労働力の国外送出についてのPDFファイル

国名:南アフリカ共和国 (調査大項目 5:労働力の国外送出について)
作成年月日:2009 年 1 月 31 日
5.1
関係法令及び制度の概要
【南アフリカにおける頭脳流出 (Brain Drain) 】
南アフリカにおいては、特に 1994 年以降、英国、米国、カナダ、オーストラリアを
含む北半球及び西半球の先進英語国へ移民する傾向が続いている。グローバル化は
頭脳流出1の送出要因と受入れ要因の 2 つを推進した。送出要因としては GEAR(the
Growth, Employment and Redistribution:マクロ経済戦略)政策におけるグロー
バル化への政府サービスの脆弱さと人員削減策がある。受入れ要因としては、高度
技能者に対する国際的な需用が高まり、多くの南アフリカ人が海外からのリクルー
トに対して魅力的な目標となっていったことである。この高度技能者に関する頭脳
流出の影響は疑いもなく大きなものである。開発途上のすでに弱体化した人材状況
で、この大きな頭脳流出により、国が競争力と公平性に取り組むことは一層困難に
なった。頭脳流出の経済費用の見積り額は莫大なものである。
*出典:Brown and van Staden, 1998
「頭脳流出」を解決すると思われる一つの方法は、「頭脳獲得 (Brain Gain) 」す
なわち国に受入れることである。これに関して、一連の法律が制定され、能力開発
に興味のある人々に綿密に検討できるようになっている。
【南アフリカへの移民法】
南アフリカへの移民法は、南アフリカへの投資を誘致するに当たって、制限が厳し
く非生産的と考える人々もいる。しかし、南アフリカは全アフリカ大陸からの移民
の主たる目的国の一つであり、その健全な法的、民主的構造及び比較的健全な経済
が、多くの隣国国民にとって政治的、経済的な楽園になっていることも覚えておく
必要がある。
南アフリカへの移民に関する法律には、2002 年の移民法 No.13(2004 年 No.19 に
改定)、及び 2005 年 6 月 27 日に制定された南アフリカへの移民最新立法となった
移民規制法などがある。
しかしながら、多くの外国人にとっては、居住許可を取ることは大変困難な問題で
ある。適用法としての規制や慣行は複雑であり、外国人が生活するにはこれらを克
服しなければならない。入国手続きには数多くの落とし穴があって何日も遅れるか、
申請が出来なくなることもあるので、この国に入国するには専門家の支援を得るこ
とが望ましい。一度申請拒否に遭うと、許可を得るのは多大な時間を要し、さらに
困難になるか、不可能となる。更には、担当省の法律に対する解釈や適用がまだ透
明性や一貫性を欠くということもしばしば起きている。
申請者の南アフリカでの滞在予定目的や活動目的ごとに種々の許可の区分を以下に
掲載する。区分毎に永住許可や一時許可を得る可能性が記されている。滞在及び活
動目的による区分には以下のものがある。
1
頭脳流出とは発展途上国で教育を受けた技能労働者が先進国へ移民することをいう。国
連では「頭脳流出」のことを高度技能労働者の発展途上国から先進国への一方通行で、
先進相手国だけを利することになるものをいう。
1
国名:南アフリカ共和国 (調査大項目 5:労働力の国外送出について)
作成年月日:2009 年 1 月 31 日
・
訪問、休暇
・
南アフリカ国民または永住者の親族
・
教育、研究、インターンシップ、取材、大学の研究休暇、調査
・
雇用
・
外国人従業員を常時必要とする企業
・
自営、退職
・
起業、金融自営業
そのほかの区分には元国民、永住者、ボランティアや慈善事業活動者を含む。
いくつかのタイプの主な特徴を以下に記す。
(1)
訪問/休暇
2005 年 7 月 1 日現在で、ビジター許可証(3 年間まで有効)が狭義に定義す
る場合においてのみ与えられる。(以下の「ボランティア、慈善活動」及び「教
育、研究、インターンシップ、取材、大学の研究休暇」を参照のこと)レジャ
ーやホリデー以外に特定の目的のない場合や、一定(以下の「申請者に同行す
る家族」の項を参照)の許可証を持つ者の親族ではない場合には、長期滞在許
可は与えられない。
(2)
家族、パートナー、配偶者
南アフリカ国民、または永住者の家族の一員は親族の許可証を得られる。親族
の許可証は許可証の保有者に南アフリカに居住することを許可するが、労働権、
研究権、営業権は含まれない。2 年間の期間で発行される。
南アフリカ国民の配偶者やライフパートナーで、研究、労働、営業許可証を受
ける資格のない者は、配偶者的関係という理由でのみ、かつ、そのほかの基準
を満たすことなく、研究、労働、営業を許される。「ライフパートナー」とい
う言葉には、パートナーとなった国の如何にかかわらず、外国人と南アフリカ
国民または居住者との間での同性、または異性関係を含む。そのような関係の
証拠として宣誓供述書及び文書による証明を提出しなければならない。
移民法の最近の改定により、南アフリカ国民、永住者の配偶者またはライフパ
ートナーはその関係が少なくとも 5 年間続いたという理由で永住許可を得ら
れるようになった。しかし、ライフパートナーは外国人パートナーに対して永
住許可証が発行された 2 年後にその関係がまだ変わっていないという証明を
提出しなければならない。
南アフリカ国民、または永住者の第 1 親等以内の家族の一員は永住権が認め
られる。永住者の子供は 21 歳に達してのち 2 年以内に、自分の身分を確認す
ることを要求される。
(3)
教育、勉学、インターンシップ、取材、大学の研究休暇、調査
(a)
勉学許可
南アフリカの学校、大学、そのほかの教育機関で学ぶことを希望する
人々は勉学許可証を得ることができる。申請者は、その教育機関により
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発行された、申請者の受入れと勉学またはコースの最低期間を確認する
書類を提出する必要がある。高等教育機関の勉学許可証の所有者は一週
間に 20 時間までのパートタイム就労が認められる。
2005 年 7 月 1 日現在から、勉学許可証の申請者は全て、南アフリカで
登録または認可されている機関による医療保険の証明書を提出する義
務がある。21 歳未満の申請者はその保護者の認めた南アフリカ国内の保
護者を必要とする。こうして、南アフリカまたは国外でコースまたは訓
練の一部として行われる活動には勉学許可証が必要であり、一方で公式
