独創的な番組づくりで情報を発信しているテレビ東京 (http://www.tv

独 創的な番組 づくりで情 報を発信 しているテ レビ東京
(http://www.tv-tokyo.co.jp/)は、来年2009年に迎える開局
45周年に向け、 そして2011年7月の地上放送の完全デジタル
化とい うテレビの 新時代へ の移行に動き出 していた。 「あらたに
始まるデジ タル放 送時代に失敗を恐 れず、従 来のやり方や 常
識にとらわれない『挑 戦』と『改革 』で邁 進していき ます。 そのた
めには、多くの視 聴者に愛され、 多くの広告 主に信 頼される番
組の開 発が課 題です。 企画の 段階からマルチ ユースを念頭 に
置き、 すべての番組 でライツ事 業展開することを視 野に入 れた
番組 制作を現場 に浸透 させていき ます」と島 田昌幸 代表取締 役
社長は 言う。
テ レビ局のコ ントロールタワーで
ある編成局 編成部の 門司玲 子副
代表取締役社長 島田 昌幸 氏
部長 (兼 経営戦略 局メディア 戦略部 )も「こ れからのテレビ局 は、番組
を制作 して放送するだけでは成り立 ちません。番 組情報を 資産と捉 え
二次 利用などに活用 し、従来 とは異なる様々な関 連分野での 収益体
制を創 出するこ とが必要です 」と話 す。 同社のシ ステム戦 略を司るシ
ステム 開発室の 鈴木敏昭 次長(兼技 術開発部 長)も「今後の多 様なメ
ディア展 開の準備 をするために、これ までの番組に関わる情報を 一元
管理し 、有効活用 できる番組情報 の基盤 整備が必 要だった」と、新 た
な番組情 報システ ムの構 築に着 手した経緯 を語る。
番 組情報シ ステムの 開発には、もうひとつの理由が あった。「番
組に関わる情報は多 種にわ たり、営放 システム ※1 をはじめ、 ラテ
(新聞などのラ ジオ・テ レビ欄用の情 報)、ラ イブラ リー、 視聴率、 番
組宣伝 、番組 販売などの個別シ ステム によって管理 され、 必要な
情報を 探すのに効 率的でなかった」と鈴木氏 が言 うように、番組情
報シ ステムの 開発に至った目的には、こ うした 現状の課 題解決も
含まれてい た。
また、「 デジタル放 送の開始 と共に始まったEPGサービス ※2 や 、
ホームページ での番組情 報の充実 化、番組 宣伝業務 の効率化 な
ど、番組情 報の有効 活用と管 理方法を 改善する必 要性に迫られて
いました 」と編成局 番組宣伝 部の渡邊 聖子副参 事は言う 。こう して
システム開発室 次長
(兼技術開発部長) 鈴木 敏昭 氏
番組情 報システ ムの構 築に向 け、準備が 進められた。
※1 営放 シス テム/ 放送す る番組を 管理す る編成 システム 、コマーシ ャルの契 約や進 行を管 理する 営業シ ステムなど で構 成されて
いる 、テレビ 局の基 幹シ ステムの 総称。
※2 E PGサ ービス/ E lect ro nic Prog ra m G uide。8 日分 の番組 表を放 送波とともに送出し、テレ ビ画 面で表示 するサ ービス。
開 発にあたって要望を集 約したと ころ、 社内から出た意 見は、 個
別に管理され ていた番組 情報を共 有できる環 境にしたいという もの
だった。「番 組情報は 個人のものでは なく、社全体 のもの。会社 の
情報を 個人のパ ソコ ンに埋没さ せてしまうの ではなく、みんなのも
のにしたかった」と 渡邊氏は 語る。 プロジェクトを立ち上げ社内の
意見をまとめ、2006年より開発を行うメーカーの選定に入った。
最も目を 引いたの が東芝ソリュ
ーション の提案 したXML データベ
ース ※3 「TX1」だった 。「評価した
点は、 データの 保存形式 として
J/Meta ※4 に準拠でき るこ と、シス
テム 間の連携 に強く、 スムーズな
編成局 番組宣伝部
副参事 渡邊 聖子 氏
データ 移行が図 れるこ と、データ項目の 追加変更 が容易にでき 、
開発時 の要求に柔軟に対応できるこ と 、こ の3つでした 」とシステ ム
開発室 システム 部の五 十嵐基仁 主事は振 り返 る。「繰 り返し項目
を定義 するとき、 複数の表 から成るリレーシ ョナルデータ ベースと
は異なり、 ひと つの定 義体でデータベース設計が可 能なXMLデー
