長月(9月8日) - 広島県立五日市高等学校

図書室だより
図書室だより
★残暑厳しき
折,開いたペ
ージの上
ージの上に一粒
の汗が光る!
長月号 おススメの本
おススメの本
★ 教室掲示を,お願いします。
数学科 小路博文先生
広島県立五日市高等学校図書室
平成27年9月8日発行VOL, 7
『数学×
数学×思考=
思考=ざっくりと/いかにして問題
いかにして問題をとくか
問題をとくか』
竹内薫著 丸善出版/問題を
丸善出版/問題を解くにあたり,
くにあたり,発想を
発想を転換して
転換して,
して,ざ
っくりと考
っくりと考えてみると,
えてみると,案外全体が
案外全体が見えてくる,
えてくる,という思考方法
という思考方法の
思考方法の
練習になる
練習になる一冊
になる一冊です
一冊です。
です。
★ 新
『兄と弟、あるいは書物
あるいは書物と
書物と燃える石
える石』
着
長野まゆみ
長野まゆみ著
まゆみ著
図
大和書房
長野まゆみ,近作の長編である。事細かくストーリーを紹介するのは困難
である…。表紙の絵が象徴しているように,屋内・猫・書物・兄弟・時空・
現実と虚構・嘘と真実・過去と未来そして,様々な二重写しの出来事が複雑
なモザイク画のように描きだす謎に満たち物語とでも言うべきだ。猫の棲む
家に集う人々と本に秘められた物語…。一つの言葉の連なりから成る小説と
いう概念に,疑問を抱かせるような構成であり,以前の『少年アリス』的な
世界とは,全く違う世界が展開する…。ブローディガンの『西瓜糖の日々』
をなんとなく想起させるような,やや懐かしさも感じさせる幻想的な小説だ。
『トンネルの森
トンネルの森1945』
1945』 角野栄子著
角川書店
太平洋戦争さなか,幼くして母を亡くしたイコは,新しい母親になじめぬ
まま,生まれたばかりの弟と三人で千葉の小さな村に疎開することになった。
ほどなく,家のそばにある暗く大きな森の中で,脱走兵が自殺した噂を耳に
する…。耐え難い孤独感と飢餓感は,トンネルの森のように覆いかぶさり,
押しつぶされそうになった時,イコは兵隊の影を追いかけ森に入るが…。戦
後70年となった今年,風化しつつある戦争の原体験を,若い読者に伝えよ
うとする,著者渾身の力作である。
『あの家
あの家に暮らす四人
らす四人の
四人の女』 三浦しをん
三浦しをん著
しをん著
中央公論新社
古い大きなお家に女性複数でにぎやかに助け合って暮らす…という女系家
族?の物語である。謎の老人や河童?の登場とイケメンのリフォーム業者の
青年と話題には事欠かない…。谷崎潤一郎の『細雪』を意識して書かれたよ
うであり,
「鶴子」・「幸子」・「雪子」・「妙子」の名前が「鶴代」・「佐知」・
「雪
乃」・「多美恵」と微妙に変えてある所も面白い…。 が,内容は全然別であ
り楽しく,ゆったりした気持ちで最後の,ある部分までは読み進められる物
語となっている。では,ある部分には一体何が…?ぜひ,そこを読んでみよ
う!さて,余談ではあるが,物語のプロットとしてやはり,東京の阿佐ヶ谷
・荻窪・高円寺辺りの風情が描かれる。 今も少し奥に入ると趣深い情緒が
残る…。小説家・出版社が,東京に集中し過ぎてはいないか…?三浦さんの
ような当代一の小説家が,もっと他の地方の街を描いてくれたら,更に素晴
らしい物語が生まれ,かつ地域の活性化につながるのではないかと思う。
書
案
内
『日付変更線』
日付変更線』上・下巻
『バースデイ・ストーリーズ』
バースデイ・ストーリーズ』
辻仁成著
集英社 レイモンド・カーヴアー他
レイモンド・カーヴアー他著
/村上春樹訳 中央公論新社
ハワイに住む日系四世の青年ケ
インは,小説家を目指している。
彼の祖父ロバートは,日系二世で
あり第二次世界大戦の欧州戦線で
勇名を馳せた日系アメリカ人部隊
(442 部隊)の兵士だった…。苛
烈な戦争と向き合った日系二世か
ら日系四世まで,日米欧の境界線
を超え,1940 年代と現代が交錯
しながら展開する,上下巻から成
る壮大な物語である。
原爆の
原爆の悲劇を
悲劇を乗り越え
た人びと 手塚プロ
手塚プロ編著
プロ編著 小学館
『広島の
広島の復興/
復興
』
1945 年 8 月 6 日,原爆投下で広
島は破壊され,多くの生命が犠牲
となった。今後 75 年は草木も生
えないと言われた。が,原爆投下
直後,8 日の午後には広島-西条駅
間で鉄道が再開,9 日には市内路
面電車が運転開始。8 日には日銀
広島支店が業務を再開…。と,復
興のスピードは早かった…。これ
を支えたのは,当時の広島の人々
の責任感・公共心,そして土壇場
でこそ発揮される矜持があった。
本書は広島の復興を描くことで戦
禍,災害等から復興の途上にある
世界の人々を勇気づけ,希望を持
ってもらうことと,原爆投下後,
70年の時間の経過で薄れつつあ
る「原爆の記憶」を訴えている。
本書は「誕生日」をモチー
フにした英米文学の短編小説
を,村上春樹が選出し翻訳・
編集したアンソロジーだ。10
編が並んでいる。さらに,村
上自身による書き下ろし短編
「バースデイ・ガール」も収
録されている。様々な人々の,
かけがえのない,誕生日の 1
日を切り取った 11 編の物語
は,読み手自身の誕生日の思
い出を静かに甦らせてくれる
…。また,現代英米文学の入
門書としても,最適な 1 冊と
の評価も高い。