なコースまたは訓練外で訓練が中断される場合には労働許可証が必要
となる。前者では教育機関による確認書がおそらく必要となるであろう。
25 歳未満の申請者には交換許可証の可能性もあり、それは 1 年間有効で、
その失効後 2 年間はそのほかの仮居住証を得ることはできない。
更に、訪問許可証に関する改定法にはやや曖昧な条項があり、それによ
ると、訪問許可証の所有者は定義または規定されていない、一定の状況
の下で労働を許可されるということになっている。短期労働、インター
ンシップ、取材については、将来この区分に分類され、上述の様々な許
可区分によっては、省の局長により、訪問許可証をもらえるかもしれな
い。
(4)
雇用の下での労働
南アフリカで雇用を求めるか、雇用に就くことを望む人々は労働許可証を得る
必要がある。労働許可証には様々な区分の選択ができ、その選択は申請者の資
格または経験だけでなく、その地位の種類や期間によってなされるものである。
ほとんど全ての区分の場合に当てはまるが、労働許可証の申請者は滞在予定期
間を含む有効な往復航空券ないし、その費用に相当する保証金を提出する必要
がある。但し、労働許可証については、その保証金は、申請者帰国の必要が生
じたときには申請者の故国への帰国費用を負担するという、雇用予定主の書面
での保証があればよい場合もある。
(a)
一般労働許可証
2003 年以前に知られていた労働許可証は、いわゆる「一般労働許可証」
である。この場合、雇用予定主は外国人申請者の特定資格や技能または
経験についての必要性を訴え、国内の候補者を募集したという努力を証
明する必要(特に、職位募集の広告により)があった。移民法の近年の
改定により、今では職位募集の広告を必ず出さなければならなくなった。
この改定以前は、季節ベースでの映画産業の専門家だけでなく、経営レ
ベルの主要職、資格のあるシェフ、医学博士、開業医などは除外されて
いたのである。
2005 年 7 月 1 日から、申請者の資格は南アフリカ評価局の評価が必要
となり、これもまた時間のかかることである。
(b)
割当て労働許可証
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いわゆる割当て労働許可証は一定の学位及び、または一定年数の専門職
業経験をもつ、予め決まった数の外国人に対して発行される。職業資格
ないし学位を有し、(出来れば関連の分野で)少なくとも 2 年間の就労
経験を持つ個人は、通常このタイプの許可証を得る資格を有する。この
場合、雇用者は、その職位に就く者が南アフリカ国民または永住者では
就けないということを証明する必要はない。
近年の移民法の改定により、以前には当局に支払われていた、申請者の
税込み報酬の 2%の「訓練費用」は廃止された。更に、労働省の見解を
得る必要はなくなった。
特に興味深いことは申請者が仕事に関するオファーや契約を提出しな
くても、割当て労働許可証は今や発行されるということである。その契
約は労働許可証の発行後、90 日以内に提出すればよいのである。このよ
うにして、以前には求職者許可証として知られていたものが再び導入さ
れた。
ここでも、一般労働許可証の場合と同様、申請者の資格は南アフリカの
申請評価局による評価が必要であり、それには費用も高く、時間も相当
にかかる。
(c)
特殊技能
特殊な技能や資格を有する者には、そのような技能や資格があるという
だけの理由で、そして特定の仕事のオファーや職位とは関係なしに、特
殊技能労働許可証を与えられる。この「特殊」という用語は定義のないも
のである。しかしながら、この技能は南アフリカまたは外国政府の学術、
文化、またはビジネス団体により承認され、更に書面で証明される必要
がある。この特殊技能労働許可証は 3 年間有効であり、延長も可能であ
る。
(d)
出向
支店、関連会社間の雇用者の出向または移籍の場合には、いわゆる会社
間の移転許可証を得ることができる。この種の許可証を得るための管理
面での労力や要求される条件はほかの労働区分に比べて少ないが、この
許可証は 2 年間に制限されており、延長はできない。
(e)
永住
永久雇用または特殊技能という理由による永住許可証は一般労働許可
証及び特殊技能で述べた区分の労働者に対して発行されるが、その場合、
それぞれの一時的な区分とほとんど同等な要求条件が適用される。更に、
2003 年改定された移民法によって労働許可証を持つ外国人は永住権が
ある。特殊技能を有する者で永住に障害となるのは、この区分で永住を
申請するためには永久雇用オファーを受けていなければならないこと
である。
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(5)
外国人労働者を常に必要とする企業
外国人労働者を常に必要とすることが判明している企業は、いわゆる会社許可
証を取得することができる。この許可証は個々の労働者に対してではなく、雇
用主に対して発行され、これにより特定の職位の、特定数の外国人を継続的に
雇うことができる。
会社申請者は外国人スタッフに対して宣伝し、その必要性を証明しなければな
らない。割当て労働許可証の場合と同様、2%の「訓練費用」を内務省に支払
うという義務は廃止された。一旦、会社許可証が発行されると、その会社は、
はるかに簡単な手続きで、労働者の個人書類を提出すれば、会社労働許可証の
ある外国人を採用することが出来る。この労働許可証により、スタッフ計画が
一層柔軟で、かつ、予測可能なものになる。
(6)
自営、起業
いわゆるビジネス許可証は南アフリカで新たに商売を始めたり、投資または既
存企業を買収したりすることを希望する外国人に対して発行されるものであ
る。2005 年に規制のための草案が発表された後に、一般人、欧州企業、移民
局相談委員会などからの広範囲に亘る抗議の結果、ビジネス許可証取得のため
の極めて煩雑な必要条件の導入は防ぐことが出来た。しかしながら、その結果、
施行された改正法でも、いくつかの非論理的又は不適切な基準が残されている。
2005 年の 7 月 1 日現在で、以下の必要条件を満たす必要がある。
(a)
最低投資額
公認会計士による以下の証明:
現
金:250 万ランド2
資本金:250 万ランド、または
資本金:50 万ランドの投資に加え、現金で 200 万ランド
以上、海外からのもので、簿価で投資されること。
但し、以上の最低投資額は、貿易・産業省 (DTI : Department of Trade
