論文/レポート作成マニュアル - 京都嵯峨芸術大学西洋美術史・博物館

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目次
I. 一般事項
1
1. 構成例
1
2. 自説と他人の説の区別
1
4. コンピュータ使用時の注意
3
II. 文献表記 ( 和文編 )
4
1. 書籍
4
2. 展覧会図録
4
3. 論文
4
4. 表記のコツ
5
III. 文献表記(欧文編)
6
1. 書籍
6
2. 論文
6
3. 主要略号
6
V. 文献表
1. 略号の付け方
2. 文献表と註の連動
VI. 調べるノウハウ
8
8
8
1. 文献探索
9
2. 作業フローの例
9
VII. 図書館を使いこなす
11
1. 参考調査
学校法人大覚寺学園
9
京都嵯峨芸術大学・短期大学部・大学院
論文/レポート作成マニュアル
11
2. 相互利用
11
3. 参考図書案内
11
西洋美術史研究室 芳野 明 /[email protected]
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図像集であるチェーザレ・リーパの『イコノロギア』
(初版 1593 年)の翻訳に著者による解説を加え
たものである。
ホール、
『西洋美術解読事典』
(高階秀爾監修、高橋達史/高橋裕子/太田泰人他訳)
、河出書房新社、
1988 年。
西洋美術に現れるテーマ、人物を調べるのにもっとも手軽な事典。手軽だけに、これで調べたら、必
ず原典や図版にあたるべきである。
05. その他
意外と役立つのが、大学入試用の「歴史地図」や「年表」。ことに地図は重宝する。
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1
b. 美術事典
こんにちでは日本語で読める美術関係の事典も増えた。これは事典相互の質的差異も大きくなったと
いうことを意味する。
『広辞苑』や諸橋轍次の『大漢和辞典』といった「定番」もない。そこでここではジャ
ンル別に幾つかの事典を紹介するに留める。
『世界美術大辞典』
(全 6 巻)、小学館、1988 − 1990 年。
翻訳ものだが日本向けの配慮がなされており、原著よりも項目数が増加している。図版(カラー)が
豊富で、比較的マイナーな美術家の作品図版を探すのにも重宝する。
『新潮世界美術事典』
、新潮社、1985 年。
I. 一般事項
1. 構成例
01. 序(はじめに)
文章のなるべく冒頭に近い部分に、この論文やレポートで何をするのかを端的に示す。
本論文ではレオナルド・ダ・ヴィンチの《モナ・リザ》のモデルが誰であるかを解明する。
いったいこの作品は何年に制作されたのだろうか。それに答えることが本論の目的である。
本論の目的は、マティスとドイツ表現主義の関連について、作品の比較を通して検証することである。
02. 研究史
一巻ものの総合事典としては良書。
『オックスフォード西洋美術事典』
、講談社、1989 年。
西洋美術ならこれも。原著のタイトルが TheOxfordCompaniontoArt というだけあって、事典の体裁
を取りながら「読み物」として耐えうるだけのユニークな項目設定と内容を備えている。
同様のテーマ、近いテーマで行われた過去の研究の成果をまとめておく。さらに、それらの内容につい
てコメントしておくとよい。
《モナ・リザ》のモデルについては、ヴァザーリが『列伝』でフィレンツェの商人フランチェスコ・デル・ジョコンド
の妻であると述べている (1)。このことから、フランチェスコの三番目の妻であったエリザベッタ ( 愛称リザ ) こそがそ
『日本美術史事典』
、平凡社、1987 年。
