職業能力開発の政策とその実施状況 のPDFファイル

ブラジル(調査大項目 3:職業能力開発の政策とその実施状況)
作成年月日:2009 年 12 月 28 日
3.1
職業能力開発の背景
ブラジルの職業教育は、1909 年 9 月 23 日に当時ニロ・ペサニャ大統領が最初の職業
訓練に関する法令第 7756 号を策定し、19 の職業訓練学校を恵まれない子供たちのため
に設立したことに始まる。その法令の目的は、そうした施設において貧しい子供たちに
必要な技術及び知的能力を与えることであった。
1930 年代には技術学校と中等教育機関(第 2 課程)を設立し、1940 年代にはブラジ
ル産業の成長に伴い職業訓練機関を設立した。1942 年 1 月 22 日付の法令第 4048 号及
び 1943 年商業教育基本法により SENAI(全国工業職業訓練機関)が、また 1946 年 1
月 10 日付の法令第 8621 号と第 8622 号により SENAC(全国商業学習機関)が設立さ
れた。SENAI と SENAC は、給与から負担金を強制徴収し、普通教育システムと並行
して、経済の第 2、第 3 セクターに対応する労働力育成を担っている。1960 年代には、
国家教育基本法により、職業学校を普通教育学校システムと統合した。
1971 年には、職業教育と一般教育の二重構造を廃止するため、法令第 5692 号ですべ
ての学校に副次的な職業教育を義務付けた。1982 年の改正法令第 7044 号により、職業
教育は学校の裁量により、訓練又は一般訓練を選べることになった。1996 年の国家教育
基本法(A Lei de Diretrizes e Bases da Educação Nacional:LDB)は、普通教育学校
システムから義務化された専門技術教育を除外し、技術学校や公立、民間の専門訓練セ
ンターで提供するべきと説明している。1997 年法令第 2208 号では、LDB の第 30∼42
条を規制することにより高等教育を提供して、国際社会の新たな経済・社会的な需要、
生産性や競争力に対応することを表明した。ブラジルでは普通教育システムと並行して
3 つの訓練レベルを確立した。基礎レベルは、以前のコースにかかわらず、労働者の資
格取得、能力向上、プロ化することを目的とする。専門レベルは、高校生及び高校卒業
生に専門技能を提供し、技術レベルでは、高校卒業生や専門スタッフに大学レベルの技
術を与えることを目的とする。これらの措置に伴い、公立中学校から技術学習を廃止し
て中等学校を再編成し、連邦技術学校は高校課程を保持することとした。
1996∼2000 年の職業教育政策の変更に伴い、州立高校への入学者は増加したものの
専門教育水準に達しておらず、一方職業訓練校への入学者は減少した。
ブラジルの教育と職業訓練政策は、連邦政府、州、及び地方という異なるレベルによ
り実施されており、多くの法律、規則及び特定法令によって支えられてきた。教育省、
労働雇用省は 50 年代から体系的な方法を開発してきており、教育訓練のいくつかの様
式は民間企業のプログラムに従っている。これらの計画とプロジェクトは、州政府と市
当局のパートナーシップの下で開発され、雇用主、労働者、非政府組織、その他の市民
社会団体が開発資金を提供する。しかし、教育と持続可能な開発モデル、及び国の発展
強化を統合する政策モデルの実施提言は、依然として課題となっている。
ブラジルは、近年重大な変化を経験した。産業は新たな生産拠点を作り出し、専門技
術に必要な新技術を取り入れている。その上、今後数年は経済がより早く成長する兆し
を見せており、そのことによって資格を持つ専門職の需要増が予想される。2010 年まで
に、さまざまな分野で 50 万人の新しい技能者の雇用創出が見込まれている。
2008 年のブラジルの経済発展データによれば、国の教育率が 7%上昇している。これ
は過去数年の高校生徒数を上回り、高校在学者数が 40 万人以上であることを意味して
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いる。この増加の影響は職業教育に見て取れる。教育全体の増加率が平均 14.7%である
のに対して、職業教育は 19.6%に上昇している。高校卒業生の数を含めると、入学者数
は 10.5%の増加である。
3.2
職業能力開発を進めるための国の政策
労働雇用省は、訓練テーマについて、国家職業安定政策(SPPE)として策定された
国家職業教育計画(PLANFOR)、州と市との全国ネットワークとして構築された国家
雇用システム(SINE)を通じて議論した。このネットワークは州の調整者がプログラ
ムといくつかの活動を統合する方法で成長した。その分野は、失業保険、労働力の仲介、
資格制度、労働市場情報の提供とプログラム支援、雇用及び所得創出である。
PLANFOR は 1995 年半ばに遡り、当時初めて 1995∼1999 年の課題、政策、戦略、
実施計画が系統的に述べられ、職業教育についても明文化された。それは持続可能な発
展プロジェクト、進歩的な考え方を模索する戦略で、転換し続ける職業分野で対象者と
課題を明確にし、産業界、職業教育、訓練機関の結び付きを促進する。また、失業者や
社会的に排除された者、特に若年者と女性に対する、資格付与及び能力向上訓練を通じ
て市民社会を支援する。これらの目標は、国家、州の職業教育プログラムを通じて実現
し、危機的状況に対応し、生産改革を進めることである。
政府の見解では、国家職業教育システムは、政府プログラムの概念、戦略、目標に正
当性を与えている。国家職業教育システムには、次のものを含む。
・市民の普遍的な権利としての基礎教育を策定し、職業教育は初級、中級、上級の各段
階において体系的に訓練を実施して人材を育成するために策定する。
・職業教育は、就業能力の回復に必要な、特に就職する能力と雇用を維持する能力の獲
得に焦点を当てる。
・職業教育の活動戦略、特に雇用、所得維持のための職業訓練の必要性を明確にする。
・他の戦略及び福祉と競合しない職業教育を実施する。国家職業安定政策(SPPE)で
は、
有意義で効率的な職業教育でなければ、
緊張と不満がさらに増加するとしている。
(1) 基礎教育と職業教育
Darci Ribeiro 法、教育基本法(LDB)は、高校(1971 年の法令第 5692 号に含まれ
る)の性質を変え、中等教育(第 2 課程)は進学準備、技術的な職業への就職という 2
