日本の海洋を総合的に観測す るシステムの提案

日本の海洋を総合的に観測す
るシステムの提案
明治大学(泉キャンパス)
2012.12.1
赤井秀樹
金沢工業大学
グローバル・オブザベーション・システム研究会
(財)総合研究奨励会
1
目次
1.海洋政策の変遷
2.海洋事業の区分
3.日本の領海
4.現状と課題
5.研究の背景
6.研究の進め方
7.研究内容
8.システム
9.リモートセンシング
10.地上システム
11.空中システム
12.ネットワークシステム
13.海洋基本法 〈基本施策)への反映
14.まとめ
2
1.海洋政策の変遷
西暦
世界
40
50
70
冷戦
終結
サン・平和条約
1951
WⅡ
終戦
(領海)
漁業法
1949
2010
2020
1994
漁業主権法
1996
鉱業法
1950
海運・水産・工業振興
海底資源海洋開発等振興
政策
2000
国連海洋法条約
海洋法条約批准
排他的経済水域法
1996
領海法 1977
国内
(関連)
1990
公海自由
広い公海・狭い領海
海洋基本法
2007
基本計画
低潮線保全拠点
施設整備法
2010
2008
領海外国船舶航行法
2007
海賊処罰対処法
2009
(宇宙基本法 2008)
(水産基本法 2001)
鉱業法の一部改正
等に関する法
2011
国連大陸棚限界委
員会 2012
海洋政策本部
総合的推進
海洋管理
広い領海・狭い公海
3
2.海洋事業の区分
研究
調査
開発
調査
発掘
環境
気象
潮流
対策
教育
海難
航海
総合
海洋
政策
本部
漁獲
発電
安全保障
地震津波災害
持続性ある安心・安全な社会の構築維持 (里海醸成)
所管省庁 :
総
国
文
環
経
農
国・外・防
情報通信
4
3.日本の領海(EEZ含む)
国土面積
約38万 km2
領海(含:内水)
約43万 km2
接続水域
約32万 km2
領海(含:内水)+接続水域
約74万 km2
排他的経済水域
約405万 km2
領海(含:内水)+排他的経済水域 約447万 km2
海上保安庁
日本の領海概念図より
項目
数
離島数
6.852
有人島数
421
東西(Km)
3143
南北(Km)
3020
順位
国名
面積
(万km²)
1
アメリカ
762
2.1
2
オーストラリア
701
1.9
3
インドネシア
541
1.5
4
ニュージランド
483
1.3
5
カナダ
470
1.3
6
日本
447
1.2
7
(旧ソ連)
449
1.2
8
ブラジル
317
0.89
9
メキシコ
285
0.78
アメリカ国防省資料 1972.8
日本は(財)日本水路協会 1996.10 による
率
(%)
5
3.1.大陸棚伸延申請
大陸棚限界申請 海洋政策事務局作成
JAPIC海洋資源事業化研究会
国連大陸棚限界委員会認可
2012.4.27〈朝日新聞資料〉
6
4.海洋観測・監視の現状と課題
◇前提
・我が国は海洋国家である
・持続性ある安心安全な生活の維持
◇現状
・ EEZ内(境界領域)の観測監視
・ 沿岸域の観測監視
・ 沿岸域を航行する船舶等探知・監視
・ 注目対象物の画像を取得
・ 各種収集情報データの個別分析
・ 処理データを所轄機関単位毎伝送
◇課題 (将来の検討事項)
・EEZ内における資源等権益の確保
・我が国沿岸域における治安の維持
・海上交通における監視と安全の確保
・広域海洋環境の保全
・気象・水産・農業・減災情報の提供
・緊急海上輸送物資の効率的配分・流通
・持続性ある社会の構築
単一システムの整備
常続的監視困難
相互連携・坑堪性
継続性・緊急性
誰が、何を、如何に
何処まで観測監視?
