歯科補綴学A・B 担当講座名:顎顔面再建学大講座(摂食機能再建学)(旧歯科補綴学第一講座) 担当教員名: 本 学 教 授 河 野 正 司 助教授 小 林 博 講 師 岩 片 信 吾 非常勤講師 野 首 孝 祠(大阪大学歯学部 教授) 熊 谷 崇 咀嚼、発音など、歯や口さらには顎を使って行う顎口腔系の機能と形態に障害を訴える患者につい て、歯の咬み合わせ(咬合)を人工物(義歯などの補綴装置)の装着によって治療し、機能の回復と 審美性顔貎と歯列の外観の回復を図るための、学理と技術を探求している。 講義概要: 補綴学総論においては、顎口腔系の構造と機能について、歯の咬み合わせ(咬合)に視点をあてて 学んでいく。特に、補綴治療に不可欠な下顎運動、咀嚼運動および咬合様式の持つ意義と臨床的価値 について学ぶ。 有床義歯学においては、完全無歯顎者と部分的無歯顎者の機能と形態を回復するため、口腔内から 取り外し可能な可撒性補綴装置を使った治療法を主な対象として、その学理と技術を学ぶ。 到達目標: 1.顎口腔系の機能、特に咀嚼機能がいかなるメカニズムによって遂行されているか理解する。 2.顎口腔系の機能時に生じる顎運動の様相について理解する。特に顎関節の解剖構造および咀嚼筋 の機能と下顎運動機構との関連について十分に理解する。 3.顎口腔系の器官、とくに歯根膜および咀嚼筋の機能と咬合機能との関連について十分に理解する。 4.歯の欠損に伴う顎口腔系の形態的・機能的な変化について理解する。この変化が摂食行動にいか なる影響を及ぼすか理解する。 5.加齢に伴う顎口腔系の形態的・機能的な変化について理解し、補綴治療との関連性について十分 な知識を得る。 6.有床義歯の構造とその機能について、さらに製作法についての十分な知識を得る。 成績の評価法: 記述試験、口頭試問、グループ発表および出席の状態により成績を評価する。 96 授業内容:3年次講義 期 試験科目名 項 目 1 期 補 綴 学 総 論 歯科医療の特殊性 補綴治療の目的 補綴治療の概要 回数 内 容 1 顎口腔系の特殊性 高齢者医療の特殊性 顎口腔系の機能と形態の回復 補綴治療の流れ、間接法の概要、咬合 治療の必要性 歯科補綴学の歴史 河野 2 3 顎口腔系機能と咬合 顎口腔系の形態 4 顎口腔系の機能 5 下顎運動 6 ∼ 7 下 8 ∼ 9 10 顎 位 咀嚼筋の機能 河野 有歯顎の 咬合様式 11 総義歯の咬合 12 咀嚼運動 13 14 嚥 下 咬 合 器 歯科材料学 補綴用材料 教員名 顎口腔系の構成と機能 加齢変化、歯の喪失による変化 咬合とは、狭義の咬合と広義の咬合の概念 咬合に関する解剖学的基準 顎口腔系の機能と加齢変化 顎口腔系機能の特殊性 基本運動、咀嚼運動と切歯点の運動範囲 顎関節の構造と顆頭運動 全運動軸と蝶番運動軸について 下顎運動を規制する解剖構造 顆頭運動の加齢変化 開口量とその診断的価値 側方滑走運動と下顎運動モデル 下顎運動測定法と咬合器への再現法 咬頭嵌合位、中心位の意義と臨床的価 値について 下顎安静位と咬合高径 咀嚼筋の機能的・形態的な特殊性 顎機能時の筋活動の様相 生体の持つ咬合様式と、補綴治療にお ける咬合様式 咬頭嵌合位の咬合接触様式とその意義 歯のガイド(滑走運動におけるanterior guidanceの意義) 総義歯の咬合様式の特殊性 Gysiの下顎運動理論と咬合様式 Hanauの下顎運動理論と咬合器 咀嚼運動のメカニズム 咀嚼運動のリズム性と臨床的診断の価 値 咀嚼能力 嚥下行動について 種類と目的 河野 15 補綴材料の理工学的性質および材料の 取り扱い 鋳造法、ろう寸法の理論と実際 有機材料 無機材料 金属材料 97 授業内容:3年次講義 期 試験科目名 項 目 2 期 有 床 義 歯 学 Ⅰ 無歯顎者の病態 回数 内 容 1 無歯顎および欠損歯列の特徴 歯根膜感覚の喪失 歯喪失後の顎骨(歯槽骨の変化) 歯牙欠損の原因 口腔内の老化 唾液の減少 組織の生活力の低下 