タベースは、 運用面でも魅力 的でした」(五十 嵐氏)。こうし て 、XML
データ ベースによるシステ ムの構 築が、同 社のシステ ム開発 運用
システム開発室 システム部
主事 五十嵐 基仁 氏
を担う 株式会 社テレビ東京 システム (以下、s yst x)と東芝 ソリュー
ショ ンに よって始まった。
※3 XMLデー タベ ー ス /文書 や画像 などの 非定 型デー タを記述するマー クア ップ 言語の XMLを使 った デー タベー ス。
※4 J/Me t a/ 放送番 組など の映像 コ ンテンツの流 通に 必要 と され る標準 メ タデ ータ体 系。
「TX1」の導入は昨年(2007年 )3月から始まった。3社の共同作
業で、 仕様決定 、設計・構 築、既存 のシステ ムとの連 携・データ 移
行を行い、今年(2008年)の3月に 一次システム、8月に二次システ
ム、 10月に本 格稼動と 段階的な立 ち上げを実 施した。 この番 組情
報シ ステムは 、すでに稼働 しているい くつものシステ ムから情報を
吸い上 げ、統合管 理する役割 を担う。 「XMLデータベースを使う の
は初め てで不 安だったが、 さまざまなシステム を連携さ せるツール
が提供 されていた ので、データの吸い出 しなどの作業が 容易にで
きた」と 評するのは sys tx業務 部の宮永 貴裕氏。 続けて「Web アプリ
ケーシ ョンの 実装、 オープンソースの導 入などの要望も受け入 れら
れ、プラ ットフォームからデータベース、アプリケーションまで自社
でこなせ る実力 やプロジェ クトの工 程管理は、 とても優れていた と
株式会社テレビ東京システム
業務部 宮永 貴裕 氏
思います」と五 十嵐氏が 言うように、テレビ局での XMLデータベー
スによるシ ステム構 築に、 東芝ソリューションの技術 力は大き く貢
献した 。その結 果、「開局 以来、 約40万件の情 報から数秒で検 索結果が 出せるよう になり、さ らに番
組名での 検索を支 援するサジ ェスト機能によって、『アド 街』という 略称か ら『出 没!アド 街ック天国』
という 正式名 称で探すことが できます。また、テ ープの貸 出情報をはじめ 各シ ステムで変 更した情 報
は、 ほぼリアル タイムで連携 するXMLデータベースに反 映されます。こ れらは、使 い易いシ ステムへ
のイメ ージ アップにつながっています」(宮 永氏)。
同 社は、こ れまでも先取的なI CT ※ 5 の 採用に積極的だ った。
1996年には地上デジタ ル放送によるデータ 放送の先駆けとも言え
る、 アナログのテレビ電波 と電話回 線による双 方向サービス「ITビ
ジョン」を導入した(2003年12月サービス終了)。また、インターネ
ットを利用し たBtoBの経済情 報の動画 配信、携 帯サイトでの番組
表リア ルタイム更 新、データ放送や ワンセグでの番組 連動サービ
スなど、I CTを活用し た例は多 い。放送 のデジタル化 で放送と通 信
番組テープを保管するライブラリー
の連携 が加速する 中、放 送におけ るI CTの利用 は益々進 む。XML も様 々な業界で注 目され、 文書
処理からe コマースにいたるまでネットワーク上のデータ処理のあらゆる面で活 用されてお り、XML
を直接 扱える「TX1」は、 二次利用 を前提と して情報を管 理し、か つ業務 を効率化したいという 同社
の考えに 一致していた 。
※5 IC T/ In f orma tio n a nd Commu nic at ion Te ch nolo gy 。情報 ・通信 に関す る技術の 総称“ IT ” に、共有・ 共同性 を加えた 表現 。
一 方、システ ムを運 用する段階で見 えてきた課題 もあった。「ユ
ーザーの利便性 を向上さ せるこ とは重要 ですが 、多種にわたる番
組情報 へのア クセス権限 管理も必要です。また 、現場か らは 、便
利にはなったが入力 の負担が 増えたとい う声もあが ってい ます」と
門司氏 は指摘する。「肝心なの はユーザ ーが 意識を高 めること 。番
組は放 送したら終わ りではなく、二次 利用や新 たな番組づくりに役
立つという相 乗効果が 見えれば、 モチベ ーシ ョンも上がってくると
思います」(門司 氏)と対策 に動き 出している。さらに「現 場の入力
