75期 中間報告書

証券コード 6246
第75期
中 間 報 告 書
平成20年4月1日から平成20年9月30日まで
狡Simon Kraus - Fotolia.com
井上金属工業株式会社
「塗る」
「乾燥する」で
経
モノづくりの新たな可能性を切り拓く
『INOKIN』
営
理
念
真心をこめて一流の製品を作り、お得意
誠
実
様の発展と地域社会への貢献ならびに
我々社員の幸せの為に献身しよう。
INOKIN の手がける塗工機・乾燥機はなぜ優れ
ているのか? それは、お客様のニーズを的確に
行
動
全社員の英知と総力を結集し世界的
な会社の創造に邁進しよう。
読み取り、具現化する力に長けているからです。
当社は、独自の塗工・乾燥技術と最新鋭の設備、
優秀な人材を駆使し、お客様の期待のさらに上
常に開拓者精神を培い、いかなる時勢
転
回
の試練にも冷静かつ進取不屈の精神
で事業永遠の繁栄に努力しよう。
をいく製品をお届けいたします。
丸紅テクノシステム(株)、フランス DMT 社と「同時二軸延伸装置」の業務提携
クリップで
フイルムをつかむ
クリップの
移動方向
チェーンでクリップ
を引っ張り延伸
多数のクリップがついたチェーン
加熱
冷却
加熱
準備
フ
イ
ル
ム
樹
脂
巻
き
取
り
クリップの
移動方向
加熱
準備
プレヒート
ゾーン
延伸ゾーン
同時二軸延伸装置のイメージ図
1
加熱
冷却
ヒートセット 冷 却
ゾーン
ゾーン
当社は、丸紅テクノシステム㈱、フランスDMT社と同時
二軸延伸装置の販売について業務提携をいたしました。
この業務提携の「同時二軸延伸装置」は、フイルムを縦・
横同時に延伸する工程で、従来の遂次二軸延伸機での縦延伸
工程をなくすことにより、フイルムに細かい傷がつかないよう
にして、品質向上が可能となります。
新装置は、クリップでフイルムをつかみ縦方向と横方向に
同時に延伸することにより品質を向上させます。当社は、加熱・
冷却工程部分を担当し、DMT社がクリップやレールなどの
延伸装置を担当します。
フイルム塗工乾燥貼合装置に加えた新しい装置であります。
株主の皆様へ
株主の皆様におかれましては、ますますご清栄のこととお喜び申しあげます。
当社第 75 期(平成 20 年4月1日から平成 20 年9月 30 日まで)の事業の概況に
つきましてご報告申しあげます。
当中間期は、米欧発の金融危機が世界的な景気の減速に影響を与えはじめ、国の
内外での需要の低迷が鮮明になってまいりました。米国をはじめ世界中にリセッシ
ョンの傾向が見え始め、国内では、株安と円高の同時進行により、企業収益が圧迫
され、投資意欲が一段と冷え込む状況になってまいりました。
この様な状況下で当社を取り巻く環境は、米国の景気後退を懸念して、国内の
家電メーカーをはじめ、世界的に設備投資への慎重さが窺われるようになってまい
りました。今後は、さらに多くの企業で設備投資の見直しや規模の縮小または中止
などが発生してくるものと考えられます。
このような情況の中、当社は、環境問題にテーマを置き自然エネルギーである
太陽光発電パネル用部材製造装置、ハイブリッドカーや電気自動車などの二次電池
用電極製造装置、タッチパネルなどのハードコート用塗工装置、照明用をはじめ
さまざまな用途での利用が期待できる有機 EL などの新規分野の製造装置への積極的
な開発投資と営業展開を実施しております。その結果、価格は厳しいものの受注高
では前年同期比 17.6% 増となりました。
新規の大型研究開発投資としては、業務提携いたしました丸紅テクノシステム
株式会社、フランスの DMT 社と当社滋賀工場内にフイルム同時二軸延伸の実験機の
設置を計画しております。今後は、既設の塗工用実験機による営業展開はもとより、
この実験機によりフイルム製造メーカーへも新たな販路を拡大し、光学系フイルム
や機能性フイルムの製造分野へも営業開拓をする計画であります。
今後の見通しにつきましては、当社は一品一様の受注生産形態をとっており、契
約納期が半年以上の機器が大半を占めております。そのため通期の業績予想の売上
高は、受注先より特別の納期延期要請がない限り計画通りの売上が達成可能と考え
ております。通期の売上総利益率については、上期に比べ、下期は設備投資コスト
の削減要求に応じた受注や部材の値上げなどのさまざまな要因により、厳しいもの
になることが予想されます。
なお当期の中間配当金は1株につき7円とさせていただきました。
株主の皆様におかれましては、今後ともなお一層のご指導、ご鞭撻を賜りますよ
うよろしくお願い申しあげます。
平成 20 年 12 月
2
事業紹介
1 薄型表示部品関連機器
5 化工機器
液晶・プラズマ用表示装置に代表される光学用途
フイルム塗工装置および関連する乾燥・熱処理装置。
高機能性繊維・不織布関連の製造装置および乾燥・熱処理装
