メキシコ (128KB、2012年2月)

メキシコ医療情報
以下は必ずしも最新の医療事情ではありません。詳細(特に緊急時対応や予防薬の服用方
法など)については現地医療事情に詳しい医療専門家から常に最新のアドバイスを受ける
ようにしてください。
最新更新履歴:2012年2月
1.赴任前の準備
(1)予防接種
入国に際し義務づけられている予防接種はないが、1)狂犬病 2)A 型肝炎 3)破傷風4)
B 型肝炎の接種を勧める。派遣までに時間がない場合は、1)と2)のワクチン接種に努め、
できるところまで行い、3 回目は、現地購入、現地接種も可能だが、一時帰国時の接種を勧
めている。
小児は、三種混合の追加接種、おたふく風邪、風疹、はしかなどの予防接種を済ませて
おくとよい。なお、メキシコでは狂犬病の予防接種は行われていない。動物咬傷を受けたあ
とに接種するのみなので、特に子供の狂犬病予防接種は2回目まで必ず済ませて赴任する
ことを勧める。
(2)その他の準備
眼鏡やコンタクトレンズは、紛失や破損の可能性を考慮して、スペアを含めて持参したほ
うがよい。いずれも現地で購入できるが、微調整を強く求めると希望どおりにならないことも
ある。購入できるコンタクトは、チバビジョン・アキュビュー・ボシュロムなど。保存洗浄液は
355ml のボトルでRENU ・ボシュロム・OPTIFREE などでいずれも900 円程度。保存洗
浄液はスーパーや薬局で購入できる。
2.医療事情
(1)医療機関
メキシコ市、グアダラハラ市、モンテレイ市の国内3大都市には高い医療水準の総合病院
が幾つかあり、重症度、或いは疾患に拠りより専門性の高い医療機関での治療が可能であ
る。受診にはいずれの病院も予約が必要で、診察料は700∼1,500ペソ(5,000∼10,500
円)で専門医によって異なる。私立病院で入院治療が必要な場合は、高額の入院保証金
(US$2,000以上)の支払いが必要となる。また、一般的に医療費は高く、例えば虫垂炎手術
(3-4 日入院)の場合、約8万ペソ(≒56 万円)が掛かる。
皮膚科、眼科、耳鼻科、歯科の受診や、緊急性がない一般傷病の場合は、日本人医師、
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あるいは日系人医師が開業する個人クリニックで日本語での診察を受けることができる。メ
キシコ市には、多くの日系人医師が開業しており、医師間のネットワークが強いことが特徴
である。「Asociacion Medica NIKKEI De Mexico Directorio Medico」に56名の日系人医
師が登録している。(注)日系人歯科医は除く。
メキシコの主な医療機関は次のとおりである。
<メキシコ市>
<総合病院(全科)>
①Hospital Español de México (スペイン病院)
<病院前景>
<MRI>
<病室>
<ICU個室>
住所:Ejército Nacional 613, Col. Polanco,Mexico City
電話:5255-9600 / Urgencias: 5255-9646∼9(急患24時間対応)
URL:http://hespanol.com
診療時間:10:00~14:00
16:00~20:00(月∼金)
診察料:700~1,200ペソ
入院費:20,000~28,000円(全個室)
備
考:1937 年にスペインの慈善事業団体によって設立された私立総合病院で、
ICU10 床、CCU10 床を揃え、心臓外科、脳外科治療も受けられる。約
2000 人の医師(常勤医は約200 人)、150 人の学士看護師、その他60
人のパラ・メディカル・スタッフが勤務し、ベッド数約400 床(老人ホーム、
精神科病院などを加えると約800 床)、CT2 台、MRI、血液銀行、透析室、
第三次救急外来、ヘリポートなどの設備を有し、毎日約150 人の外来患者
を受け入れている。系列病院がべラクルース市、プエブラ市、パチューカ市、
サン・ルイス・ポトシ市、タンピコ市、トレオン市にもある。
また、敷地内に外来棟があり日系人医師3名が日系人クリニックを開業し
ており、日本語で診察を受けることができる。
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②Hospital ABC(ABC 病院)