and Industry) が要請した場合、あるいは、業界での、そのビジネスが
省の大臣により国益に合うものであるとされた場合には、減額、ないし、
免除となる。以下の事業が現在認められているものである。
2
・
情報・コミュニケーション技術
・
衣料品・織物製造
・
化学・バイオ技術
・
農業加工
・
金属・鉱物精錬
・
自動車製造
・
観光業
・
工芸品
1 ランド=9.3223 円(2009 年 3 月 6 日現在)
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(b)
事業計画
事業の短期・長期的存続のための包括的な事業計画
(c)
南アフリカ国民または永住者の雇用
事業申請者は、少なくとも 5 人の南アフリカ国民または永住者を常時雇
用することを約束
(d)
妥当性と継続
ビジネス許可証の発行 2 年後に、上記の必要条件が満たされていること
の証明、そして、その後も 2 年ごとにこれらの条件が満たされているこ
との証明
(7)
申請者の同伴家族に対する許可証
同伴家族(配偶者/ライフパートナー及び扶養子女を含む)の権利と身分は主
たる申請者の許可証の区分により異なる。家族が主たる申請者の許可証に自動
的に含まれる区分もあり、また、主たる申請者に帯同する目的でビジター許可
証をもらう区分もある。更に別の区分では、家族は独立者としてみなされ、そ
れぞれで許可証を取らなければならないものもある。滞在中に子女が通学する
場合、永住権を認められるまで、いずれにせよ、別途に勉学許可証を必要とす
る。
(a)
労働者
労働許可証の所有者に同伴する家族は、その労働許可証と同期間有効な
ビジター許可証をもらう権利がある。
(b)
永住の性質
永住許可証の所有者は南アフリカでの活動だけでなく、その出入国に関
しても最大限の柔軟性がある。ある区分・場合では許可証は一定の条件
の下に発行される。遅くとも 5 年後には、全ての永住者は南アフリカで
の活動の自由がもらえる。永住者の身分はその所有者の国籍には影響し
ない。永住者は南アフリカの「国民ではない」と裏書きされた、身分証
明書をもらうことが出来るが、南アフリカのパスポートはもらえない。
場合によっては税金面での一定の優遇措置を失うこともあるので、外国
人は、それぞれ、永住を選択すべきか十分に検討を勧めたい。
事業の設立や投資目的での永住許可証は、上述の必要条件を満たす場合
に取得することができる。尚、許可証の発行後の 2 年後に必要条件に適
合していることの証明を提出、その後は 3 年後に同様のことをしなけれ
ばならない。
申請は、申請者の出身国または永住地における南アフリカの出先機関で
提出可能であり、また、南アフリカ・プレトリア市の省の本部にても可
能である。
南アフリカにすでに在留している外国人は、自身の許可証の延長、ある
いは身分の変更、(たとえば、ビジターから労働者、学生、引退者、事
業主など)の申請を最寄りの省事務所にて行うことが出来る。
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現行法では、国内で身分を変更することについての可能性に関する制約
は何もないが、南アフリカへの入国が虚偽の報告により得られたという
印象は避けるべきである。
5.2
送り出しの所轄機関
内務省 (Department of home Affaris : DHA) は、移民の受入れ、送り出しに責任
を負う公式の政府機関である。但し、いかなる公式機関もこれらの外国人の出入国
の結果として、技能が付加したり、減じたりすることを文書化する責任は負わない。
しかしながら、内務省は海外から入国するものが法的実体をもつ者であることを確
認する責任を負う。移民に関する一連の立法と国内にて労働・居住する資格の一連
の区分がある。
5.3
送出労働力の属性
南アフリカの人材を欧州、米国、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドに引
き寄せるために、南アフリカのほとんど全ての主要な日曜紙には、国際企業、コン
サルタント会社、職業斡旋業者からの定期広告が増加している。移民コンサルタン
ト・弁護士という業種が南アフリカに到来し、成長を始めている。
(1)
頭脳流出概念とその南アフリカへの影響
この章では南アフリカにおける頭脳流出の性質、程度、原因と結果を探求する。
一方では、受入れ国での技能不足により創出された機会から生まれる様々な魅
力と、他方では、アパルトヘイト後の移行時期に重要な分野である教育、訓練、
健康面でのますます難しくなる労働条件との相互作用がもたらす、重要な技能
の損失の程度を突き止めることになろう。また、それは、損失する技能を、そ
れほど発展していない国からの頭脳流出で補充するといった南アフリカの潜
在力を示すことにもなるであろう。
南アフリカにおける技能の流出は政治的な混乱時に一層悪化した。実際、政治
的混乱が多くなった 1977 年や 1985/6 年の時期を除いては、1994 年以前は「頭
脳流入」が明らかだった。技能の輸入は不平等な教育制度の結果としてやむを
得ないことであり、また、それは相対的に高い経済成長率によって助長された。
アパルトヘイトの時期においては、技能不足を埋めるのは、南アフリカの黒人
よりも国外からの白人にしてもらうほうがはるかに望ましかったのである。
*出典:Kaplan, 1998 in Bailey, 2003
したがって、頭脳流出が持続的になってきたのは、比較的最近の現象である。
SSA(Statistics South Africa:南アフリカ統計局)調査によると、頭脳流出
には、教育、人文科学の専門職、技師、建築家、法律、管理職スタッフなどが
含まれる。また、ロジャーソン氏の研究では移民により IT 産業が最も大きな
影響を受けたとしている。職業分類から言えば、移民の最大だったのは「管理
職」の区分であった。高等教育でも比較的人材が多く、言語が英語であるため、
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南アフリカの高度技能労働者は、英語を母国語とする先進国にとって極めて魅
力的である。
*出典:2002, Bailey, 2003
入手できる証拠によれば、健康と教育分野においても大きな影響を受けている。
公式統計ではこれらの分野の移民は過去 10 年の間に 3 倍になった。
*出典:Bailey, 2003