つの機能を持つようになった。高校の性質は教育によって変わり、その変更は社会と社
会的慣習に委ねられる。
これは高校により広範囲な役割を与えることを意味する。実際に基礎教育の最後の部
分を担い、以前は別の目的であった均衡の取れた教育と全生徒のための教育を連携して
提供する。この法では、以下のとおり規定している。
・訓練により価値と技能を高めるには、訓練プロジェクトを社会のプロジェクトに組み
入れる必要がある。
・時代の変化に適合した専門的な能力を向上させることにより、就労準備や基本的な方
向付けを行う。
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・自主的かつ熱心に学習を継続する能力を育て、より複雑な知識を獲得する。
(2) ブラジルのシステムと現行モデル
世界で採用されている中等教育システムはさまざまであるが、ブラジルが選択したシ
ステムは、科学技術分野を強化する一般教育と、補足的な職業教育である。これは中等
教育における高等教育への準備と職業教育の折衷型から脱皮し、
ブラジルの職業教育を、
最終的、予備的な補完要素と定義した。
(3) ブラジルの新法
1996 年教育基本法(LDB)は、職業教育にとって画期的なものである。以前の法と
ガイドラインは、指導レベルや指導方法について常に職業教育を部分的にしか扱わなか
った。学校教育の一環として、商工業分野、又は 1971 年の法令第 5692 号による職業学
校において、訓練と仕事を特定の教育水準に結び付けることを法制化したのである。
現行法では、教育のレベルと様式は、すべて職業教育に向けられており、それを全体
として中級技能者の訓練だけでなく、教育の各レベルにおいて労働者に資格の取得、資
格の再取得、再専門化を図ること、技術の更新と中等以上のレベルでの免許取得に向け
られている。最後に、職業教育を全体として管理することは、法律では明らかにしてい
ないが、職業教育は教育のサブシステムとして扱われている。
教育基本法第 39 条では、
‘生涯学習‘の概念について言及している。職業教育は、
“生
産的な生活のための永続的な能力開発”につなげなければならない。さらに、教育と訓
練プロセスの関係を強化し、そこでは職業教育と、異なる形態の教育、仕事、科学、技
術を統合する。この第 39 条、第 40 条、第 42 条は職業教育の補完的な性質を紹介し、
その活動を公的学校教育を超えて拡大している。最後に、学校外や継続教育における能
力の認定、認証方法については、既存法の刷新が求められている。
1997 年4月 17 日の法令第 2208 号が管理する規定は、法令第 5154 号にとって代わ
られたが、ブラジルの職業教育、特に技術教育に重要な変更をもたらした。法令第 2208
号は、職業教育の目的を規定し、こうした教育は学校と仕事を結び付け、労働者を分類、
再分類、専門化する機能を持つとしている。法は、学校レベルとは無関係に中級、高級
レベルの職務遂行を可能にし、科学技術分野での知識を向上させ、深めることに貢献し
た。
制定された方針には、職業教育のレベルが定義されている。基礎レベルは、若年又は
成人労働者を対象として、教育とは無関係に資格を取得又は再取得させる。第 2 レベル
は、高校在学者、卒業生又は若年成人に資格を与える。第 3 レベルは、大学の学部生、
大学院生を対象に科学技術に関する資格を与えるものである。
1997 年法令第 2208 号はカリキュラムを規定している。基礎レベルは非公式教育であ
り、公式に確立したカリキュラムはない。職業教育は、高校のカリキュラムから独立し
た独自のカリキュラム機関があり、補完的な役割を保持して、常に高校修了と同時、又
はその後に行われる。つまり、基礎教育は職業教育に対して補足的な関係にあり、一般
的な能力と技能に関して、生産的な活動を目指す若年者及び成人を対象に実施する。こ
の訓練は、異なるレベルを目指し、資格を与え、専門性をさらに向上させ、若年者と成
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人を任意のレベルの学校教育で再教育する。それにより、専門家、高校卒業生、大学生、
及び大学院生を登録することが可能となり、関連する分野において専門家の専門性を向
上させる。
現行の 1996 年教育基本法(LDB)は、技術学位の資格は国が認証するべきであると
規定している。新コース開設のための国家教育委員会での承認プロセスの誤りを防ぐた
め、1997 年法令第 2208 号では、教育機関が承認した実験的なカリキュラムの制定につ
いて規定している。カリキュラムは、教育省が国家教育委員会と協議してから評価承認
され、国家的な修業証書の有効性について規制される。
1996 年教育基本法(LDB)と 1997 年法令第 2208 号では、連邦及び州の教育システ
ムにより能力証明のメカニズム創設を規定している。これは、専門的な職業に従事する
労働者に対して、正規の学校教育がなくても、試験などを通じてその能力を認める証明
書を付与することを規定するものである。ただし、コーチとしての資格は、高卒でなけ
ればならない。
3.3
政府及び関係団体の制度、組織、機能
ブラジル政府は、異なるレベルの政府(連邦、州及び市)及び、技術学校、連邦技術
教育センター等により実施される訓練政策を策定してきた。これらのプログラムは法律、
規則、個別の法令により法的支援を得ている。さらに、公立大学も、より高レベルの労
働者を育成するのに重要な役割を果たしている。
(1) 連邦政府の責任
【連邦職業及び科学技術教育ネットワーク】
連邦職業及び科学技術教育ネットワークは、すべての州を網羅し、技術コース、高度
技術、学部レベル、修士レベル、博士レベルの教育を行う機関を対象としている。連邦
システムに統合された学校は、この教育方法の適用性について、彼らの学生が国の評価
で常にトップになることで証明している。
このネットワークの構成機関は以下のとおり。
・ 連邦教育、科学、技術機関
・ 連邦技術教育センター
・ 連邦大学に関連する技術学校
・ 連邦技術大学
連邦職業及び科学技術教育ネットワーク詳細については、ウェブサイト
(http://redefederal.mec.gov.br/)から見ることできる。
(2) 州政府の責任
ブラジル専門化プログラムが目的とするのは、州の専門及び技術教育ネットワークを
強化することである。このイニシアチブは、連邦資金を州が技術学校に投資できるよう