日本美術ならこれも。平凡社の『大百科事典』から日本美術に関する項目を抜きだし、新たに編集・
増補されたものだが、記述には定評がある。
『近代日本美術事典』
、講談社、1989 年。
とくに近代日本美術に限ったものであるが、この分野では他の追随を許さない。
デューロ/グリーンハルシュ、
『美術史の辞典』(中森義宗/清水忠訳)、東信堂、1998 年。
美術家の事典ではなく、まさに美術史の辞典(=「ことば」の解説書)である。
のモデルであったと考えるのが一般的である (2)。この説に意義を唱えたのが A. ヴェントゥーリである。彼は××から、
これをジュリアーノ・デ・メディチの愛人であったコスタンツァ・ダヴァロスであると考えた (3)。
--(1) ヴァザーリ、『ルネサンス画人伝』(平川/小谷他訳)、白水社、1982 年、150 頁。
(2) 片桐頼継、『レオナルド・ダ・ヴィンチという神話』
、角川選書 359、2003 年 、219 頁を参照。
(3)A. Venturi,
クルターマン、
『美術史学の歴史』
(勝國興/高阪一治訳)、中央公論美術出版、1996 年。
これは事典・辞典ではない。しかしその内容は美術史家の事典+アルファといえる。美術史学が果た
してきたことを、時系列に沿って知るための良書。
佐々木健一、
『美学辞典』
、東京大学出版会、1995 年。
「事典」ではなく「辞典」であることに注意!「芸術」や「表現」のような日頃何気なく使っている
, Tomo I, Milano 1925, pp. 37-42.
註記の方法については文献表記と文献表の項を参照。
03. 本論
従来の説を踏まえて、具体的な資料や観察の結果、その他の傍証などをもとに進める。自説を展開する
には、このような「証拠・根拠」が必ず必要である。従来の見解に従う場合でも、従うだけの根拠を必ず
述べること。
04. 結論
言葉について確認するときに必須。
序でのべた論文・レポートの目的と照らし合わせて、わかったこと/わからなかったことを端的に述べ
04. 図像学
美術は物語を図示することができる。物語を知らないと、主題がわからない。西洋美術ならまずキリス
る。
ト教と古代神話の物語をひととおりあさえておく必要がある。
2. 自説と他人の説の区別
『聖書』
。
いうまでもなくキリスト教美術最大の典拠である。事典ではないが図像を調べるには必須の書。聖書
この問題については細心の注意を払って、必ず適切に処理せねばならない。剽窃・盗用は論文・レポートにお
いてはけっしてやってはいけない。
なくして西洋文化理解はありえない。
ホメーロス、
『オデュッセイアー』
。ホメーロス、『イーリアス』。オウィディウス、『変身物語』。
古代神話主題最大の典拠である。これも事典ではない。いずれも岩波文庫版がある。あらすじを知る
他人の言説をそのまま引用する場合は「 」でくくる。原文の忠実な引用ではなくその要点をのみ述べる場合
は「 」はいらないが、その場合でもそれが誰の説なのか、どこからどこまでが他人の説なのか、文章によって
明確にせねばならない。
には以下の二冊が良書である。
バーバラ・レオニ・ピカード、『ホメーロスのオデュッセイア物語』(高杉一郎訳)、岩波書店、
また、他人の説を文中に用いる場合は、すべてその出典を註に記さねばならないが、その具体的な方法につい
ては後述する。
1982 年。
バーバラ・レオニ・ピカード、
『ホメーロスのイーリアス物語』(高杉一郎訳)、岩波書店、1983 年。
高津春繁、
『ギリシア・ローマ神話辞典』、岩波書店、1960 年。
古典古代神話の事典はいくつもあるが、内容・表記ともにこれ以上のものはまだ出ていないと思う。
「光学から遠近法へのパラダイムの転換を実践したのがブルネレスキであったと言えるだろう」(1) と辻茂が述べるよう
に ...
