テクノえっせい 288 新ファッションンのタネ広島工業大学名誉教授中山勝矢お酒の相手をしてくれている美しい着物のママさんに「お宅に遊びに寄ってもいいですか」といったところ、「家ではジーパンにTシャツよ」と切り返されてしまいまし「家ではジパンにTシャツよ」と切り返されてしまいましした。したさすが客商売。断るにしてもお上手なこと。しっかりもののママさんが商売着をジーパンに着替えても、中年の魅力は変わらないだろうなと、心の隅でふと考えたこことでした。 ○何でもありの時代着るものに関しては、近頃は何でもありの時代。フォーーマルな服、仕事着以外に、遊びのときの衣類を数多く持ってていて、生活を楽しむのは結構なことだといえます。 Tシャツ近ごろ流行りのレギンスもスパッツも、キャミソールもT なども、もとをたどれば下着。それが表に出てきてファッッションになっているのですから面白い。になっているのですから面白いこういった例は歴史的にたくさん見られます。しかし最最近ファッション化している擦り切れデニムや穴あきジーンズズの類は、これらとはちょっと違います。（写真1）言ってい明治生まれの母の世代は、針仕事をしながら、よく言ました「破れたままでは恥ずかしい繕ってあれば恥ずました。「破れたままでは恥ずかしい、繕ってあれば恥ずずかしくない」と。本でした。これは世界的な価値観であり、この考えが生活の基本それが擦り切れや破れに価値を認めるようになった原点点を、体制に反抗したヒッピーに求める人がいます。（写真１）微妙な色合いのジーンズ（日本綿布㈱の資料から）そこには世間の常識だった価値基準つまり旧体制のそこには世間の常識だった価値基準、つまり旧体制ののイデオロギーを否定して、新しい時代を築こうとした若者たちののエネルギーを感じさせるものがあります。ョッピンそれが今ではモードにも及んできています。ネットショグに、過激なビキニタイプのスーパーハイレグ・デニムホホットパンツを見るのは、この流れに沿うものといえます。旬レポ中国地域１０月号 1 ○知恵比べに勝つファッション化して人々の関心が高まると、企業は次々々と新手を生み出さない限り退場を迫られます。擦り切れや穴あきを作るために、幾多の方法が開発されてきまました。もともとジーンズに使われるデニムの縦糸は、１本の糸糸の外側だけが青く、中心部は染まっていません。ジーンズが履き込まれるにつれ白くなってくるのはこのためです。そこで、擦れてきたら色が変わる糸を考えた企業がああります。白い糸の外側だけを赤色のインジゴと青色のインジゴとで２層に染め、３色構造の糸にすることを目指指したのです。（写真2）（写真２）カラーグラデーション技術の概要（日本綿布㈱のの資料から）それは岡山県井原市の日本綿布㈱です。細い糸を多多層に染め分けるのには、高度な技術を確立しなければならず、丸2年かかったと社長の川井眞治さんは言いいます。中心部分の白を残し、確実に赤い染色層を作った上でで、さらに青い層を重ねるというのですから、並大抵のことではありません。結果として、世界初の技術となりまました。従来のように糸を纏めて染料の入っているタンクに漬漬けるのでは成功しません。最新のセンシング技術によって、糸への染料の浸透を制御する技術を確立する必要がありました。このカラーグラデーション・デニムファイバーを使用すすると、擦れるにしたがい赤みがかった色相に変わっていきます。この色落ち感はユニークで、これまでなかったたものです。従来のように青が擦れて白っぽくなるのではなく、赤がが出る、あるいは赤みが加わってくるといった面白みを、誰も放っておくわけがありません。しかも色は、青と赤だけに限られていません。染色可能とされる色が何と10種類以上というのですから、高級感のあるデニム製品が生まれることが期待できます。旬レポ中国地域１０月号 2 このデニムは、今や日本はもとより、アメリカやヨーロこのデニムは今や日本はもとよりアメリカやヨロッパでもパでも PRし、多くの人から注目を浴びるようになっています。商商談も活発化しているとあります。（写真３）もし商談が発展して自社のみで賄えなくなる場合にはは、他社にもノウハウを提供し、それによってわが国の繊維産業業全体の活性化に寄与できたら幸いだというお考えでした。そのようなことで、平成22年度第18回中国地域ニューービジネス大賞、中国経済産業局長賞に輝いたのでした。ホームページ： http://www.nihonmenpu.co.jp （写真３）商談が進むブルーゾーンの展示会（日本綿布㈱の資料から）経済産業省中国経済産業局広報誌旬レポ中国地域１０月号 Copyright 20010 Chugoku Bureau of Economy , Trade and Industry. 3