にすることである。2007 年に創設されたこのプログラムでは、職業教育と一体化して公
立高校を近代化し拡大することが、教育開発(PDE)の目標の 1 つであり、高校の知識
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を実用に組み込むことである。ブラジル専門化プログラムは地方の学校の基礎教育の発
展に注目し、学習の向上を図る。高校の評価は、政治的及び教育学的記述と、詳細な予
算と活動計画より行われる。入学者数の増加や、地域の社会指標として 18∼29 歳の雇
用増加、非識字率、教育、失業、暴力及び犯罪も分析される。
(3) S システム
労働者の保護や訓練を行う機関で、S システムと呼ばれるものが、労働者の給与から
強制的に徴収される負担金を基に維持されている。S システムには、SENAC(500 の全
国商業学習機関)、SENAI(454 の全国工業職業訓練機関)
、SENAT(全国運輸機関)
、
SENASCOP(全国徒弟訓練協力機関)及び SENAR(全国地方学習機関)が含まれる。
最近連邦政府と、S システムの 4 団体(SESC、SESI、SENAI 及び SENAC)との間
で、歴史的な合意がなされた。この合意では、当局が低所得の学生及び労働者のために、
無料の訓練場所を設置するため、収益の 3 分の 2 を充てるプログラムへの参加が定めら
れた。さらに、新たに最初の訓練コースの時間数を増やし、160 時間以上に変更する。
フェルナンド・アダッド教育相は、
「これは職業教育への無料アクセスを拡大する活動
である。基礎教育を受けているがより高い教育を受けられないブラジルの若者に焦点を
当てている」と述べた。2009 年以降、無料コースを提供するため、SENAC の例では機
関の 20%以上を既に確保し、2014 年の SENAC、SENAI では、無料コースは 50%にな
る。2014 年までに、すべての機関が収益の 66.6%を無料教育に振り向ける、つまり資金
の 3 分の 2 が、低収入の学生や労働者に投資されるということである。
全国工業連合(CNI)のアルマンド・モンテイロ・ネット会長によれば、S システム
は署名時点から職業コースへのアクセスを拡大する責任は大きかったという。ブラジル
はより多く、より良く、学生と労働者を訓練しなければならず、S システムはこの需要
を認識しないわけにはいかないと彼は言う。
無料訓練コースは主として基礎教育の学生のために確保される。この措置により、技
術訓練は一般教育に関連付けられる。
これが S システムを統合する団体としての、最初の大きな改革である。これは 60 年間
で政府が初めて提案したシステム変更であり、
議論はブラジル社会に大変有用であった。
(4) 民間部門
ブラジル地理統計院(IBGE)が教育省と協力して実施した「若年者と成人の教育と
職業教育の補完的な側面」という研究では、私立学校が 2007 年に実施した職業教育に
は学生の 53%(1,800 万人)が参加したと指摘している。
3.4
予算と財源
(1) 公的資金
一般的に、公教育は税及び法により企業が教育積立金として徴収する追加分担金で実
施されている。実際には、連邦政府は、50 年代から教育省及び労働雇用省を通じて、民
間企業のプログラムに従っていただけでなく、組織的な方法でいくつかの職業教育訓練
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を実施してきた。今日ニュースになるのは、これらの省が州や市とともに採用した現プ
ロジェクトの性質による。ほとんどのプロジェクトは、全国規模で新財源(通常は公的
資金)があり、雇用主、労働者、非政府組織、その他の団体を含む多くの部分に分かれ
た管理モデルを実行する。
PLANFOR は、管理、資金提供モデルに大きな変化をもたらした。これは失業者、失
業しそうな労働者、あるいは最初の仕事を探している若年者向けのプログラムで、総額
は約 6 億 5,000 万レアル1となっている。これらプログラムの資金は、労働雇用省を通じ
て、労働者保護基金(FAT)から提供される。FAT の特徴は、給与からの 1%の徴収
(PASEP)、組合費の 20%(雇用契約によるすべての労働者の義務で、残りの 80%は組
合資金となる)及びファンド自体による融資である。
FAT には現在、480 億レアル(約 26 億ドル)の財産があり、公的雇用サービスシス
テムの資金となっており、財産の 3 分の 2 に相当する 300 億レアルによって、経済社会
開発銀行(BNDES)が融資する雇用と所得を創出する特別プログラムを保持している。
公的な雇用システムのための資金は、労使政の 3 者からなる労働者保護基金審議会
(CODEFAT)が管理する。CODEFAT は、使用者代表として CNI(全国工業連合)
、
CNC(全国商業連合)及び CNF(全国銀行連合)、労働者代表として CGT(労働者総
同盟)中央組合労働者、CUT(中央統一労働組合)組合労働者及び SDS(社会民主連合)
、
政府からは労働雇用省、福祉省及び BNDES が参加している。
同様の 3 者委員会は 26 の州と連邦地区、2,400 の郡、5,514 の市の 43%でも見られる。
これら委員会は審議のための恒久的な存在であり、特に FAT から資金を受けた公的な雇
用政策を作り、提案し、モニターし、評価することを目的としている。委員会の主要な
対策の 1 つは、州資格計画 PEQs であり、これは資格と再訓練を結び付けている。
5 億レアル以上が、州の統合高校教育の実施を奨励すべく、教育省から移管された。
この資金は教育基盤整備、管理の育成、教育実践、教師トレーニングのために使われる。
2011 年までに、このプログラムは 9 億レアルの資金を、職業教育を実施する州と市に投
資することになっている。
2009 年には、新たに連邦技術学校を 100 校設立することになっていた。連邦システ
ム拡充の資金は、約 11 億レアルである。近年は、教育省が、職業教育に投資する最大
の予算を持っている。この 100 の新設校は、地方のニーズに合わせる革新的なプロジェ
クトの一部である。これらの学校で実施する技術及び大学院コースは労働市場に組み入
れられる。新しい技術大学はブラジルの若年者の機会を広げる。ブラジルでは、学校は