<病院前景>
<特殊外来センター>
住所:Sur 136 No116, Col. Roma,Mexico City
電話:5230-8000 / Urgencias: 5230-8161
URL:http://www.abchospital.com
備
考: 1886年アメリカの慈善団体により設立されたメキシコで最も歴史のある
私立病院。入院ベッド数200床、手術室10室、外来手術室7室があり最
新の医療設備を誇る。
1,400名の医師登録と40科目の診療科があり年間4,500人の治療実績
があり外国人患者も多い。癌センター、脳神経センター、心臓センター、
臓器・骨髄移植センター、肥満・メタボリックセンターがある。
③Hospital Angeles del Pedregal (アンヘレス・デル・ペドレガル病院)
住所:Camino A Sta. Teresa No1055. Col. Heroes de padierna,Mexico City
電話:5449-5500 / Urgencias:5568-1540/5652-6987
URL:http://www.hospitalangelespedregal.com
備
考:1984年設立の私立総合病院。入院ベッド数239床、登録医師数1,300人、
看護師500人。PET/CT等最新の設備を有する。同Angeles病院は、メ
キシコ市内に9病院、地方都市に12病院ある。耳鼻咽喉科に日系人医
師が常勤している。
④Hospital Angeles Mexico(アンヘレス・メキシコ病院)
住所:Agrarismo 208,MexicoCity
電話:5516-9900∼19 / Urgencias:5516-9900
URL:http://www.hospitalangelesmexico.com
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備
考:1986年設立の私立総合病院。前述のHospital Angeles del Pedregal
(アンヘレス・デル・ペドレガル病院)と同系列病院。入院ベッド数102床、
登録医師数700人。消化器内科に日系人医師が常勤している。
⑤Hospital Medica Sur
住所:Puente De Piedra150、Toriello Guerra, Mexico City
電話:5424-7200/5506-6222/Urgencias:5254-7200
URL:http://medicasur.com.mx
備
考:1982年設立の私立総合病院でメキシコ市内に5つ、モンテレイ市に1
つの系列病院がある。消化器内科、皮膚科、整形外科に其々日系人医
師が常勤している。
⑥Hospital San Angel Inn
住所:Avenida Mexico 2,Tizapan San Angel,Mexico City
電話:5550-5050
URL:http://www.hospitalsanangelinn.com
備
考:2008年設立の私立総合病院。入院ベッド数60床の小規模の病院だ
が、最新設備が整っている。
日本人の小児科医が常勤している。
⑦Star Medica Infaaanitil(小児科専門病院)
住所:Viaducto RioBecerra 97Col. Napoles Deleg Benito Juarez,Mexico
City
電話:5682-5000/Urgencias:5340-1026
URL:http://www.starmedica.com
備
考:1969年設立の私立小児専門病院で全国8都市に系列病院がある。
日系人の小児科医が常勤している。
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⑧Instituto Nacional De Cardiologia(国立心臓血管疾患専門病院)
住所:Juan Badiano #①Col.Seccion XV1 Del Tlapan C.P 14080,Mexico
City
電話:5573-2911
URL:http://www.cardiologia.org.mx/
備
考:1944年に設立された国立心臓血管疾患専門病院。1979年に現在地