咀嚼筋群の協調性の低下 顎関節と下顎運動の老化 咬合力に対する粘膜と歯根膜の応答の差異 支持機構 維持機構 安定(把持)機構 顎運動記録装置による咀嚼運動経路の 観察 咬合接触状態、咬合力の測定 咀嚼能率試験 唾液分泌機能検査 全部床義歯による補綴治療の診断、治 療術式を学ぶ 診査、診断 治療計画 インフォームド・コンセント 前処置 印象の要件 印象採得法 咬合採得の要件 咬合採得法 下顎運動測定法 咬合器と全部床義歯の咬合理論 人工歯の排列 蝋義歯の口腔内試適と調整法 削合理論と削合術式 残存組織の変化とその対応 咬合の変化、義歯の破損とその対応 欠損歯列の分類について、その種類と 目的を学ぶ Kennedy の分類とEichner の分類につ いて部分床義歯による補綴治療の診断、 治療術式を学ぶ 診査、診断、治療計画、インフォーム ド・コンセント 河野 加齢現象 2 義歯補綴の要件 3 4 補綴治療効果の評価 5 診 断 無歯顎者の補綴治療 6 印 象 咬合採得 7 8 義歯製作法 咬合調整 9 義歯咀嚼後の変化 有 床 義 歯 学 Ⅱ 歯の欠損様式の分類 部分無歯顎者 の補綴治療 診 教員名 10 断 設計と適応症 11 12 部分床義歯の分類 義歯の支持要素 義歯の安定要素 維持装置の分類 クラスプの要件と種類 大連結子と小連結子 98 河野 河野 河野 河野 河野 授業内容:3年次講義 期 試験科目名 項 目 印 回数 象 咬合採得 13 義歯製作法 術後の変化 補綴治療後の変化 14 メインテナンス 15 23 有床義歯学実習Ⅰ 全部床義歯による 1 咬合回復法の実際 2、3 4、5 6 8、9 10、11 12、13 14 15 16、17 18 19、20 21 22 23 内 容 設計の要件 支持様式と印象法の適応 印象採得法 欠損様式と咬合採得法の適応 咬合器と部分床義歯の咬合理論 レジン床義歯と金属床義歯 残存歯、歯槽提の術後変化とその対応法 残存歯と人工歯の咬合の変化 義歯の破損とその対応法 補綴装置のメインテナンス 口腔内のメインテナンス 全部床義歯による咬合回復法の実際に ついてマネキンを使用して実習する 器材配布、設計、床外形線 咬合床製作 咬合採得 咬合器装着 人工歯前歯部排列 人工歯臼歯部排列 歯肉形成 埋没 流ろう、填入、重合 重合 取り出し、咬合器再装着 削合 掘り出し、研磨 研磨 仕上げ提出 99 教員名 河野 小林 授業内容:4年次講義 期 試験科目名 項 目 回数 有 床 義 歯 学 実 習 Ⅱ 部分床義歯に 1 よる咬合回復 2 法の実際 3、4 5 6 7、8 9 10∼16 1 17 期 18 19、20 21、22 23∼25 26、27 28 29 顎機能学概説 30 内 容 サベイング、設計 設計 咬合床製作 咬合採得、咬合器装着 咬合器装着 単純鉤製作 鋳造レスト製作(直接法WAX-UP) 鋳造鉤製作(間接法WAX-UP) 人工歯排列 歯肉形成 埋没 流蝋、填入、重合 取り出し、咬合器再装着 削合 研磨 仕上げ・提出 顎機能障害概要 教員名 小林・ 岩片 河野 教科書・参考書等: 補綴学総論:歯科補綴学総論(講義提要、河野著)、ケルバーの補綴学第一巻(クインテッセンス 出版) 、A Textbook of Occlusion(Quintessence Pub.Co.)、咬合学序説(長谷川著、 医歯薬出版) 唾液−歯と口腔の健康−(河野正司訳、医歯薬出版) 有床義歯学:有床義歯学(講義提要、河野著)、全部床義歯補綴学(林 都志夫編、医歯薬出版)、 小部分床義歯学(藍著、学建書院)、全部床義歯学基礎実習書(歯科補綴学第一講座 編) 、部分床義歯学臨床実習ガイドブック(歯科補綴学第一講座編) 100 担当講座名:口腔健康科学大講座(加齢・高齢者歯科学)(旧歯科補綴学第2講座) 担当教員名: 本 学 教 授 野 村 修 一 講 師 橋 本 明 彦 講 師 伊 東 直 子 非常勤講師 嶋 倉 道 郎(奥羽大学歯学部 教授) 石 橋 寛 二(岩手医科大学歯学部 教授) 講義概要: 最終歯科治療の段階として歯科補綴学は失われた患者の咀嚼、発音等の重大な口腔機能を回復すべ く他科の分野を十分に理解した上で診断、治療計画がたてられるベきと考える。