基礎教育を行うが落第率が高い。18∼24 歳の若年者のうち、高等教育に進学するのは
30%に満たない。新設 100 校の地域別の内訳は、北東部に 33、南東部に 28、南部に 16、
中西部に 11 となっている。各新設校には、設備と備品を含めて 500 万レアルが投じら
れている。
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1 レアル=52.7265 円(2009 年 12 月 28 日現在)
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【Brazil Professionalized を通じた連邦政府から州への支出の見通し】
・アクレ州(Acre)
327 万 3,000 レアルが、設備、教科書及び教員費用に委譲される。全部で、州の 15
郡の 20 校がこの援助を受ける。
・アマパ州(Amapa)
総額 476 万 8,000 レアルが委譲され、390 万レアルは基盤整備に充てられ、残りは設
備、教科書、教員費用に充てられる。11 分校と 2 改善校が、州の 5 郡の 6 校を支援す
る。
・バイーア州(Bahia)
6,236 万 7,000 レアルが委譲され、5 万 7,129 レアルは基盤整備、520 万レアルは設備
の購入に充てられる。59 分校と 18 改善校が、州の 125 自治体の 125 州立技術学校を
支援する。
・セアラ州(Ceara)
1 億 1,572 万 1,000 レアルが委譲され、すべての資金は基盤整備に充てられる。州の
55 自治体に、14 の学校と分校、3 改善校、75 技術学校がある。
・マラニョン州(Maranhao)
1,670 万レアルが委譲され、すべての資金は基盤整備に充てられる。州の 5 自治体に
技術学校を新設する。
・マトグロッソ・ド・スル州(Mato Grosso do Sul)
29 万レアルが委譲され、設備と教科書に充てられる。
・マトグロッソ州(Mato Grosso)
3,600 万レアルが委譲され、基盤整備に充てられる。10 新設校と 28 分校は、州の 44
自治体の 53 学校を支援する。
・パラ州(Para)
1,650 万レアルが委譲され、基盤整備に充てられる。11 分校、11 改善校が、州の 16
自治体の 22 校を支援する。
・パライバ州(Paraiba)
1,742 万レアルが委譲され、1,050 万レアルは基盤整備に充てられ、残りの 650 万レ
アルは設備購入に充てられる。全部で、44 郡の 50 校が援助を受ける。
・ペルナンブコ(Pernambuco)
80 万 3,900 レアルが委譲され、設備と教科書に充てられる。全部で、30 郡の 40 校が
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援助を受ける。
・パラナ州(Parana)
1 億 2,620 万レアルが委譲され、7,780 万レアルは基盤整備に、4,840 万レアルは設備
購入に充てられる。10 の新設校、9 分校、2 改善校がある。全部で、170 自治体の 252
校が援助を受ける。
・ロライマ州(Roraima)
43 万 3,000 レアルが委譲され、設備と教育資料に充てられる。州の 6 地区の 7 校が援
助を受ける。
・リオ・グランデ・ノルテ州(Rio Grande do Norte)
6,440 万レアルが委譲され、6,340 万レアルは基盤整備に充てられ、88 万 6,000 レア
ルは設備購入に充てられる。43 分校と 56 改善校がある。92 自治体の 115 校が援助を
受ける。
・リオ・グランデ・ド・スル州(Rio Grande do Sul)
1,570 万レアルが委譲され、560 万レアルは基盤整備、1,000 万レアルは設備購入に充
てられる。7 分校、7 改善校がある。全部で 30 郡の 35 校が援助を受ける。
・サンタカタリーナ州(Santa Catarina)
1,700 万レアルが委譲され、1,040 万レアルは基盤整備へ、710 万レアルは設備購入に
充てられる。業務計画には、新たな学校の建設、10 の増築と 3 改善校がある。18 郡
の 22 校が援助を受ける。
・セルジッペ州(Sergipe)
87 万レアルが委譲され、設備と教育資料に充てられる。9 地区の 11 校が援助を受け
る。
・トカンティンス州(Tocantins)
280 万レアルが委譲され、設備と教育資料に充てられる。27 自治体の 33 校が援助を
受ける。
(2) S システムの財源
毎年、S システムにより集められる全体の負担金収入(関連団体 SESI、SENAI、SEST、
SENATE、SESCOOP による)は、約 70 億レアルである。職業教育の主たる機関 SENAI
と SENAC は、負担率 35%と 40%で参加している。2009 年、SENAI の推定では、新ル
ールで義務付けられたとおり、負担金総額の 50%に相当する 7 億 5,400 万レアルを支払
う。
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(3) 教育の民間ネットワーク
John Monlevade によると、企業家は 2006 年に 200 億レアルを教育に、240 億レア
ルを基礎教育に、60 億レアルを専門教育に投資した。
(4) 結論
2009 年予算は、312 億レアルであった 2008 年予算を 100 億レアル超過した。415 億
レアルは、基礎、職業、高等及び読み書き教育に均等に配分された。職業及び技術教育
の連邦ネットワークを拡大する計画も、2010 年までに 110 億レアル増加し、150 の連邦
技術学校を作る。
職業教育をより身近なものにするために、さまざまな取り組みを実施する。S システ
ム の 改 革 、 連 邦 プ ロ グ ラ ム と 技 術 の 拡 大 と 「 専 門 化 さ れ た ブ ラ ジ ル ( Brazil
Professionalized)
」は、1 つのシステムをなし、ブラジルにおける技術訓練の実態を変
えることになる。専門化されたブラジルは、学校、地方、地域の産業界が共同で人材を
育成する計画で、地方の経済開発に組み込む。2010 年には 9 億レアルを職業育成及び
技術教育のために投資することになる。
3.5
外国・国際機関からの援助
ブラジルの職業教育の団体は、膨大かつ選択可能なパートナーシップ・ネットワーク