に移転し最新設備を備え、病院規模も拡大した。
入院ベッド数172床、ICU(大人32床、小児12床)、年間手術実績1,251
例(2008年)、医師数437名である。同病院の医師複数名が、2011年9
月に本邦で実施される官民連携研修プログラム(テルモ株式会社と湘南
鎌倉総合病院)の経橈骨動脈冠動脈カテーテル検査研修に招聘される。
<メキシコ市の日本語の通じる開業医、クリニック>
(参考レート:1 ペソ≒5.72円 2011 年12月現在)
<スペイン病院外来棟>
【内科】
・
宗田博義医師 胃腸科、内視鏡科:スペイン病院内(往診可)
診察時間:月・水・金 10:00-14:00/16:00-20:00
火・木 10:00-14:00
診察料:900ペソ
住所:Ej::4
>数院。ologia.org.mx/i 新館10階1001号室
電話:5250-7975、5250-7964
・
白石エンリケ医師内科:スペイン病院内 (上記写真)
診察時間:月∼金 10:00-14:00/16:00-20:00
住所:Ejército Nacional 613, Col. Polanco 新館10 階1001 号室
電話:5250-7975、5250-7964
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【小児科】
・
飯室恵子(Keiko Imuro) 医師
診察時間:月・水・金 16:30-20:00
診察料:初診:750ペソ、再診:650ペソ
住所:San Francisco 1626-302, Col. Del Valle
電話:5534-1364、5524-7157
・
堀 卓史医師 (往診可)
診察時間:月∼金 10:00-14:00/16:00-20:00 、土 10:00-14:00
診察料:800ペソ、往診:1,200ペソ
住所:Av.Chapultepec 489-310 Col. Juarez Delig, Cuauhtemoc C.P.06600
(San Angelin Hospital 内)
電話:1126-0222(Ext.2310, 2330)
【整形外科】
・
多富康志医師 :スペイン病院内 (上記写真)(往診可能)
診察時間:月∼金 10:00-14:00/16:00-20:00
診察料:初診:750ペソ、再診:650ペソ
住所:Ejército Nacional 613, Col. Polanco 新館10 階1001 号室
電話:5250-7975、5250-7964
・
高橋リカルド医師:(Hospital Medica Sur内)
診察時間:月∼金 11:00∼13:30/16:30∼19:30、 土(隔週) 10:30∼12:30
住所:Hospital Medica Sur 内 Torre 1, Puenta de Piedra No.150,Col.Toriello
Guerra, Tlapan
電話:5254-7200Ext.4405
(直通)5528-2774
【耳鼻科】
・
久米 正雄(Masao Kume) 医師
診察時間: 月∼金 11:00-13:00/16:00-19:00
住所:Hospital Angeles Camino a Sta.Teresa No.1055,Consltorio774,
Col. Heroes de Padierna(Angeles 病院内)
電話:5568-6954∼5
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【眼科】
・
難波新(Carlos Arata Namba ) 医師(コンタクトレンズ取扱、眼科医師3 名常勤)
診察時間:月∼金 11:00-14:00/16:30-19:00
診察料:初診:650ペソ、再診:600ペソ、Lasik 手術:15,000ペソ(参考)
住所:Provindencia No.610, Col. Del Valle
電話:5687-2020、5687-0929
【皮膚科】
・
北条トモカ(Hojo Tomoka )医師(Hospital Medica Sur内)
診察時間:月∼木 16:00-19:00、木12:00-13:30、金11:00-14:00
診察料:初診:1,000 ペソ、再診:900 ペソ