7
5.研究の背景
2011年3月11日に発生した東日本大震災は幾多の
教訓を与えた
坑堪性、有機的連携、情報指揮の一元化の必要性
・大容量の高速通信網の構築
・重層的継続監視網の構築
・広域・常続・即時的な情報の把握と伝達
・被災下での空中・地上物資輸送網の構築
・統一指揮組織体制の構築
・多用途活用/相互補完可能な観測システムの構築
8
6.研究の進め方
構想
GOS研究会
運用
確定
装備化
調査研究
(予算化)
試作・試験
(事業化)
実用化
〈製品化)
実用性
正当性
有効性
波及性
効率性
経済性
合法性
提
案
専門分野の枠を超えた連携
と専門技術の融合
(学術・製造・政策)
GOS:グローバル・オブザベーシオン・システム
9
7.研究内容(グローバル・オブザベーション・システム研究会)
● 関連するシステムの国内外技術・運用状況の調査
システム構築に向けた議論
△ 既存システムの課題掘り起こし
△ 重層的継続監視網の構築
△ 広域・常続・即時的な情報の把握と伝達
・ 各種ロボット機能と中継局等の連携・整合性と実証
・ 各種センサーの多用途化
・ 統合データの融合処理
・ 情報伝送・伝達
・ 衛星データの活用処理
● システムインテグレーション
● 提案書及び仕様書案の作成
●
10
7.1.実施計画・体制
年代
X
組織
体制
X+1
X+2
(財)総合政策研究会
X+3
X+4
Ⅹ+5
GOS研究会
研究
試作
装備
取り纏め:(財)総合研究奨励会
学
産
官
学産官連携体制
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8.システム構成
航空システム
データ処理(融合)
陸上システム
ネットワーク
海上システム
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システム運用概念図
情報伝達・伝送
重層的継続総合観測監視網
(宇宙、空中、海上、地上)
データ融合
データのリアルタイム伝送
海域観測
政府
環境・海流観測
(関係省庁・自治体)
9.リモート・センシングの区分(実用化技術)
型式
表示
非画像化
地上設置型
海上設置型
(船舶搭載)
画像化
非画像化
非画像化
飛翔体等
搭載型
画像化
種類
用途
HF・VHF・UHF レーダ
海流・雲・気象観測等
マイクロ波レーダ
船舶・航空監視管制等
TV・IR・EOセンサー
画像情報収集等
アクティブ・ソナー
障害物回避、魚群探知、海底調査
パッシブ・ソナー
水中物体検知、潜水艦探知
ブイ、ソノブイ
航行情報提供、水中物体検知
ソーナ、ソノブイ
水中物体検知
マイクロ波散乱計・波高計
海洋大気相互作用海面高度
Xバンド・ミリ波レーダ
飛翔体検知、衝突防止等
実開口レーダ
海洋・地球探査観測等、物体探知
合成開口レーダ
海洋・地球探査観測等、物体探知
TV・IR・EOセンサー
画像情報収集等
陸・海・空各システムごと最適センサーを選択し、総合化する
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10.地上システム(海洋レーダ)
WRC‐12 ⇒ 運用電波確保
海洋レーダの配置
海洋レーダの改善と増設
港湾監視レーダ
(観音崎)
ソフトウエアー改善改修
更なる
活用
・海流観測機能向上
・津波検知機能改善
・小型船舶等検知機能改善
・飛翔体探知機能研究
海流観測
津波検知
小型船舶探知
小型飛翔体検知
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10.1.海洋レーダの多用途化概念
津波早期検知
CODAR資料
表層流観測
NICT資料
応用
改善
国総研
潮流
効率航行
受信信号
環境保全
国交省資料
国内設置の海洋レーダ
船舶検知
飛翔体検知
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11.空中システム
各種プラットフォームの組み合わせで、常続的、広範囲、高精度な
リアルタイム観測・監視情報を伝送
(光学センサ、電波センサ等を搭載)
時間
衛星
飛行船
長時間滞空
無人航空機
有人大型航空機
(P‐1 等)
有人/無人
ヘリコプタ/低速機
有人/無人
高速機
距離
17
11.1.無人機の変遷
1900
1950
1975
2000
RQ-4 Global Hawk
(米国)
1903
高
度
JAXA構想
BQ-7
(米国)
Scout
(イスラエル)
Fairey “Queen Bee”
(英国)
RQ-9 Reaper
(米国)
Fire Bee
(米国)
RQ‐16 T‐Hawk(米)
Sperry Aerial Torpedo
(米国)1913
2000
1909 (日本)
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11.2. 無人機の現状
起源は
無人標的機
軍用利用
民間利用
大型:Global Hawk
大型:Global Observer
(成層圏を1週間飛行:USA)
小型:Predator
中型:Aerosonde
(気象観測:オーストラリア)
無人機工場での
マリリン・モンロー
日本は世界最大の
無人機普及国
(農薬散布)
小型UAV(東大)
(災害・自然監視)
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11.3.無人機(UAV)の運用概念図
通信衛星
広域海洋観測監視
常続的な観測・監視・
探知・追尾
情報分析部門
津波
漁船等
任務管制装置(可搬局)
詳細情報取得
巡視船・警備艇
不審船・
工作船等
津波・不審船、
工作船等の分類・
識別・追尾
状況に応じプラットフォーム&センサーを選択し、多数機連携による観測監視を実施
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12.ネットワークシステム
◇構成要素
• 通信回線
• 伝送・交換機器
• ネットワークソフトウェア
• インターネット
• ネットワークアプリケーション
• セキュリティ
◇課題
・ロバスト性
・汎用性
・容易性
・安全性
・坑堪性
固定OR移動局、無線OR光通信で
ネット網を構成
データ処理
端末
中継回線
アクセス回線
ノード
21
12.1.大震災の被災地を想定した技術 NICT提供資料
22
12.2.ネットワークテストベッド概要
技術成果をシステム設計に反映
NICT提供資料
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13.海洋基本法(基本的施策)への反映
沿岸域の総合管理
海洋の安全の確保
日本の海洋を総
合的に観測する
システムの実現
国際的な連携の確保
及び
国際協力の推進
海洋環境の保全等
離島の保全
24
Livedoor.2.blogimg.jp
14.まとめ
•
•
•
•
省庁/学界/産業界の枠を超えた海洋政策事業の連携推進
多用化・統合化システムの創製
技術と実用が調和した有機的システムの構築
坑堪性・相互補完性の追及
統合化システムの創製
多用途化システム
環境観測
使用者
連携
マルチシステム
コ
ア
既存システム
既存システム
既存システム
安全保障
共
通
災害
所轄省庁
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