ヴァザーリにしたがえば、ドナテッロの生年は 1383 年ということになる (2)。
ヤコブス・デ・ウォラギネ、『黄金伝説』(全 4 巻、前田敬作/今村孝/山口裕他訳)、人文書院、1979
--------
− 1987 年。
(1) 辻茂、『遠近法の誕生 ルネサンスの芸術家と科学』
、朝日新聞社、1995 年、111 頁。
1260 年頃に著された聖人伝を中心とする書物。カトリック美術に登場するさまざまな聖人表現を理
(2) ヴァザーリ、『ルネサンス彫刻家建築家列伝』
(森田監訳)、1989 年、153 頁および 363 頁。
解するのに必須の書。文庫版もある。
水之江有一、
『図像学事典 リーパとその系譜』、岩崎美術社、1991 年。
水之江有一著ということになっているが、内容は西洋美術史上もっとも重要といっても過言ではない
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VII. 図書館を使いこなす
3. 記号、図版、註など
論文・レポートは「読者の便宜」を念頭において書く必要がある。それらは、読まれるものだからである。自
分ひとりのものではないから、書くには記号の使い方をはじめとしたルールがある。
1. 参考調査
「図書館に行ったけれど、知りたいことを知ることができませんでした」ということがあるかもしれない。そ
んなときは図書館司書に聞いてみること。司書は「図書館資料について十分な知識を持ち、その利用のための相
01. 記号の用い方
a. 引用、論文タイトル、書籍になっている論文集や別個の文章が一冊にまとまっている書籍における個別
談に応ずる」仕事もしている。
の文章のタイトル…「 」
「マネが生きていた頃のパリの地図を探しているんですけど」
フォションは「作品を制作する者が、立ち止まってそれを考察の対象にするとき、彼は批評家とは別な立場をとる」(1)
「はい、それならこういう本がありますよ」
と、ここまでピタッとはいかないかもしれないけれど、司書は資料探索に協力してくれる。これを「参考調査」
と述べた。
(引用)
須藤弘敏、
「轉寫と傳承 -- 延暦寺銀字本・仁和寺本系紺紙法華經について」、『国華』
、111 巻 2 号、2005 年、9 ∼ 22 頁、
という。
5 ∼ 7 頁。
(論文タイトル)
(連作中の個別作品の
『新約聖書』の「マタイ伝」によれば洗礼者聖ヨハネは「いなごと野蜜を」食べていたという (2)。
2. 相互利用
「必要な書籍はわかっていたんですが、図書館にないから見られませんでした」は通用しない。図書館同士は
タイトルと引用)
互いに連携していて、他の図書館との資料の貸借や複写サービスを行っている。これを「相互利用」という。
--(1) フォション、
『形の生命』
(阿部訳)
、ちくま学芸文庫、2004 年、7 頁。
01. CiNii Books で、資料の所在を確認
(2)「マタイによる福音書」、3 章 4 節。
02. 図書館のカウンターに行って、相互利用の申請書をもらう
b. 書名、引用中の「 」…『 』
03. 必要事項を記入してカウンターに提出
『美術史の基礎概念』を著したハインリヒ・ヴェルフリンは…(書名)
04. 後日、現物か複写かが送られてくるので受け取り、料金を支払う。
「写真は『自然の鉛筆』として、自然自身が直接感光板に『刻印』した痕跡である」
(引用中の「 」)
原文中に『 』が用いられていることも想定されるが、
その場合は原文通り『 』を用いても差し支えない。 原文中の「 」と『 』