置ならびに関連する付属機器。ポリマー樹脂等化工品の乾燥・
熱処理装置。各種エンプラフイルム用製膜関連製造装置。
2 機能性紙・フイルム関連塗工機器
6 その他
一般産業資材用の紙・フイルム用塗工装置および
関連する乾燥熱処理装置。
各種関連機器の部品製造ならびに改造・修理。
機械別売上高構成比率
3 電子部品関連塗工機器
半導体、FPC等電子部品関連用塗工装置および
5 化工機器
■
6 その他 1.8%
■
15.4%
関連する乾燥・熱処理装置。
1 薄型表示部品
■
4 二次電池用
■
関連機器 6.8%
関連機器 2.1%
4 二次電池用関連機器
二次電池用塗工装置および関連する乾燥・熱処理
装置。塗工機以外の二次電池用製造装置および関
連機器。
2 機能性紙・フイルム
■
3 電子部品関連
■
関連塗工機器
71.6%
塗工機器 2.3%
■ 液晶技術のご紹介
偏光板・反射防止フ
偏光板
PVAフイルム カラーフィルター
配向膜
液晶層
偏光板
イルム・TACフイル
ム・PVAフイルムの
製造ラインに当社製
品が組み込まれてい
ます。
反射防止フイルム
TACフイルム
ガラス基板
着色レジスト
ガラス基板
バックライト
偏光板(偏光フイルム)/特定の振動方向の光だけを通過させ、他の光を遮断させる。
反射防止フイルム/反射防止層による光干渉を利用して画面の表面反射・映り込みを抑え、反射光を低減する効果を持つ。
TACフイルム
(偏光膜保護フイルム)/不燃性・透明性・電気絶縁性などに優れ、偏光板の保護膜として使用される。
PVAフイルム
(偏光膜)/光を当てると揃った分子軸方向の光を吸収し、直角方向だけの光を透過する光シャッター機能を持つ。
3
■ 主力製品のご紹介
INVEXクリーンパイロットコーター
当社の開発技術力で「オーダーメイドの塗工機械」
を提供します。
コーターの選定は、お客様が計画される塗工条件
に応じた塗工テストを行ったうえで決定します。
INVEXクリーンパイロットコーターは、
クリーン度
クラス100対応のクリーンコーターです。各種の
カセットチェンジ式の塗工ヘッドを備え、薄塗り
から厚塗りまで可能な最新鋭のマルチテストコー
ターです。
INVEXクリーンパイロットコーターラインナップ
PICK UP
●
デジタルコーター
ナノコーター
● VCDコーター
● ダイコーター
(CED・ULTRA DIE)
● FKGコーター
● マイクロバーコーター
● 各種グラビアコーター
新コーティング技術
●
デジタルコーターは、印刷分野でプリンターヘッドとして多く採用さ
れているインクジェット技術をコーティングに応用した装置です。
従来のコーターでは困難な薄膜塗工や任意パターン塗工が可能に
なりました。新しい分野での用途開発、塗布液開発に利用でき、今後
のコーティング業界に新たなステージを提供していきます。
上記コーターは「カセットチェンジ方式」を採用しており目的に
より交換することができます。
INVEXデジタルコーター
任意パターン塗工 デジタル画像処理によるパターン処理
基材速度〔m/min〕
500
VCD
コーター
100
ダイコーター
マイクロ
バーコーター
FKGコーター
ナノコーター
10
1
デジタル
コーター
1
10
100
1,000
塗工量〔g/m2 wet〕
全面連続塗工
任意パターン塗工
印刷とコーティングの違い
印刷……………視覚的な精細性が必要
コーティング…機能性を重視(均質性と定量的な精度が必要)
4
新規分野
■ 太陽光発電の概要
京都議定書による温室効果ガス削減(1990年比6%削減)を達成するため太陽光発電が注目されています。
CO2排出量
太陽電池の累積導入量の推移
g-CO2/kWh
1,200
975
1,000
導入量(MW)
7,000
6,000
5,000
742
800
608
600
4,000
3,000
太陽光
53
400
200
0
― 世界 ― 日本
石炭
石油 天然ガス 太陽光
2,000
29
25
11
15
風力
原子力
水力
地熱
1,000
0
平成 平成 平成 平成 平成 平成 平成 平成 平成 平成
9年 10年 11年 12年 13年 14年 15年 16年 17年 18年
経済産業省資源エネルギー庁
「平成19年度エネルギー白書」
■ 太陽光発電のご紹介
狡Simon Kraus - Fotolia.com
封
止
材
雨や風、衝撃と
いった外部環境
から樹脂で脆弱
なセルを保護し
ている。
太陽光
断面図
ガラス
表面
太陽電池モジュール
裏面
バックシート
天候や気候に左右されやすい太陽電池モジュールを裏面から
保護している。
バックシートの製造には、当社の装置が使用されています。
5
発 電 セ ル
拡大図
光
P型 N型の半導体を接合した構造を持つ。
太陽光があたると「+」は P 型半導体に
「−」はN型半導体に集まり、
「+」と「−」