総論においてクラウ ンブリッジの特徴と臨床的意義を理解し、全般的な咬合学からクラウンブリッジ修復に必要な咬合の 教育に始まる。各論においてはクラウンを中心に一連の講義を行い、歯科インプラント、金属アレル ギー、接着技法エレクトロサージエリー、レーザー治療、咬合と全身の健康等本講座の研究の一つの 特色を付加し、幅広い将来への歯科医療に対する柔軟な頭を養うべく教育する。 到達目標: 1.全部鋳造冠を通じて、機械的、生物学的補綴学を理解する。 2.補綴の要件から小数歯欠損補綴の検査、診断、治療計画、予後の基本的流れを理解する。 3.咬合の全身の健康への関与を理解する。 成績評価の方法: 筆記試験(実習の場合は実技試験を行う) 授業内容:3年次 期 試験科目名 項 目 1 期 歯 型 彫 刻 実 習 2 期 冠 橋 義 歯 学 Ⅰ ( 総 論 ) クラウン・ ブリッジの 特徴と臨床 的 意 義 咬 2 期 合 回数 教員名 8 技工器具の名称と使用方法 歯の観察・スケッチ 歯型彫刻 試験(スケッチ・歯型彫刻) 伊東 5 歴史 目的 臨床的価値 要件:生物学的要件、機能的要件、力 学的要件、審美的要件、材料的要件 下顎位 下顎運動 顎口腔機能異常 野村 10 種類:全部鋳造冠、部分被覆冠、歯冠 継続歯 診査と診断:問診 全身的診査 局所的診査(口腔内診査、顎口腔系器 官の診査、他科との関連) 診断 治療計画 前処置:患者教育(刷掃指導等) 野村 学 ( 各 論 ) ク ラ ウ ン 内 容 101 期 試験科目名 項 目 回数 内 容 教員名 予防的処置(歯石除去等) 外科的処置(遊離歯肉移植等) 保存的処置(歯内療法、修復、歯周治 療) 矯正的処置(MTM等) 補綴的処置(咬合調整、テンポラリー クラウン・ブリッジ、暫間義歯) 間接法概要:支台歯形成、印象採得、 作業模型、咬合器付着、蝋型採得埋没 鋳造 試適 装着 陶材焼付鋳造冠 レジン前装鋳造冠 ポーセレンジャケットクラウン レジンジャケットクラウン 前装鋳造冠 ジャケット ク ラ ウ ン 歯冠継続歯 :4年次講義 期 試験科目名 項 目 回数 内 容 教員名 1 冠 橋 義 歯 学 Ⅱ ブリッジ 期 ブリッジ 1 石橋 ブリッジ 2 咬合関連の 臨 床 術 式 接 着 技 法 1 歯 科 イ ン プ ラ ン ト 金 属 アレルギー レーザー治療 2 2 冠橋義歯学実習 実 習 準 備 期 1 臨床的意義 適応症 種類:固定性ブリッジ、半固定性ブリ ッジ、可撤性ブリッジ 構造 支台装置 ポンティック:要件 構造 基底面の種類と特徴 連結法 術後管理 オーラルリハビリテーション FGPテクニック 接着機構 接着材 接着技法の応用 概説 術式 概説 診断・治療法 概説 種類 治療法 器具配布 模型咬合調整・参考用模型製作 支台歯形成 対合歯列模型製作 個人・個歯トレー製作 個人トレー調整 最終印象 ブリッジ製作 3 2 2 2 2-4 5・6 7-10 102 伊東 嶋倉 橋本 橋本 橋本 伊東 橋本 期 試験科目名 項 目 硬質レジン 前 装 冠 タービン実習 総 括 回数 11-14 15・16 17 18・19 20・21 22・23 24 25・26 27・28 29・30 内 容 作業用模型製作 咬合採得・咬合器装着 ワックスアップ 埋没・鋳造 鑞着用コア採得・埋没 鑞着・研磨 支台歯形成 ワックスアップ 埋没・鋳造・研磨 硬質レジン築盛 タービンを使用した形成練習 試験・器具回収 教科書・参考書等: ・クラウン・ブリッジ補綴学(青木・田端・積塚ら編集:医歯薬出版) 103 教員名
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