ご参考資料 トルコ経済・市場概況 6 月 3 日(月)のトルコ株式・債券市場の下落について HSBC投信株式会社 2013 年 6 月 4 日 要旨 5 月下旬にイスタンブールで始まり、その後、トルコ全土に拡大した反政府デモは、やや規模を縮小しつつも 週明けの 6 月 3 日(月)も続いた。金融市場はこれを嫌気して、株式、債券が大幅に下落した。 2002 年の現政権の成立以降、トルコ経済は大幅に改善しており、国民の生活水準も向上していることから、 今回の反政府行動が大きな政治的混乱につながる可能性は低いと考えられる。 トルコ各地で反政府デモが続く 5 月下旬、トルコ最大の都市であるイスタンブールで始まった政府に対する小規模の抗議行動は、5 月 31 日 (金)以降、大規模な全国的反政府デモに拡大し、週明けの 6 月 3 日(月)も続きました。 3 日、金融市場はこの政治的混乱を嫌気して下落しました。株式市場では BIST100 指数(イスタンブールナショナル 100 種指数)が前週末比で−10.5%の 76,983.66 ポイントと大幅に下落しました。債券市場では、2 年物国債利回りが 前週末比で 0.4%上昇して 6.3%、10 年物国債利回りが 0.3%上昇して 7.0%となりました。為替市場では、トルコリラ は 5 月 31 日(金)に大きく下落していたことから、3 日は小動きとなり、対米ドルで 0.2%下落の 1.889 米ドル/リラ、対 円で 0.3%下落の 53.1 リラ/円となりました。 反政府デモの背景と見通し トルコ国民の大多数はイスラム教徒ですが、政治的には建国以来、世俗主義(政教分離)の立場をとってきま した。しかしながら、現与党の公正発展党(AKP)はイスラム教色の強い政党で、5 月下旬に酒類の販売規制強 化の法案を国会で成立させるなど、政権運営上もイスラム教色を強めています。これに対し、世俗主義の立場を とる国民の不満が高まっていました。今回、政府のゲジ公園再開発計画(イスタンブールのタクシム広場にある 公園を取り壊し、オスマン帝国時代の兵舎を模した多目的ビルおよびショッピングモールを建設する)に対する抗 議運動が、全国的な反政府デモにつながったものです。 AKP は 2002 年以来政権与党で、党首のエルドアン氏は一貫して首相の座にあります。長期政権に対する国 民の不満の表れという意味で、今回の反政府デモを、チュニジア、エジプト、リビアなどで発生し、政権打倒にま で至った国もある「アラブの春」のトルコ版であるとの見方もありますが、当社はこの見方に与しません。 まず、反政府デモの参加者は、世俗主義者の他、自由主義者、クルド人、アレビ派(イスラム教シーア派の宗 派の一つ)、さらには極右、極左などの過激派まで、様々です。デモ参加者は、酒類販売規制や、シリアに対する 政府対応への不満を共有している以外は、共通の理念を持っているわけではなく、組織化もされていません。 次に、AKP は 2002 年以降、2007 年、2011 年の総選挙という民主的な手続きを経て成立した政権であり、高 い支持率を誇っています。同政権の成立以降、一人当たり国内総生産(GDP)が 3 倍以上に拡大し、貧困や失 業が減少するという経済の好調さが、同政権の高い支持率の背景となっています。 加えて、NPO 法人ワールド・ジャスティス・プロジェクトが発表している「法の支配指数」、またグローバル・デモ クラシー・ランキングによる「民主度指数」でも、トルコは比較的高い数値を得ています。 今回の反政府デモは、既にその規模が縮小しつつあり、当社では、間もなく鎮静化に向かう可能性が高いと 考えます。 * 末尾の「当資料のお取扱いにおけるご注意」をお読み下さい。 1 ご参考資料 トルコ株式市場は、3 日に大きく下落しましたが、その要因としては、今回の反政府デモの影響のみならず、こ こ 1 年近くの大幅上昇から短期的な過熱感が出ていたことや、米国の量的緩和の早期縮小観測が広がったこと などがあります。 反政府デモが収束し、また米国での金利上昇が収まれば、トルコ株式市場は中長期的な同国経済の成長を 評価し、再び上昇基調に戻る可能性が高いと考えられます。また債券市場も、安定を取り戻すものと思われます。 ただし、今回のデモの広がりを受け、国内の政権批判勢力の存在が明らかになったことから、投資家は以前と 比較して、慎重な姿勢をとるものと予想されます。トルコでは、2014 年 3 月に地方選挙、同年半ばに大統領選挙、 2015 年 6 月に総選挙が予定されていますが、当社では、市場のセンチメントに影響を与える政治的動きにも留 意していきます。 