教師と同様に、医者や看護婦は南アフリカ国内における公共部門の粗末な条件
により、明らかに送出されている。白人スタッフは南アフリカにおける政治経
済的な新たな決着に関する心配から、すでに述べた理由により 1994 年以降に
流出傾向が見られた。
頭脳流出についての国内からの送出要因と、海外からの受入れ要因のいずれも
グローバル化によって強い影響を受けてきた。送出要因としては GEAR 政策
により抑制されたグローバル化に対する政府の初期の反応が業務の粗末な状
況と削減につながっていったことである。また、受入れ要因としては高度な技
能に対する国際的な需要増加により南アフリカ人が海外での雇用に魅力的と
なってきたことである。
技能供給に関する頭脳流出の影響は疑いなく相当なものである。既に脆弱な人
材開発状況に加えて、このような流出によって国の競争力と公平性の二つの問
題に対処することがますます困難になる。頭脳流出の経済費用の推定額は驚く
ほど大きいものである。カプラン氏ほかの調査(1999 年)では人的資本の損
失を 678 億ランドと見積っている。
(2)
頭脳獲得法の構築
南アフリカ政府が「失われた技能」を国に呼び戻そうとしてこれらの技能を持
つ人々と接触を図った証拠がある。ターボ・ムベキ前南アフリカ大統領が主唱
したアフリカ地域開発イニシアチブによる NEPAD(New Partnership for
Africa’s Development:新アフリカ開発連携)などである。これは「頭脳流出」
をアフリカ大陸での人材開発に強力に結びつけるものである。頭脳流出に取り
組む戦略は移民した人々のデータバンクの構築などを含み、「出身国の専門家
と離散した海外移民とのネットワーク化と協同を促進する試み」であった。
*出典:Department of Foreign Affairs, 2001 : 43
NEPAD を支援して 2002 年に国家経済会議により始められた、アフリカ・リ
クルートも大陸の再構築を支援するための技能の本国への送還を奨励するも
のである。
*出典:Mail and Guardian, January 17-23, 2003 p. 10
概して、南アフリカは世界的技能経済において特殊な地位にある。世界のほか
の地域からの頭脳流出を活用することによって、自身の相対的に恵まれた地位
から利益を得る潜在可能性がある。言い換えれば、アフリカのそれほど発展し
ていない国の人材を活用することも可能である。南アフリカの相対的に健全で
世界的なインフラ、道路、通信網やアクセスは、その相対的に豊富な人的、ま
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た、自然資源とともに、それほど裕福ではない国からの技能を引き付ける道を
提供するのである。南アフリカは大きく、また、相対的に良質な高等教育と訓
練制度、及びこの制度下で教育の主たる言語として英語を使用する、南の数少
ない国の一つである。
教育及び健康分野では頭脳獲得を意識的に狙っている証拠がある。この程度に
ついては確定できないものの、アパルトヘイトの下でのいくつかの自治国家の
政策の結果として農村部には多数の「外国人」ドクターや教師がいる。また、
キューバと政府の公式な関係として、(農村部に)ドクターを送り、南アフリ
カの学生にはキューバの大学で学ぶ機会を与えるというものがある。
*出典:Sunday Times, Feb. 16. 2005
また、キューバの教師や教育者に国家支援をさせるという協定もある。しかし
ながら、このような利益の程度や効果についてはまだ詳しく調査の必要がある。
2002 年には新移民法案が提出された。これは、限られた技能の募集に当たっ
てはもっと戦略的に取り組む必要があることを認めたように思われる。この提
出法案は国内の仕事の損失と技能不足に対する懸念を比較検討しようとする
ものだが、国家が必要とする重要な技能の輸入を奨励するには、決して十分で
はない能力そのものを吟味することとなった。
(3)
頭脳流出、頭脳獲得、及び公平性
公平性を満たし、そのために是正の必要性があるという見地から、頭脳流出が
これをもっと早いペースで達成するだろうという意見もある。国を去る人々
(白人男性)がいることは、将来性のある黒人のアフリカ人に道が開けること
を意味する。これは確かにそうなのかもしれないが、去って行く者は彼らの後
任者に委ねることができるような専門技能や訓練という点ではほとんど何も
残さないということが明らかになってきた。加えて、アパルトヘイト教育遺産
の歪んだ性質から、白人管理者を最もよく代替できるのはほかの白人であると
いうことで連想されるのである。但し、この点に関する調査結果をもっと集め
る必要がある。
(4)
頭脳流出の証拠の再調査
南アフリカの世界経済に占める相対的に低い立場とその技能に与えられる国
際的な地位からすれば、南アフリカが技能を生み出す能力は、それを保持する
能力をはるかに超えている。
*出典:Bird, 2001b
アパルトヘイトの遺産の結果として、販売可能な技能は白人の方が不釣合いに
多いということは必然的なことである。同時に、公共部門での人員削減に伴っ
て拡大しつつある黒人の雇用計画、犯罪、国際的な「ドル比較」から見た低い
サラリー、また、それほど重要ではないにしても、健康、教育分野でのサービ
ス水準の低下などの結果、南アフリカの将来に対する白人の認識は否定的なも
のになりがちである。従って、高度な技能を持った白人が国を出るという(グ
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ローバル化に支えられた)強力な送出および受入れ要因がある。政府が取り組
み始めた課題の一つは彼らを国に呼び戻すことである。イスラエル、インド、
アイルランドなどの諸国は、このような技能を個々人のライフサイクルにあわ
せて再受入、あるいは海外で資産をなした人々が故国で再投資することを奨励
するという点で、比較的成功しており、南アフリカはこのような教訓を学び始
めているところである。
南アフリカはアフリカのほかの国々からの頭脳獲得により大きな利点を得る
という潜在的な立場にあり、これは必然的にこれらの国々に結果をもたらすの
である。サハラ砂漠以南での最強の経済国として、アフリカのほかの国々、ま
たはその他の地域からさえも、多数の高度な技能を持った人々を集めることが
できるし、これは明らかにある程度起きている。しかしながら、政府は事態の
是正のための国の要請と国際的な利益に関わる公平性とのバランスを取ろう