者へは 、講習 会を開いて理 解を求めています。業 務の負担 を増や
すことなく、 情報をデータベースに蓄 積していく方法 を模索してい き
たい」(鈴 木氏)、と 次のステージに向けた 準備も進む。
視聴 者のニ ーズ は多様化
編成局 編成部 副部長
(兼 経営戦略局 メディア戦略部)
門司 玲子 氏
し、か つてのように番組制 作と
放送の ことを考 えているだ けで
は、 テレビ局は時 代に乗 り遅れかね ない。新シ ステムによるテ
レビ番組情 報の管理 の効率化 は、今 後ますます多 様化すると
予想される視 聴者の要 望に応 えるためにテレビ東 京が打った
重要な布 石のひとつだ。東芝 ソリューショ ンもその担 い手とし
て、さらに試みを続けていくだろう。
株式 会社テ レビ東京
●開 局: 196 4年 4月1 2日
●代 表者: 代表 取締役 会長 菅 谷 定彦、 代表取 締役社 長 島田 昌 幸
●従 業員数 :連 結 13 04 名、単体 6 81 名( 200 8年 3月 31日 現在)
●売 上高: 連結 1 ,21 6億 4,5 00万 円、単 体 1,1 01 億8, 400 万円 (20 08 年3 月期)
●本 社所在 地: 東京都 港区虎 ノ門 4-3 -1 2
●h t tp : / /w w w . tv -t o ky o.co . j p /
●事 業内容 :放 送法による テレビジ ョ ン放送事 業、放 送番組 の制作 ・販 売、ライ ツ事業、文 化事 業、そ の他放 送に
関す る一切 の事業
●チャ ンネ ル: デジ タル 7チャ ンネ ル(JO TX -DT V) 、アナ ログ 1 2チャンネル (J O TX- T V)
20 11 年7 月の地 上デジ タル完 全移行 に向け「 挑戦 」と「改 革」を キー ワー ドに、様 々な取 り組み を展開 するテレ ビ
局。2 00 7年 度の平 均視聴 率はゴ ール デンタイム 8.3 %、プ ライム タイム7 .9% (歴代 最高 タイ )、全日 3.8 %( 歴代最
高タイ) 。「ワー ルド ・ビジ ネスサ テライト」 「ガ イア の夜明 け」 などの 経済報 道番組 、「ポ ケットモ ンスター ダ イヤモ ン
ド ・パー ル」 「NARU TO -ナル ト-疾風 伝」 とい ったア ニメ、「開 運!なん でも鑑定団 」「 出没! アド 街ック天国 」のよ
う な情報バ ラエティ ーなど 、オ リジ ナ リティ ー豊 かな番 組づく りに 定評 があ る。ま た、番 組と 連動 し た新事 業も 積極 的
に展開 。公式ホ ーム ペー ジを はじめ、動画配 信を行 うア ニメ専門 サイト「 あにてれ」 や、eコマー ス事業を 展開す る
「虎 ノ門 市場」 など、 We bサイト のジ ャンル 別運営 、携帯 と連 動した 事業展 開、ワンセ グデー タ放 送での他 企業 との
提携 など、新 規I CT 部門にも注力 する。さらには3 Dオンライン 仮想空 間「セ カンド ライフ」内 でのイベ ント開 催(2 00 7
年) 、バラ エティー では民 放初の 「ワンセ グ非サイ マル」を 他社にさき がけ て実施す るなど 、新しい分 野にも積極 的
に取り組んでいる。
XMLデータ ベース 「TX1」
テラバ イト級の 大容量 デー タでも高 速検索 が可能 なXMLデ ータベ ースとし
て、2 005 年4 月にリリ ース。T X1 は、XML デー タか ら 構造を自 動的に抽 出し
て索引 化す る、構造 自動抽 出技術 「スキ ーマア ナライザ」 と、抽出 した 構造
情報 と語彙情 報を統 計的に分 析して最適な 問い合 わせプ ランを 生成す る、問合 せ最適 化技 術「クエリ オプティ マイ
ザ」 を搭載 し、大容量 デー タでも高 速に検索 することができ る。さらに、全文 検索、スコア リング、同 義語検 索など の
多彩 な検索機 能や 、RDB 、Not es DB などの データを XML変換 して登録す るデー タ連携機 能など 、エンタープ ライ
ズクラスのシステム に適 する特 長を備 えている。
東 芝ソリューシ ョン株式会社
経営 企画部 広報担 当
電話: 044-331-1100
※社名、商品名等は各社の登録商標です。
※この記事は、2008年9月に制作されました。記事内における数値データ等は取材時のものです。