住所:Hospital Medica Sur 内 Torre 1 Consultorio 221, Puenta de Piedra
No.150,Col.Toriello Guerra, Tlapan
電話:5606-1948/5606-7745
【歯科】
・ 松村恵美子医師(日本と米国の歯学部卒、メキシコ人歯科医師(軍病院勤務)の夫と開
業)
診察時間:月・水・金 14:00-19:00(その他、日程調整可能)
診察料:初診:450ペソ(クリーニング代含む)
住所:Ejercito Nacional 475-2A, Col.Granada,
電話:5545-0156
・
佐藤 モニカ医師(矯正歯科専門医)
診察時間:火・水・木 :16:00-19:00
住所:Homero407-101 y 102 , Polanco
電話:5254-8406、5255-2144
【口腔外科】
・
木村タカオ医師
診察時間:火・木・土 :9:00-13:00/15:00-19:00
診察料:500ペソ
住所:Adoifo Prieto 623,103号室 Del Valle
電話:5669-0530
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<モンテレイ市>
・ Hospital San Jose Tec de Monterrey(私立大学総合病院)
<病院前景>
<病室>
住所:Av.Ignacio Morones Prieto 3000Pte Col. Doctores, Monterrey,Nuevo Leon
電話:(81)8347-1010、緊急:(81)8348-2575/3277、フリーダイアル01800-475-2000
外国人コーディネーター直通:(81)8389-8390、フリーダイアル01800-475-6334
e-mail:[email protected]
[email protected]
URL:http://international.hsj.com.mx
診察料:一般医:185ペソ、専門医:350∼1,100ペソ、救急:540ペソ
入院費:(全個室)スタンダード:2,900ペソ、ジュニアスィート:5,400ペソ、
マスタースィート:8,000ペソ
備
考:1969年に設立された私立モンテレイ工科大学医学部付属病院。入院ベッド
数200床、医師数350人、看護師1,500人でUSAの最新医療システムを取
り入れた近代的な病院。特に心臓学、腫瘍学、脳神経学、臓器移植学、肝
臓疾患の分野ではラテンアメリカでトップの技術と実績を誇っている。同地
域は、古くから工業都市として栄え、中南米一裕福な都市という立地条件
のため利用者は裕福な患者層で占められている。患者の15%は、ヌエボ・
レオン州外、或いは米国から治療のために訪れている。病院の設備、サー
ビス、医療技術は、メキシコ市の私立病院と比較しても遜色ない。
<ケレタロ市>
① Hospital Angeles de Queretaro
<病院前景>
<CTスキャン>
<病室>
住所:Bernardino del Razo No.21,Col.Ensueno,C.P.76178,Santiago de
Queretaro
電話:01(442)192-3000
Fax:01(442)192-3000
Urgencias:01(442)192-3000 Ext.5135
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URL:http://www.hospitalangelesqueretaro.com
診察料:一般診察:600ペソ、救急外来:378ペソ
入院費:全個室 スタンダード:1,440ペソ+税金、スウィート:2,647ペソ+税金
備
考:全国にあるAngeles Hospitalグループ(メキシコ市内 9病院、地方都市
に12病院)のひとつで、建物、設備共に新しく衛生的な私立総合病院。CT、
MRI、マンモグラフィ、3D超音波、ICU8室、手術室10室等の設備がある。
脳外科、心臓血管外科手術が可能で、血管造影、心臓カテーテル検査、
心筋梗塞・脳梗塞のステント術の実績がある。
② Hospital San Jose de Queretaro(私立総合病院)
<病院前景>
<個室>
<MRI>