として、余りに制限を課しているように見える。更に、南アフリカへの移民の
分野別、技能別の内訳は国外への移民のそれとぴったり合うものにはなりそう
もない。
また、南アフリカの一世紀以上に亘る経済開発は、技能のある白人労働力に大
いに頼ってきたこと、そして、これが枯渇してしまったことを想起する価値が
ある。こうした依存の結果として、南アフリカの技能開発の慣行(特に中間レ
ベル)は弱かった。このことが、国外からの流入の減少と技能労働の国外流出
の増大に対応するという問題を悪化させている。
(5)
データ面の課題
南アフリカの頭脳流出を文書化するに当たって、最も緊急な課題は国を永久に
去った人々の正確な人数を決定することである。最も重要なこととしては正確
なデータが無いことも含め、この問題にはいくつかの理由がある。出発時の記
入用紙は必ずしも強制的なものではなかったし、多くの報告では国外への移民
というよりも移民者そのものについての言及である。一連の研究では、データ
が存在した公式の出所からのものと、調査により集めたものとの両方から確認
した決定的な情報を把握している。手元の情報は、こうして、特に、アパルト
ヘイト後の時代に、国がさらされてきた頭脳流出の特徴と、その結果として現
在、南アフリカが直面している技能の不足についての正確な映像を提供してく
れるのである。
技能の逃避の意味はアパルトヘイト以後の時代においてかなり重要なものと
してさまざまに把握されてきた。公式データ (SSA) では 1990〜1999 年の時
期において合計で 8 万 2,000 人の南アフリカ人が主要 5 カ国(米国、英国、
オーストラリア、ニュージーランド、カナダ)へ移民したことを示す一方で、
これらの国々の移民受入れ記録では南アフリカ人が 23 万 3,000 人だったこと
になっている。このことはデータがあっても、過少計算になっている可能性が
あることを意味している。
1994 年の選挙の前後での移民に関する認識の差は重要である。1994 年以前の
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公共及び私企業 200 社における国外流出を調査した結果では、流出は調査企
業全体の 2%のみが重要と思われた。これが選挙後に目立って上昇数字を示し
た。たとえば、教育・健康部門で 59%、ビジネス・サービス業で 47%、銀行・
金融業で 43%、コンピューター・IT サービス業で、ハイテク産業で 35%とい
ったような具合である。
*出典:Rogerson and Rogerson, 2000
これは、教師、健康関係専門職、IT 職員の不足が惨憺たるものであることを
考えると、特に重要である。この理由の一部としては、主要な職業分野での技
能に対する国際的な需要がある。南アフリカの通貨実力、主要な公共部門にお
けるあまり芳しくない労働条件、頻発する犯罪などから、海外の雇用者も南ア
フリカを「格好の標的」と見ている。多くの大学での教育水準、英語の言語能
力から、南アフリカ人は先進英語国で最も求められる人材である。海外の職業
機会は、それを求める者に金銭的な報酬や生活の質の向上などとともに、一層
良いキャリアの可能性を提供してくれることは明らかである。かくして、社
会・政治的な緊張の高まりに伴う犯罪や不安といった要因が、技能を持つ人材
の海外への流出に間違いなく関与しているが、黒人採用計画によりアパルトヘ
イトの社会・経済的な構造を矯正しようという国の試みは、技能流出の一つの
主要な理由でもある。技能を持つ白人と黒人との関係において、移民に関して
の統計的に重要なことは認識されていないが、南アフリカにおける白人人口の
減少は、国外へ移民する白人がもたらす結果であると思われる。
*出典:Crush et al 2000
更に重要なことには、不足している専門ないし管理職技能を持つ人々が国を去
っていく傾向が高いので、それが技能不足という結果になっていく。たとえば、
教育界で見ると、公立学校での教師/生徒の比率を維持するだけでも、現在の
毎年 6,000 人でなく、2 万 1,000 人の新しい教師が資格を取らなければならな
い。一方、HIV/エイズによる教師の減少が近年際立ってきたので、その不足
分を補填するために外国から教師を招く試みがなされている。実際、政府主催
の JIPSA(Joint Initiative for Priority Skills Acquisition:優先スキル習得
合同動機)では海外から 4 万 6,000 人の専門職受入れを目標としている。教
師の、特に英国、オーストラリアへの移住は、現在の不足を考えると、極めて
重大である。
技能不足を解消するための移民受入れは多くの障害に直面している。これらに
は労働許可証発行手続きにおける内務省の非効率性、受入れが南アフリカ人か
ら職業機会を奪うと考える労働組合の反対、海外から来る多くの労働者にあり
がちな英語熟達度の不足、及び受入れを魅力的なものにするために支払う極め
て高い給料などがある。南アフリカもまた希少な技能を求める他国との厳しい
競争に直面している。
5.3.1
受入国
以下の表 5-1 は種々の移民先国への移民の程度を示すものである。南アフリカの
11
国名:南アフリカ共和国 (調査大項目 5:労働力の国外送出について)
作成年月日:2009 年 1 月 31 日
専門職のほとんど半分 (45%) が欧州へ移民した。このうち、ほぼ 3 分の 2(69%、
1 万 5,045 人)が英国に移民した。また、4 分の 1 が南太平洋に行き、そのほぼ
5 分の 4(78%、8,932 人)がオーストラリアである。専門職の第 3 位の移民先
は北米で 14%であり、米国(3,962 人)、カナダ(2,970 人)とほぼ半分ずつで
ある。
表 5‑1
1971〜1980 年
大陸
人数
割合
移民先別専門職の移民数
1981〜1990 年
人数
割合
(単位:人、%)
1991〜2000 年
人数
割合
平均 (%)
1971〜2000 年
欧州
9,835
56%
6,261
45%
5,421
34%
45%
南太平洋
2,458
14%
4,246
30%
4,647
29%
24%
北米
1,952
11%
1,814
13%
3,109
20%
14%
アフリカ
1,896
11%
833
6%
1,791
11%
10%
中近東
525
3%
362
3%
367
2%
3%
アジア
49
0
38
0
264