が引用文中では同じ『 』で表記されることになるが、原文の『 』に代わる記号、たとえば〔 〕を与えるようなことを繰り
3. 参考図書案内
01. 文献目録(現在は Web 上のデータベースの方が充実しているが、場合によっては役立つ。)
『日本美術年鑑』
返すと、かえって混乱を招く。
c. 芸術作品名 ...《 》
東京国立文化財研究所の美術部が編集している。当該年度に出版された主要な美術関係の文献の一覧
がある。
マネの《草上の昼食》
『芸術・美術に関する○○年間の雑誌文献目録』
ピカソの《ゲルニカ》
d. 欧文のカタカナ表記の単語区切り…・( なかぐろ )
レオナルド・ダ・ヴィンチ (Leonardo da Vinci)
日外アソシエーツが出版している。雑誌掲載論文を主題別に分類したもの。
『雑誌記事索引累積索引版○○○○∼○○○○』国立国会図書館編、紀伊国屋書店出版。
上記の目録と編集方針は同じ。
アート・ギャラリー (Art Gallery)
02. 図版
『学術雑誌総合目録』
とくに美術関連の論文・レポートでは、図版の果たす役割は重要である。許される限り豊富に図版を用
いて、文章の内容理解の助けとなるように努めたい。ただし、その際には以下の項目は必須のものとして、
記入するように心がけたい。もちろん下記の項目の中には論の内容によっては不要なものもあろうし、ま
た逆に新たに項目を設けねばならないこともある。
欧文編と和文編がある。学術情報センター編集、紀伊国屋書店出版。学術雑誌をどの機関が所蔵して
いるか調べられる。
02. 辞典
しらべる事柄については、まず「ことば」の辞典でその正確な意味をつかむべきである。その際には国
作者名、作品名 ( 前項の表記法にしたがい《》でくくる。)、制作年、材質、サイズ ( 高さ×幅×奥行の順に。単位表記
語辞典、漢和辞典のたぐいはもとより、英和辞典、英英辞典、その他各国語の辞典も活用することが望ま
も忘れずに。)、所在。
れる。また、そこからさらに語源をたどったり派生語を調べたりすることにより、語の意味が明確になり、
制作年代が特定できない場合も多いが、なるべく「頃」
「以降」「以前」などの言葉を使って、正確を期すべきである。また、
制作年代の上限と下限のうち、どちらも不明確な場合は「○○年頃 - ○○年頃」といちいち記すべきである。これはたとえば上
限のみが明確であり下限が不明確な場合の「○○年 - ○○年頃」との混同を避けるためである。また、制作期間というよりは制
作年に複数の可能性がある場合はその年を/で区切って表記するのが良い。いずれにせよ、制作年の表記については混同しやす
いものであるから、論文やレポートの最初に凡例のかたちで示しておくことを勧める。
ルーヴル美術館のようにその所在地が自明の館については都市名の表記は不要である。しかし、
「ナショナル・ギャラリー」
のようにロンドンにもワシントンにもあるようなものやあまり知られていない美術館・博物館、プライベート・コレクション等
については、都市名を ( 場合によっては国名も ) 併記すべきである。
アルブレヒト・デューラー、
《自画像》、1500 年、板・油彩、67 × 49cm、アルテ・ピナコテーク ( ミュンヒェン )。
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同時に膨らみも増していく。
『広辞苑』
まぁ、まずこれを見るのが無難。
『日本国語大辞典』、小学館。
日本最大級の国語辞典。用例が充実。日本語としての初出例も出ているが、ときどき間違っているこ
ともある!