住所:Prol.Constituyentes No.320,Col.El Jcal、Queretaro
電話:(442)141-7670/211-0080
URL:http://www.hospitalsanjose.com
入院費:全個室
スタンダード:1,467ペソ、スウィート:2,575ペソ
マスタースウィート:3,422ペソ
備
考:ケレタロ市内にある私立総合病院。CT、MRI等の設備が整っている。心
臓血管外科手術が必要な場合は、メキシコ市に搬送となる。日常の診察
で利用するには問題ない。
<べラクルース市>Sociedad Espanola Beneeicensia(私立総合病院)
<病院前景>
<CTスキャン>
<病室(全個室)>
住所:Av.16 De Septiempre #955,Veracruz
電話:(229)262-2300
Fax:229)932-1100
緊急時電話番号:(229)931-4000,262-2300
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URL:http://www.beneficiaespanola.com.mx
e-mail:[email protected](総務部長)
診察料:一般外来:300ペソ、救急外来:487ペソ
入院費:スタンダード:1,116ペソ/泊、スウィート:2,784ペソ/泊
設 備:入院ベッド42床、CTスキャン、超音波、救急外来7床、手術室6室、
IUC4床、血液バンク、血液透析室、院内薬局、救急車
備 考:1902年設立のべラクルースで最も歴史があり且つ設備が整った病院。
一般診察と治療、精査に利用できる。心臓外科手術、脳血管外科手術の
場合は、メキシコシティーへの搬送が必要である。また、べラクルース国際
空港から第三国移送も可能である。
<タマウリパス州シウダッド・ビクトリア市>
①Hospital General Ciudad Victoria Tamaulipas(国立病院)
<病院前景>
<個室病室>
<レントゲン機器>
電 話:(834)318-5300
設 備:CTスキャン、マンモグラフィ、超音波、心血管造影室、血液透析6床、中央
手術室、血液バンク、救急外来、ICU12床、
診察料:約500ペソ
個室入院費:1,500ペソ
備 考:清潔で設備が整った国立病院。より専門性の高い国立専門病院も同市内
にあるが、医師の紹介により受診が可能。
③ Clinica Medica Norte Especialidades(私立クリニック)
<病院前景>
<レントゲン機器>
<個室病室>
住 所:Fidel Velazquez No.1919, Col. Doctores,Ciudad Victoria,Tamaulipas
電 話:(834)314-4242
設 備:入院ベッド14床(全個室)、救急外来、手術室1室、超音波、血液透析室、
診察料:一般医:350∼600ペソ、専門医:500∼600ペソ
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入院費:1,300ペソ/泊
備 考:国立病院より診察に係る待ち時間は少ない。下痢、発熱、風邪等の症状が
あるとき利用できるクリニックである。
<グアナファト州セラヤ市>
Medica Avanzada Celaya(私立総合病院)
<病院前景>
<ICU>
<CTスキャン>
住 所:Av.Ferrocarril Central 709,Col Laureles, Ceraya, Guadnajuato
電 話:(461)609-09.38/192-0900
Fax:(461)192-0900
URL:http://www.hospitalesmac.com
設 備:入院ベッド数22床(全個室)、救急外来5床、ICU6床、中央手術室6室(一
室心臓血管外科専用)、CTスキャン、オープンMRI、超音波、マンモグラ
フィ、心血管造影室(心・脳血管ステント術可能)、血液バンク、血液透析
室6床、ヘリポート、
診察料:専門医:636ペソ、救急外来:276ペソ
入院費:1,060ペソ/泊
備 考:2008年にオープンした私立総合病院。心臓血管外科、脳外科手術の実績
もあり、設備も整っている清潔な病院である。
(2)緊急時の対応と措置