2%
1%
中南米
80
1%
46
0
104
1%
0.5%
インド洋
20
0
27
0
123
1%
0.5%
723
4%
378
3%
71
0
2%
17,538
100%
14,005
100%
15,897
100%
100%
その他
合計
*出典: Bailey, T, 2003, p. 243/4
5.3.2
職種
主要な技能レベルでの専門職は目立って減少してきた。表 5-2 は南アフリカのあ
る 1 年の専門職移民の流出・流入を示している。専門職はすべての分野で減少
しており、合計で 2,000 人以上の減少となっている。南アフリカ技能のネット
流出で目立つのは、技師(329 人)がトップで、それに美術工芸家(260 人)、
会計士(250 人)、その後に教育関係(228 人)と続く。管理職(528 人)のネ
ット流出は上記の分野に含まれるものもあるかもしれない。
表 5‑2
職業
南アフリカ専門職の移民統計(1997 年)
(単位:人)
南アフリカから
南アフリカへ
国外への移民と
の移民
の移民
国外からの移民の比
技師
428
99
-329
医師
73
45
-28
医学専門職
26
4
-22
歯科専門職
58
2
-56
教育関係
353
125
-228
会計士関係
277
27
-250
管理職
885
357
-528
12
国名:南アフリカ共和国 (調査大項目 5:労働力の国外送出について)
作成年月日:2009 年 1 月 31 日
職業
南アフリカから
南アフリカへ
国外への移民と
の移民
の移民
国外からの移民の比
美術工芸家
371
111
-260
その他
962
305
-657
3,433
1,075
-2,358
合
計
*出典: Statistics South Africa : 1997 SAITIS (2000) p. 98.
(1)
医学関係者の頭脳流出
南 ア フ リ カ 移 民 計 画 (South African Migration Project : SAMP) が
2005/6 年に行った専門職移民に関する最近の調査 (Crush et al 2007) は、
医師関係の移民の動きを示しており興味深い。データは 1,702 人(うち白
人は 70%)の健康に関わる専門職をサンプルとし、医師 (44%) 、看護士
(15%) 、栄養士/治療士 (12%) 、精神科医 (10%) 、薬剤師 (7%) 、及び
歯科医 (5%) から成り、南アフリカにおける進展にかなりの不満を示して
いる。報告で述べているのは、
「南アフリカの健康関係の多くの専門職の不
満は職種、人種、性別を通して共通に見られる感情である。この職業では
不満が余波というよりも、南アフリカの経済・社会状態の両面での不幸・
不満が津波のように押し寄せている。
*出典:Crush et al. 2007
この報告で高レベルの不満が表明されたのは、HIV/AIDS の対応(84%不
満足)、公的娯楽の維持 (83%) 、家族の保障 (78%) 、個人の安全 (74%) 、
子女の将来に対する見通し (73%) 、及び生活水準 (45%) などである。た
った 3 種の分野でのみ満足が不満足を上回った。学校教育(不満足 29%に
対し、満足 46%)、住宅(30%対 45%)、医療施設(19%対 57%)であった。
なお、この調査の人口基盤は白人が圧倒的であった。
労働条件で言えば、最も不満の高かった重要分野は、課税水準(不満足 58%、
満足 14%)で、その後に付加厚生面の給付(56%対 17%)、報酬(53%対
22%)、医療用品の入手度(50%対 28%)、職場の設備(50%対 31%)、昇
進見通し(41%対 30%)、仕事の負荷(44%対 31%)と続く。安全に関す
る広範囲にわたる心配と一致しているが、3 分の 1 もの人々が職場での個
人の安全の面で不満足であった。また、回答者の約 3 分の 1 が仕事におい
て生命を脅かす病気にかかる危険性について不満足であった。HIV/AIDS
で(不満足 35%対満足 28%)、結核で(32%対 30%)、B型肝炎で(37%
対 26%)となっており、多くの人々が働いている状況を示す、極めて高い
パーセントである。
白人の間にある不満足感は彼らの移民につながる結果となることは明らか
であり、調査した全サンプルで移民を検討しなかった者は 14%しかいなか
った。男性の健康関連の専門職は女性よりももっと真剣に検討した割合が
13
国名:南アフリカ共和国 (調査大項目 5:労働力の国外送出について)
作成年月日:2009 年 1 月 31 日
高い(男性 53%対女性 41%)。民間企業における専門職の方が公共企業に
おけるそれよりも検討しており(私企業 48%対公企業 44%)、また、30 歳
以下の専門職の方が、これより上の年齢層よりも多く検討している(実際、
この潜在移民は年齢の上昇とともに低くなる)。職業の種類によって、明ら
か に差がある 。薬剤師で 検討する者 が最も多く (68%) 、 次に歯科 医
(58%) 、内科医 (48%) 、看護士 (46%) と続く。
南アフリカの多くの人々が海外に職業を求めるようになる送出要因も挙げ
ている。移民の理由として約 72%が不十分な報酬を挙げ、以下、職場の施
設 (27%) 、次に教育機会 (25%) 、昇進 (23%) 、職業安定度 (22%) 、仕
事の負荷 (19%) と続く。重要なことには、南アフリカと移民先上位 5 カ
国の雇用状態の比較を尋ねた時に、回答者 60%以上のものが南アフリカよ
り良いと答えた要因では、職場の安全 (69%) 、報酬 (65%) 、付加厚生給
付 (63%) 、インフラ (63%) 、医療品 (61%) が挙がった。そのほかで南
アフリカより良いと回答された項目は、仕事の負荷、キャリア、昇進であ
った。重要なことは、訓練準備だけが、南アフリカの方が良いとされたこ
とである。これらから、仕事の環境ではほとんどの点で、移民先上位 5 カ
国の方が南アフリカより良いというのが、極めて一般的な認識である。
5.3.3
年齢
移民者の年齢別、性別構成は時間の経過とともに相当に変化してきている。海
外への移民者の年齢別構成からは、最も経済的に活躍し、生産的にも寄与して
いる年齢層が移民していることが分かる。専門職移民の多いのは 25〜34 歳と
35〜44 歳の年齢層である。以下の表 5-3 では移民シェアについて 24 歳以下で
5%、25〜34 歳の年齢層で両期間に 10%の減少があり、一方で目立つのは 35〜