と連携している。小さな地域社会から国際機関まで、会社から政府、非政府組織まで、
大きな技術、情報、知識交換ネットワークであり、受益者はブラジルの産業と社会であ
る。これら団体は、教育センターに新技術をもたらす研究とプロジェクトを実施する主
要なパートナーシップを確立し、知識と情報の顧客への普及を可能にする。大学、労働
組合、業界団体、重要な国内及び国際的な知識生産センターとの合意がなされる。この
強い取り組みへの協力は、多角的な機関、ドイツ、カナダ、日本などの外国政府、公的
及び私的な、国内の及び国際的な団体組織(ILO、UNESCO、IDB、UNIDO など)と
実施される。
(1) 国際的な技術協力の状況
ブラジルでの技術的協力は 2 つの意図があり、発展途上国との連携と、海外からの協
力である。発展途上国との連携は、ブラジルと他の途上国の間の技術協力であり、それ
を通じ関係強化と政治的、経済的結び付きを強化することである。他国から受ける協力
には、二国間及び多国間技術協力があり、国際機関によりもたらされる専門技術の国際
化を図り、国の発展を促進するものである。
(2) 国際協力庁(Brazilian Cooperation Agency:ABC)
ABC は、外務省(MFA)の一部であり、ブラジルが他国や国際機関と合意した技術
協力を巡るプログラムとプロジェクトを交渉、調整、実施、モニターする責任を有する。
その使命を満たすため、ABC は外務省の外交政策と、国家開発の優先順位に従う。
ABC の組織構造には、7つの調整要素がある。
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ブラジル(調査大項目 3:職業能力開発の政策とその実施状況)
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1)CGPD:途上国間技術協力の一般調整
2)CGPD:二国間技術協力の一般調整
3)CGRM:多国間技術協力の一般調整
4)CGMA:農業、エネルギー、バイオ燃料及び環境における協力の一般調整
5)CGTI:情報技術、電子管理、民間防衛、都市計画及び輸送における協力の一般調
整
6)CGDS:健康、社会開発、教育、訓練における協力の一般調整
7)CGAP:プロジェクト追跡と計画会議の一般調整
【CGPD−途上国間技術協力の一般調整】
ブラジルは国際技術協力を、人々への積極的な影響を生み、生活レベルを上げ、現実
社会を変え、成長を推進し、社会開発に貢献する手段である、パートナーシップの戦略
的選択と理解している。CGPD の定義は、ブラジルの技術知識と非商業における経験の
移転であり、関係者の自立を促進するものである。そのための手段としては、協議、訓
練と設備供与がある。CGPD の使命は、ブラジルの途上国との関係を強固にし、技術交
流、開発、普及と使用を拡大し、組織を強化するための訓練と人材に貢献することであ
る。ブラジルの技術協力の最大の戦略は、福祉や非政府や商業的主張ではなく、パート
ナー機関の組織的強化に焦点を当て、効果的な知識の移転と吸収を前提条件とすること
である。
2004 年以降、CGPD の特徴は次のガイドラインのとおりである。
・ブラジルと途上国のパートナー、特にブラジル外交政策関心の高い国との緊密な関係
を推進する技術協力プログラムを優先する。
・受け取り国の開発優先のプログラムにつながるプロジェクトを支援する。
・努力を、より影響力のある乗数効果の強い CGPD プロジェクトに向ける。
・結果が遠くまで及ぶプロジェクトに焦点をあわす。
・できれば、国家の対応者のプロジェクト、及び/又はパートナーの機関の参加するもの
を支持する。
・真に国家の機関とパートナーシップを確立する。
(3) ユネスコ(UNESCO)と職業教育
1997 年より、世界の勧告に従い、職業教育はユネスコブラジル事務所の活動に基づい
ている。それは、1996 年教育基本法に規定された改革の実行をモニターし、実施を支援
することを特徴としている。連邦及び州政府と協力して、社会的ニーズのための考え方
を広め、議論を進め、補助金を支給し教育システムを改善することに焦点を当て取り組
んでいる。つまり、連邦、州政府、国際協力庁(ABC)、外務省、ユネスコの間で、職
業教育のための技術協力合意(PEP)がなされ、実施される。この合意に基づき、開発
行動を計画し、実行する。
1997 年以降、アラゴアス、バイーア、セアラ、エスピリトサント、マラニョン、マト
グロッソ、ピアウイ、リオデジャネイロ、リオ・グランデ・ド・スル、セルジッペ、ト
カンティンスの 11 州が合意書にサインし、ユネスコとパートナーシップを組んで職業
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ブラジル(調査大項目 3:職業能力開発の政策とその実施状況)
作成年月日:2009 年 12 月 28 日
教育プロジェクトを育ててきた。職業教育と、国の経済的、社会的発展の影響を前にし
て、ユネスコブラジル事務所は、州と連邦政府を政策実行面で支援し、助成する方針で
ある。その証拠として、現在 3 つの事業が展開されており、その目的は以下の分野で働
く管理者と技術者に利益を提供することである。
・高校を職業教育に統合する政策の研究。この分野については、2 州で、別々の実験に
関する研究分析が行われている。
・国際技術職業教育訓練センター(UNEVOC)と協力し、UNESCO−UNEVOC の報
告誌を出版、普及する。
・パリのユネスコ本部のセクター教育及び中等教育と職業教育に関する記事を翻訳、出
版する。若年者を訓練して、一般教育で得られる知識と実践的な能力の統合を可能に
する若年者訓練を再考する。
3.6
職業能力開発の政策評価
【職業訓練政策の対費用効果の評価】
「職業及び技術教育のための公共政策 2004」において、職業訓練政策の対費用効果に
ついてガイドラインを作成する提案をし、職業及び技術教育の政策を策定している。目
的は効果的な活動を統合、民主主義の改善、市民、若年者、労働者の能力を向上し、社
会的不平等を減らしブラジルの発展を構築することである。注目すべき点は、各種の公
的私的ネットワークからの職業及び技術教育と教育機関の強化、刷新を助成する研究を
奨励していることである。
3.7
職業能力開発の実施概況
職業教育は、基礎、技術、科学技術の 3 つのレベルに分かれている。基礎コースは関
