日立がブラジル製機器の日本市場投入でシェア拡大狙う 日本の人々が、ブラジルの技術が使用されたデジタルテレビ放送を視聴することになる。 ミナス・ジェライス州に本社を置き、日立グループが先週買収したリネアル社が製造する 送信機が、日本市場に参入、NEC や東芝と市場を競う。 日立の計画は、リネアルを輸出をベースにした企業に変貌させるというもの。現在、同 社の主力はブラジル市場である。その輸出先の中心を担うのが、今後 4 年で稼働中の送信 設備の置き換えの波が到来する日本市場になる。2012 年には、最初の製品を輸出する見込 み。 送信機は、デジタル・フォーマットのコンテンツを送信するため、放送局と中継局で使 用される。 日立グループとしてリネアル社を買収した日立国際電気は、情報通信システムとテレビ 放送用システム、半導体を主体にした電気メーカーである。 リネアル社の買収は、8 月に合意の後、最終的に 9 月 27 日に締結された。さらに 9 月 29 日には日本側の経営陣が、新たに設立された日立国際リネアル電機株式会社(Hitachi Kokusai Linear Equipamentos Eletrônicos S.A.)の役員となったリネアル社の元共同経 営者 4 人に対して、新たな事業計画を提示した。買収額は、両社役員の間でコンフィデン シャル扱い。 「提示された目標の 1 つは、送信機の生産量を 2012 年末までに、現在と比較して 50% 引き上げること」と、リネアル社の共同経営者の 1 人でもあったカルロス・フルクトゥ オーゾ氏はコメント。さらに、「これで、新しい市場である日本市場への参入が可能にな る」と付け加えた。さらに同氏は、「ブラジル国内でも努力の結果、売り上げを拡大する と期待している」という。 同氏によると、もう 1 つの目標は、生産のおよそ 70%を輸出すること。 リネアル社は すでに製品を輸出した経験があり、顧客は 40 カ国を数えるが、輸出は現在の総売り上げ の 20%以下である。 29 日にブラジルの電気工業地帯としては最も歴史のある町のひとつ、ミナス・ジェライ ス州南部サンタ・リタ・ド・サプカイ市で新たな事業計画を提示したのは、新たに設立さ れた日立/リネアル社の木村茂社長。 リネアルの生産能力は今後、月間 200 台から 300 台へ引き上げられる。 フルクトゥオーゾ氏によれば、現在の 350 人の従業員(ブラジル国内で 320 人、同様に 日立が買収した米イリノイ州の工場に 30 人)は、2012 年末には 500 人体制に拡充される。 日立のブラジル国内の代表者の 1 人、三好康敦氏によると、経営計画の変更に伴って必要 な投資については「現時点では発表できる数字はない」とコメント。 三好氏は、日立によるリネアル買収について、「日立は伝統的に優れた技術を保有して いるが、今回、日本市場で競争力を確保するためにブラジル企業を買収する判断を下し た」と説明する。「日本が常に技術の先端にあるというのは誤解。ブラジルで着想された 技術には見るべきものがあり、まさにそれを、リネアル社が持っていた」という。 「同 社が生産する送信機の規格は、日本=ブラジル規格で、日本技術がベースであるが、完璧 な進化を遂げている」という。 三好氏はさらに、日立に加えて、デジタルテレビ用送信機市場で競合する NEC と東芝 は、それぞれがほぼ 3 分の 1 ずつ日本国内市場をシェアしているという。今回の買収で、 その地歩を拡大する意向だ。「競合他社はこの(リネアル社の)、コスト的にもパフォーマ ンス的にも優れた製品を持っていない。弊社は、この一歩を更新される機器の新しい基本 設計にすること。4 年から 5 年かけて、日本国内で送信機の最初の置き換えサイクルが到 来する」と説明した。置き換えサイクルが始まれば、民間放送局網と公共放送の NHK の 放送網で、契約締結に向けた競争で有利に展開できると期待する。 カルロス・フルクトゥオーゾ氏によればリネアル社は、2003 年にデジタルテレビ放送向 けの送信機生産に乗り出した。 最初の製品は 2007 年に完成。現在は、第 4 世代を生産す る。世代を重ねるごとにコストと消費電力を削減してきた。 1977 年に設立されたリネアル社は、2010 年に 4,800 万レアルの売上を計上、2011 年の売 上は 6,000 万レアルに達する見込み。 2012 年には、9,000 万レアルの売上を見込んでい る。フルクトゥオーゾ氏によると、「弊社は、クレジット・ラインが不足していたために 顧客から融資を受ける形で投資してきた」という。 (2011 年 10 月 3 日付けバロール紙)
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