総合病院には24 時間受け付けの救急センターが整備されている。救急車の無料サー
ビスもあるが、自身で動ける場合はタクシーで病院に移動するのが最も早い方法である。
病院にかかりつけの医師がいる場合は、救急外来で医師の名前を告げ連絡してもらうほう
がよい。入院することも想定して身の回りの品(下着や歯ブラシ)の持参を勧める。
入院時には保証金として最低2,000米ドルが必要である。(注)保証金の金額は傷病の種
類によって異なる。(例:一般入院:1,900US$、CCU:4,500US$ 、ICU: 31,000US$)
外国人が安心して行ける病院として、メキシコシティー内では先に紹介したHospital
Español(スペイン病院)、Hospital ABC(ABC 病院)、Hospital Angeles del Pedregal(ア
ンヘレス・デル・ペドレガル病院)がある。
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3.医薬品、衛生用品
(1)携行することが望ましい医薬品
使い慣れており信頼が出来る常備薬があれば、携行したほうが安心である。同じ薬で
も1 錠含有量が日本と違うことが多い。なお、シップ等の貼り薬(例:「パテックス」「サロン
パス」など)は入手が難しい。最近売り出してはいるが、品質は格段に劣り、大変高価であ
る(抗炎症剤クリーム・ジェルであれば入手は容易)。大気汚染がひどく、目の充血・のど
の痛みなどを訴える人が多いので、普段使っているうがい薬・トローチ・点眼薬(乾き眼用、
ビタミン入りの目薬など)・食あたりのための下痢止めは持ってくると重宝する。現地でヤ
クルト(乳酸菌飲料)は購入できるが乳酸菌入りの整腸剤は入手が困難であるため、胃腸
が弱く整腸剤を常用している人は多めに持参することを勧める。
(2)現地で調達できる医薬品
あらゆる医薬品が薬局で入手可能である。解熱鎮痛薬・抗菌薬までは処方箋無しでも
購入できるが、抗精神薬や睡眠剤などの処方薬は、医師の処方箋なしでは購入できない。
睡眠薬等は診察なしでは購入できないことや種類によっては入手できない抗不安薬もあ
るため、必要であれば日本から持参すること。
(3)現地で調達できる衛生用品
包帯、ガーゼ、綿棒、生理用品、絆創膏などは良質のものが薬局やスーパーで入手でき
る。
(4)薬局
大きな薬局が数多くあり、自宅への配送サービスがあるところ、24 時間開いているとこ
ろも多い。大手スーパーのなかにも必ず薬局がある。処方箋は特殊な薬(抗精神薬、睡
眠剤など)のみ必要となる。
(5)化粧品
普段使っているものはできるだけ持参した方がよいが、首都では各種外国製メーカー
の化粧品の購入が可能(クリニーク、HR、デュ・ラ・メール、クリスチャン・ディオール、クラ
ランス、ボビーブラウン、ランコム、ゲラン、シスレー、シャネルなど多種類)。メキシコ市は
2,240mの高地にあるため、平地の30%増しの紫外線を浴びていることになり日焼け止
めローション、クリーム等が必要だが、空気が乾燥しているためクリームタイプが使用に
適している。
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4.妊娠、出産、育児
(1)妊娠した場合の対応
メキシコの産婦人科医の水準は高いため、メキシコシティーでは設備の整った病院で
一般的な妊娠時の管理をすることは可能である。通常は個人開業の診療所にかかり、9
カ月まで月に1 回、10 カ月で3 週に1 回の定期検診を受ける。入院や手術あるいは出
産をするときは、主治医が契約している病院で行う。初診では妊娠反応検査(尿)・超音
波・子宮癌検査・血液検査の指示などで約2000ペソ、血液検査は検査会社に別途赴く必
要がある(支払いも別)。双生児出産、帝王切開時などへの対応も実績はあるが、入院期
間が日本よりも短いことや、産後の育児・家事等のことも考慮し、妊娠の管理のみに
留め日本での出産を勧めている。
(2)出産後の対応
自然分娩でも帝王切開でも、産後は2∼3日で退院となる。出産後は、母親は産婦人科
の診療医が担当し、入院している間の新生児は小児科医が担当する。メキシコは出生地
主義をとっており、メキシコで生まれた子供はメキシコ国籍を取得するため、出生届(レヒ