心ある者は誰でも受講でき、学歴とは無関係である。技術コースは、高校に通学でき、
卒業後は独自のカリキュラムを提供される。科学技術コースは大学レベルである。中等
教育・技術部(SEMTEC/MEC)とともに、労働省がこれら 3 レベルの統計を取って
いる。職業教育の実施機関は以下のとおりである。
・連邦、州、市及び私立を含む高校と技術ネットワーク
・民間企業からの負担金により維持される S システム(全国学習機関及び社会サービス
を含む)
・SENAI/SESI(工業)、SENAC/SESC(商業、銀行を除くサービス)、SENNAR
(農業)、SENAT/SEST(陸上運輸)、SEBRAE(零細及び小企業の全分野)、
SESCOOP(共同組合を含む新たなサービス分野)
・公立私立大学、学部と大学院に加え、学外教育サービスと地域ケアを含む
・学校と労働組合が維持する訓練センター
・学校、事業グループが維持する財団(S システム使用のための分担金、又はシステム
の分担金の免除)
・非政府組織(宗教組織、地域組織、教育組織)
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ブラジル(調査大項目 3:職業能力開発の政策とその実施状況)
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・正規又は無料の職業教育、都市センターで実施する職業教育、及び郵便、インターネ
ット、衛星による遠隔教育
技術及びより高度の科学技術に関する中等後教育については、1999 年に実施された教
育省の専門教育調査によれば、ネットワークは 3,948 の教育施設から成り、その 67.3%
は民間部門、32.7%は公共部門である。民間部門の多様な形態の事業体には、S システ
ム、職業教育契約、労働組合のような民間社会組織、起業家、NGO、地域団体、宗教団
体、非宗教団体などが含まれる。公共部門は、3 つの行政分野である連邦、州、及び自
治体が運営する技術学校のネットワークで構成される。
レベル別の割合を見ると、民間機関は、基礎レベル 57.6%、技術及び科学技術レベル
は全体 76.7%のうち 64.4%を占めている。S システムは、基礎レベルの占める割合が最
も大きく 19.1%、技術レベルが 7.8%、科学レベル 1.9%となっている。民間機関の占め
る割合が大きいが、公共部門は基礎レベルにおける、技術、科学技術の 42.3%の 35.5%
を占め、これは全体の 23.2%である。技術レベルでは、歴史的に州と公共機関(連邦、
州、自治体)による投資が多く、依然として 43.4%と大きな比重を占め、これは入学者
の 56.6%、コース卒業者の 57.2%に相当する。同時に、民間機関は全体の 56%を占め、
入学者の 43.6%、卒業者の 47.1%となっている。公共機関の中で、州立ネットワークは
技術レベルで公立校の 71.7%と大きな割合を占め、コースの 62.7%、入学者の 65%を占
める。連邦の公的機関は、技術レベルよりも科学技術レベルで学校数の 50%と大きな割
合を占め、コースの 51.4%、入学者の 25%を占める。市町村立学校は、3 レベルのいず
れにおいても数字的には少ない。
職業コースは国家技術コース一覧にまとめられている。一覧は、技術コースの学生と
教育機関のための進路ガイドとなり、国家教育審議会の基礎教育委員会(CEB/CNE)
の決議第 3 号に制定されており、教育省(http://catalogonct.mec.gov.br/)で入手でき
る。
この一覧には 12 の技術分野にわたる 185 コース、環境、健康と安全、学校サポート、
産業プロセス制御、管理とビジネス、レジャーと接待、情報とコミュニケーションイン
フラストラクチャー、軍事、食糧生産、文化生産とデザイン、製造、天然資源などが記
載されている。目標は、コースを科学的及び技術的特性によってグループ分けすること
である。そこで、一覧では、企業が重要情報と各技術コースを結び付けられるよう工夫
している。例えば、技術ハイライトがトレーニング中に地方活動に役立つこと、インフ
ラストラクチャーと推奨時間と基礎的補助金がコースのモニター中に市民的行動に役立
つこと、という具合である。
教育省はまた、国家高度技術コースの一覧を発行した。これは学生、教育者、施設、
供給者、システム、教育ネットワーク、クラスの代表者、雇用主、一般市民を、より高
度の教育に導くものである。一覧には、高度技術コースがまとめられている。社会の技
術的発展の中にある多様性を反映し、重要な理解のもと、生産過程、人間、環境と社会
の環境の中で技術を使い、発展させ又は適応させる専門家を訓練するためである。技術
コースは 96 あり、例えば写真、産業メカトロニクス、食品、家具生産、ポリマー、コ
ミュニケーション、補助放射線技術などである。
遠隔教育コースについては、ブラジル遠隔教育協会(ABED)が、種々の遠隔教育コ
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ブラジル(調査大項目 3:職業能力開発の政策とその実施状況)
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ースについて情報を提供している。情報はブラジル全体を網羅し、コースは各レベル、
各地にある。ブラジルの専門教育と技術教育は、現在、次に述べる膨大なネットワーク
に組織化されつつある。遠隔教育コースの詳細については、ABED のウェブサイト
(http://www2.abed.org.br/d_cursos.asp)を参照。
3.8
公共職業能力開発実施機関
多種多様なネットワークがある中で、2 つの主要なネットワークがある。
(1) 連邦職業及び科学技術教育ネットワーク
連邦職業及び科学技術教育ネットワークは、全州を対象とし、技術コース、高等技術、
学部、院のコースを提供し、ブラジル国民が、ブラジル経済の各部門で専門家としての
資格を得るよう任務を継続し、生産部門と協力して、研究開発(R&D)、新プロセス、
新製品、新サービスを開発する。140 施設と 45 万人の学生を擁する連邦教育地図は、
教育省のウェブサイト(http://redefederal.mec.gov.br)で入手可能である。
(2) サンパウロ州パウラ・ソウザセンターのネットワーク
