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2009 年度「基礎演習B」レポート課題(所定様式)
氏 名
課題を選択したコース
匿名
地域文化コース
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欧米
)
近世時代の絵画から見られる時代の特徴
はじめに
私は美術館で絵画を見るのが好きで、特に西洋絵画に興味を持っていることから、このテーマで調べることにした。
ルネサンス時代やその近辺の作品を見ていると、いつも宗教画が多い印象を受けるので、その時代背景に理由があるのでは
ないかと思ったからだ。また、テレビ番組などで、絵画にまつわるミステリーを扱うものを見ていて、いつも興味を持つの
だが、自ら調べる機会がなかったので、今回はルネサンスとバロックの絵画について詳しく調べてみようと思う。
1.ルネサンスとバロックの作風の対比
まずルネサンスとは、
「再生・復興」を意味し、ギリシアやローマの古典文化の復興のことを示す。絵画に見られる特色
としては、現実主義的・自然主義な主流を形成しつつ、古典的作例も取り入れ、幅広い活動を展開する。人体解剖によって
立体的な人体表現がなされたり、三次元把握のために遠近法が追及されている。そのために、外界と対象に分かれるような
輪郭線が目立つものが多く、均整と調和のとれたのが特徴といえる。
これに対しバロックに見られる特色は、現象的で迫真的で自然らしさを求め、光と影の効果や情景の設定など描写の全てが
場の雰囲気を伝えている。また、この時代から、宮廷や宗教画のみならず、市民文化を反映している風俗画もでてくる。ル
ネサンスに対し、バロックは自由な感動表現、動的で量感あふれる装飾形式により不安定なのが特徴である。
2.それぞれの時代背景
15 世紀では、中世の教権主義的な豪族諸侯との結託からなる旧秩序に対し、イタリアの知識的な商工市民階級が、当時の十
字軍の結果等による都市の繁栄に伴い、「人間の再生」を目指して革新運動を行った。古代ローマやギリシア文化を復興させ
たのは、市民階級の者が求める理想が古代ローマ社会と共通するところがあったからである。
以上から、
「ルネサンス」には中世のカトリック教会から解放された人間中心の自由な文化の革新運動の意味もあることが
分かる。
対してバロックの背景には、1517 年にマルティン・ルターが免罪符の批判を行った事から、プロテスタント運動が拡大
していき、危機感を感じたカトリック側が、プロテスタントが偶像崇拝を禁止したことに対して、美術作品を利用して信仰
の回復を目指したというのがある。
3.宗教画が多い理由
上記で示した時代背景により、ルネサンス時代にはカトリック教会からの解放を示すために、キリストの受刑の絵画が多
く残されている事や、古代ギリシア・ローマ文化の復興のため、ギリシア神話を基に描かれた物が多く残されていることか
ら、宗教画が多く感じることが推測できる。またバロック時代も、カトリック側の信仰回復のために要請されて描かれたも
のがあることから、王国貴族や教会がパトロンとなったものは主なジャンルとして扱っていたのではないかと考えられる。
赤い服に青色のショールという宗教画に多く見られる光景だが、時代が違うことで、描き方・表現の仕方の変化を比べる
のも面白いかもしれない。
おわりに
今回、このテーマを調べるにあたり、京都市国立近代美術館で開催されている「ボルゲーゼ美術館展」に足を運んだ。そこ
では、バロック時代の特徴とも言える光と影のコントラストがとてもはっきりとした作品が多かった。また、先代画家の影
響を受けた当時の画家の絵も多く、絵画は従来の物も参考にしながら、新しい技法を取り入れることにより発展していくの
のだと感じた。ルネサンスとバロック、似ているようで、背景を知れば全くちがう作品。絵画一つ見るのも、その背景を知
識として持っていれば、また違う魅力があって、非常に面白いのではないだろうか。
文字数 1,618 字
参考文献
1)高階秀彌(1987)
『ルネサンスの光と闇』中公文庫
2)宮下 規久朗(2003)『バロック美術の成立』山川出版社
3)若桑みどり(2005)
『イメージを読む』 筑摩書房
4)
「オンライン名画館」http://homepage3.nifty.com/o-toku/meigakan.htm
5)
「宗教画理解の手引」http://tabi-taro.com/8kaiga/bijyutsushi.htm
6)
「西洋絵画史」http://www.k4.dion.ne.jp/~durer/rembrandt/index.html
7)
「美と歴史」http://www.digistats.net/usakoji/m/86.htm
8)
「Salvastyle.com」http://www.salvastyle.com/index.html