BIST100 指数(イスタンブールナショナル 100 種指数)の推移 (ポイント) 100,000 90,000 80,000 70,000 60,000 50,000 40,000 11/01 11/04 11/07 11/10 12/01 12/04 12/07 12/10 13/01 13/04 (年/月) 出所:ブルームバーグのデータをもとにHSBC投信が作成 トルコリラの推移 (米ドル/リラ) 1.5 (リラ/円) 60 55 1.6 対円(左軸) 50 1.7 45 1.8 40 対米ドル(右軸、逆目盛) 35 30 11/01 1.9 2.0 11/04 11/07 11/10 12/01 12/04 出所:ブルームバーグのデータをもとにHSBC投信が作成 2 12/07 12/10 13/01 13/04 (年/月) ご参考資料 2 年物国債利回りの推移 (%) 12 10 8 6 4 2 0 12/01 12/03 12/05 12/07 12/09 12/11 出所:ブルームバーグのデータをもとにHSBC投信が作成 (米ドル) 12,000 一人当たりGDP (%) 35 13/01 13/03 13/05 (年/月) 貧困ライン以下の人口の比率 30 10,000 25 8,000 20 6,000 15 4,000 10 2,000 5 0 0 00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 出所:国際通貨基金(IMF)のデータをもとにHSBC投信が作成 (年) 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 出所:トルコ統計局のデータをもとにHSBC投信が作成 (年) (以上) 3 ご参考資料 <関連するファンドに関わる事項> 投資信託は、主に国内外の株式や公社債等の値動きのある証券を投資対象としており、当該資産の市場におけ る取引価格の変動や為替の変動等により、基準価額が変動し損失が生じる可能性があります。従いまして、投 資元本が保証されているものではありません。投資信託は、預金または保険契約ではなく、預金保険機構また は保険契約者保護機構の保護の対象ではありません。また、登録金融機関でご購入の投資信託は、投資者保 護基金の保護の対象ではありません。購入の申込みにあたりましては「投資信託説明書(交付目論見書)」およ び「契約締結前交付書面(目論見書補完書面等)」を販売会社からお受け取りの上、十分にその内容をご確認い ただき、ご自身でご判断ください。 お客様には投資信託のご購入にあたり、以下の費用をご負担いただきます。 購入時に直接ご負担頂く費用 - 購入時手数料 上限 3.675%(税込) 換金時に直接ご負担頂く費用 - 信託財産留保額 上限 0.5% 投資信託の保有期間中に間接的にご負担頂く費用 - 運用管理費用(信託報酬) 上限年 2.1% (税込) その他費用 - 上記以外に保有期間などに応じてご負担頂く費用があります。「投資信託説明書(交付目論見書)」、「契約締 結前交付書面(目論見書補完書面等)」などでご確認下さい。 *上記に記載のリスクや費用につきましては、一般的な投資信託を想定しております。費用の料率につきまして は、HSBC 投信が運用する全ての投資信託のうち、徴収するそれぞれの費用項目における最高の料率を記載し ております。投資信託に係るリスクや費用はそれぞれの投資信託により異なりますので、ご投資をされる際には、 事前に良く「投資信託説明書(交付目論見書)」をご覧下さい。 HSBC 投信株式会社 金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第 308 号 一般社団法人投資信託協会会員/一般社団法人日本投資顧問業協会会員 当資料のお取扱いにおけるご注意 当資料は、HSBC投信株式会社(以下、当社)が投資者の皆さまへの情報提供を目的として作成したものであり、特 定の投資信託等の売買を推奨・勧誘するものではありません。 当資料は信頼に足ると判断した情報に基づき作成していますが、情報の正確性、完全性を保証するものではありま せん。また、データ等は過去の実績あるいは予想を示したものであり、将来の成果を示唆するものではありません。 当資料の記載内容等は作成時点のものであり、今後変更されることがあります。 当社は、当資料に含まれている情報について更新する義務を一切負いません。 4
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