サンパウロ州パウラ・ソウザセンターのネットワークは、167 の大学(Etecs)と 49
の技術大学(Fatecs)を運営する。この数字は、サンパウロ州で 2010 年前半に 139 の
市で活動を始めるイピランガ技術大学(Fatecs Ipiranga)などを含む。2009 年後半、
18 万人以上の学生が教育機関に入学した。Etecs は 15 万 3,000 人の学生に奉仕し、そ
のうち 3 万 8,000 人以上は在学中である。85 の資格を有する産業、農業とサービス部門
向けの技術教育では、入学者は 11 万 5,0000 人を超える。
Fatecs は 46 の学部に 3 万 5,000
人の学生が在学している。
3.8.1
目的、組織、施設など
連邦システムは全州にある 38 の連邦施設であり、統合高校、高度教育及び技術学位
を提供する。施設の中に、連邦ネットワークを拡充する計画、2 つの技術教育連邦セン
ター、大学と技術大学に関連する 25 の学校がある。
1909 年から 2002 年まで、全州で 140 の技術学校が建てられ、214 の新しい学校が計
画されている。2010 年には、学校数は計画の 354 校を超える。全地域で、仕事は 50 万
になるはずである。
連邦施設については、下記のウェブサイトから使命、目標、特徴、施設の説明、人的
資源が、州、町、地域、施設ごとに見ることができる。
・
http://redefederal.mec.gov.br/index.php?option=com_content&view=article&id=51
&It
mid=79
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作成年月日:2009 年 12 月 28 日
3.8.2
主要教材、予算と財源、訓練コース、訓練方法
コース一覧には、技術コース(環境、健康と安全、学校の支持、産業プロセス管理、
管理とビジネス、
レジャーと接待、
情報とコミュニケーションインフラストラクチャ−、
軍事、食糧生産、製品デザインと文化生産、産業及び天然資源)がまとめられている。
12 の技術分野にわたって科学技術の性質、185 の技術コースがあるが、地域の特性にカ
リキュラムを合わせてもよい。
(1) 基軸技術:環境、健康及び安全コース
・地域社会の健康管理者に関するフォーラム
時間:1,200 時間
健康増進、病気予防、健康維持のため、家族及び家のグループを公共医療サービスへ
導き、同行する。地図作製、社会的データ(人口統計学的、健康に関する)を記録し、
得られた情報を統合し、分析する。健康チームや地域と協力し、地方の健康システムの
活動計画を作り出し、実施し、評価し、再計画する。公衆を健康委員会の会議に参加さ
せ、動員する。特別ケアの必要な個人やグループを特定し、地域を共生への必要性につ
いて敏感にする。統一健康システムの基本の中でチームとして働き、サービス対象者の
統合と基本健康ケアサービスを促進する。
表 3‐1
訓練で取り組むテーマ
・ブラジルでの健康政策
環境、健康及び安全コースの例
実施の機会
推奨インフラストラクチャー
・統一健康システム
・最新の専門資料を所蔵する図書館
・健康戦略ファミリー
・特定プログラムを整備したコンピ
・教育と健康
ュータ実習室
・ライフサイクルの局面
・家族健康ユニット
・健康と病気プロセス
・ヘルスケアの境界設計と組織
・作業倫理、情報及び記録
・統一健康システム
・健康増進、弱者への配慮
・家族:概念の拡大、特徴と差異
コース一覧では、10 の技術分野での上級者の氏名、経歴、労働時間、最小限のインフ
ラストラクチャーを示す。一覧には全コース名があり、写真技術、メカトロニクス工業、
食品、家具生産、ポリマー、コミュニケーションと補助放射線学などはブラジルの全教
育機関に採用される。
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(2) 基幹技術:食料生産コース
コースには、農業関連産業、食料、乳製品、食肉加工、ラム酒製造、ブドウ栽培とワ
イン醸造があり、食糧及び飲料の製法と産業化に関する技術を含む。計画、訓練、操業、
管理を含み、加えて安全基準と物理的、科学的、生物学的品質に関して方法論を適用す
る。範囲には、技術的ソリューションと動植物製品に関する、機械器具、感覚分析、流
通量と生産量の管理、害虫駆除、流通と市場調査を含む。
・農業関連産業における現在の技術
科学技術的農業ビジネスは、農業関連の生産(種々の供給源からの材料の調達、加工
及び販売を含む)、生産量、最終生産量、品質を計画し、実行しモニターする。動植物産
品を加工する会社における専門的な業務は、経済的に採算の取れるプロジェクトと協力
し、また農業機械の適切な使用を管理し、農産物、副産物利用を環境から考える代替技
術の研究開発に取り組む。
・最小単位時間:2,400 時間
・推奨インフラストラクチャー
最新の専門資料を所蔵する図書館、生物学実習室(特定の微生物学実習室、食品プロセ
ス実習室及び化学実習室)を含む。
財務省によれば、2006 年の職業教育のための公的な支出は 17 億 1,340 万米ドルで、
教育費に占める割合は 1.7%であった。
(3) パウラ・ソウザセンター
パウラ・ソウザセンターは、92 の技術コース、例えば砂糖とエタノール、インテリア
デザイン、流通、動物科学などで、3 学期当たり 1,500 時間の授業をしている。
46 郡に、49 の技術大学(Fatecs)を有し、Fatecs には 47 の技術学部があり、農業
ビジネスから精密工学、観光学、サービス学などの 3 年課程で 2,400 時間の授業を実施
するコースがある。
サンパウロ州の 2008∼11 年の計画では、公立学校では 857 億レアルが、教育部、高
等教育部とパウラ・ソウザセンターに分配される。
3.8.3
代表的なカリキュラムトその開発方法、教材とその開発方法、指導員、訓練生の
募集、訓練生に対する優遇措置
国家カリキュラムガイドラインによると、職業教育の指導原則は柔軟かつ実効可能で
あるべきである。コースは、専門家の訓練に必要な能力と技術に基づき作られ、コース
一覧に記載された各科目の生産工程と技術進歩に従っている。職業教育の基礎レベルの
コースは、非公式で規制されてはいないが、カリキュラムは技術レベル以上の形式と同
様である。コースは、労働市場に認定された職業を参考にしており、雇用省のブラジル