の間に電圧が生まれる。
光
光
− ↑ − ↑ N型半導体
+ − + −
↓ + ↓ + P型半導体
〈太陽電池〉 光
光
光
− − − − N型半導体
+ + + + P型半導体
財務ハイライト
売上高・輸出売上高
営業利益・営業利益率
(百万円)
25,000
売上高
(百万円)
4,000
輸出売上高
20,000
営業利益
営業利益率(%)
20.0
3,000
15.0
2,000
10.0
1,000
5.0
15,000
10,000
5,000
0
0
平成16年度 平成17年度 平成18年度 平成19年度 平成20年度
期 末
期 末
期 末
期 末
中 間
当期純利益・1株当たり当期純利益
(百万円)
4,000
当期純利益
200
150
2,000
100
1,000
50
平成16年度 平成17年度 平成18年度 平成19年度 平成20年度
期 末
期 末
期 末
期 末
中 間
受注高
(百万円)
25,000
0
(百万円)
10,000
純資産額
自己資本比率(%)
50.0
8,000
40.0
6,000
30.0
4,000
20.0
2,000
10.0
0
平成16年度 平成17年度 平成18年度 平成19年度 平成20年度
期 末
期 末
期 末
期 末
中 間
0.0
受注残高
受注高
(百万円)
25,000
20,000
20,000
15,000
15,000
10,000
10,000
5,000
5,000
0
0.0
純資産額・自己資本比率
1株当たり当期純利益 (円)
3,000
0
平成16年度 平成17年度 平成18年度 平成19年度 平成20年度
期 末
期 末
期 末
期 末
中 間
平成16年度 平成17年度 平成18年度 平成19年度 平成20年度
期 末
期 末
期 末
期 末
中 間
0
受注残高
平成16年度 平成17年度 平成18年度 平成19年度 平成20年度
期 末
期 末
期 末
期 末
中 間
6
財務諸表
中間貸借対照表 (平成 20 年 9 月 30 日現在)
科
目
金
額
資産の部
流動資産
(単位:千円)
科
目
11,944,744
流動負債
3,676,300
支払手形及び買掛金
受取手形及び売掛金
5,795,364
短期借入金
たな卸資産
2,164,968
未払法人税等
固定資産
有形固定資産
建物
機械及び装置
土地
その他
無形固定資産
308,111
5,160,675
3,516,827
1,079,410
396,177
1,836,929
204,309
57,525
投資その他の資産
1,586,322
投資有価証券
1,092,642
8,094,651
5,254,077
920,468
376,706
前受金
1,186,185
引当金
160,857
その他
196,356
固定負債
1,473,327
長期借入金
252,448
退職給付引当金
511,632
その他
負債合計
709,247
9,567,978
純資産の部
株主資本
資本金
6,527,504
1,003,125
その他
502,180
資本剰余金
515,858
貸倒引当金
△ 8,500
利益剰余金
5,024,139
自己株式
△ 15,618
評価・換算差額等
1,009,937
その他有価証券評価差額金
土地再評価差額金
純資産合計
資産合計
7
額
負債の部
現金及び預金
その他
金
17,105,420
負債・純資産合計
65,334
944,602
7,537,441
17,105,420
中間損益計算書 (平成 20 年 4 月 1 日から平成 20 年 9 月 30 日まで)
科
目
金
額
(単位:千円)
構成比(%)
金
額
当 中 間 期
構成比(%)
前 中 間 期
高
6,570,544
100.0
8,592,953
100.0
価
5,349,906
81.4
7,166,724
83.4
益
1,220,637
18.6
1,426,229
16.6
販 売 費 及 び 一 般 管 理 費
売
上
売
上
売
上
営
原
総
利
業
利
380,871
5.8
403,591
4.7
益
839,766
12.8
1,022,638
11.9
営
業
外
収
益
22,889
0.3
22,661
0.2
営
業
外
費
用
14,782
0.2
18,509
0.2
益
847,874
12.9
1,026,791
11.9
益
37,404
0.6
2,622
0.0
経
常
特
特
税
利
別
利
別
引
前
法
中
損
中
間
人
間
純
利
税
純
利
失
10,324
0.2
9,188
0.0
益
874,953
13.3
1,020,225
11.9
等
306,813
4.7
452,741
5.3
益
568,140
8.6
567,484
6.6
