校内研修計画の概要 1 研修テーマ キャリア発達を促す授業作り 地域社会で主体的に活動する姿を育成する12年を見通した取組 2 テーマ設定の理由 (1)キャリア発達を促す授業づくりの意義 当校は、重点目標として主体性を育てることを掲げている。主体性とは、 「必要な支援を受けながら、自 分の役割や課題に気づき、自分のもっている力を最大限に発揮して学習活動に取り組んでいく姿」と定義し、 その姿を育てていく実践の積み重ねが、キャリア発達を促し、将来地域生活の中で主体的に生きることにつ ながると考えた。上記の主体性をもった姿をめざす姿として共通理解をはかり、授業の中で目指す姿が見ら れたかどうかで授業計画レベル、授業実践レベルの2つ視点に分けて検討して授業改善を図っていく。本年 度は、学校の「キャリア発達目標段階表」の試案をもとに各学部で育成したい能力を明確にし、学習課題を 計画し(授業計画レベル) 、授業実践の中で子どもが自分の役割がわかり主体性をもって活動するための支 援方法を考え(授業実践レベル)公開授業を行う。児童生徒が自分の役割がわかり主体性をもって活動する ことができたかを検討する中で、現在行われている学習活動が「キャリア発達目標段階表」で示された育成 すべきとする諸能力を育成するにあたって妥当であるか、教師の支援方法が妥当であるかを検討していく中 で、12年間の系統性をもった学習活動の見直しと改善をはかることを目的として上記の研究テーマを掲げた。 (2)見特のキャリア教育の捉え 「キャリア教育」は、中央教育審議会の答申で「一人一人の社会的・職業的自立に向け、必要な基盤とな る能力や態度を育てることを通して、キャリア発達を促す教育」と定義されている。その中の「必要な基盤 となる能力や態度」は、当校の「キャリア発達目標段階表」 (試案)に明示されたキャリア教育で育成すべ き諸能力であると考える。当校では、キャリア教育部がキャリア発達に基づく視点から育成すべき諸能力を 小学部から高等部にかけて明示した「キャリア発達目標段階表」の作成を始め、試案を基に検討している。 また、「キャリア発達」を「社会の中で役割を果たすことを通して自分らしい生き方を実現していく過程」 としている。当校では、学校を卒業前段階の社会として捉え、その中で自分の役割を主体的に果たしていく 積み重ねがキャリア発達を促し、自分らしい生き方を実現していくことにつながるのではないかと考えた。 (3)研究仮説 学校を高等部卒業前段階の社会と捉え、小中高の12年間の見通しをもち、児童生徒が自分の役割を主体 的に果たすことに重点を置き授業づくりができれば、キャリア発達が促され、地域社会で主体的に活動する 姿が実現できるのではないか。 (4)授業を検討する視点 ①授業計画レベル 授業課題が「キャリア発達目標段階表」に示された子どもに付けたい能力の育成に適しているか。 児童生徒が自分の役割や課題に気がつき、自分のもっている力を最大限に発揮して学習活動に取り 組んでいるか。 ②授業実践レベル 必要な支援を受けながら、自分の役割や課題に気がつき、自分のもっている力を最大限に発揮して 学習活動に取り組んでいくための工夫がされているか。 3 テーマ研修の手順 「キャリア発達目標段階表」(試案)の作成(キャリア教育部よ り) 「キャリア発達目標段階表」を元に、各学部で必要なことを確認し、授業の目 標設定を行う。役割を主体性をもって果たそうとする姿を目指し授業づくりを行 う。 小学部 公開授業 中学部 公開授業 高等部 公開授業 児童生徒の自分の役割を主体性をもって果たそうとする姿が見られたかを検討する。① 授業計画レベル②授業実践レベルの2つの視点で成果や改善点を検討する。各学部の指 導内容が「キャリア発達目標段階表」の段階に応じて適切であるか協議し改善点を探る。 小学部授業協議会 中学部授業協議会 高等部授業協議会 小中高12年間を見通した学習活動の見直しと改善 キャリア教育部 「キャリア発達目標段階表」の完成 4 キャリア発達を促す授業づくりで大切にしたいこと ① 主体性をもって取り組み、自分でやり遂げたという良い体験を積み重ねるための支援の工夫や 充実を図る。 特別な教育的ニーズを有する児童生徒は、これまでの失敗体験等から自己肯定感が低く、願い をもてずにいることが少なくない。より自分らしい願いをもち、その実現に向かって進めるこ とができるようになるために、授業改善の中で、主体性をもって取り組み、自分でやり遂げた という良い体験を積み重ねるための必要な支援の工夫や充実を図る。 ② 授業の意味づけや価値付けを問い直し、12年間のつながりを重視する。 12年間を見通した「キャリア発達目標段階表」を根拠に授業づくりを行い、個人の目標論や 方法論や価値観で行う授業ではなく、教員間で目標を共有して授業づくりに取り組む。 ③ 高等部段階で、「こうなりたい」「できるようになりたい」という願いがもてるように。 小学部段階から児童生徒の自己理解につなげるふり返りを重視し、高等部段階ではより具体的 な「願い」をもてるようにする。 ④ 重度・重複児における取組 児童生徒が主体的に選んだ積み重ねが社会の中で自分らしさを発揮し、役割を果たすこととな りキャリア発達を促すといえる。快・不快の表現をすることで意思を伝えることや何らかの形 で選択することで他者と関わる力の育成を図る。
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