03. 事典
a. 百科事典
まず最初に、百科事典を見よう。まさに
「百科」。なんでもなにかしら載っている。それから美術事典へ。
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材質
03. 註
所蔵先(所蔵先の変遷も)
註の役割には以下のようなものがある。
その他
ii. 主題(図像)
a. 本論の趣旨とは関係が薄いが、本論の理解のために必要と思われる事項を記入する。
宗教美術や歴史上の事件を扱った作品の場合は、聖人の伝記、物語り、事件の経緯などを調べる。
根拠となるテキストは一種類とは限らない。『聖書』に含まれているイエスの伝記でさえも4つある。
iii. 研究史
b. 読者の便宜を図るために、参考となる文献等の資料を紹介する。
c. 他者の言葉、見解を借用・引用した場合、その出典を明らかにする。
よく、
「参考文献一覧」だけが載せてあって、本文中ではどこでどのように参考にしたのかを記さない
その作品に関する研究者の見解をまとめる。新しい展覧会図録や全作品カタログがあると簡単にま
とめられていることが多い。
(少々古いが)『リッツォーリ版世界美術全集』か『カンティーニ美術叢
書』に対象の作家が含まれていれば必ず見ること。主要な研究史がまとめられている。
ものを見かける。これは、よい方法ではない。
04. 文献表
本文中で引用したり、その内容について触れた文献のすべてを一覧表にする。表記の仕方については「文
献表記」の項を参照。
03. 関連文献を読む
a. 関連文献を見つけるには
4. コンピュータ使用時の注意
基本書籍を探したときに出てきたもの
基本書籍の文献表 (Bibliography) に出ているもの
文献を読むときにはノートをとること
b. 個別の問題については書籍でなく論文を読む。→本学西洋美術史研究室 Web サイトから「CiNii Articles
を使う」を参照してください。
数字やアルファベットの入力には原則として半角を用いる。句読点(。、)は日本語の記号である。したがって
全角を用いる。コンピュータの世界ではAと A は別の文字である(前者は全角、後者は半角)
。たとえば、ある
文章の中から「2006」を検索しようとしたときに、
「2006」と「2006」が混在していると、
検索漏れが起きる。
スペースや改行・改段落で体裁を整えない。見出しと本文の間など、行間を広くとりたい場合がある。そうい
うときに、エンター・キーを打って行間を開けてはいけない。また、一行だけ次ページ送りにしたいような場合
04. 図版の探索
も同様である。スペースを挿入して、中央揃えにしたり行頭を空けたりするのもよくない。1ページに何行、1
画集
行に何文字入るかは、プリンタ毎に違う。下の表は Microsoft Word 2003 で用紙が A4、MS 明朝 10.5 ポイント
これは、ごく当たり前。
のフォントを使用した場合の例である。
美術事典
とくにマイナーなアーティストの作品を探したりするときに、意外に見つかる。
プリンタ名
最小の下余白
Canon MP970
5.1mm
57 行
14.35pt
artcyclopedia( 画像検索 )
EPSON LP-800
5.1mm
56 行
14.5pt
Thais( 画像検索、彫刻・建築が充実 )
AcrobatDistiller(Adobe PDF) 0mm
58 行
14.5pt
Web
余白を最小にした場合の 行送り
印刷可能行数
著作権に注意すること
Joconde(Accedez au catalogue から画像検索可能 )
RMN JAPON( フォト・エージェンシーから画像検索可能 )
たとえば MP970 を使用していたとして、見出しになる行が 57 行目にきてしまったとする。見た目が
悪いからとエンター・キーを押して、見出しの行を次の頁の先頭に送った。そうして作ったデータを、別
の人に渡す。その人は AcrobatDistiller を使って出力しようとした。すると、MP970 の時に頁の先頭にあっ
た見出しは、前の頁の末尾に入ってしまうことになる。
こうした場合はソフトに固有の機能を用いる。たとえば、Microsoft Word では、「書式」メニューの中
にある「段落」で、行間を細かく設定できるようになっている。エンター・キーで空の行を作るのではな
く、そこだけ行間を2倍にすればよい。また「挿入」→「改ページ」で強制的に改ページすることができる。