中間株主資本等変動計算書 (平成 20 年 4 月 1 日から平成 20 年 9 月 30 日まで)
株
主
資
(単位:千円)
本
株主資本合計
評価・換算
差額等合計
純資産合計
△ 14,888
6,078,919
1,082,338
7,161,257
△ 118,824
―
△ 118,824
―
△ 118,824
―
568,140
―
568,140
―
568,140
―
―
―
△ 730
△ 730
―
△ 730
株主資本以外の項目の
中間会計期間中の変動額
(純額)
―
―
―
―
―
△ 72,401
△ 72,401
中間会計期間中の変動額合計
―
―
449,315
△ 730
448,585
△ 72,401
376,184
1,003,125
515,858
5,024,139
△ 15,618
6,527,504
1,009,937
7,537,441
資本金
資本剰余金
利益剰余金
1,003,125
515,858
4,574,824
剰余金の配当
―
―
中間純利益
―
自己株式の取得
平成20年3月31日残高
平成20年9月30日残高
自己株式
8
株式の状況
(平成 20 年 9 月 30 日現在)
発行可能株式総数
25,000,000株
発行済株式の総数
10,821,720株
株主数
1,290名
所有者別株式分布
所有数別株式分布
金融機関
22.62%
個人・その他
45.23%
1,000株未満
0.21%
1,000株以上
14.34%
5,000株以上
5.75%
外国人
11.00%
証券会社
3.24%
10,000株以上
9.88%
その他国内法人
17.91%
50,000株以上
9.53%
500,000株以上
19.97%
100,000株以上
40.32%
当社株価と出来高
(株)
3,000,000
2,500,000
(円)
3,000
出 来 高(月間)
2,500
当社株価(月間終値)
2,000,000
2,000
1,500,000
1,500
1,000,000
1,000
500,000
0
H15.9
9
500
H16.3
H16.9
H17.3
H17.9
H18.3
H18.9
H19.3
H19.9
H20.3
0
H20.9(年/月)
会社概要
(平成 20 年 9 月 30 日現在)
社
名
創
業
資
本
金
本社所在地
電
話
従 業 員 数
上場取引所
証 券 コ ード
事
業
所
井上金属工業株式会社
1912年6月15日
10億312万円
〒541-0056
大阪市中央区久太郎町二丁目5番28号
久太郎町恒和ビル2階
06-6253-7200㈹
261名
大阪証券取引所 第2部
6246
東京支店(東京都中央区)
滋賀工場(滋賀県野洲市)
大阪本社
滋賀工場
ホームページ
http://www.inokin.co.jp
役員(平成 20 年 9 月 30 日現在)
取 締 役 会 長
神
田
喜代藏
代表取締役社長
高
橋
進
専 務 取 締 役
中
川
昌
宏
常 務 取 締 役
宮
澤
洋
聴
取
締
役
松
木
九
郎
取
締
役
森
重
司
取
締
役
高
橋
史
郎
常 勤 監 査 役
広
瀬
浩
次
監
査
役
桜
井
征三郎
監
査
役
工
藤
隆
幸
東京支店
環境保全への取組み
「省エネ」
クールビズの実践
「緑地駐車場整備」
環境保全の一環として当社滋
賀工場に緑地駐車場(約2,500
㎡)
を整備いたしました。
アスフ
当 社 ホ ー ム ペ ージ で は I R 情 報 、製 品 情 報 など
最 新 の 情 報 がご 覧 いただ けます 。
どうぞご 利 用ください 。
ァルト舗装に替え、芝生を張る
ことにより温暖化の軽減を図っ
ております。
10
株主メモ
事
業
年
度
毎年4月1日から翌年3月31日まで
定時株主総会
6月
基
定時株主総会の議決権
3月31日
期
末
配
当
3月31日
中
間
配
当
9月30日
準
日
*その他必要がある場合は、
あらかじめ公告する一定の日
単 元 株 式 数
1,000株
株主名簿管理人
株式会社だいこう証券ビジネス
同事務取扱場所
〒541-8583
大阪市中央区北浜二丁目4番6号
株式会社だいこう証券ビジネス 本社証券代行部
(各種お問い合せ)
電話
0120-255-100
*株式関係のお手続き用紙のご請求は次の電話番号および
インターネットで24時間承っております。
手続き用紙請求電話
0120-351-465
インターネットホームページ
公
告
方
法
http://daiko-sb.co.jp
日本経済新聞に掲載する
INOUE KINZOKU KOGYO CO., LTD.
この報告書は、環境に
配慮し、大豆油インキ
を使用しております。
この報告書はユニバーサルデザイン
(UD)書体を使用し、弱視・老眼
等視力の低下にお悩みの方にも
読みやすいよう配慮をしています。