 名 41 名/487 名 4 名/191 名 4 名/157 名 14 名/487 名 2 名/191 名 1 名/157 名 【図 15】スマホ等でトラブルに巻き込まれたことのある人数 注)児童生徒回答(自分専用のスマホ等を持っている児童生徒対象)※複数回答可能 6 項目中上位 3 項目のみ掲載(但し小学3・4年の「個人情報の悪用」は上位ではない) 4 で 1 割前後であった。 (図 13)トラブルの内容としては「チェーンメールが届いた」が一番多く、 次いで「メールやブログ、ラインに悪口を書かれた」ことであった。 (図 15) スマホ等で何らかのトラブルにあったと回答した中学3年とその保護者の認識がかけ離れてお り、子どもの状況をしっかりと把握しておく必要がある。(図 14) (4)家庭でのルールづくり 61.7% 58.5% 60% 48.9% 48.0% 50% 44.9% 保護者回答(中) 40.2% 40% 30% 35.6% 37.2% 37.0% 33.7% 中学生回答 35.1% 保護者回答(小) 28.7% 21.2% 小学5・6年 19.7% 20% 11.9% 11.0% 10% 利用サイトの制限 利用マナー 利用時間や場面 利用場所 【図 16】 「スマホ等のルールを決めている」と回答した保護者と子どもの割合の比較 注)複数選択可 「家庭においてルールを決めている」と回答した児童生徒はその保護者の回答率を全体的に下 回っている。 「利用サイトの制限」や「利用マナー」に関してルールを決めていると回答した中学 生の率は、その保護者の回答率を大きく下回っている。 (図 16) これからスマホ等がさらに普及していくと想定される中にあって「利用時間や場面」、「利用場 所」に関するルールづくりは高くなくてはならない。また、学校と家庭が連携した児童生徒への 情報モラル教育の充実が必要である。 (5)家庭でのルールへの対処 チェック体制については 30% 28.8% 「通話やメール、インタ ーネットの通信履歴を見 50% 15.5% 9.7% 20% 10% 0% 家庭でのルールへの対 小5 小6 中1 中2 中3 処は保護者による児童生 【図 17】「通話」や「メール」 「インタ ーネット」の通信履歴でルー ルの確認を行っている。 把握することが必要であ 35.0% 30% 10% 中学 1 年をピークに減少 徒への対話と観察で十分 42.7% 40% 20% 傾向になっている。 (図 17) 傾向になっている。 (図 18) 57.1% 24.5% て確認する」ことは減少 また、罰則についても 60% 34.4% 保護者によるルールの 18.0% 16.4% 小5 小6 中1 中2 中3 【図 18】 「ルールを破ったときの罰則」 を決めている割合 注)保護者回答 注)保護者回答 る。さらにルールを守らせるためにも毅然と罰則を実行する必要がある。 5 (6)学習の機会 74.4% ネットの危険性を学習する主な機会と して、小学 6 年から中学 3 年の全児童生 70% 徒の 74.4%が「学校で行う授業や集会活 60% 動」と回答した。それに対し、小学 3 年 50% 40% から小学 5 年は 19.1%にとどまった。 30% (図 19)保護者においても同様に、中学 校の全保護者の 44.3%が「学校配付資料 10% や保護者懇談会」と回答したのに対し、小 学3~6 年生の全保護者の 22.1%にとど まった。 (図 20) 19.1% 20% 小6~中3 小3~小5 【図 19】ネットの危険性について学校で学んだ機会(児童生徒) 注)児童生徒回答 スマホ等の所持率やゲーム機などのネッ 複数選択 44.3% ト利用率の低年齢化が避けられない状況に 40% あることからも分かるように、小学校段階 から児童に対する授業による情報モラル教 30% 22.1% 育が必要でる。さらに保護者に対しても小 20% 学校段階からネット利用に関する啓発が必 要である。 10% 中1~中3 小3~小6 【図 20】ネットの危険性について学校からの資料等で 学んだ機会(保護者) 注)保護者回答 複数選択可 7.まとめ 今回教育委員会として初めて、 「スマートフォン・携帯電話の利用に関する意識」アンケート調査を 保護者と児童生徒を対象に実施した。このことによって、これまで述べてきたような様々な状況が把 握できた。 ネット社会については多くの問題点や課題が含まれており、学校と保護者との連携のもと、児童生 徒への情報モラル教育のより一層の充実が必要である。 6
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