44 歳の年齢層で専門職移民が多く、両期間に 6%の増加があり、また 45〜54 歳
の年齢層も相当に増えている。
表 5‑3
年齢層
2000 年以前の期間の年齢別専門職の移民
期間
期間
(単位:%)
両期間における
(1970〜2000 年) (1994〜2000 年) パーセント増減
24 歳以下
9%
4%
-5%
25〜34 歳
45%
35%
-10%
35〜44 歳
29%
35%
+6%
45〜54 歳
10%
17%
+7%
55 歳以上
7%
9%
+2%
100%
100%
合
計
*出典: Baily, 2003, p. 242 より編集
海外への移民者の年齢別構成はアパルトヘイト後の期間に変わっている。
14
国名:南アフリカ共和国 (調査大項目 5:労働力の国外送出について)
作成年月日:2009 年 1 月 31 日
専門職女性では 1971〜1980 年は 4 分の 1 の 26%から 1981〜1990 年で
33%に増え、1991〜2000 年で 43%と目立っている。
5.3.4
技能水準
上述のとおり、専門職は一番移民しやすい部門である。主要国への移民数の分
析により、南アフリカの技能の損失内訳が分かる。図 5-1 ではカナダ向け移民の
専門職の分類を示している。
(専門職種での)関連の人数等は公式データから推定した信頼できる統計的な
基盤とするには少なすぎるものである。しかしながら、それらは大変に示唆的
であり、詳細な部門についての推論には使うことができる。
*出典:Hodge et al, 1999
移民する専門職が多いのは、自然科学及び技術(サンプルのほぼ半数)の重要
な部門で 47%、続いて健康部門の 29%となっている。
図 5‑1
部門別カナダへの専門職の移民
8
29
47
自然科学及び技術
社会科学及びその関連
教育
健康
文化
8
9
*出典:Hodge et al 1999
南アフリカから契約ベースあるいは永住で移民した IT 専門職の数については、
具体的な情報はないが、これらの数は上述の幅広い部門に含まれているようで
ある。このことは以下の IT 専門家のヘッドハンターとのインタビューで裏づけ
られた。
南アフリカ人 IT 専門職に対する需要は国際市場でまだ残っており、かなりの訓
練を必要とするにもかかわらず、新規に資格を取る IT 卒業生と専門職が含まれ
ている。ある IT 職の調査(CPL 調査、1998 年 11 月)によると、プログラマー
の 29%、アナリスト/プログラマー/システムアナリストの 23%が自発的に職
を変え、南アフリカから移民したとのことである。管理職レベルではこのパー
セントは 31%に上る。
15
国名:南アフリカ共和国 (調査大項目 5:労働力の国外送出について)
作成年月日:2009 年 1 月 31 日
5.4
送出労働力の技能水準の評価制度
(1)
CEEQ(Centre for the Evaluation of Educational Qualifications:教育資
格評価センター)
SAQA(South African Qualifications Authority:南アフリカ資格局)所轄の
一部門として CEEQ が、外国資格の適切な承認レベルと、それらの資格が相
当する南アフリカ同等資格についてアドバイスするために設立された。
南アフリカの熟練労働力が限られていること、また、この課題を克服するため
の政府主導の方針に合わせて、企業ではこうした需要を満たすため外国からの
労働力を受け入れるようになった。しかしながら、移民政策により、外国から
の労働力の候補者は労働許可証に加え、外国資格の評価が南アフリカ資格フレ
ームワーク (NQF : National Qualifications Framework) でどのレベルに相
当するかという SAQA の証明書を提出しなければならない。
評価プロセスは、南アフリカ以外の国における教育や訓練方法、または、それ
らで得られる各種資格に精通していない多数の意思決定者に対して、外国資格
を承認する際に最も適切なレベルについての情報を与えること、及び各種目的
に応じた配置にするためのガイドラインを提供することを狙うものである。こ
のサービスは南アフリカ資格フレームワークの原則に合わせて、また国際慣行
に従って行われている。
承認を申請するためには、永住申請書、「一般」及び「割当て」労働許可申請
書、専門職登録、または、南アフリカの大学での更なる研究(大学院レベル)
が必要である。
南アフリカ資格の承認については、受入れ相手国の資格評価局の特権である。
南アフリカ資格の評価は南アフリカでの情報を提供するものに過ぎず、受入れ
相手国での資格に関するものではない。しかし、外国の評価機関が評価するに
当たり、その助けにはなるであろう。
CEEQ による推薦は一般的なガイドラインであって、そのほかの機関を拘束
するものではない。(たとえば、雇用主、専門家の委員会、教育・訓練機関な
ど)これらの機関では、推薦を一種の出発点とし、階層間の比較を明確にする
ものとして見るべきものである。
資格保有者は評価の結果について抗議する権利がある。評価の見直しを求めて、
抗議を行う場合には、文書にて行い、公的な性質の実証書類を含めなければな
らない。それを提出後、関連の評価者、または必要な場合には、CEEQ 長と
前もって個人的に予約を取ることが出来る。抗議には入手可能なあらゆる情報
の見直しが必要であり、その後、当初の評価は調整されるか、そのままとなる
かのいずれかとなる。例外的な場合として、抗議の過程で学術または専門家に
よる独自の判定が行われることもある。判定費用の負担はこの過程の結果によ
り決まる。資格保有者は、万一、結果が自分の望むものではないものになった
場合には、費用負担をすることをこの過程の初めに同意することを求められる。
・
資格書類の原本が紛失したり、損傷したりする危険を最小限にするため、
ほとんどの場合、原本の写しの提出が認められるが、写しは判読可能で、
16
国名:南アフリカ共和国 (調査大項目 5:労働力の国外送出について)
作成年月日:2009 年 1 月 31 日
証明を受けた(できれば資格保有者の現地での証明を表明した外務省出
先機関による)ものでなければならない。
・
CEEQ は、原本、及び/または現地での関連当局により書類が真正であ
るとの証明を受けた書面を要求する権利を保有する。
(もし、偽造文書が
提出された場合には、評価結果は発行されず、また、評価指名者にも通
