2005−21 活動名称 「小山のおうち」の実践 10 年と「交流塾」の展開 応募者 医療法人エスポアール出雲クリニック重度認知症老人デイケア 小山のおうち 施設長 高橋幸男 連絡先 〒693-0051 島根県出雲市小山町 361-2 (概要) エスポアール出雲クリニックは、出雲市の住宅地に1991年4月に開設。2年後の93年3月、重 度認知症のお年寄りを対象にしたデイケア「小山のおうち」 (定員15人)が誕生した。 「交流塾」は、 「小山のおうち」で、デイケアを実践して10年たった2003年2月から始まった。 実践で認知症のお年寄りから学んだこと、 それは認知症のつらさであったり、 笑顔であったりするが、 なぜ辛いのか、どうしたら笑顔が出るのか。認知症の人の本当の心を 1 人でも多くの人にわかってもら おう、私たちはそう考え、学んだ 財産 を地域の人達と共有すべき、と「交流塾」をスタートさせた。 「小山のおうち」では、認知症は恥ずかしい病気ではなく、長生きすればだれでもなりうるものとし て、まず、物忘れを認め合っている。そして認知症の人たちは、周囲が思うよりはるかに自分や周囲の ことを理解しているが、コミュニケーションの手段をなくした人たち、という認識のもと、思いを引き 出し、言葉や行動で表現してもらうグループワークを行っている。認知症のお年寄りたちによって書か れた手記には、認知症になりゆく不安や辛さ、困惑が見てとれる。しかし、物忘れを認め合うことで次 第に穏やかさになり、プログラムでの主役体験を通じて輝き始め、自信を取り戻していく。 会場は、クリニックに併設されたリハビリセンター「ゆう」 。毎月1回午後 7 時から8時半まで。一 般市民を対象にしたが、参加者は現・旧の介護者、介護・医療・行政等の職員、将来の参考にしたい人 など様々。平均 40 人前後の参加者があり認知症への関心の大きさを証明した。 しかし、夜間は、実際に介護する家族らにとって家を空けにくい。一般市民に来てもらうといっても、 次第に参加者は施設や行政職員など関係者中心になってしまう。そこで、2004年 11月からは クリニックのスタッフが直接、地域のコミュニティーセンターに出向いて地域住民と交流する「出前交 流塾」に衣替えした。1箇所3回シリーズ。テーマは「認知症を患うとはどういうことか」 、 「認知症高 齢者の心の世界」 「小山のおうちの実践」 (認知症のお年寄りの心とかかわり) 、 「認知症の予防など」 。出 雲市の保健師や民生委員、老人会の協力もあり、従来の「交流塾」にも増して住民、介護する家族とふ れあえる。 出雲市のキャッチフレーズは「ぼけても笑顔で暮らせる街づくり」であり、私たちの活動目的と一致 している。 「出前交流塾」の要望は出雲市周辺自治体住民からもあり、再来年の初めまで会場は決まって いる。将来は学校にも出かけて子供たちにもわかってもらおう、と考えている。認知症の人が笑顔で暮 らせる街は誰もが暮らしやすい街のはずである。 24
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