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II. 文献表記 ( 和文編 )
VI. 調べるノウハウ
以下で具体的に例を示していくが、公表の形態は千差万別であり、ここに示された方法が万能というわけではな
い。肝心なのは読者がその註記を手掛かりに、迷うこと無く記された資料にたどり着くことが可能か否かなのであ
る。
1. 文献探索
01. 書籍関連サイト
a. CiNii Books
文献をどの図書館が所蔵しているかがわかる。
1. 書籍
b. 国立国会図書館
01. 単行書
原則として国内で出版されたすべての出版物がある。
著者、
『書名』、出版社、発行年。
c. 日本の古本屋
高階秀爾、
『美の思索家たち』
、青土社、1983 年。
縦書きの際には、アラビア数字ではなく漢数字を用いる。
02. シリーズもの
どうしても見つからない本が見つかるときがある。複数の古書店の価格を比較できるのも便利。
d. Amazon
書籍データベースとしても使える。
著者、
『書名』( 監修者等シリーズ全体に関わる人物名、
『シリーズ名ナンバー等』)、出版社、発行年。
若桑みどり、
『カラヴァッジョ』( 吉川逸治、摩寿意善郎監修、『世界美術全集 11』)、集英社、1978 年。
02. 論文
a. CiNii Articles
雑誌論文タイトルの検索ができる。PDF 形式で本文をそのまま閲覧できるものもある。
2. 展覧会図録
b. Nii-DBR
01. 単独館開催の図録
博士論文など、国内学術機関が作成している複数のデータベースを検索。
『図録名』( 展覧会図録 )、主催館名、発行年。
『みちのくの造形』( 展覧会図録 )、宮城県美術館、1987 年。
02. 巡回展等複数館開催の図録
2. 作業フローの例(この順番にやらなくてはならないというわけではありません)
特定の作品について調べることになったら
『図録名』( 展覧会図録 )、監修者等その図録全体に関わる人物名+役割、主催者名 ( 会場名 )、発行年。
01. 基本書籍を探す
『道標−生のあかしを刻む柳原義達展』( 展覧会図録 )、酒井哲朗監修、柳原義達展実行委員会 ( 宮城県美術館、茨城県
a. 基本書籍とは
カタログ・レゾネ (Catalogue raisonne)--- 全作品カタログ
近代美術館、佐倉市立美術館他 )、1995 年。
ごくまれに発行年と展覧会の開始日がずれる場合がある。その際は主催館名に続けて ( ) 内に会期を記すべきである。監修
者がいない場合にはその項目を記す必要はない。主催者名と会場名が一致する場合には会場名は省いたほうがよい。巡回会場が
多い場合、註に記すのは 3 館程度にし、あとは「∼他」の形で処理したほうがすっきりする。
なるべく新しいワンマンショーの展覧会図録
一人の作家をテーマとしたものならば、まずこの二種類を探す。日本語だけでなく、他言語 ( 英
語に限らず ) でも検索する。作品データくらいなら必ず読める!この場合なら作家名や "catalogue" ,
"raisonne" などをキーワードにして検索する。出てきた文献については、基本書籍以外のものについて
3. 論文
も文献表記のやり方に従って記録しておくこと
01. 雑誌論文
b. どこで探すか
著者、
「論文名」
、『掲載誌名』( 発行母体 )、巻号、発行年、頁。
最初は大学の図書館 → 嵯峨芸術大学附属図書館蔵書検索
児嶋由枝、
「ミケランジェロの彫像表現 一五三〇年前後におけるその変化と意味について」、
『美術史研究』( 早稲田大
次に CiNii Books
学美術史学会 )、26 冊、1988 年、122-140 頁。
日本語による註であることを考えれば、p. の表記は避け「頁」を用いるべきである。非常に多い間違いとして「頁」の漢字誤
c. なぜ「基本書籍」を読むのか
その作品についてどんな問題があるのかを知る
記がある。
「ぺーじ」と入力して変換するだけなのだが、
「頁」を「ぺーじ」と読まずに、
「こう」と読んで変換し、項や貢とす
作者がはっきりしない
る人が多いが、明らかな間違いである。
制作年代がはっきりしない
雑誌タイトルから発行母体が容易にわかる場合は、発行母体を記さなくてよい。
主題がはっきりしない
巻号の記述で、第○巻第○号のようにするのは煩雑である。○巻○号でこと足りる。○月号という表記を加えることもあるが、
なぜ制作されたのかがわからない
多くの図書館で巻・号にしたがって合本しているので、特別な理由のない限り○月号の表記は必要ない。