ストロ・シビル:Registro Civil)の手続きを行わなければならない。出生届は区役所でもで
きるが、役所の雑踏のなかに新生児を連れて行かなければならないので、あまり勧めら
れない。入院中であれば病院でも手続きができるので、事前に病院の窓口で必要書類・
手続き方法を確認しておくとよい。また、日本国籍を取得するためには、大使館へも出生
届を出さなければならない(所定の様式がある)。この時にメキシコの出生証明書(アクタ・
デ・ナシミエント:Acta de Nacimiento)も提出しなければならないので、出生届を出す際
に出生証明書を5∼6通とっておくとよい。予防接種は、ポリオ、三種混合、はしか、風疹、
おたふく風邪、BCG など、ほぼ日本と同様に受けられる。接種時期などは日本とは少し
異なる。
(3)育児
使い捨ておむつを含めて、殆どの育児用品は現地で揃い、欧米の有名なメーカーの製
品もある。しかし、肌着など、肌に直接あたるものは、その肌触りや使用感から、日本から
持参したほうが安心であるという経験者も多い。すべり止めのついた靴下などはない。
なお、メキシコの習慣である男児の割礼と女児のピアスの穴あけは、出産直後に行わ
れる。希望しない場合は前もって伝えておくことが必要である。
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5. 手術
(1)現地で可能な手術
脳外科、心臓外科、腎移植など殆どの手術は可能である。
(2)手術設備の状況
Hospital Español(スペイン病院)相当の病院には救急センター、ICU、CCU、透析室、
血液銀行が備わっている。病室はほとんどが設備の整った個室で、テレビ・シャワーDVD
プレーヤー・付き添い用の簡易ベッドもついている。食事は常食になると数種類のメニュ
ーから選べる。
(3)その他の留意点
術後の離床はかなり早く促し、手術翌日でもシャワーを浴びるように言われるなど、付
き添いが必要な場面が多い。総合病院であっても付き添いが泊まるのが当たり前という
意識があるので付き添いを確保する必要がある。
6.現地での傷病
(1)一般の疾病
平地の4分の3の酸素量であるため高山病になりやすく、慣れないうちは胃腸が活発に動
かない。また、人によっては非常に疲れやすく、頭痛が続くことがある。慢性的な不眠を訴え
る人も多い。高血圧などの循環器疾患や眼科疾患など持病のある方は、高地の影響から悪
化の恐れがあるので、日本で治療を受けておくことを勧める。
メキシコシティーは一年中摂氏20度前後の似たような気候だが、一日の最高気温と最低
気温の差および日陰と日なたの気温の違いが著しく、特に乾季(11∼4月)には風邪をひく
人が多い。一度風邪をひくと治りにくく、せきも止まりにくい。国土が広いため地域によって気
候は異なる(乾燥地帯、乾燥熱帯、温暖地帯、多湿地帯)が、どの地域でも昼夜の寒暖の差
は大きい。
メキシコシティーは高地でかつ人口が密集しているため、大気汚染がひどく、世界でも有
数の光化学スモッグ発生都市である。2010年も4月∼6月の乾季に大気汚染予備警戒警報
が度々発令された。首都圏の大気汚染度を示すImeca指数が、160以上で予備警報が発令
されるが、2010年7月1日からは、指数が引き下げられ155以上が予備警報発令の基準とな
る。アナリストは、気温の上昇や風がないこと、地下鉄やメトロバスなど市内のあちこちで大
掛かりな工事が行われていること、また、デモなどで渋滞が起こっていることなどが大気汚
染を悪化させる要因だと指摘している。以前に比べ若干大気汚染が改善されてきたと言わ
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れているが、のど、気管支の炎症を起こしやすいほか、目が痛くなる人もいるため、日ごろ
から帰宅後のうがいや目薬を使用することを習慣としていれば防ぐことができる。またアトピ
ー性皮膚炎を持っている人は悪化しやすいので、赴任に際しては主治医に相談することが
望ましい。やむを得ず赴任する場合は日本でも使用し、慣れている薬剤を多めに持参してく
る必要がある。(日本で使用していた薬剤でもメキシコでは処方できない薬剤があるため。)
<過去のデータ>
メキシコ保健省疫学局の統計による。(2010年8月現在、2009年度のデータなし)
2006 年
2007 年