職業分類(Classificação Brasileira de Ocupações:CBO)に記載されている。
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ブラジル(調査大項目 3:職業能力開発の政策とその実施状況)
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労働者の仕事の機能、補助機能はカリキュラム設計の専門家と、産業の専門家によっ
て調査される。この枠組みの設計は、学生が必要とする心理作用、社会感情、精神運動、
又は認識を考慮に入れている。それは、機械論的調査の結果ではなく、新知識を含む心
理的構成概念で、経済的、科学技術的変動に照らして改善と再専門化が可能となるもの
である。
カリキュラム向上のため学校は、カリキュラム・プロジェクトを設置して、コースや
モジュールを、事前許可なく最小必要時間の 30%まで変更することができる。
モジュールカリキュラムの概念は、中間的な結果を構造的にまとめて、再度方向付け又
は補うものである。職業教育でより大きな柔軟性を持たせ、学生に 1 つ以上のモジュー
ル訓練を受けて労働市場に参加させ、
学校に戻して彼らのコースを補完するものである。
最終的にはモジュールの修了証をまとめて、高校修了証書を発行することになる。
コース開発の教育的領域は、教室、作業場、実習室、適切なビジネス、技術訪問、実
地活動、学校と産業の間の訓練準備である。その方法は、理論と実践の調和、関連付け、
学習問題である。科学技術教育の情報システム(SIEPI)は、情報を集め仕事と科学技
術教育の世界を調査する入口(Portal)である。このウェブサイトは、5 つの地域観測
所を統合したネットワークであり、EFA 地域ネットワークの、体系化された団体である。
EPT ネットワークの情報に加えて、入口(Portal)はいくつかの公的研究ソース、統計
情報、例えば IBGE、IPEA、INEP、DEESE、SEAD 財団、大学、S システム、研究
育成機関(Fostering Agencies Study and Research、CAPES、CNPq)
、職業教育と労
働省の雇用と所得創出政府プログラムの研究者の分析、国際組織(UNESCO、ILO、
UNDP、IDB、FINEP)の研究につながりを持つことになる。
学術機関 SETEC/MEC での国家観測所と地域観測所ネットワークの実施は、大変重
要である。というのは、提供される情報は国の職業技術教育の拡大と統合の公的政策を
定義するために使われるからであり、国家の全 EFA のプログラム、プロジェクト、実
行の効率と効果を向上させるために必須だからである。
2008 年法律第 11788 号は学生の職業紹介を規定している。学生を(同時に 10 人まで)
専門分野で訓練又は経験を積ませる雇用契約では、その学生に対して訓練期間中に支払
われる額は、雇用による収入に応じて分類される。教育機関と学生の間で交わされた誓
約は、
順守が保障される。
学生の利益となるよう市場価値に見合った災害保険に加入し、
6 カ月ごとに活動を大学に報告することになっている。
私法及び公的管理の下での自律的な機関、財団、連邦、州、連邦自治領、市、並びに
職業監督機関に登録された専門家は、2008 年法律第 11788 号により、自らを監督する
等の義務がある。
国は、学生をインターンシップと労働市場に送り込むいくつかの機関を擁するが、教
育機関が合意を無効にすることがある。
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3.8.4
修了生の取得資格、修了生へのアフターケア、修了生の就職状況
職業教育、又は職場において必要とされる知識は、学習を続けるか完了させるか判断
するため、評価、認知、証明される。学校は、モジュールの技術コース、又は上級技術
コースに参加した学生に、資格証明を発行する。上級職業教育の中間レベルのディプロ
マコースは、評価基準に合致し訓練カリキュラムを修了した学生に、就業証書が授与さ
れる。訓練コース、職業能力開発及び専門化コースは、修了証を発行する。修了証は、
職務内容とコースの責任を記述して発行される。
連邦ネットワークの技術コース卒業生に関する国家調査によれば、2003∼07 年の科
学技術教育の卒業生の 72%が、国の 5 つの地方による差はほとんどなく就職している。
この 72%のうち 38%が、仕事と勉強を両立させており、教育の継続が基礎的な就業能力
に重要であることを示している。インタビューを受けた者のうち、勉強だけを行った者
は 22%、働きも勉強もしなかった者は 7%であった。卒業生の 44%は技術分野で、21%
が関連分野で働いている。この労働市場との緊密な関係は、全地方で見られる。特に、
南部では全国平均より良く、技術コースが 59%、関連分野が 18%となっている。私立学
校卒業者の就職率の統計は未だないが、いくつかの機関での調査の経緯から、結果は同
様である。
3.9
3.9.1
民間企業が行う職業訓練への支援体制
公共職業能力開発機関による支援
教育組織委員会は、学校社会の種々の参加者、すなわち事業者、親、及び関連する国
際機関により構成される。参加型の計画と管理プロセスの統合と正当化、学校と地域の
連携強化と、職業開発活動への支援を目指す。
企業と、社会の最も多様な部門は、プログラム、プロジェクト、取り決めを通じて、
教育と、学生の専門性と、就職を支援する。支援の内容は、教育と技術的職病レベルに
合わせクラスを分散して設置(学校の管理でいくつかのコース)すること、技術的トレ
ーニングを割り当て、企業や地域において仕事や資格のある労働者の業績向上、人材派
遣や臨時雇用の対策、専門家の具体的な要求、職務遂行能力の最も良い業績、住民への
最もよい質の教育で、そうすることで社会的一体性が促進する。
教育活動に加え、技術教育から生ずる他の活動、例えば地域サービス、技術援助、技
術産出と移転、理論的及び応用研究、製品開発、異なる分野でのプロジェクト開発、科
学的改善、研究所の活用、国際関係などがある。
3.9.2
その他
多くの連邦、州職業訓練センターは、国内、国際交流の部門を持っており、目的とす
るのは協力や、研究に関心ある教師、学生、技術及び管理スタッフのための学問的な交
流である。
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