02. 論文集所収の論文 ( 個別に発表されたものの集合体、あるいは執筆分担が明確になっている複数著者に
よる書籍 )
その他諸々
02. 基本情報を得る
a. 基本情報とは
著者、
「論文名」
、『論文集名』( 著者・編者・監修者等 )、出版社、発行年、頁。
i. 作品データ
若桑みどり、
「ルネサンス的空間の崩壊マニエリスムとバロックへの道」、『遠近法の精神史』(佐藤忠良/中村雄二郎/
タイトル(発表時のタイトルが違う場合など、タイトルが変化する場合もあるので注意)
小山清男他)
、平凡社、1992 年、149-222 頁。
制作年(根拠も調べること。作品中の書き込みや契約記録、作家のメモなどが根拠となってい
藤澤房俊、
「おだやかな監禁としての救貧院−ナポリのアルベルゴ・ディ・ポーヴェリ」
、『ネットワークのなかの地中海』
る場合が多い。状況証拠の場合にはとくに根拠を注意深く検討すること)
(歴史学研究会編)
、青木書店、1999 年、315-341 頁。
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サイズ
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03. 展覧会図録所収の論文
V. 文献表
著者、「論文名」、『図録名』以下展覧会図録の項に準ずる。
本文中で触れたり、引用した文献の一覧表である。刊行年順あるいは著者名順で並べ変える。内容によってはま
ずジャンルで並べ変えてもよい。ここでそれぞれの文献に略号を与え、註では「略号、頁数」の形で出典を示すよ
市川政憲、
「『技術』の時代」、
『写実の系譜 III 明治中期の洋画』( 展覧会図録 )、東京国立近代美術館/京都国立近代美術館、
1988 年、25-33 頁。
うにすると、註が見た目にすっきりとし、わかりやすくなる。
4. 表記のコツ
01. 著者・翻訳者等が多人数の場合
1. 略号の付け方
著者名 刊行年
原則として註記に記すのは原典に記された順に 3 人までとし、それ以上は「∼他」で処理する。
01. 同じ著者で同じ刊行年の文献が複数ある場合
著者名、刊行年 a
それぞれの名前は/で区切る。
読点(、)で区切ると論文名や書名との区切りと同じ記号になってしまうし、なかぐろ(・)で区切ると西欧人名の姓名の区
著者名、刊行年 b
切りと同じになってしまうからである。
02. 著者名のないもの
02. 翻訳書、翻訳論文
刊行地 刊行年
文献のタイトルに続けて( )内に翻訳者の情報を記す。
井関 1984: 井関正昭、
『画家フォンタネージ』、中央公論美術出版、1984 年。
監修・監訳者がいる場合は( )内に○○監修や○○監訳、□□訳とする。
井関 1989: 井関正昭、
『イタリアの近代美術』
、小沢書店、1989 年。
ハンス・ベルティング、
『美術史の終焉?』(元木幸一訳)、勁草書房、1991 年。
小川 1997a: 小川裕充、
「宋元山水画における構成の伝承」
、『美術史論叢』
(東京大学大学院人文社会系研究科・文学
ウード・クルターマン、
『美術史学の歴史』(勝国興/高阪一治訳)、中央公論美術出版、1996 年。
部美術史研究室)
、13 号、1997 年、1-40 頁。
小川 1997b:小川裕充、
「牧谿筆湘瀟八景図巻の原状について」
、
『美術史論叢』
(東京大学大学院人文社会系研究科・
文学部美術史研究室)
、13 号、1997 年、111-123 頁。
『20 世紀美術におけるプリミティヴィズム 「部族的」なるものと「モダン」なものとの親縁性』
(ウィリアム・ルービン編、
吉田憲司/圀府寺司/小川勝他日本語版監修、小林留美/長谷川祐子/内海涼子他訳)、淡交社、1995 年。
03. 版・刷の問題
複数の版や刷がある場合は、自分が用いたものをそのまま記すのが原則。ただし、初版のデータも書
2. 文献表と註の連動
いておくこと。
略号、頁。
版や刷によって内容の異同がある場合は、その旨を書き込むなどしておくのがよい。
1. 小川 1997a、35 頁。
出版年に続けて( )内に記す。
『荘司福 東北の風土から内省の深みへ』(展覧会図録)、宮城県美術館、1997 年(第二刷、初刷も同年)。
2. 井関 1989、5-10 頁。
本文につける註では、文献表の略号と実際に参照した頁数とを記す。
西洋美術史研究室 芳野 明 /[email protected]
西洋美術史研究室 芳野 明 /[email protected]
6
7
4.