2008年
消化器系感染
570 万1282 人
537 万7306 人
535 万8359 人
呼吸器系感染
2332 万8650 人
2362 万4145 人
2293 万9761 人
肝炎
2 万8117 人
2 万2215 人
2 万2158 人
デング熱
2 万2566 人
4 万2936 人
2 万6368 人
マラリア
2414 人
2297 人
2244 人
*(悪性マラリア数)
(15 人)
(2 人)
(0 人)
1 万5234 人
1 万4865 人
結核
1 万5305 人
(2)風土病、感染症
A 型肝炎、アメーバ赤痢、腸チフス、パラチフス等に注意すること。場所によっては野
犬が多く見られ、かまれた場合は、専門の医療機関でワクチン接種などの処置がとれる
ようになっている。以前に比べマラリア罹患率は減少傾向であるが、ここ数年、デング熱
の罹患率が急増しているため、南の気温が高い地域では防蚊対策(長袖、長ズボン、虫
よけ、蚊取り線香などの使用)を怠らないようにしたい。また、肝炎の罹患率も近年増加傾
向である。
(3)有害動物、病害虫
メキシコシティーの日本人居住地区では、特に心配はない。蚊、ハエ、ノミ、ダニ、毒蛇、
毒グモ、サソリ、ムカデ、毒アリ、ブヨ、ネズミなどはいるが、都市部ではほとんど見られな
い。半砂漠や野原などで大型のアリに刺されると、痛みと微熱が1週間ほど続くことがある。
野外に出かける時は、しっかりした靴に厚手の靴下の着用が不可欠である。
7.保健衛生
(1)飲料水
水道水の塩素含有量は日本の5 分の1程度であることや、水道水に含まれる有害物
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質が基準よりも高い地域もあるため、ミネラルウォーターを購入することを勧める。日本と
ミネラルの含有成分が違う上、人それぞれ体質にも違いがあるので慣れるまで下痢をす
る場合もある。胃腸系の弱い方や小さなお子様などは、ボトル入りのお水や浄水したお水
でも念のため、1度沸かしてから飲むことを勧めている。また、飲み物に入っている氷にあ
たる場合があるので、赴任当初は飲み物に氷を入れないことが好ましい。ミネラルウォー
ターはスーパーで販売されており、ガラフォンと呼ばれる19 リットルの大型の瓶やさまざ
まなボトルの飲料水が販売されている。配達してくれるシステムもある。
(2)濾過器の入手
メキシコ製濾過器が入手可能であり、日本から持参する必要はない。ミネラルウォーター
を用いれば特に必要はない。
(3)その他の留意点
生食をする野菜、果物で皮が剥けないもの(レタス、キャベツ、イチゴ、ブルーベリー、ア
メリカンチェリーなど)は水道水で十分に洗浄したあと、スーパーで売っている消毒液に5
∼10分浸し殺菌を行い、その後ミネラルウォーターで洗浄してから食べることを勧める。
或いは、Lista para comer という表示があるパック入りの野菜・果物類は消毒済みでそ
のまま食べられる。豚肉は十分に火を通してから食べること。のどが弱い人は、家庭に加
湿器を用意するとよい。風邪を引いたときにはマスクを使用すると回復が早い。特に乾季
の夜間はひどく乾燥し、ふつうの人でも喉が渇いて目が覚めることが多い。国産の加湿器
もスーパーなどで販売されている。現地でも購入可能なものもあるが、リップクリームも必
需品である。
メキシコシティーでは必要ないが、地方(特に南部)に行く時は蚊取り線香や電気蚊取り
器、虫除けを用意するとよい。いずれもスーパーや薬局で購入可能である。ただし、観光
地などの一流ホテルでは必要ない。
メキシコ人は、1 年に2 回検便をするのが習慣のようになっている。これは、寄生虫や
アメーバ菌の有無などを検査するためで、政府機関の保健所や診療所などで気軽に検査
できる。地域・家庭によって定期的に駆虫剤を内服しているところもあるが、寄生虫の種
類は多いので自己判断で内服せず、症状がある場合は検便検査を受け、医師の指示で
効果的な駆虫剤を使用することが大切である。なお、サルモネラ菌、ブドウ状球菌による
食 中毒もしばしば見られる。特に牡蠣などの魚介類はひどい食あたりを起こすことが多
いので注意が必要である。
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