知されず、関連当局にも、評価結果を求めていた第三者にもその情報は
共有されない)
・
英語以外の外国語の証明書は、正式な証明を受けた英語翻訳を一緒に提
出しなければならない。(原本と翻訳の両方が必要であることに注意)
アンゴラ、モザンビーク、コンゴ民主共和国、中国などの特定の国々について
は、各々特定の要件がある。
評価証明書作成費用は、緊急度により、360 ランドから 720 ランドの範囲で
ある。
5.5
労働力送出・受入に関する二国間・多国間協定
調査中
5.6
送出労働力の技能水準
二国間・多国間協定
調査中
【参考文献】
1. Bailey, T (2003) Skills Migration. In Human Sciences Research Council (HSR
C) (Ed.) Human Resource Development Review, 2003, Education, Skills and D
evelopment, 2003 (p. 234-256). Human Sciences Research Council
2. Crush, J (Ed.) (2000) Losing our minds: Skills migration and the South Afric
an Brain Drain.
Downloaded from <http://www.queensu.ca/samp/sampresource
s/samppublications/policyseries/Acrobat18.pdf> accessed on 31 January 2009
3. Econometrix Bulletin (2007) Employment equity and skills shortage: Myths a
nd realities, A decision support service from ECONOMETRIX (PTY) LTD ©,
23 July 2007, No 15107/0719
4. Kaplan, D. (1997). Reversing the brain drain: The case for utilizing South Af
rica's unique intellectual diaspora. Science, Technology and Society, 2(2).
5. Pendleton W; Crush, J and Lefko-Everett, K
(2007) The Haemorrhage of He
alth Professionals From South Africa: Medical Opinions, Southern African Mi
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17
国名:南アフリカ共和国 (調査大項目 5:労働力の国外送出について)
作成年月日:2009 年 1 月 31 日
esources/samppublications/policyseries/Acrobat47.pdf> accessed on 31 January
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6. Mattes, R; Crush, J and Richmond, W (2000) The brain gain: Skilled migrant
s and immigration policy in post-apartheid South Africa, Southern African Mi
gration Project (SAMP).
7. Rogerson, CM and Rogerson, J.M (2000) Dealing in Scarce and Critical Skill
s: Employer responses to the Brain Drain, Chapter 2 (pp. 9-62). In Crush, J
(Ed.) Losing our minds: Skills migration and the South African Brain Drain.
Downloaded from <http://www.queensu.ca/samp/sampresources/samppublicatio
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uth Afrca. Chapter 9, General Trends Relating to Jobs and Skills in South A
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9. SAQA (2009) CEEQ Guideline, Downloaded from, <http://www.saqa.org.za/docs
/brochures/ceeq_flyer.pdf> accessed on 31 January 2009
10. SAQA (South African Qualifications Authority) (2009) Application Guide, Eval
uation of Foreign Qualifications, Downloaded from <http://www.saqa.org.za/doc
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11. Weiss, T. (1998). Addressing the brain drain. In L. Sachikonye (Ed.), Labour
markets and migration policy in Southern Africa. Harare: Sapes Books.
12. Willand, J (2005) IMCOSA (Immigration and Consulting, South Africa) Immig
ration Laws, South Africa, (Immigration Act No 13 of 2002, as amended by
Act No 19 of 2004; Immigration, Regulations of 27 June 2005)
18