III. 文献表記(欧文編)
ibid.
例の註 4 は註 3 とまったく同じ内容を指す。
1. 書籍
01. 単行書
著者名 , 書名(イタリック、手書きの場合はアンダーライン), 出版地(,)出版年 .
Peleo Bacci,
, Firenze 1936.
出版地と出版年の間に , を置いてもよい。, や . の後は、半角スペースをあける。
02. シリーズもの
いちいちもとのシリーズ名を記さなくてもよいと思うので割愛。単行書と同じでよい。
03. 展覧会図録
欧米では展覧会図録も一般書籍として発行されるのが通常であるため、単行書と同じ扱いでよい。
2. 論文
01. 雑誌論文
著者名 , " 論文名 ", 雑誌名 ( イタリック、手書きの場合はアンダーライン ), 巻・号 , 出版年 , 頁 .
J. Fletcher, "Marcantonio Michiel, 'che ha veduto assai'",
, 123, 1981, pp. 602-608.
02. 論文集
著者名 , " 論文名 " in 論文集名 ( イタリック、手書きの場合はアンダーライン ), 出版地 出版年 , 頁 .
M. Holmes, "Copying Practices and Marketing Strategies in a Fifteenth-Century Florentine Painter's Workshop" in
(Ed. by S. J. Campbell/S. J. Milner), Cambridge 2004, pp. 3874.
03. 展覧会図録所収の論文
論文集と同じでよい。
3. 主要略号
01. p. と pp.
1頁だけなら、p. 頁が複数になるなら pp.
p. 3 p. 4 pp. 32-45
p. は page の省略形で pp. は pages の省略形
02. op. cit.
前掲書 ( 論文 ) の意味。必ず著者名と一緒に使う。ただし、文献表 + 略号で註記をしている場合は使う
機会がない。
1.
J. Fletcher, "Marcantonio Michiel, 'che ha veduto assai",
, 123, 1981, pp. 604-605.
2.
J. Fletcher, "Marcantonio Michiel, his friends and collection",
3.
A. Bolland, "Desiderio and Diletto: Vision, Touch, and the Poetics of Bernini s Apollo and Daphne",
, 123.1981, p. 453-467.
, 82, 2,
2000, pp.309-331.
4.
J. Fletcher, op. cit., p. 460.
例の註 4 は Fletcher の前掲書という意味。註をさかのぼって見ていって、註2に出てくる Fletcher の著作を指すので、
"Marcantonio Michiel, his friends and collection" が該当し、その 460 頁ということになる。註1のものではない。
01. ibid.
同上の意味。著者名と一緒には使わない。ただし、文献表 + 略号で註記をしている場合は使う機会がない。
1.
J. Fletcher, "Marcantonio Michiel, 'che ha veduto assai",
, 123, 1981, pp. 604-605.
2.
J. Fletcher, "Marcantonio Michiel, his friends and collection",
3.
A. Bolland, "Desiderio and Diletto: Vision, Touch, and the Poetics of Bernini s Apollo and Daphne",
, 123.1981, p. 453-467.
, 82, 2,
2000, pp.309-331.
西洋美術史研究室 芳野 明 /[email protected]
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